成田知巳の発言 (本会議)
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○成田知巳君(続) 会期延長を多数の力で押し切られたのであります。言うこととなすことの不一致、これよりはなはだしいものはございません。目的のためには手段を選ばぬ陰湿なマキャベリストとしての総理の政治姿勢を、国民とともに、きびしく指弾するものであります。(拍手)
さらに、総理は、自衛隊の沖繩への大量派遣を米国に約束して、日米共同作戦体制を強化するとともに、ニクソン・ドクトリンに基づき、アメリカの極東戦略を肩がわりし、日本自身のアジア進出、軍国主義復活の道を推し進めようとしております。そのために、政府は、異例中の異例である土地収用法の内容をさらに改悪し、私権保護のための一切の有効な手続を省略した公用地等の暫定使用法をつくって、沖繩県民から土地を強奪しようといたしております。まさにこれは沖繩県民に対する差別と挑戦であり、かつてその前例を見ないような違憲立法であって、断じて許すことはできません。(拍手)
沖繩の人々は、次のように言っております。返還協定により基地が縮小、撤去されないということは、沖繩県民にとって、復帰により事態が少しもよくならないということである、しかし、自衛隊が派遣されるということは、復帰により事態が今日より一そう悪くなることだ、と語っております。沖繩県民の歴史的体験から出たこのことばを聞くにつけても、本土のわれわれは、沖繩問題とは何なのかという原点に立ち戻って、みずからに問い直してみなければなりません。
薩摩藩時代の琉球の収奪、明治の琉球処分はしばらくおくとしても、ごく最近の歴史においても、本土のわれわれは沖繩県民に対して二度まで恥ずべき裏切り行為をしておることを忘れてはなりません。
その第一は、祖国防衛の名のもとに、あの悲惨な沖繩戦争を強要したということであります。その第二は、国際法上不法不当のサンフランシスコ平和条約第三条により、沖繩県民を本土から切り離し、自来今日まで、異民族支配のもと、沖繩県民に無権利と差別の生活をしいてきたということであります。(拍手)
このなまなましい歴史の教えるところは、沖繩県民の悲願にこたえて、核も基地もない平和の島としての沖繩の祖国復帰を実現することが、本土のわれわれの沖繩県民に対する大きな道義的、政治的責任だということであります。(拍手)
しかるに、政府・自民党は、核つきの膨大な軍事基地を半永久的に存続させる返還協定を沖繩県民に突きつけて、沖繩は返らなくてもよいのかと、どうかつ的態度に出たのでありますが、これは、平和な島として一日も早く祖国に復帰したいことを願う沖繩百万県民に対して、過酷きわまる選択をしいたものであります。パンを求める者に石を、いや渇して水を求める者に毒入りの水を与えようとする、あまりにも非人間的な冷酷きわまりない仕打ちであり、まさに第三の琉球処分であります。(拍手)
かつて佐藤総理は、沖繩の祖国復帰なき限り戦後は終わらないと言われましたが、私は、沖繩県民とともに、佐藤総理が総理大臣官邸から出て行かない限り戦後は終わらないと断言するものであります。(拍手)
告発の第三は、佐藤内閣の財政経済政策についてであります。
総理は、最初の組閣にあたって、人間不在の高度経済成長を批判して、人間尊重と社会開発を中心とした安定成長を国民に約束されたことを御記憶だと思います。ところが、その後七年間、佐藤内閣はその公約とは全く逆に、池田内閣以上の超高度経済成長の道を馬車馬のように走り続けてまいりました。その当然の結果として、日本経済には、はなはだしい対外的不均衡と対内的不均衡という危機的状況がつくり出されたのであります。
今日、日本の外貨保有量は百五十六億ドルをこえ、アメリカから円の切り上げを迫られ、ついに政府はこの外圧に屈して、一六・八八%という円大幅切り上げに踏み切りました。外貨が急速かつ大量に蓄積されたこと、すなわち、日本の輸出貿易が異常なまでに伸びたのは、日本の労働者の低賃金、過酷な合理化と長時間労働、社会保障と生活環境投資の著しい立ちおくれ、さらには、公害防止施策を無視した生産第一主義など、いわゆるソシアルダンピングによるものであります。したがって、輸出の増加は、佐藤総理の自慢されるように、自民党の政策よろしきを得た結果ではなくして、国民の大きな犠牲の上に、はなはだしい国内不均衡の上に築き上げられたものであります。だとすれば、円の大幅切り上げの前に日本政府がまずなすべきことは、生産第一主義から国民福祉第一主義へ経済運営を根本的に転換することであったはずであります。(拍手)
