阿具根登の発言 (予算委員会第四分科会)

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○阿具根登君 大臣からお答えいただきまして非常に意を強くしましたが、よろしくお願いいたします。
 時間が来たそうですから、口早でまことに要を得ない質問ばかりになりましたが、最後に、これもなかなかむずかしいのですけれども、私の意見を一つ聞いてもらいたいと思うんです。たとえば、CO患者あるいはじん肺患者、長い間これはなおらない病気で病院におるわけなんです。ところが、たまたまガンが発生したと、そしてガンでなくなったと、ところが、その人はガンで死んだのであるから労災の適用は受けれませんと、これが通常でございます。たまたま岡山で一件、この人はじん肺で死んだんだという診断書が出た。そうしてお医者さんのほうからこれは解剖さしてくれと、解剖してみたらガンがあった。そして解剖したらガンであったから、あなたはガンでございます、じん肺じゃございません、労災の適用はなりませんと、こういう診断が下されたわけなんです。それで、労働省ともいろいろ話し合いまして、これはじん肺で長い間苦しんできて、そうしてガンになって死んだんであるが、ガンが原因であったのか労災適用のじん肺が原因であったのか、これは両方だ。直接の死因はガンであったかもしれぬけれども、その死因につながる長い問の過程はこれはじん肺であったんだということで、かろうじてこれは労災になったと思います。ところが、現在のところ、この審議会でも論争いたしましたけれども、じゃガンは早期発見、早期治療——早期発見して早期治療すればガンはなおるんだということが言われておるわけなんです。ところが、じん肺やCO中毒患者になって長い間病床に伏しておる人は、たとえガンが発見されても手術する体力はもうない。その体力がないようになったところにガンの繁殖というものは非常に猛烈な力で進む。私は医者じゃないですから断定的には申し上げられませんけれども、常識としてそう言えると思うのです。そうなってくると、ガンというものは、これは職業病の中途でガンになっても、これはガンのために死んだということは言えないじゃないか。だから、これは当然労災の適用をすべきだ。いまの憲法では、疑わしきは罰せずということがあります。それを裏返して、公害では、疑わしきものは公害にしなさいということを言っておるのに、労働省のほうはそれはまるで逆。一方にけい肺があり、一方CO中毒で長い間ベッドにおった人でも、ガンで死んだら、あんたの死因はガンだから労災じゃありません。こういうことが許されるかどうか。ところが、審議会で、ある専門家の方が、じゃ、阿具根さん、あんたの言う論でいくならば、老衰で死んだ人もじん肺やCOになっておったならばこれは労災ですかと、こう言われたんです。それで私、そのとおりです、と。じゃ、あなたは専門家方ばかりだけれども、老衰は幾つからが老衰と断定できますか。九十で死んでガンで死んだ人もおりますよ。六十数歳で死んで老衰で死んだ人もおります。老衰というのは何を判定しますか。年をとってからだの衰弱でしょう。そうすると、たとえば六十五で老衰で死んだ人がじん肺であった。その人がかりにじん肺でなかったならば七十まで生きれたかもしれない。生きれないと断定できますか。こういう論争をやってたな上げになったわけなんです、これは。ところが、往々にして今日出ておるのは、もうやせさらばえて、ガンになって、ガンが見つかったときはもうどうにもならない、もうからだの抵抗力はほとんどないんですから。そういう人たちもガンで死んだからあなたは労災の適用できませんということで泣いているのがたくさんおるわけなんです。当然こういうのは労災を適用しなければならぬと私は思うんですが、もう私の時間がだいぶ過ぎていますからひとつ簡単にお考えをお示しください。

発言情報

speech_id: 107115270X00119730405_029

発言者: 阿具根登

speaker_id: 16382

日付: 1973-04-05

院: 参議院

会議名: 予算委員会第四分科会