齋藤邦吉の発言 (社会労働委員会)
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○齋藤国務大臣 ただいま議題となりました日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
日雇労働者健康保険につきましては、昭和三十六年以来法改正が行なわれないまま今日に及んでおりますので、給付内容をはじめ制度面についての改善が緊要な問題となっておりますが、一方、その財政は、今日非常な悪化を来たしております。
このため、政府といたしましては、日雇労働者健康保険の財政健全化をはかりつつ、順次その給付内容を改善する方針のもとに、今般、給付期間の延長、現金給付の引き上げを行なうとともに、賃金実態に即して保険料日額の改定を行なう等の制度の改善をはかることとした次第であります。
次に、改正案の内容について申し上げます。
まず、給付内容の改善につきましては、第一に、療養の給付期間現行二年を三年半に延長し、また、その後においても、所定の保険料が納付されていれば、引き続き給付が受けられるようにいたしております。
第二に、傷病手当金の支給期間は、現行二十二日でありますが、これを三十日に延長し、また、支給日額も現在二百四十円、三百三十円の二段階でありますが、これを納付保険料に応じて最低八百円から最高二千六百四十円までに引き上げをはかることとしております。
第三に、出産手当金につきましても傷病手当金と同様に、その支給期間、支給日額の改正を行なうこととしております。
第四は、埋葬料につきまして、被保険者本人に対する支給額を現行四千円から一万円に引き上げることとしております。
第五は、分べん費につきまして、被保険者本人分べん費を現行四千円から二万円に、配偶者分べん費を現行二千円から一万円に引き上げることとしております。
次に、保険料日額につきましては、昭和三十六年以来賃金日額四百八十円以上の者は二十六円、四百八十円未満の者は二十円に据え置かれてまいりましたが、その後の賃金の上昇を考慮し、賃金実態に即して合理化をはかることとし、賃金日額に応じて五十円から二百円までの四段階に改定することとしております。なお、賃金日額四百八十円未満の被保険者につきましては、現行どおり二十円に据え置くことといたしております。
最後に、この法律の実施時期につきましては、昭和四十八年四月一日からとしております。なお、昭和五十年三月三十一日までの間は傷病手当金及び出産手当金の支給日額の最高は千八百円とし、保険料日額は五十円から百三十円までの三段階とする経過措置を講ずることとしております。
以上が、この法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
児童扶養手当及び特別児童扶養手当制度については、母子家庭及び心身障害児に対する手当制度として、逐年その改善につとめてきたところでありますが、福祉の充実が重要な課題となっている今日、母子家庭及び心身障害児に対する福祉施策の向上をはかる必要性は一段と高まっております。
今回の改正案は、このような趣旨にかんがみ、手当額を大幅に引き上げるとともに、公的年金給付との併給制限を大幅に緩和することにより、これらの制度の充実をはかろうとするものであります。
以下、改正法案のおもな内容について御説明申し上げます。
第一に、児童扶養手当及び特別児童扶養手当の額を、昭和四十八年十月から、児童一人の場合、二千二百円増額して、月額六千五百円に引き上げるとともに、さらに児童扶養手当については、昭和四十九年一月から、児童二人の場合の加算額を四百円から八百円に引き上げることといたしております。
第二に、特別児童扶養手当について、昭和四十八年十月から、原則として公的年金給付と併給するとともに、児童扶養手当については、老齢福祉年金及び障害福祉年金との併給を行なうこととし、受給者の福祉向上をはかることといたしております。
なお、以上の法律事項のほか、扶養義務者の所得による支給制限について今回大幅な緩和をはかることといたしております。
以上が、この法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
医療保険制度の問題につきましては、財政の健全化をも含めた抜本的な改善がかねてから重要な課題となっているところでありますが、制度の中核的存在である政府管掌健康保険が現在まで十年間深刻な財政難を続けてまいりましたこともありまして、昭和三十六年の皆保険達成以来健康保険においては見るべき改善が行なわれないまま今日に至っております。医療保険の分野では関係者の間で利害がいろいろと錯綜し、問題の根本的な解決をはかることが困難なものが多々あることも事実でありますが、これを何とか解決の方向へ導く努力の積み重ねが必要と考えるものであります。
