栗田翠の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○栗田翠君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、国立学校設置法等の一部を改正する法律案に対し、反対討論をいたします。(拍手)
まず最初に、私は、国民の切実な要求である医学部、医大等の設置を定める本法案の第一条部分には賛成であり、大学制度の根本的改悪につながる第二条以下の部分は、国民的合意のないものであるという理由から反対いたします。(拍手)
そのために、野党四党は共同して、第一条部分を切り離すことを提案しましたが、この道理ある分離提案を、自民党は、反対討論すら行なわないまま理不尽にも否決しました。このために、本法案には全体として反対せざるを得ないことはまことに残念なことです。
その上、本法案の持つ問題点が一そう浮き彫りにされつつあった段階で、六月二十二日、当日の審議日程についての与野党の一致した合意をも踏みにじり、突如として自民党の手によって強行採決が行なわれ、正常な審議が妨げられたのです。このように国民の付託にこたえる審議ができなくなったことに対して、私は心からの怒りを押えることができません。(拍手)
反対理由の第一は、本法案が、大学の自治を破壊し、国民の求める大学の民主的改革への道を閉ざすものであることです。
いま国民が大学改革に求めていることは何でしょうか。それは、大学が日本の学術の中心として、広い教養と高い学識を身につけた日本の未来をになう青年を生み出すことです。そしてまた、大学での学問的成果を生かし、国民全体の幸福と社会進歩に貢献し得るものとなることであります。(拍手)こうした大学を築き上げるためには、何よりも学園から暴力を一掃し、教職員、学生などの大学のすべての構成員の権利を認め、同世代の四人に一人以上の青年が大学に進学する現状に見合って、大学における教育面を重視し、これを改善、充実することがまず何よりも必要です。
そのためには、予算と定員を大幅にふやし、教育、研究条件を充実し、国公私立大学問の格差をなくすことが強く求められています。(拍手)全国の大学は、このような方向を目ざし、懸命に努力を始めています。これを励まし、援助することこそ政府の責務であります。
ところが、筑波大学法案は、全く正反対に、大学自治の基本組織である学部を解体し、教員の権利を奪い、教員は教育、研究の専門家でありながら、教育、研究の専門的事項についてみずからきめる権限を持たなくされています。筑波大学では、いままで教育、研究、大学管理の主体であった教員が、管理されるものに転落し、教育、研究に責任を持てないものになってしまいます。これは大問題であります。その上、学長と、必ずしも教員でない副学長を含む中枢管理機関を強化し、さらに文部大臣が任命する学外者からなる参与会をこれと結びつけて、大学の管理運営の権限を集中し、政府、財界の大学への介入の道を開こうとしています。
ここに端的に示されているように、筑波大学法案のねらいが、戦前からの幾多の犠牲と努力によってかちとられてきた学問の自由、大学の自治を制度的に破壊していくものであり、憲法、教育基本法の精神を踏みにじるものであることは明らかであります。(拍手)これは戦後、自民党政府が幾たびか試み、国民の大きな反撃の前になし得なかった悪名高き大学管理統制法を、形を変えて成立させようとするものであり、まさにこうかつな立法技術によって国民の目を欺く行為にほかなりません。(拍手)私は、このような策謀に断固として反対いたします。(拍手)
反対の第二の理由は、東京教育大学の移転を契機に、同大学の練り上げられた改革案を法案化したと政府、文部省は繰り返し言っているにもかかわらず、これが事実と異なる詭弁であり、かえって東京教育大学の意思が踏みにじられているという点であります。
このことは、文教委員会における東京教育大学関係者の参考人のうち、筑波移転の積極的な推進者さえもが、われわれの主体的に積み上げた案がどういう手段、方法によって実現できるかについて、はなはだ不安を感ぜざるを得ないと、その不安を率直に述べざるを得なかった事実一つを見ても明らかなところであります。
東京教育大学のごく一部の者によって強引にまとめられた筑波新大学基本計画案さえ、文部省の一機関である創設準備会によって大きく変更され、ますます東京教育大学の総意とは似ても似つかぬものとなっており、政府の宣伝は虚構にすぎないことが明らかになっております。(拍手)
このような政府、文部省の態度こそ、今日、東京教育大学に一そうの混乱と対立を持ち込み、学長不信任を契機とする評議会の不正常な状態を引き起こしている最大の原因なのであります。これこそ筑波大学法がもたらす、政府の大学への介入の具体的な姿として見過ごすことができないところです。
反対の第三は、筑波大学が聞かれた大学などという政府の宣伝とは全くうらはらに、国民には固く閉ざされた大学であるということであります。筑波方式が全大学に波及拡大する点からいっても、関係者の中に、賛否はともかく、さまざまな意見があります。日本学術会議、国立大学協会、各大学関係者などにおいて、反対声明、一批判的声明、控え目な不安、疑問があるのは当然なことであります。
ところが、奥野文部大臣をはじめ文部当局は、これらの意見に対し、他大学にけちをつけるならよく勉強してからにせよとか、堂々たる大学は反対などしない、反対しているのは劣等感のある大学だなどと、文教の府にあるまじき暴言をほしいままにし、国民の意見に対し敵意をむき出しにしています。このことは、本法案の本質をはっきりと示すものであります。(拍手)筑波大学が、開かれた大学どころか、まさに国民には固く閉ざされた大学であることをあざやかに物語っており、これが中教審路線上にある文部省直轄大学のそしりを免れることはできないのであります。(拍手)
以上述べましたように、本法案は、まことに党利党略に満ちたものであり、大学のみならず、わが国の学問研究と教育全般にとってきわめて危険なものであります。
教育は百年の大計であります。政府による学問の自由の抑圧、大学自治への介入が、教育を、ひいては国民全体をどこへ導いたかは、戦前の国民苦難の歴史と戦争の惨禍がはっきりと教えています。(拍手)
私は、日本の教育と大学の民主的発展を心より願う立場から、本法案に強く反対を表明して、討論を終わります。(拍手)