曾禰益の発言 (外務委員会)
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○曽祢委員 田中内閣ができてから、日中問題が非常なスピードで、中国側のきわめて弾力的な態度も出てまいりまして進行している。私は、これは歴史的に非常に重要でかつ好ましい傾向だと思うのです。ただ問題は、田中内閣でも特に総理自身が、外交問題は大平外務大臣に一任だ、私はこれは非常にいい名人事、名コンビだというふうに思います。コンピューターつきブルドーザーもけっこうだけれども、決断と実行もけっこうだけれども、やはり外交の詰めは慎重でなければならないということを、総理も踏まえておるのではないかと思います。
そこで、まあ御承知のように、これは自民党の中のコンセンサスをつくるのも重要です。これはしかし党内のことですから、私は申し上げるつもりはございません。やはり日中の詰めというものは非常に重要である。したがって、中国のいわゆる三原則の正当な解釈について、ずいぶんいままで日本側で、全然ゆとりのないような解釈みたいなことがかなり言われておりましたけれども、私は当時から、必ずしもそうでもないんじゃないかと言っておりました。私はそういう意味で、私どもの見解がむしろ正しかったことが証明されたように思う。しかし、その詰めば非常に大切です。さらに、言うまでもなく、日米がおのおのの歴史的の違いもありますから、中国との国交調整のやり方、方法、タイムテーブル、ずいぶん違うと思うのです。その違いを踏まえながらも、やはりこういうことはお互いに頭越しでやるべきことじゃ絶対ない。了解ずくで、そして別の道を行く。目的は大体同じだ。それから、むろんこれと並行的に、今度は衆議院の外務委員会が中心に、参議院の外務委員会も加わって、ちょうど九月の七日から十日間ぐらいソ連の議会の招待という形でソ連に参ります。これはむろん外交交渉をやる機関ではございませんが、ある意味の平和条約交渉の瀬踏みの役もするのじゃないか。そういう意味で、日ソ関係にも大いにいい影響を与えながら、両方が並行してというか、雁行してというか、進められるべきだ。
それからもう一つは、やはり台湾の国民政府が思い詰めたあまり、まあ報復というようなことに走らぬように、ここら辺のことに対して、やはり当然の外交の手が打たれなければならぬ。そういうような観点から、目下検討中の問題もあろうと思いますけれども、二、三の点について御質問申し上げたいと思います。
まず第一に、このいわゆる中国の三原則の中で第一原則は、これはお互いにわかっている。中華人民共和国だけが唯一の正統——正統というのは統べる、つまり中国の後継者は唯一無二にこの北京政府だということは、これはもうお互いにはっきりわかっていると思うのですね。これははっきりそのままイエスと言っていける。
第二の、この台湾に関する領有権の問題で、従来政府がこの点は非常に慎重にかまえ、発言権云々ということで、まあやや逃げておられたけれども、私はこれは、台湾に対する領有権は歴史的にも中国のものだ、中国の代表者は人民共和国である以上は、人民共和国政府である以上は、中国の領土、言うならば中華人民共和国に領土権が帰属するものだという、私はこの点も、国交調整の文書等でそれは認めて差しつかえないという論者なんですけれども、ただその場合にも、現実の領土権者は北京といいますか、中華人民共和国であっても、現実に一つの政権がそこを事実上占拠しているという事態は、これは事実上の事態としてあるわけです。
その場合日本としては、そういったような事態をまるくおさめてくれ、円滑、平和的に。その台湾問題ですね、領有権は人民共和国に認める、その立場は、われわれ日本国が外交文書ではっきりしていい、むしろすべきだ。しかし同時にその中間の地点で、ちょうど米中共同コミュニケでアメリカが慎重にいっているように、海峡の両側にある中国側の人民の合意する方法でやってくれる限りアメリカは異存ございません、そういう意味で台湾というものは中国の領土だということに異議はない、しかし、現実には台湾の処理というものは、これはひとつ両方の人民の平和的な話し合いでやってくれということ、期待という形で出しているけれども、現実の共同コミュニケの精神は、両方とも武力紛争を回避するという精神に貫かれていることは間違いない。だから日本としては、この領土権の主張を中華人民共和国に認めるが、そのことと台湾問題の平和的処理は、これはもう日本の当然な願望だということをためらっている必要はない。そのことは、決して内政干渉でも何でもないと私は思うのです。そういう点をどうお考えなのか、まず伺いたいと思います。