予算委員会第四分科会

1973-04-05 参議院 全341発言

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会議録情報#0
昭和四十八年四月五日(木曜日)
   午前十時二分開会
    —————————————
昭和四十八年四月三日予算委員長において、左の
とおり本分科担当委員を指名した。
                上田  稔君
                梶木 又三君
                楠  正俊君
                高橋 邦雄君
                竹内 藤男君
                吉武 恵市君
                小林  武君
                田中寿美子君
                安永 英雄君
                矢追 秀彦君
                木島 則夫君
                塚田 大願君
    —————————————
   分科担当委員の異動
 四月三日
    辞任         補欠選任
     木島 則夫君     中村 利次君
 四月四日
    辞任         補欠選任
     小林  武君     阿具根 登君
     安永 英雄君     小野  明君
     田中寿美子君     羽生 三七君
     中村 利次君     藤井 恒男君
 四月五日
    辞任         補欠選任
     梶木 又三君     古賀雷四郎君
     阿具根 登君     佐々木静子君
     小野  明君     須原 昭二君
     羽生 三七君     田中寿美子君
     塚田 大願君     加藤  進君
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    主 査         矢追 秀彦君
    副主査         楠  正俊君
    分科担当委員
                上田  稔君
                古賀雷四郎君
                高橋 邦雄君
                竹内 藤男君
                吉武 恵市君
                阿具根 登君
                小野  明君
                佐々木静子君
                須原 昭二君
                田中寿美子君
                藤井 恒男君
                塚田 大願君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君
       労 働 大 臣  加藤常太郎君
   政府委員
       総理府恩給局長  平川 幸藏君
       厚生大臣官房会
       計課長      木暮 保成君
       厚生省公衆衛生  
       局長       加倉井駿一君
       厚生省医務局長  滝沢  正君
       厚生省薬務局長  松下 廉蔵君
       厚生省社会局長  加藤 威二君
       厚生省児童家庭
       局長       穴山 徳夫君
       厚生省援護局長  高木  玄君
       労働大臣官房長  藤繩 正勝君
       労働大臣官房会
       計課長      大坪健一郎君
       労働省労政局長  石黒 拓爾君
       労働省労働基準
       局長       渡邊 健二君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
       労働省職業安定
       局長       道正 邦彦君
       労働省職業安定
       局審議官     中原  晁君
       労働省職業安定
       局失業対策部長  桑原 敬一君
       労働省職業訓練
       局長       遠藤 政夫君
   説明員
       厚生省児童家庭
       局母子衛生課長  島田  晋君
       労働省労働基準
       局補償課長    山口  全君
    —————————————
  本日の会議に付した案件
○主査及び副主査互選
○昭和四十八年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十八年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十八年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    —————————————
  〔年長者吉武恵市君主査席に着く〕
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吉武恵市#1
○吉武恵市君 ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。
 本院規則第七十五条により、年長のゆえをもちまして私が主査及び副主査の選任につきその議事を主宰いたします。
 これより主査及び副主査の選任を行ないますが、選任は投票によらず、主宰者の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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吉武恵市#2
