山崎拓の発言 (本会議)
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○山崎拓君 私は、自由民主党を代表して、ただいま上程されました文部大臣奧野誠亮君不信任決議案に対しまして、正当なる文部行政を擁護する立場から、反対の討論を行なうものであります。(拍手)
本決議案によりますと、まず奧野文部大臣が、今日まで暴言を繰り返してきたと主張し、不信任の理由といたしております。
これは、文部大臣の教育正常化に対するなみなみならぬ決意の表明がなされた発言のごく一部のみを取り上げて、あげ足とりを行なっているにすぎないのであります。しかも誤解を招いた発言につきましては、すでに釈明が行なわれているのであり、本決議案の提出は、いたずらに審議の引き延ばしと国会の混乱を招来せしめんとするこそくなやり方であります。(拍手)
次に、野党のお気に召さないところの教育三法案を国会に提出したことをもって不信任の理由としてあげているのであります。
このことは、憲法第七十二条に定められた政府の議案提案権を否定するものであり、行政権に対する重大な干渉であります。しかもこの三法案は、いずれも良識ある国民の大多数が成立を待ち望んでいる重要な改革案であります。(拍手)すなわち、行き詰まった高等教育を改革せんとする新構想大学の一つである筑波大学法案、教育界に人材を確保するための特別措置法案、学校の管理運営を円滑化するための教頭職法制化法案であります。これらの改革案に反対する者こそ、革新の看板を掲げた最も保守的なやからといわざるを得ないのであります。(拍手)
もし、かくのごときばかげた不信任案が成立するようなことがあれば、文部大臣は所信の表明も行なえず、内閣は法案の提出権も持つべきでないことを決議したことになるのであって、国会の暴走と申すほかはなくなるのであります。(拍手)
次代をになう青少年の教育こそが、国家社会の命運を決する重要な分野であるととは論をまたない初であります。ところが、憂うべきことに、この嵩高な役割りを担当するわが国の一部の教師たちは、特定のイデオロギーに偏向し、みずからの職責を忘れ、子供たちをないがしろにして、政治闘争に明け暮れているのであります。
憲法を守れと主張する教師たちが、みずから法律によって禁止された争議行為を繰り返し行なっていることは、断じて許しがたいことであります。(拍手)いわんや、本年になって四たび行なわれたストライキには、延べ五十万人以上が参加し、しかも勤務条件の維持改善をはかることに組合の目的を限定されているところの公務員の組合たる日教組が、教育三法案はもとより、国鉄、健保両法案に至るまで阻止を叫んで、堂々と政治ストを行なっているのであります。
先般開かれた第四十三回日教組定期大会においては、権力の手で守られて大会を行ないながら、なお権力をののしり、あまつさえ田中内閣打倒、小選挙区制粉砕をかちとり、参議院選挙に勝利し、反独占、反自民の政治体制を確立しようなどという大会スローガンを採択しているのであります。教育基本法や地方公務員法で政治活動の制限を受けている教育公務員の組合の大会ではなくして、極左政治団体の集会としか思えないのであります。(拍手)
奧野文部大臣ならずとも、政治活動は、教員をおやめになって、個人の立場で自由にやってもらいたいと思うのであります。
また、ストライキ参加者の処分を、弾圧と称して非難し、奧野文部大臣のスト処分に関する発言を、労働基本権を否定し政治活動の権利を否定したとしていますが、これは非常に誤りであり、言いがかりにすぎないのであります。
公務員のスト権につきましては、本年四月二十五日の最高裁の判決により、公務員は全体の奉仕者であり、労働基本権の制約に対する代償措置を講ずるならば、争議行為を禁止しても違憲でない旨明確になったのであります。
法治国家におけるアウトローは罰しなければならないのであって、これを黙認することこそ誤りであります。共産主義国家に比べて比べようもないようなふんだんな自由を享受しながら、公共のための最低限の制限をすら守れないようであれば、もはや何をか言わんやであります。