すなわち、先進国並みの週休二日、四十時間労働制の実施、労働基本権の尊重、国と企業の責任において労働者の雇用を保障すること、生活環境投資と社会保障の思い切った充実、完全なる公害対策の実現をはかることこそ、外貨問題に正しく対処し、国際収支の均衡をもたらす唯一の合理的な解決方法であります。(拍手)これを怠り、ついにアメリカの外圧により一七%近くの円大幅切り上げに追い込まれた佐藤総理の政治責任はまことに重大であり、後世の歴史家は、佐藤内閣は戦後最大の失政をおかしたと必ず批判するでありましょう。(拍手)
アメリカは、国際収支の大幅逆調、それからくるドル危機を理由に、円の切り上げをしゃにむに要求してまいりました。しかし、ドル危機の根本原因は、アメリカがあのきたないインドシナ侵略戦争に巨額のドルを乱費したこと、資本の自由化でアメリカの世界企業が膨大なドルの海外投資を行なってきたことにあることは言うまでもありません。このアメリカのインドシナ戦争を即時中止させ、世界企業の節度のない海外投資を取りやめさせることこそが、ドル危機を解決する根本的対策であります。
しかるに、アメリカの資本自由化の要求に屈服し、世界企業の日本進出を許し、日本の重要産業をアメリカ資本の支配下に置いてきたのは、佐藤総理、あなたであります。(拍手)
アメリカ国防総省の秘密文書で暴露された、あの醜いインドシナ侵略戦争に積極的な支持、協力を与えてきたのも、佐藤総理であります。皮肉にも、アメリカのパートナーをもって任ずる人が、アメリカのドル危機をつくった共犯者の役割りを演じたということであります。(拍手)その総理が、またまた国際協調の名において円の大幅切り上げを行ない、ドル圏内にある沖繩県民の生活を破壊し、日本の労働者、農民、中小企業者に大きな犠牲を強要せんとしていることは、道理と正義の立場に立つ限り、絶対に許すわけにはまいりません。(拍手)
一農民は、次のように訴えております。
養鶏農家は安い卵であえいでいる。野菜が高過ぎると町の人から非難されるときは、畑にはもう野菜はない。野菜が豊作のときは、ただ同然で、何一つ補償はしてくれない。生活の最後のとりでである米づくりも、減反、買い入れ制限でいまや取りくずされようとしておる。このとりでがくずされるとき、麦めしを食うぐらいの覚悟はあるが、死ねと言われたら、立ち上がらずにはおられない。農民がほしいのは、米価の引き上げそのものではない、日本農業のビジョンであり、未来への希望である、と。
この農民の血を吐くような叫びに耳を傾けようともせず、外国食糧の輸入を毎年二〇%もふやし続け、米を除いて、食糧自給率六七%という奇形的な日本経済をつくってきたのも、佐藤自民党政府であります。(拍手)アメリカ農業と日本の大企業のために日本農民は犠牲になれ、死んでもかまわないというのが、佐藤内閣の一貫した農業政策であります。(拍手)
かつて経済白書は、中小企業について次のように指摘しております。好景気の波がようやく中小企業に及ぼうとするとき、必ずといっていいほど国際収支の壁にぶつかって、不況政策をとらざるを得なくなるのが日本経済の宿命である、しかも、不況になってその波を最初にかぶるのは中小企業である、と。ところが、今日外貨はあり余っているにもかかわらず、円切り上げからくる不況の波をかぶり、多くの破産、倒産者を出しているのが中小企業であります。つまり、自民党政治のもとでは、国際収支が赤字であっても黒字であっても、いつも犠牲になるのは弱い中小企業者だということであります。(拍手)
特に、いま日本の繊維産業界は、国際取りきめに違反し、国会決議を無視した政府間協定により、深刻な危機にさらされております。政府は、国益のためにはやむを得ないと言っておりますが、政府の言う国益とは、アメリカ企業と日本総資本の要求の前には、国民の利益、労働者、中小企業者の利益はもちろん、個別資本の利益もじゅうりんしてはばからぬという自民党政府の本質を暴露したのが、今回の繊維政府間協定であります。(拍手)
さらに、佐藤内閣と財界は、円の大幅切り上げに伴い、国際競争力強化を理由に、合理化を強行し、労働者には首切り、賃金ストップと所得政策を押しつけ、他方、不況克服と称し大量の赤字公債を発行し、大企業のためのインフレ政策を強行して、すでに二十年ぶりの急騰を示しておる異常な物価高に拍車を加え、不況下の高物価で、台所を通じて国民生活を根底から破壊しようとしております。この佐藤内閣を一日延命さすことは、それだけ国民に不幸と不利益をもたらします。