○吉武恵市君 御異議ないと認めます。
 それでは、主査に矢追秀彦君、副主査に楠正俊君を指名いたします。拍手
    —————————————
  〔矢追秀彦君主査席に着く〕
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矢追秀彦#3
○主査(矢追秀彦君) 一言ごあいさつを申し上げます。
 ただいま皆さま方の御推挙によりまして主査をつとめることになりました。皆さま方の御協力を得てその責務を果たしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 審査に入ります前に、議事の進め方についておはかりいたします。
 本分科会は、昭和四十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、科学技術庁、文部省、厚生省、労働省及び自治省所管を審査することになっております。
 九日の委員会において主査の報告を行なうことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、本日午前を労働省、午後厚生省、六日厚生省、七日午前を科学技術庁、午後自治省、九日文部省という順序で進めていきたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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矢追秀彦#4
○主査(矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    —————————————
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矢追秀彦#5
○主査(矢追秀彦君) 昭和四十八年度総予算中、労働省所管を議題といたします。
 慣例では、政府から説明を求めるのでありますが、説明はこれを省略し、お手元に配付してある資料をごらん願うことといたしまして、直ちに質疑に入りたいと存じます。
 また、説明資料は本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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矢追秀彦#6
○主査(矢追秀彦君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
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阿具根登#7
○阿具根登君 先般、あるアメリカの高官が日本に見えまして、GNP世界第二位と日本は誇っておりながら、日本の住宅環境、労働者の生活環境は一体どうだ、こういう非常な皮肉を込めて攻撃されたことを大臣よく御存じだと思います。なおまた、田中内閣も、今日の置かれておる立場、経済情勢の中で、企業優先から福祉国家にならなければならない、福祉優先だということを叫んでまいりました。そして、一応いろいろ意見はございますし、まだ審査にも入っておりませんが、厚生年金や国民年金等も引き上げるということになっておりますが、労働者のサービス官庁である労働省が労災法について何ら前進の姿を打ち出しておらないのは一体どういう意味なのか。その点、大臣にまずお伺いしておきます。
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加藤常太郎#8
○国務大臣(加藤常太郎君) 日本の経済の成長に伴って、やはり当然国民の享有すべき福祉優先の問題、これは諸般の各方面にわたりますが、いろいろな問題を当然厚生省なり労働省も、御指摘のように、どんどんと進めていくのが当然であります。本年は特にその点に重点を置いて推進いたしましたが、御指摘のように、まだ私としても、不備な点も多々ありますので、今後、御趣旨をよく尊重いたしまして、大いに福祉の問題並びに労災保険の問題、その他諸種の改善については最善の努力をいたす所存であります。
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阿具根登#9
○阿具根登君 まあ、非常にわかったようなわからぬような御答弁でございますが、厚生年金はいままで平均二万円だった、それを五万円にすると倍以上になるわけなんです、現実は別としても、一応の考え方としては。そうすると、労災保険についてはほとんど前進を見ていない。それで、現行の労災補償は、先般の公害裁判の判決に見られるとおり、あるいは自動車賠償保険等において見られる補償に比較すれば非常に低額であるわけですね。そうすると、一番労働者の味方であるべき政府の労働省が、これが、他の災害、その他公害も交通事故もそうでございますが、非常な大きな差が出ておるにもかかわらず、まだそれに対する対策も立てておらないということに私は疑問を抱くわけなんです。だから、一体、これに対してどういう考え方があるのか。審議会にもうお出しになっておるのか。お出しになっておるとすれば、どういう考えで、どういう構想でお出しになっておるのか。そういう点をお伺いしたいと思うんです。
  〔主査退席、副主査着席〕
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加藤常太郎#10
○国務大臣(加藤常太郎君) 年金制度の問題は、賃金の水準の変動に応じましてスライド制を大いに採用して、今後勤労者の保護に最善の努力をいたす所存であります。しかしながら、給与の水準についてはいろいろもう少し向上させなくちゃならぬというような各方面の御要望もありますので、労災保険基本問題懇談会において検討中でありますので、だいぶん作業も進んでおますので、できるだけ早くこれが改善に向かって処置をいたしたいと思っております。
