谷口善太郎の発言 (本会議)

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○谷口善太郎君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の昭和四十八年度予算三案に反対し、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党共同提案にかかる政府原案を撤回し編成替えを求める動議に賛成の討論を行ないます。(拍手)
 本論に入る前に、一言政府に申し上げたいことがあります。
 われわれの撤回動議に対して、先ほど予算委員会において総理が答弁をなさいました。あれは一体何ですか。総理はあの場所で言われたことは、この国会冒頭の施政演説の中で言われた抽象的なことを言ったにすぎないのであって、四十日にわたるわれわれの真剣な予算の審議を何と心得ておるか、(拍手)全く誠意のない答弁であったといわざるを得ないのであります。野党四党の共同提案にかかる編成替えの動議は、これは国民の要求を反映した、きわめて控え目な要求にすぎないのでありまして、福祉国家を口にする政府であるなら、自民党政府といえどもこれを聞かざるを得ないものとわれわれは確信している。(拍手)しかるに総理は、まさに木で鼻をくくったような答弁をいたしました。われわれはこれに対して、多数の国民を代表して、心から糾弾し、ここに抗議をするものであります。(拍手)
 本論に入ります。
 私は、まず、今日の経済情勢が、国民にとって危険な四十八年度予算の正体を鮮明にあらわしたことを指摘しなければなりません。
 この点での第一の問題は、国際通貨危機、円・ドルの問題であります。
 いま、国際的にも、国内的にも、投機のあらしが吹き荒れております。外には過剰ドルによる強い通貨や金への投機、内には外貨インフレや政府のインフレ促進的財政、金融政策によって生まれた、大企業の膨大な過剰資金による土地、株式、商品投機の横行など、資本主義世界経済はまさに矛盾の激化と病気の深さをあらわしてきているのであります。(拍手)とりわけ日本経済に矛盾が集中的にあらわれ、このため、国民の生活、営業は深刻に脅かされていることは、諸君の御承知のとおりであります。
 スミソニアン協定後わずか一年有余にして、円は変動相場制への移行を余儀なくされました。そして、引き続く事態は国際通貨危機の一そうの激化を示し、市場再開にこぎつけたといたしましても、円の変動相場制が長引くとともに、その大幅な切り上げを不可避にしているのであります。
 このような深刻な危機をもたらした最大の原因は何か。予算委員会の討議の中で明らかにされましたとおり、アメリカの軍事的経済的侵略政策によるドルのたれ流しにあることは、もはや国際的に常識になっておる。これを認めないのは日本政府のみであります。(拍手)
 田中内閣は、日米安保条約と日米経済協力のもとで、アメリカ帝国主義の力の政策に積極的に協力、加担するとともに、国際通貨危機を他国民への犠牲によって打開しようとするアメリカの要求のままに、円再切り上げや自由化を受け入れて、わが国の労働者、農民、中小企業に重大な打撃を与えつつあるのであります。(拍手)このような田中内閣の対米従属的な経済外交政策に対して、わが党は断固として抗議の意思をここに表明するものであります。(拍手)
 昭和四十八年度予算が円の大幅切り上げという重大な事態をあらかじめ前提にしてなかったことは、政府の言明によっても明白であります。もし政府が、この事態の中で国民の利益を守る考えを持つならば、この新たな事態に即して、当然予算の撤回、再提出を行なうべきであります。(拍手)しかるに、政府は、先ほど申しましたとおり、われわれ四党が真剣に討議をし、国民の意思を代表して提出した編成替えの動議に対して、国民の世論を無視してまで政府原案を押し通そうとしているのであります。ここに田中内閣の国民の利益を踏みにじる腹黒い、陰険な正体が暴露されているといわなければなりません。(拍手)
