浅井美幸の発言 (本会議)

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○浅井美幸君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました田中内閣不信任決議案に対し、賛成の討論を行なうものであります。(拍手)
 昨年七月、田中内閣が誕生してわずか一年二カ月の間における失政と独断と暴走の数々は、全く国民の期待を裏切る行為の連続であり、即時退陣すべき重大なものであることは明白であります。
 私は、そのうちの代表的なものを順次明らかにし、わが国の平和と福祉向上のために、田中内閣の早期退陣がいかに必要であるかを申し述べたいと存じます。
 まず第一番の賛成理由にあげられるものは、「日本列島改造論」がもたらした弊害であります。工場と人口を地方に分散させれば、過疎と過密は同時に解消して、公害もなくなり、物価や地価も押えられると、田中総理は列島改造論が万能薬かのごとき発言を繰り返してまいりました。しかし、実際は、万能薬どころか、この一枚看板の列島改造論こそが環境を破壊し、地価をつり上げ、インフレを激化させつつある元凶であることも明白であります。(拍手)国民のための、福祉向上のための列島改造ではなく、大資本、財界、一部の人のための列島改造であることが明らかではありませんか。
 有効な土地対策もなく、ただ新二十五万都市構想と大規模開発、新幹線、高速道路の建設など、大企業優先の施策を打ち出したために、大手不動産、商社、銀行など大資本、大企業がおしなべて土地の買占めに狂奔し、全国的に地価をつり上げてしまったのであります。
 さらに、大商社、大資本は、投機規制がないのをよいことに、木材、大豆、セメント、ガーゼ、包装紙など、生活必需物資を買い占めて価格操作を行ない、巨大な利益を手にしたのであります。ことし三月期決算で銀行、商社が上位にランクされておりますが、このことは、政府、銀行、商社が一体となって物価をつり上げた結果を明らかに物語っているものであります。
 さらに、政府の無策、無能のため、生鮮食料品は暴騰を続けております。この結果、物価は世界中でその類例を見ないほどの異常な高騰を続けております。消費者物価は前年比一二%高、卸売り物価は一七・四%高ととどまるところを知らず、まさに国民生活を破綻のふちに追いやっております。
 そして現在、田中内閣は、さらに国鉄、健保、電気、ガス、私鉄など、各種公共料金の大幅値上げを断行し、強行しようとしているのであります。
 昨年、田中内閣が成立したとき、総理は、公共料金は押えるばかりが能じゃないと放言しましたが、そのとおりのことが、国民生活を全く無視して行なわれようとしているのであります。このため、国民生活は二重、三重に苦しめられている現状であります。しかも、その対策を樹立するべき監督官庁は、なわ張り争いで効果的な対策を発表することすらできない。また、内閣は、これに対し何ら指導性を発揮しようとしないこの現状を国民の前にどう説明するのでしょうか。
 次に、公害、環境破壊についても、国民周知のことであり、多くを述べる必要はありませんが、第三水俣病をはじめとする水銀、PCB汚染は、日本全土をおおい、国民に多大の不安と恐怖を与え、水と魚と生活を奪われた漁業関係者の苦悩と悲惨さは、目をおおうばかりであります。
 現在のわが国は、福祉国家の建設が国民的課題となっていることは論をまちません。すなわち、従来の産業優先、GNP追求第一主義の方向を根本的に改め、人間生活を政治の原点に置き、社会的弱者を擁護する政策の推進が当面の国家目標であるべきであります。(拍手)
 しかるに、田中内閣は、福祉国家を口では唱えても、行政のしりぬぐいを自治体に強要し、依然経済成長主義をあくまでも進めているというこの実情について、国民は強い怒りを持つものであります。
 第二の理由は、田中内閣の主体性のない追随外交、軍事力優先の安全保障政策であります。
 田中内閣の金看板であった「決断と実行」は、まさに「独断と暴走」であることを明確に国民に認識させたのは、四次防の強行でありました。田中内閣は、この危険きわまりない四次防を、こともあろうに日中国交回復をなした直後、これの決定をしたのであります。世界的な緊張緩和の方向にそむき、平和を心から望んでいる全国民の期待を裏切り、軍事産業へのこびへつらいというしかない決定ではありませんか。日中復交のあとに続いて行なわれるべきものは、世界の平和体制樹立に逆行する日米安保体制の空洞化であり、解消へ進むべきであったのであり、田中内閣の外交政策に強い不安と危険を抱かざるを得ないのであります。(拍手)
 第三の理由は、わが国の民主主義にかかわる問題であります。
 田中内閣が、潮が引くような自民党の凋落を何とか食いとめようと、日本列島の選挙地盤改造をもくろんだのが小選挙区制であります。
 田中総理及びその内閣の最大の欠陥は、頭の中に、党利党略のみがあって、国民、国家の福祉繁栄がなく、党勢拡大があって、民主主義の擁護がないことであります。その典型的なものがこの小選挙区制実施の策動であります。
 もし、このような政府・自民党の意図する小選挙区制が実現されるならば、自民党の一党独裁は確固不動のものとなり、議会民主主義の精神は、完全に死滅することは明らかであります。
 この策動は、全野党をはじめ、国民世論あげての総反対の前に粉砕されましたが、田中内閣は、その非を認めないばかりか、国民のための選挙制度を私物化し、その実現をねらって虎視たんたんとしておるのであります。
 そもそも国家を左右し、民主主義の基盤をなす憲法付属の大法典ともいうべき選挙制度の改悪を画策する田中内閣の態度は、憲法改悪、軍事力強化という一連の危険きわまりない野望そのものであり、国民に対する重大な挑戦であります。
 ここにいま取り上げた賛成理由は、目立った罪状のほんの一端であります。わずか一年二カ月というものの閣僚の相次ぐ放言、失言や、国会での強行採決などの暴挙を加えれば、その罪状は限りがありません。このような反国民的な田中内閣は一日も早く退陣すべきことを強調し、私の賛成討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 107105254X06219730922_020

発言者: 浅井美幸

speaker_id: 32206

日付: 1973-09-22

院: 衆議院

会議名: 本会議