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阿具根登#11
○阿具根登君 スライドの問題をいま一つ、一点だけお述べになりましたが、スライドはたしか二〇%いま上がっておると思うんです。二〇%だとすれば、大体二年に一回なんです。しかし、物価の上昇はそれを二年間待つわけにいかない。だから、常識としても一〇%賃金がスライドした場合には労災保険もスライドするのだ、こうなからねばならぬと思いますが、その点、いかがですか。
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加藤常太郎#12
○国務大臣(加藤常太郎君) 政府委員をして答弁させます。
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渡邊健二#13
○政府委員(渡邊健二君) 労災保険の給付及び制度の改善につきましては、先ほど大臣からもお答えを申し上げましたように、いろいろ問題があることはわれわれも感じておりますので、労災保険審議会にその全般的な検討をいまお願いしておるところであります。御指摘のスライド制の問題も問題点の一つといたしまして同審議会で現在御検討いただいておりますので、その結果を待ちまして私どもも検討してまいりたいと、かように感じております。
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阿具根登#14
○阿具根登君 そうお逃げになるだろうと思っておったのです。確かに審議会の意見は尊重しなければなりませんが、それ前に、労働省の姿勢がいかがでしょうかということでなくて、こうあるべきだと思うがいかがですかという労働省の姿勢をまず私ははっきりしてもらいたい。それに対して審議会がどういう考えをお出しになるか。それからもう一つは、労災保険の考え方が、失われた労働者の労働能力の補償と生活保障が大体主眼になっておるわけなんです。そうすると、一般の補償というのはこれに慰謝料や弔意を含めてあるわけなんです。だから非常な大きな額になってくるわけですね。今度の飛行機事故では一千八百万円、あるいは水俣チッソの場合も千八百万、こういうのが出ているわけなんです。そうすると、非常に大きな開きがある。ただ、労働省の考え方は、労働能力の損失に対する補償と遺族の生活の保障だけが考えられておる。その与えられた大きなショックあるいは気持ちの整理、こういう問題が一つも考えておられなくて、それは労使間にゆだねないで、そこにこういうギャップが出てくる。そうなってまいりますと、たとえば自動車損害賠償等の場合に、労働省が通勤途上の場合を労災保険で見た場合に非常な大きなギャップが出てくる。そうすると、何か労働省は、非常に冷たいのだというように私は見られると思うんです。こういう点に、私は一つの法の考え方がもう変わってこなければならない時期が来ているんではないか、こう思うんですが、その点はいかがでしょうか。
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渡邊健二#15
○政府委員(渡邊健二君) 労災保険の考え方は、先生御承知のように、労働基準法に基づきまして使用者に課せられました使用者の無過失賠償責任、これを保険で担保するということから発足をいたしましたわけでございまして、その後数次の保険法の改正によりまして給付は基準法の災害補償の水準よりも上回っておりますけれども、基本的には、先生御指摘のように、やはり労働災害によって失われました労働能力並びに遺族の被扶養者利益をてん補する、こういう考え方の上に立っておることは事実でございます。しかしながら、最近、無過失賠償責任につきましてもいろいろ新しい考え方が他の部面で出てまいっておるわけでございます。そこで、労災保険につきましても、いままでの考え方でいいかどうかというようなことも含めて検討する必要があるわけでございますが、ただ、根っこでございます労働基準法の考え方等々の関連もあるわけでございます。そこで、先ほど労災保険審議会で制度全般について検討をお願いしているということを申しましたのは、
  〔副主査退席、主査着席〕
そういう基本的な考え方から含めまして、この際もう一度手直しをすべきじゃないか、こういうことで、いま全般的な検討を審議会でやっていただいておるわけでございますので、その中では、先生御指摘のような基本的な考え方も含めまして御検討をいただくことに相なっておるわけでございます。
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阿具根登#16
○阿具根登君 わかりました。
 それでは一、二例を示してお伺い申し上げたいと思うのです。これはことしの三月九日、つい一カ月前に起きました三井砂川の落盤災害によってなくなられた方が遺族補償年金を幾らもらっておるかという問題です。これは遺族が三人から四人おられる方で大体年金が六十万、月五万です。で、遺族が奥さん一人の場合は二十二万五千百三十二円。これ月じゃない、年にです。そうすると、月に二万円にならなんです。こういうことでいいかどうか。たとえ奥さん一人であっても、四十九歳になる奥さんが月に一万七、八千円——主人を失ったその後の生活をしていくのに一万七、八千円でめし食っていけるかどうか。こういう非常な低額の遺族補償年金になっておるわけなんです。だから私は前段であれだけのことを申し上げたわけなんです。こういうことこそ救わねば、厚生年金が五万円と言っているのに——労災年金は政府が出す金じゃないんです、これは。これは会社から取ってやるやつでしょう、災害が起きた場合に。それをなぜこんな二十万ぐらいの年金をつけるのか。まことに私は情けないのです。だから前半の問題を申し上げたんですが、そうすると、厚生年金の半分もない。こういうことで労働省の労働行政が行なわれておるということは、私は労働省に非常に近く出入りしております関係上、特に残念に思うんですが、こういう問題についてはいかがですか、大臣からひとつお答え願いたいと思います。
