中曽根康弘の発言 (本会議)

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○国務大臣(中曽根康弘君) 投機抑制等についてどの程度行政指導が行なわれるかと、こういう御質問でございますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、商品取引等においてその疑いがあった場合に内面的に注意を喚起いたしましたり、あるいは商品相場等について、政府といたしましても、取引所に対していろいろ警告を発したり、あるいは証拠金がごときは一枚七十万円という最高値までに証拠金を引き上げたり、あるいは建て玉報告をさせたり、いろいろやっているところでございます。
 それで、羊毛は最近鎮静に帰してきまして、豪州物で一キロ大体三千六百円ぐらいしておったのが二千七百九十九円ぐらいに落ちてまいりました。鉄は商品取引のものではございませんけれども、これも緊急増産を指令いたしまして、二カ月ぐらい前までは丸鋼がトン五万二千円ぐらいしておったのが、最近は四万七千円ぐらいまで落ちてまいりました。ただ、綿糸と原毛がまだ横ばいでありまして、これはわれわれ特に力を入れなければならぬ分野であります。
 次に、そういう商品取引以外の、一般の買い占め、売り惜しみをどうするか、こういうことでございますけれども、これは、きのうも商社の社債を呼んで協力を求めて、協力するという約束も得ましたものですから、これから情勢によりまして資金並びに商品の流動につきまして立ち入り調査も辞さない。情勢によっては立ち入り調査も帳簿検査もやる考え方でおります。ただ、われわれは、社会公共の利益に反する自由の乱用を抑制しようというのであって、自由というものは思想においても商売においても非常に重要なものである、そういう基本的考えに立っております。
 第二番目に、海外企業活動の規制の問題でございますが、これは非常に重要な問題であると思いますので、少しお聞き願いたいと思います。
 私は、タイへ参りまして、日本の企業の実態をいろいろ調べ、また聞きまして、これは非常に考えなければならぬことがあると思いました。タイのような国は、日本と戦争した国でもありませんし、同盟国であった国です。その国に反日的な動きが出るということは、将来、東南アジア全般にこれが波及する危険性なしとしないわけです。日本の企業の実態等を調べてみますと、まず第一に、得た利益を本国に送還してしまう。そのお金を、たとえば、対日輸出の産業に使うとか、あるいは第三国輸出に向かう企業に再投下するとか、そういうことをすれば、そういう非難もなくなります。
 第二に、現地の人を採用するについて、重役に抜てきしたり部長に抜てきするということが、欧米に比べて非常に悪いようです。特に留学生の取り扱い等については、欧米等の留学生は、かなり課長とか何かに抜てきいたしますが、日本の場合には、給料が高いというので、現地の高校卒業ぐらいをいろいろな仕事に使う。日本留学生を使うチャンスがわりあい少ないために、自動車の運転手なんかをしておって、日本に対する評判が必ずしもよくない、そういう実態もございます。あるいは、日本の商社員のビヘービアを見ますと、白人のパーティーには出ているけれども、現地人のパーティーに出る機会が少ないとか、そういういろいろな非難がございます。
 そういう面を見まして、日本の将来を考えてみますと、日本のセールスポイントは、軍需でもなければ、そういうものではない。やはり、経済協力ということが、日本の世界における非常に大事な貢献する部面です。そこで、大事な東南アジアで排斥されるようでは、日本の青年の前途に非常に暗い影を投げかけます。今日ただいま、そういう意味において、海外経済活動の基本についでかまえをつくる必要があろう。それで、政府は何をするか、民間商社は何をすべきか、政府・民間合体して何をすべきか、そういう基本憲章のような、いわば教育基本法みたいな、そういう基本的な方向をきめて、必要あらばそれを法律的に個別的に具体化していく。そういう形で、日本の商社活動を時代に合うように転換していく必要があると思うのであります。
 そういう考えに立ちまして、通産省におきましては、通産省顧問をしている大慈弥前次官に頼んで、どういうふうに具体的にそれをこなしたらいいか、いま研究してもらっております。それと同時に、海外経済活動をやっている団体とも連携をいたしまして、まあこういう重大問題は、急に急いでやるということも過早であるとも考えるので、じっくり腰を据えて、そうして一年ぐらいの間に成案を得るようによく調査を綿密にやって案をつくってもらいたい、そういうことで、案ができ次第、私はそういう基本憲章的な立法をいたしたい、そう考えておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 107115254X00719730302_018

発言者: 中曽根康弘

speaker_id: 15356

日付: 1973-03-02

院: 参議院

会議名: 本会議