 特にここで強調しなければならぬことがあります。それは、今回の短期間のうちに繰り返された円の再切り上げと国際通貨危機の進行は、自民党政府が低賃金、低福祉を土台にした大資本優遇、輸出第一主義を改めない限り、再びドルが日本にたまり、円の切り上げを繰り返し、そのたびに働く国民、中小企業が重大な打撃を受けるという悪循環の道を進むことを明らかにしたことであります。この愚を再び繰り返してはなりません。
 しかるに、四十八年度予算は、まさに低福祉、大企業優先に貫かれたものであります。すなわち、すでに予算委員会で指摘されたごとく、社会保障費の一般会計に占める比率は、前年度予算に比べてわずかに〇・五%の上昇、年金に至っては、いわゆるまぼろしの五万円年金と引きかえに大幅な保険料の引き上げが行なわれる。健康保険にいたしましても、全くの改悪であって、労働者階級に対する重大な攻撃といわざるを得ません。まさに高負担先行が押しつけられようとしているこの事態を、われわれは黙視することはできないのであります。
 また、いわゆる列島改造予算の中で、産業基盤関連整備費が約八割、これに反して生活関連、教育、福祉関係、こういう国民の必要とする部分はわずか二割にすぎず、四十七年度予算とほとんど変わっていないのであります。この点については、政府自身が予算審議の中で、ドラスチックな変化はないと自認せざるを得なかったのであります。まさに笑止の至りであります。
 四十八年度予算を初年度とする社会経済基本計画が、日本の輸出を年に一四%増という世界の平均的な伸びをはるかに上回る勢いを予定し、五十二年度には百二十億ドルという大幅な貿易収支の黒字を見込んでいることも、田中内閣が依然として大資本優先、国民には低賃金、低福祉、輸出第一主義、そしてアメリカと結びつきながら、経済侵略を急速に推し進める道をとっていることを、最も端的にあらわしているものといわざるを得ません。(拍手)
 いま国民が切実に要求しているのは、文字どおり国民生活優先への根本的な転換であります。田中内閣が転換を口にしながら、依然として大企業本位の高度成長政策を続けようとしていることを、われわれはここにきびしく糾弾するものであります。
 第二は、物価騰貴の問題であります。
 今日の物価騰貴は、まさに第一次大戦後の米騒動の前夜を思わしめるものがあります。特に許しがたいのは、総合商社をはじめ大資本の、土地、木材、米、大豆、生糸からガーゼ、苗木、マグロに至るまで、こういう全面的な商品投機が横行しているということであります。
 このような国民を無視した大資本の悪行が、外貨インフレ及び政府のインフレ促進的財政金融政策によって生み出されたことは、だれの目にも明らかであり、過剰流動性と一体のものであることを、私どもはここにはっきりと指摘しておきたいと思います。(拍手)
 しかるに、政府は、これを鎮静させようとするどころか、ますます大企業の過剰資金を増大させる超大型インフレ予算を組んだのであります。一体、これが国民によって許されると思いますか。国民を愚弄するもきわまれりといわざるを得ないのであります。(拍手)
 さらに、政府は、国鉄運賃の大幅値上げとともに、今後十年間に四回に及ぶ運賃値上げを予定する国鉄再建計画なるものを国民に押しつけようとしております。まさに、今後十年にわたって政府主導の物価上昇を押しつける暴挙であります。日本共産党・革新共同は、このような国民生活破壊のインフレ促進、物価値上げ予算を、断じて許すことはできないのであります。(拍手)
 第三の問題は、対米従属的な軍国主義の復活強化、そのための予算を計上していることであります。
 ベトナム協定の成立によって、アメリカはもはやベトナムに対する侵略政策を投げ捨てた、冷戦構造は崩壊したという議論が、いまもなお一部にあるようであります。しかし、ベトナム協定成立後一カ月半のすべての事実は、ニクソン政権が、南ベトナムに対し、別の形の戦争、新しい方式の侵略を続けていることをはっきりと示しております。彼らが南ベトナムに送り込んだ背広を着た軍人による南ベトナム人民への平定計画、サイゴン政権支配地域のあのコンソン島における残忍な政治犯虐殺事件、毎日平均四百回以上に及ぶ解放区への武力攻撃、タイの米軍基地の強化と東南アジア海域における強力な第七艦隊の存在等々、ニクソンは、あくまでも南ベトナムの新植民地的支配を維持しようとしてあらゆる策謀をめぐらしているのであります。