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加藤常太郎#17
○国務大臣(加藤常太郎君) 御指摘のように、いまお聞きいたしましてこれは大いに考慮して対処しなくちゃならぬという考え方が、私といたしましても、御指摘のように同感でありますので、これに対しまして審議会でいろいろの問題も研究いたしておりますけれども、審議会の意見を無視するわけではありませんが、省自体といたしましても、かような問題に対しまして具体的に、ただ当面だけでなく、この場でというだけでなく、誠意を持って大いによく研究して、ただ研究だけでなく、何らか改善の方向に持っていくように、審議会のほうとも御相談いたしまして大いに善処いたします。
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阿具根登#18
○阿具根登君 田中内閣の中では一番歯切れがよくて一番決断力と断行、実行をやられると聞いておった労働大臣としては少し歯切れが悪いようですけれども、しかし、大臣がそのくらい言われる以上は相当おやりくださるだろうと期待いたしまして次に移っていきます。
 これは局長さんのほうでけっこうなんですが、最近じん肺が木材業者とかタオル製造業、活性炭、たまには清掃業に従事する者までじん肺になった例が出てきておる。ところが、現在は鉱物性の粉じんに限られておるわけなんです。だから、業務上の疾病だとして補償の対象にはこれはなります。なりますけれども、じん肺法の適用がなければ、健康診断の義務づけもない、配置転換の勧告を行なうこともできない、こういうことになってまいりますので、じん肺の定義の中に有機物粉じんも含めてこういうやつを救っていくんだ、同じじん肺でありながら鉱物性の粉じんでなければできぬというのがいまの考え方ですから、同じじん肺が、数は少なくともそういうのが出てきて、いま申し上げましたように、配置転換もできなければ転換料ももらえない、定期的に健康診断することも義務づけられておらない、こういうことがございますので、これはたいしたことはないので、じん肺の定義ですから、これはできると思うんですが、いかがでしょうか。
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渡邊健二#19
○政府委員(渡邊健二君) じん肺法におきましては、先生よく御承知のとおり、じん肺というのは、鉱物性粉じんを吸入することによって生じたじん肺及びこれと肺結核の合併した病気ということに相なっておるわけでございます。したがいまして、いわゆるそれ以外、鉱物性粉じん以外の有機粉じん等はその対象になっておらないわけでございますが、この有機粉じんによります有機じん肺の取り扱いにつきましては、医学上いろいろ議論があるところでございますが、労働省といたしましてはその実態を把握いたしまして、御趣旨の点について十分に検討してみたいと、かように考えておるところでございます。
 なお、例としてあげられました中の活性炭製造などにつきましては、これは炭素製品といたしまして、じん肺法の施行規則におきまして、これはじん肺法を適用しているわけでございます。それからなお、じん肺法の適用はございませんが、製材だとかタオルだとかいうようなことで有機粉じんが多い職場につきましては、これは安全衛生規則などによりまして、粉じんの発生抑制のために局所排気装置を設けることを義務づけるとか、その他環境の改善、疾病の予防等についてはいろいろの処置につとめておるところでございます。
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阿具根登#20
○阿具根登君 先般栃木の古河の足尾銅山が御承知のように閉山になりました。私、現場に行ってみたんですが、閉山になって山を去る人の健康診断をやった。ところが、一応じん肺にかかっている人を調べてみますと、百四十四名の人がかかっておる。いわゆる三分の二はじん肺の症状がある。こういうことなんです。そうして、そのうちの四の人は長期療養で保障されておりますが、二、三の人は保障がないわけなんですね。三の人は配置転換で転換料がもらえるだけ。ところが、現在までそういう鉱山なりあるいはこれは石炭山でも一緒です。その山がある限りは配置転換をやって、粉じんの少ないところで、そうして生活を保障しておるわけなんです。ところが、山がなくなってしまうと、今度は失業したその人たちを雇うところはどこもないんです。胸に傷があってこの人は人並みの仕事はできないんだということを判定されておる。三年たったら会社は責任がない。しかも会社は閉山になっておる。そうすると、国はもう四症度だけは見るけれども、二症度、三症度は見られない。ところが、雇うほうの人は、肺に傷があって永久になおることのない病気を持っておる人を雇うわけがない。それだからこの人たちはどこにも行く先がない。この問題が私のきょうの質問の中心になるわけなんですが、一体政府はこれに対してどういう今後対策を立てていかれるのか。これは炭鉱も鉱山も他のところも一緒です。山を去りあるいは自分の職場を去ったならば、この人たちの就職というものはほとんどないと思っていいわけなんです。これをどう救うていくかという問題について局長のお考えを承っておきます。
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渡邊健二#21
