小平忠の発言 (本会議)

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○小平忠君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま上相されました沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案、沖繩振興開発特別措置法案、及び沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案の四法案、並びに国家公務員法第十三条第五項および地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、人事院の地方の事務所設置に関し承認を求めるの件に対しまして、一括して反対の討論を簡潔に行ないたいと思うのであります。(拍手)
 反対の理由を具体的に申し上げる前に、四法案の土台というべき沖繩返還協定と沖繩返還に対するわれわれの基本的な考え方をまず申し上げたいと思うのであります。
 わが民社党は、去る四十二年八月、沖繩のいわゆる核抜き本土並み返還を提唱して以来、その実現に邁進いたしてまいったのであります。幸いこれが国民世論となり、政府もついにこの方針で沖繩返還協定を結ばざるを得なかったことは、周知のとおりであります。
  〔議長退席、副議長着席〕
しかしながら、返還協定は核抜きが不明確であるばかりでなく、基地の整理、縮小についてそのスケジュールが明らかでないこと、本土法のワクを飛び越えてVOAが存続すること等の重大な問題をはらんでおり、決して核抜き本土並みとはいえない内容であることは、これまでの審議を通じて明らかなとおりであります。
 ただいま上程されております四法律案は、この沖繩返還協定に根を発する関連法律案にほかなりません。しかも、結論からいって、これらの法律案によっては沖繩の本土並み返還が保証されないのみならず、平和で豊かな沖繩建設は、まさに夢物語であるといわなければならないのであります。
 その根源にある理由を申し上げますならば、政府の立っている立場は、日米両国間に深い友好関係が保持されているからこそ、アメリカが善意をもって沖繩の返還に応じてくれるという態度であります。はたしてそのとおりでありましょうか。わが党の主張は、確立された国際法に照らしても、沖繩の返還は日本の権利として堂々と要求すべき問題であるとしているのであります。(拍手)この根本的な相違のいずれが最も国益に合致するかは、論ずるまでもないのであります。
 まず、復帰特別措置法案については、何よりもVOAの存続に合理性を付与せんとしており、このため電波法の特例を設けるなどの屈辱性を発揮するほか、米軍施政下で行なわれた刑事裁判の効力をそのまま引き継ぐこと、あるいは教育委員会の公選制の廃止を予定していることなどの重大な問題を有しているのであります。
 次に、沖繩振興開発法案について申し上げますならば、最大の問題点は、たとえば嘉手納村では全面積の八〇%、コザ市では七〇%、浦添市では八〇%以上も米軍基地に接収されているごとく、沖繩本島だけを見ても全体の二三%という膨大な面積の返還なくして、何の振興開発ということができ得ましょうか。(拍手)この法律案の目ざすものは、まさに実体を伴わない、名前だけの振興開発だと言っても過言でないのであります。
 しかも、開発計画を策定する振興開発計画審議会の構成が、本土政府役人が十三名、沖繩現地代表がわずか六名というように、著しいアンバランスであり、これでは沖繩県民の声は抹殺されるのであります。
 さらには、復帰に伴う県民雇用の不安に対する救済措置がきわめて不十分であるばかりか、これとうらはらになるといわれる政府構想の開発庁設置法案をあわせて見まするときに、沖繩県民に与えられるべき本来の地方自治を将来おかすおそれのあることは、いなめないところであります。
 これらの法律案を受けた関係法令の改廃法案は、まさに論ずるに足らない技術的手続法にほかならないのであります。
 さらに、公用地等の暫定使用法案についてであります。この法律案に関しましては、すでに本院の本会議並びに沖繩・北方特別委員会の審議を通じてその違憲性が明らかにされ、まさに史上類例のない悪法としての内容が究明されたところであります。すなわち、社会、公明、民社の三党が、巻き起こりつつある同法案反対の強い世論にこたえるため、異例の措置をもって三党が共同でその反対理由を天下に表明し、明らかにしているところであります。
 そもそも、同法案は、沖繩返還協定と不可分一体の性格を持ち、特に本土では地位協定の実施に伴う土地等に関する特別法によって、強制収用が六カ月に限定されているにもかかわらず、今回の法案では、これが実に約十倍の五カ年に延長されているのであります。また、本土法では認められていない自衛隊基地についてまで強制使用の対象を拡大すること、さらに、道路、水道、電気事業などの純粋な公共用地についても、これとは全く異質の軍用地とを抱き合わせるという形で、本土土地関係法の体系を混乱におとしいれるものでありまして、断じて容認できないところであります。(拍手)このことは、やがて本土法の改悪、変質にまで及ぶおそれがきわめて大きいこと、しかも、この法案に基づく土地利用の前提となるべき沖繩の地籍調査が、米政府との話し合いで行なうことができたにもかかわらず、いままでこれをなさなかったのみならず、今後もこの調査計画が明らかにされていないことなどが主要な問題であり、この法律案は、どの角度から見ましても悪法の典型というほかなく、先ほども指摘したごとく、きわめて違憲性の高いものでありまして、決して容認できないのであります。
 以上を総括いたしまして結論的に言うならば、これら沖繩返還協定と密接に関連する四法律案は、VOA存続の特例法の容認や公用地暫定使用法案に見られるごとく、沖繩の返還が何ら本土並みでないばかりか、本土並みということばそのものさえ空洞化せしめるものであることは、もはや多言を要しないのであります。すなわち、これは、本土並みとは似ても似つかぬしろものであると言っても一向差しつかえないのであります。平和で豊かな沖繩建設を何ら保証するものではないということを、私は重ねて主張するものであります。また、先ほど申し上げた振興開発計画審議会の構成などからして、それが沖繩県民の意思と遊離し、あるいは将来において沖繩県民の自治を疎外する危険性はきわめて大であるといわなければならないのであります。
 このような状態で本土へ復帰いたしましても、沖繩県民は再び実質的な差別と本土支配に苦しみ、本土と沖繩との心の一体化、沖繩県民の本土不信の解消は、永遠にでき得ないことは必至でありましょう。これでは、沖繩百万県民はもとより、国民の長年の願望であった沖繩返還は、形の上では実現されたものの、沖繩県民の意思を無視し、しかも将来に禍根を残すものにならざるを得ないと私は考えるものであります。
 かかる見地から、私は、ただいま上程されておりまする四法案並びに人事院地方事務所設置に関し承認を求めるの件に対しまして強く反対の意思を表明すると同時に、沖繩振興開発特別措置法案に対する自由民主党提案の修正案でありますが、これは沖繩県民を代表する屋良主席の建議書の趣旨にこたえたものとは認められませんので、せっかくの修正案でありますが、賛成することはできないのであります。
 以上、反対の意思を明らかにいたしまして、私の討論を終わる次第であります。(拍手)

発言情報

speech_id: 106705254X02319711214_015

発言者: 小平忠

speaker_id: 11712

日付: 1971-12-14

院: 衆議院

会議名: 本会議