今回は、これまでの経緯にかんがみ、また、関係審議会の意向等を尊重いたしまして、国民の福祉水準の向上を求める要請にこたえるべく、福祉重点施策の一環として、実現可能なものから段階的に制度の改善に着手するとの見地に立ち、改正を行なうことといたしたものであります。
すなわち、今回の改正は、制度創設以来三十年間改善されないままになっている家族療養費の給付率の引き上げ、高額療養費の支給等家族医療給付の改善を中心に、国民医療の確保に関する医療保険の側での対策を充実強化するため給付改善を行なうとともに、保険の運営上重要な問題である保険財政の恒常的な安定を確保するための諸施策を講じようとするものであります。この改正によって懸案の抜本改正の第一歩が踏み出せるものと確信いたしている次第でございます。
まず、健康保険法の改正について申し上げます。
第一は、医療給付の改善でありまして、家族療養費の給付率を五割から六割に引き上げますとともに、高額な医療につきましては、家族療養費にあわせて高額療養費を支給し、自己負担とされているもののうち一定限度額を越えるものを保険から全額給付することといたしております。
第二は、現金給付の改善でありまして、本人分娩費の最低保障額を現行二万円から四万円に引き上げ、さらに配偶者分娩費について現行一万円から本人分娩費の最低保障額と同額の四万円に引き上げるとともに、家族埋葬料につきましても改善をはかることとしております。
第三は、標準報酬の改定でありまして、その等級区分が最近における給与の実態と著しくかけ離れるに至っている結果生じている負担の不公平を是正するため、現行三千円から十万四千円までの三十六等級でありますのを二万円から二十万円までの三十五等級に改めるものであります。
第四は、保険料の改定でありまして、政府管掌健康保険の保険料率を七%から七・三%に改定するとともに、当分の間の措置として、現在保険料の算定の基礎とされていない賞与等について、支給のつど、その一%を労使折半により特別保険料として徴収するものであります。なお、この特別保険料は、報酬月額五万円未満の者からは徴収せず、賞与などが五十万円をこえるときは、五十万円として計算することとしております。
第五は、国庫補助の拡充でありまして、財政基盤の脆弱な政府管掌健康保険に対して、これまでの定額国庫補助を改め、定率制の国庫補助を導入することとして主要な保険給付に要する費用の一〇%を国庫補助するものであります。
第六は、保険料率の調整とこれに連動した国庫補助率の引き上げの問題でありまして、政府管掌健康保険の保険料率について、厚生大臣は必要あるときは社会保険審議会の意見を聞いて、法定料率の上下〇・七%の範囲内でこれを調整できる規定を設け、同時にこの規定により法定料率を越えて保険料率を引き上げた場合には、先に述べました定率国庫補助の割合を料率〇・一%につき〇・四%ずつ増加することとしております。
第七は、健康保険組合関係でありまして、それぞれの組合の規約で定めるところにより、特別保険料を徴収できることとするとともに、保険料率の調整幅が現行三%から八%までであるのを三%から九%までに、被保険者の負担料率の限度が現行三・五%であるのを四%にそれぞれ改めることとしております。
次に、船員保険法の改正について申し上げます。
船員保険の疾病部門につきましても、先に述べました健康保険の改正に準じ、家族療養費の給付率の引き上げ等保険給付の改善を行なうとともに、標準報酬の改定等所要の改正を行なうものであります。
また国民健康保険法の改正につきましては、健康保険法の改正に準じて高額療養費を支給することとしております。
次に、厚生保険特別会計法の改正について申し上げます。
この改正は、昭和四十八年度末における政府管掌健康保険の借り入れ金にかかる債務をたな上げするとともに、新規の借り入れを限定し、また、昭和四十八年度以前に健康勘定において生じた損失を一般会計からの繰り入れによって、補てんする方途を講ずるものであります。
なお、この法律の実施時期につきましては、本年四月一日からとしておりますが、高額療養費の支給に関する部分につきましては、諸般の準備手続等を考慮いたしまして本年十月一日から実施することとし、また国民健康保険法の改正は昭和五十年十月一日からとしております。
以上が、この法律案を提案する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
わが国は、急速なテンポで高齢化社会を迎えようとしているのでありますが、他面核家族化の進行や扶養意識の変化などにより、わが国の老人を取り巻く環境は著しく変貌しつつあります。このため、老人問題をめぐる国民の関心はかつてない高まりを見せており、中でも老後保障の柱となる年金制度に寄せる国民各層の期待は、きわめて大きいものがあります。
さらに、経済社会の発展の成果を各世代を通じて均てんさせる上からも、老人が安心して老後を送ることができる年金制度の確立をはかることは、いまや内政上最優先の課題の一つと申すべきものであります。
