小野明の発言 (本会議)

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○小野明君 私は、日本社会党を代表し、いま国民生活の最大脅威となっておる商社等の投機行為とその抑制策について、政府の見解を求めるものであります。
 まず、総理に政府の基本姿勢についてただしたいのであります。
 すでに物価騰貴と商品投機の根幹とも見られてまいりました土地価格は、総理御存じのとおり、あなたの一枚看板ともいうべき「日本列島改造論」が発表され、あなたが「決断と実行」の政治スローガンを掲げて総理になられて以来、全国的に著しい値上げ運動を続けているのであります。そして、土地から株に、さらには大豆や米など国民の日常生活必需物資にまで投機の波は拡大をしてまいりました。大企業の土地買いが日本の全市街地面積よりも広く、ゴルフ用地として買収された土地が四国の全面積にもなろうといたしております。
 また、通産省の調査によりましても、大手十七商社の株式保有は、四十七年上期には四千八百九十六億円と、四十五年下期の十倍にも達しており、上場主要株式の約三割を占めるに至っておるのであります。企業の有価証券報告書を見ると、ある大手商社は、四十七年九月期決算で株式保有額を四百二十億円もふやしております。他の商社も十万株単位で買い集め、軒並み二百数十億円程度ふやしておるのが実態であります。
 これらの大企業や大手商社は、いずれも平然と、政府が金融緩和を続け、手元資金がだぶついたのを有利に運用したまでで、何が悪いんだと、もっぱら自己の社会的責任を回避しているのであります。
 さらに、最近における商品相場の異常な高値は、たとえば一俵三千円であった輸入大豆が一月末には一万四千円にもはね上がり、木材の二倍前後の値上がり、鉄鋼相場のうち小形棒鋼などは一年前のトン当たり三万二千円が五万円にもなっているなど、いずれも急激な高騰を示しております。
 綿糸の高騰は、医療用ガーゼにまで影響し、大都市周辺の病院では、このままでは交通事故などの緊急手術もできなくなるとさえ心配されるに至っておるのであります。この医療用ガーゼの不足は、何と言っても買い占めによる暴力市場とさえいわれてきた商品取引所の綿糸相場の高騰が元凶であり、もうけのためにはなりふりかまわない投機的な商取引がついに人間の命をさえ脅かしているのであります。
 総理、私は、こうした大企業や大手商社を主犯とする一連の投機行為について、積極大型予算、日本列島改造でインフレをあおり上げたあなたの政治責任というか、あなたの共犯関係について、自覚をされておるのかどうか、率直な御発言を求めたいのであります。
 総理、また私は、いま大豆や木材など国民生活に直接関連する分野にまで投機が拡大してしまい、国民世論が大企業と政府の責任追及に立ち上がってから、あわてて効果の疑わしい行政指導をしようとしておる政府の怠慢について、少なくとも政府の重い責任と深い反省とが必要だと思いますが、これについても総理の明確な態度表明を求めるものであります。(拍手)
 これに関連して、私は、通産、大蔵、農林、経企の各大臣にも個別にお尋ねをいたしたい。
 まず、通産大臣、いまあなたが行政指導で可能な投機規制の手段とその可能性を、主要物資について見解を明らかにしていただきたい。ただし、昨日の衆議院本会議におけるような十六商社代表を集めての自慢話はもうけっこうであります。また、通産大臣は、さきにエコノミックアニマルと批判されてきた海外進出企業の規制と取り締まりについて、やや積極的な御発言をされてまいりました。その具体的な内容、それが実行できなかった経緯等についても明らかにしていただきたい。繰り返して聞きますが、通産大臣、いまの政府に、大企業や大手商社に対する効果ある投機規制が可能かどうか、ひとつ責任ある御答弁をいただきたい。
 農林大臣、あなたにも同様の質問をいたしておきます。特に、家畜飼料、生糸、米について若干の御説明がありましたが、今後の効果ある対策について御抱負があれば承りたい。
 次に、大蔵大臣、あなたにも政治責任を明確にしていただきたい。今日の輸出第一主義の奇形児的な日本経済を生み出すのに、大蔵と通産とが最も大きな責任を持っていると思います。あなたは、口先では福祉優先への転換を言いながら、依然として政府の税、財政、金融などは大企業に手厚い保護を加えており、この事態を招いた財政当局の責任はのがれることはできません。すでに、法人税の企業優遇特別措置の撤廃をはじめ、投機の根幹である土地や株などの大口売買に対する政府のきびしい態度を私たちは一貫して要求をしてまいっております。大蔵大臣、いま一大企業、大手商社等の目に余る不当行為を目前にして、それでも大企業優遇措置を続けていくのかどうか、ここで国民の批判にこたえる明確な態度を示していただきたい。繰り返しますが、大蔵大臣、法人税の企業優遇特別措置をどうするのか。また、土地、株などの投機的取引についてどう対処をしていこうとされるのか。さらに、資金のだぶつきをどう処理していこうとされるのか、責任ある御答弁を求めます。