 特に重大なのは、政府がこのような新たな形の侵略に対して、沖繩県をはじめ日本の基地を提供し、こともあろうに、アメリカのベトナム協定違反行為に傍若無人な協力加担をしていることであります。
 わが党が予算委員会で明らかにいたしましたように、日本政府の知らない間に、広の弾薬庫からは一万トンの大量な各種の弾薬がダナンに送られているのであります。これは、米第七艦隊空母ミッドウエーの横須賀母港化、在日米軍基地の再編強化を目ざす関東計画などとともに、日米安保条約の危険な実態をあらためて国民に示すものであります。
 昭和四十八年度予算は、このようなアメリカの力の政策に追随する日本の軍国主義復活強化を端的に示すものとして、一兆円をこえる四次防予算、アメリカの極東侵略を補完する海外援助費など、大きな費用を持っていることがこれを示しております。日本共産党・革新共同は、このような予算を断じて認めることはできません。これはまさに憲法違反そのものであるからであります。(拍手)
 さて、それでは、いまどのような予算を組まなければならないか、その基本的方向は明らかであります。
 それは、政府提出予算を貫く低福祉、大資本優先、対米追従と軍国主義復活強化の路線を、根本的に、文字どおり百八十度転換することであります。特に国民生活安定のための物価の安定は当面の急務であります。何よりもまず、国鉄運賃、健康保険料その他の公共料金の引き上げを直ちにやめることであります。大企業の商品投機やカルテルをきびしく取り締まり、独占価格を引き下げさせ、赤字公債の発行をやめて、インフレを押えることでなければなりません。また、所得税の免税点を四人家族百五十万円に引き上げることをはじめ、住民税、個人事業税の所得税に準ずる減税、生活必需品の間接税減税、中小企業の法人税率引き下げなど、これを断行することであります。わが党は、国税、地方税合わせて二兆円ぐらいの減税は断行すべきだという主張を持っております。これは、大企業に軽く、働く国民に重い現在の税体系を根本的に切りかえる税制の民主的改革によって実現可能であります。すなわち、租税特別措置その他の大企業、大資本家に対する特権的減免税の全廃、彼らに対する課税の強化、とりわけ土地や有価証券などの投機によるもうけに対するきびしい課税を実行することであります。こうすれば、二兆円の大衆減税は可能であるばかりか、われわれの計算によれば、財源はさらに余裕があるのであって、これを国民生活向上の諸対策の実施のために使用することができるのであります。
 先ほど小澤太郎君は、野党はいいことずくめを言っているが財源を示さぬと言っている。財源はあるのであります。大資本から取ることであります。取るか取らぬかが問題であります。自民党は大企業と癒着しているから、こういう政策は出せないだろう。われわれは勇気をもってこれを国民に訴えているのであります。(拍手)
 また、円の大幅再切り上げによる打撃から輸出関連中小零細企業を守るため、無担保、無保証、無利子の融資、倒産防止、市場転換に対する助成などを強化すべきであります。地方交付税率の大幅引き上げ、超過負担解消をはじめ、地方財政の危機を防止する対策も重要であります。
 また、賃下げなしの四十時間労働制、全国一律最低賃金制を確立し、賃金をはじめ働く国民の所得水準を大幅に引き上げ、労働条件を改善するとともに、真に憲法第二十五条の精神を生かして、社会保障制度を根本的に改善し、公共住宅を年間百万戸建設することなど、生活基盤を優先整備することをわれわれは強く要求します。(拍手)
 また、農民に対しましては、国民生活に重要な関係を持つおもな農産物の海外依存政策をやめ、農産物の自給と日本農業の自主的で多面的な発展を目ざして対処しなければなりません。食管制度の根幹を堅持するとともに、おもな農産物の価格保障制度を確立し、国費で積極的に農地造成を行なうなど、民主的な総合農政を実現すべきであります。

発言情報

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発言者: 谷口善太郎

speaker_id: 14029

日付: 1973-03-13

院: 衆議院

会議名: 本会議