今回の改正法案は、このよう一な趣旨にかんがみ、わが国年金制度の大宗をなす厚生年金及び国民年金を中心に、老後生活のささえとなる年金の実現を目ざして、年金給付の水準を大幅に引き上げるとともに、年金額のスライド制を導入するなど各年金制度の改善充実をはかろうとするものであります。
まず、年金額の水準につきましては、厚生年金について最近の被保険者の平均標準報酬の六〇%程度を確保することを目途に、改正後新たに老齢年金を受ける場合の標準的な年金額をおおむね月額五万円に引き上げるものであります。国民年金につきましても、二十五年加入の場合の年金額を付加年金を含めて夫婦月額五万円の水準に引き上げることといたしております。
また、多年の懸案であったスライド制につきましては、年金額の価値維持のため新たに物価変動に応ずる自動的なスライド制を導入することとし、あわせて財政再計算期に従来どおり国民の生活水準その他の諸事情を勘案して年金額の改定の措置を講ずることにより、将来にわたり適正な年金額の水準の確保をはかることとしております。
以下、改正案のおもな内容につきまして御説明申し上げます。
まず、厚生年金保険法の一部改正について申し上げます。
第一に、年金額の水準につきましては、定額部分を大幅に引き上げるとともに、報酬比例部分について過去の期間の標準報酬を最近の標準報酬の水準をもとにして再評価することとして、その飛躍的な改善をはかることとしております。
その他、妻の加給年金の額並びに障害年金及び遺族年金の最低保障額の引き上げ、在職者に対する老齢年金の支給範囲の拡大等の改善を行なうこととしております。
第二に、年金額の自動的改定措置、すなわち、いわゆるスライド制の導入についてでありますが、年度平均の消費者物価指数が五%をこえて変動した場合には、その変動した比率を基準として、政令で定めるところにより、年金額を改定することとしております。
第三に、標準報酬の改定についてでありますが、最近における賃金の実態に即して二万円から二十万円までの三十五等級に改めることにしております。
第四に、保険料率の改定についてであります。給付水準の引き上げに伴ってその改定を行なうこととし、今後受給者が急激に増加することが見込まれているため、将来にわたる保険料負担のなだらかな増加を期するとともに、長期的な財政の健全性を確保するという見地に立って、保険料率を千分の十五引き上げることとし、以後段階的に引き上げをはかっていくこととしております。
なお、以上の改正は、昭和四十八年十一月から施行することとし、現に支給されている年金につきましても、同様に年金額の引き上げをはかることとしております。
次に、船員保険法の一部改正についてでありますが、厚生年金の改正に準じて、年金額の大幅な引き上げ、スライド制の導入、その他所要の改正を行なうこととしております。
次に、国民年金法の一部改正について申し上げます。
第一に、拠出年金の額についてでありますが、その水準の大幅な引き上げをはかることとし、現実に支給されております十年年金については、現行の月額五千円を月額一万二千五百円に引き上げ、また、五年年金については、現行の月額二千五百円を月額八千円に引き上げることとしております。
その他、付加年金の額を引き上げ、障害年金の最低保障額及び母子年金等の額の改善を行なうこととしております。
第二に、年金額の自動的改定措置についてでありますが、拠出年金について、厚生年金と同様のスライド制を導入することといたしております。
第三に、保険料及び国庫負担についてであります。今回の給付水準の引き上げに伴う保険料の急激な増加を避け、さらに将来にわたる財政の健全性を確保する見地から、保険料は月額九百円とし、昭和五十年一月以後段階的に引上げをはかっていくこととしております。同時に、十年年金、五年年金等の経過的な老齢年金について、国庫負担割合の引き上げをはかることとしております。
第四に、高齢者の任意加入の再開についてでありますが、任意加入の対象とされた年齢層で加入しなかった人を対象に、申し出により、再び五年年金に加入できる道を開くこととしております。
なお、以上の改正による年金額の引き上げは、昭和四十九年一月から実施することとしております。
次に、福祉年金の改善について申し上げます。
各福祉年金の額につきまして、昭和四十八年十月から、老齢福祉年金を月額五千円に、障害福祉年金を月額七千五百円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金を月額六千五百円にそれぞれ引き上げることとしているものであります。
最後に、年金福祉事業団法の一部改正について申し上げます。
年金福祉事業団が設置運営する施設として、保養のための総合施設を明示いたしますとともに、新たに、被保険者のための住宅資金の貸し付けを行なわせることといたしております。
以上が、この法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。