 次に、経済企画庁長官、あなたは、この明らかな投機運動の拡大を目前にして、これを商社性悪説や規制、取り締まりの有効性を責任をもって言うわけにはいかないと思いますが、こうした経済の動向、あるいは資本の論理について、基本的に対応できる経済政策は一体何であるのか。あなたの先任者でもある与党の宮澤喜一君は、すでに今日の資本主義運営の原理ともみなされてきたケインズ理論の限界を指摘しつつ、これにかわり得る経済原理が必要である、こう述べております。今日の事態は、あなたは信念であると言われておりますが、はっきりと計画経済の優位性が証明されつつあると思いますが、この際、御見解をいただきたいと思います。
 次に、私は、商品の投機、物価の騰貴に対する当面の緊急対策について、幾つかの提案を行ない、総理の見解をただしたいと存じます。
 現状における投機という名の不当経済行為は、何といっても企業や商社等のあくなき利潤追求の姿勢と社会的責任の欠除によるものであり、同時に、政府の国民生活を中心とした公共政策の貧困によるものでありますが、その底流をなし、基調をなすものとして、過剰流動性の問題と、土地や株など投機的商品の乱れがあると思います。したがって、対策の第一は、資金のだぶつきを生み出している過剰流動性をどうするかという点であります。すでに、昨日の本会議、あるいは本日の本会議でも、若干の見解を示されておりますが、いずれもびぼう的であります。きめ手になり得ないことは明らかであります。
 なお、本日、外為市場が閉鎖をされ、国際的通貨流動性の危機が再び明らかとなってまいりました。これについて、国内緊急対策が必要と思うが、これについて大臣の見解を明らかにされたい。
 私は、預金準備率の引き上げと同時に、公定歩合の引き上げなど、強力な金融引き締めが不可欠と思います。これに伴う中小企業などへのきめこまかい政策が必要なことは、申し上げるまでもございません。この点について、政府の抜本的な対策を求めるとともに、これに関連した国際通貨政策の確立、さらにその長期展望を明らかにすることをこの際要求したいと思います。特に、過去二年間に、政府と日銀は約六兆円にも達する過剰ドルを買い取っており、これが過剰流動性とインフレを拡大してまいりました一つの大きな原因とも思われますが、総理の御見解を明らかにしていただきたいのであります。
 第二の重大な問題点は、土地、株など投機行動の底流にある問題に対する総理の政治姿勢であります。
 私ども日本社会党は、この国会に土地対策緊急法案を提案し、政府の日本列島改造論に基づく土地流動化政策の転換を求めるとともに、銀行や民間大資本の投機的土地売買をきびしく制限していく方針であります。総理のこれに対する基本的な姿勢を示していただきたい。
 第三に、当面の課題になっております緊急立法の問題であります。本来、政府の基本的立場から見て相当に深刻な問題であろうかと思います。政府の経済社会基本計画では、企業に対し、単なる利潤追求でなく、社会的公正を尊重し、国民福祉に寄与するよう指導する必要があることを強調し、これを閣議決定したばかりであります。しかるに、企業の経済活動は、政府の企図に全く逆行して加速的に動いております。総理、これをどのように理解されますか。企業が一体けしからぬのか、政府の政策が現実離れをしておるのか、あるいは当面の行政措置のみでこれを解決し得るのか、政府の見解を示していただきたい。
 私は、当然のことではありますが、投機規制立法による大企業、大手商社の経済活動に強い公共的なルールを要求し、真に国民福祉のための経済活動に徹する方向づけを行ない、これに反する経済活動には企業及び責任者に重い社会的責任と義務とを課すべきと考えます。したがって、私は、この投機規制立法においては、特定の問題商品に対して有効に発動されるようにするとともに、特に大企業、大手商社等の資本操作の根本的な社会的責任を明らかにし、そのために調査機関の立ち入り権を含む権限を強化し、物資の放出を義務づけ、また、企業の報告義務並びに社会的責任について法制化し、これに反する行為に対しては、体刑を含むきびしい罰則をもって臨み得るようにいたすべきであります。総理の御見解を求めます。
 最後に、私は、総理、あなたの無為無策によって苦しめられておる国民を代表し、今度こそ徹底的な対策を打ち立てられることを要求いたします。今日の事態は、総理の優柔不断と、労働者の低賃金、労働強化、福祉の貧困等の産物でもあることに思いをいたされ、真に国民生活優先、福祉優先の政治を確立するためには、悪徳企業をぶつつぶすぐらいの勇気をもって対処される決意のほどを示されることを要求し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 107115254X00719730302_016

発言者: 小野明

speaker_id: 28797

日付: 1973-03-02

院: 参議院

会議名: 本会議