最近の社会事象を見ておりますと、すばらしい経済的な繁栄の裏に、まことに悲しむべき国民の道義的退廃が進行いたしております。政治の責任を痛感するものであります。
現代の青年は性悪説をとる者多く、私益をのみ追求して、公益を尊重する者少なく、愛国心に乏しいのであります。のみならず、過去における全学連過激派集団によって引き起こされた数々のいまわしい事件に引き続き、最近もまた内ゲバ殺人や乱闘事件が相次いで発生をいたしております。これらの事件は、人間性を喪失した憎悪心むき出しの行為であり、社会的規範を無視し、他人の迷惑について省みることのない、おそるべき無責任な行為であります。
また、車いすの青年が二人組の若い男に襲われ、現金を強奪された事件や、視力の弱いマッサージ師が三人組の男に襲われた事件は、弱者をかばうどころか、痛めつけるという冷血な野獣のごとき行為であり、許しがたい犯罪であります。私は、これらの事件から、なぜこのように国民の精神、なかんずく青年の魂がすさんできたのかということについて考えてみますときに、よくいわれますところの経済第一主義の弊害とともに、戦後の教育のあり方について大きな疑問に逢着せざるを得ないのであります。(拍手)
階級闘争史観に立ち、戦うという表現が幾度となく使われ、砂をかむような作文である日教組の倫理綱領は、革命の戦士を育てることを教育の目標に掲げております。この倫理綱領に基づく日教組教育が、相手を一切理解しようとせず、ひたすら憎しみと闘争の論理だけで行動するゲバ学生を生み、かつ一片の良心をすら持たない犯罪者を生んだ元凶ではないでしょうか。
私はまた、これらの事件から、教育現場の荒廃を想起せざるを得ないのであります。
私の郷土福岡県は、最も日教組が横暴をきわめている県の一つであり、先般も大量に処分が行なわれたことは御案内のとおりであります。非組合推薦の校長の着任を暴力によって阻止しようとした校長着任拒否闘争をはじめとして、数々の暴力的組合活動を行なってまいったのであります。最近におきましても、校務の適正な運営をはかるため福岡県立学校規則の一部が改正されたことをめぐって、二つの県立高校において組合の校長交渉の際、人権を無視した暴行が集団的に行なわれ、ついに去る六月十六日福岡県教委は、これを告発し、福岡県警は捜査の結果、刑事事件として送検し、そのうち一件はすでに起訴されたのであります。新聞報道によりますと、一人の校長はネクタイで絞め上げられ、こづき回されるなどの暴行を受け、また別の校長は両足首をつかんで転倒させられたり、ねじ伏せられたりするなどの暴行を受けたとのことであります。しかも、福岡県高教組の委員長、副委員長をはじめ組合幹部もその場に居合わせたといいますから、偶発的な不祥事とは決していえないのであります。このような事件は氷山の一角ともいわれ、いまや一部の組合は暴力団まがいのごろつき集団と化しているのであります。(拍手)このような組合闘争に明け暮れる教師集団の姿は、子供たちの目にはたしてどのように映じておるでありましょうか、まことに憂うべきことであります。
わが国の教育の混乱と低迷を打破するためには、中教審の答申を待つまでもなく、第三の教育改革を必要としているのであります。その最大の柱は、人間愛、児童愛に燃える教育者魂の復活であり、教師の資質の向上であります。教育は教師の人格、識見、熱情の反映でありますから、教師の使命感と資質の向上なくして教育の水準の向上もまたあり得ないのであります。
その観点から、第三の教育改革の第一歩として本国会に提案されました、教育界に真にすぐれた人材を確保するための待遇改善特別措置法案が、本法案の成立を待望してやまない多数の心ある先生方の声なき声を無視して、血迷った日教組の意向を体する野党の諸君の反対のための反対によって、もし廃案に追い込まれるようなことが起これば、その政治的な責任は大なるものがあり、わが国教育の混迷を一そう深刻化し、次代をになう青少年の前途を誤らしめ、国家百年の大計をそこなうことになるでありましょう。その責めは、まさに野党の諸君が負うことになるのであります。(拍手)