農民、中小企業者、労働者、市民の立場に立ち、安定した経済、国民福祉経済を心から願うわれわれは、働く国民大衆の名において、総理に即時退陣を迫るものであります。(拍手)
告発の第四は、総理の政治姿勢についてであります。
ニクソン訪中、中国の国連における合法的地位の回復、国際通貨危機と国内不況の深刻化は、自民党が戦後一貫してとってきた、安保体制下の核のかさとドルのかさのもとでの政治経済路線が大きな壁にぶつかったということ、すなわち、安保繁栄論がもののみごとに破産したということであります。(拍手)
七年前、佐藤内閣誕生のときから、内外の政治経済情勢はすでに激しく流動しつつあったにもかかわらず、それを見抜くことができず、保守党としての対応にすら大きな誤まりをおかしたのが佐藤総理であります。しかも、官僚政治家は、情勢がきびしく、困難になると、権力にものをいわせて事態を処理しようとする危険な体質を持っております。現に去る七月の内閣改造以来五カ月間に三名の閣僚を更迭し、内閣の延命をはかったことは、許しがたい任免権の乱用であり、総理の権力主義的政治姿勢を浮き彫りにしたものというべきであります。(拍手)
それだけではありません。佐藤内閣七年の施政の間に、司法と教育の反動化は、急速かつ露骨に進められてまいりました。沖繩の人々が血みどろになって築き上げてきた教育委員公選制を廃止せんとする権力主義の思い上がった姿勢がそれであります。
中教審答申を受けて、教育を国策の実現と労働力培養の手段としてのみとらえ、国家権力の教育への不当な介入によって、憲法と教育基本法に定める平和と民主主義の教育、国民の教育権を否定せんとしておるのが、そのあらわれであります。(拍手)
平賀書簡問題、青法協所属の裁判官、司法修習生に対する組織的、系統的な攻撃、公安調査官による裁判官の言動調査、国会周辺デモについての裁判所決定に対する異議申し立て権の乱発などに見られるように、司法権の独立、三権分立の憲法の精神を根底から否定しておるのが佐藤内閣であります。(拍手)
国家権力による司法と教育の規制、その反動化が軍国主義への精神的側面であるとすれば、第四次防計画、自衛隊の大量沖繩派遣、兵器の国産化による兵器産業の育成は、軍国主義化への物質的側面であります。政府・自民党は、近く平和憲法の改正を党議決定すると伝えられておりますが、中国をはじめとするアジアの国々だけではなく、アメリカの有識者の中にも日本軍国主義復活を警戒する声があがっているのは、けだし当然だといわなければなりません。(拍手)
佐藤総理、あなたは、日本を破滅に導いた危険な軍国主義への道を推し進めてこられました。だが、再びアジアの人々への加害者となるだけではなく、日本国民自身にもはかり知れない災危と不幸をもたらす軍国主義の道を歩むことを、日本国民は、いまはっきり拒否いたしております。今日の日本国民は、戦前の日本国民ではございません。危険な軍国主義日本を再現しようとする総理の即刻退陣を、日本とアジアの平和を願う国民の名において、強く要求するものであります。(拍手)
総理、あなたは、今日まで、多くのことを国民に約束してこられましたが、何一つ実行には移されませんでした。政界浄化のための政治資金規正法の改正、公害に対する無過失賠償責任法の制定など、何度あなたは国民に約束され、何度国民を裏切ったか、みずから指折り数えていただきたいと存じます。(拍手)国民は、あなたの政治をもう信用しないどころか、いまや心から憤りに燃え、その爆発をじっと押えておるのであります。内閣不信任がかりに国民投票制であり、三分の二の多数を必要とするとしても、佐藤内閣不信任は圧倒的多数で成立することは間違いございません。(拍手)
総理、権力の地位を去ることは、権力につくことよりもむずかしいことであります。しかし、総理に残された唯一の道は、今日直ちに総理の地位から退くことであり、その勇断は即刻行なわれねばなりません。私は、総理が政治家として晩節を全うされることを国民とともに心から願うとともに、最後に、自民党の諸君に訴えたいことがございます。
自民党内に政局に対するいろいろの議論のあることは承知しておりますが、「道に迷ったときは勇気をふるって大通りに引き返せ」というアルピニストの指針に従い、今度こそ佐藤内閣不信任案に賛成されて、議会制民主主義の原則、その大道に立ち戻られんことを心から願って、佐藤内閣不信任案の提案理由の説明を終わります。(拍手)
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