齋藤邦吉の発言 (社会労働委員会)
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○齋藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、福祉社会の建設のための一つの大きな柱が医療問題の解決であります。すなわち、一億国民どの土地にありましても、日進月歩の医学、薬学の恩恵を受けられるような体制をつくる、これが基本でなければならない、かように考えておるわけでございまして、私どもは医療体制、医療制度につきまして、抜本的な方向というものを打ち出さなければならないと考えてきておるわけでございます。
しかしながら、医療体制、医療制度の根本的な改革ということになりますと、利害関係が複雑でございまして、なかなか思うように進むことができません。医療制度の中の一つの大きな問題は、経済負担を解決するところの保険制度でございます。
この保険制度一つ考えてみましても、政管健保あり、組合健保あり、あるいは公務員その他の共済組合制度があり、あるいは日雇い健康保険制度がある。こういうふうなばらばらな保険制度になっておるわけでございまして、これを初めて白紙にものをかくようなわけにはまいりません。これらの制度は、それぞれの沿革を経てきておるわけでございます。
そこで、こういうふうな将来の一つの大きな医療制度の根本的改革ということを目ざしながらも、しかし投げてはおけない、当面やらなければならぬものだけは積み重ねていかなければならない。すなわち、実施可能なものから逐次実施していって、そしてそれが集大成されたときに初めて国民の医療保険制度というものが完成する、こういうふうに考えるのでございまして、医療保険制度の根本的な改革につきましては、今後とも私どもは必要なものから、実施可能なものから逐次行なっていく、これが必要であろうと考えております。
そうした経済負担の問題の保険制度と相並んで、やはり一つ大きな問題は医療供給体制の確立でございます。医療供給体制の確立ということになりますと、これに従事するお医者さん、あるいは看護婦さんの問題がございます。お医者さんの問題は、幸いにわが国の医学教育というものが進歩してまいっておりますために、一応十万人単位で百五十人、大体西欧先進諸国並みの医師の養成というものが可能になってきていることは、お互いに御同慶の至りだと考えておるわけでございますが、そのほかの医療関係者の養成、これがなかなかたいへんな問題でございます。
さらにまた、医療施設という問題になりますと、これもまた国公立それぞれの病院がたくさん乱立しておりまして、なかなか体系的な整備ができておりません。
さらにまた、僻地無医村地区における医療供給体制をどうするか、離島に対する医療供給体制をどうするか、あるいは救急医療体制をどうするか。今日までできるだけの努力をいたしてまいりました救急医療体制などになりますと、百万人単位について一カ所の救急医療センターを設ける、あるいは数百カ所の医療供給体制のための救急病院の告示病院、こういうふうなことでできるだけのことをいたしてまいりましたけれども、医療施設の体系的整備ということになりますと、まだ今後なすべきものがたくさんあるわけでございまして、私どもはそうした面に今後とも一そう努力をいたしてまいりたいと考えております。
したがって今回の健康保険法の改正というものは、すなわち経済面の問題としての保険制度について申しますれば、抜本改正というものを目ざしながら、必要にしてかつ実施可能なものから段階的にやっていく、こういうたてまえに立っておりますし、同時に医療供給体制という面から見ますれば、私どもはこの法律の成立と相まって、すでに先生御承知のように、いわゆる福祉の五カ年計画というものをことしから策定することにいたしておるわけでございます。すなわち先般、経済審議会において福祉の五カ年計画というものをつくるということで、厚生省においては年次別の五カ年計画をつくる。医療施設の整備、無医村対策、救急医療対策あるいは施設の体系的整備、こういうものを五カ年計画でやっていこうということで、来月早々には懇談会を発足いたしまして、そしてことしの八月までにはこの福祉五カ年計画を策定しよう、こういうことでございます。
したがって、今回の改正法律案というものは福祉社会建設における医療面の出発である、(発言する者あり)こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。