○政府委員(渡邊健二君) じん肺法によりましてじん肺の健康管理区分が分かれておりますけれども、その健康管理区分四という人はこれは療養を要するということになっておりまして、四以下の一、二、三の方々につきましては、確かに、粉じんを吸入してそれによるところの所見が見られる人ではございますが、まだ療養を必要とするに至らないと、こういうふうにされておるわございます。したがいまして、これら一、二、三の管理区分の方につきましては、じん肺法によりまして所定の健康診断の励行を使用者に義務づけるとか、あるいは、必要に応じて作業の転換をさせるとか、あるいはその場合の転換手当の支給などもすることに法律上規定されておるわけでございまして、そういう意味の健康管理の規定は行なわれておるわけでございます。
 なお、離職後につきましては、従来は、先生おっしゃるとおり、特にそういう健康管理についてもそれがはずれることになっておったわけですが、昨年労働安全衛生法が制定されまして、それによりまして、離職後の方についても、必要な方につきましては健康管理手帳というものを渡しまして国が健康管理をすることになりましたが、じん肺につきましても、管理区分三の方につきましては、今度から健康管理手帳を交付いたしまして、雇用されていなくても国が健康管理を引き続き実施することにいたしたわけでございます。
 なお、御指摘のように、そういう方が離職された場合についてはなかなか再就職も容易ではないではないかという点は、確かにそういう事情があるわけでございまして、私どもも、こういう方につきましては健康状態を十分に考慮をしながら職業のあっせん等につきまして関係行政機関と協力いたしましてできるだけ進めたいと、かように考えておるわけでございます。
 なお、こういう方々に対しましても労災から何らかの保険給付を行なうべきかどうかという点につきましてはいろいろ議論があるわけでございますが、従来は、まだ疾病が療養を要するに至らない方々、これにつきましてはそれに対して保険給付をするというたてまえにはなっておらないわけでございますが、先ほども申しましたとおり、現在、労災保険につきましては保険審議会で全般的な検討をいまお願いをいたしておりますので、その一環といたしましてこれらの問題も検討していただきたいと、かように考えておるところでございます。
    —————————————
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矢追秀彦#22
○主査(矢追秀彦君) この際、分科担当委員の異動について報告いたします。
 ただいま梶木又三君が委員を辞任され、その補欠として古賀雷四郎君が選任されました。
    —————————————
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阿具根登#23
○阿具根登君 局長、手帳を配付されて、健康管理を行なうと、それはけっこうなんです。しかし、本人が仕事がない。また、皆さんの御努力によりまして仕事をしても、この人は一人前の仕事ができないんです。そうすると、一番みじめな仕事をしていくわけなんです。それで冒頭申し上げましたように、この法の精神というものは、労働省の精神が先に走っておるのは、労働力の低下消滅に対する補償が私は第一義に言われておると思うんです。そうすると、管理四の人は労働力がもうゼロになった。ゼロになったから長期療養をしなければならないということで労働を認められておらないわけなんです。だから、この人は長期に国がこれは見ていく。そうなってくるわけです。そうすると、かりに管理三の人は労働力が半分だ、五〇%しかないんだ、だからあなたは粉じんのところで仕事をしたらすぐ労働能力がゼロになりますよ。管理四になりますよ。だから、いまなれておる自分の仕事場を、粉じんがないところに、軽作業に回されるわけなんです。もちろん賃金も安くなります。そのかわり配置転換の手数料は一カ月分もらえる。ところが、私が言わんとするところは、その人は労働力がもう半分になっておるんだと、そうすると、じゃ一般に雇う人も、あなたの労働能力は半分しかないんだから五〇%賃金を払いますという人はいないんです。また、そういう判定もつけにくいでしょう。だから、管理四が一〇〇%労働力がなくなっておるから長期療養を認めたと言うならば、管理三は五〇%しか労働能力がないんだから、あとの五〇%は国が見ます。管理二の場合は労働能力が七〇%しかない。あとの三〇%は人よりも持てない。そんならその三〇%が国が見るんだ。一〇〇%ないところは一〇〇%いま見ておるんだから、五〇%しか労働能力がないならば、この五〇%は当然これは長期療養者に準じて見なければならぬ。また、七〇%労働能力がある、これを管理二と見るならば、管理二の人に対してはあと三〇%国が見るんだと こうしなければ私は親切な法律じゃないと、こう思うんです。だから、これは私は審議会でも認められると思う、労働省がその気にさえなれば。そういうことでもしてあげねば、たとえ山がつぶれなくても、その人はやっかい者扱いです。山で働いておる人も、坑内で働いている人は人が足らないけれども、坑外は余ってしようがないんだと、こういうことを言っておる。そうして、坑外におる人はほとんど身体不自由者の人かあるいは不幸にして主人がなくなった奥さんか、そればかりで困っておるというのが現実で、やっかい者扱いなんです。だから、そういう場合でも、この人は五〇%の能力は職業病でなくなったんだから、あとの五〇%は国が見ますと、こういう私は考え方は、決して今日の状態から見て、これは先ばしったとか何とかという問題じゃ私はないと思う。これは大臣、特に大臣にお願いしたいんです。きょうはあまり時間ないから非常に私は要点だけ申し上げておりますから、大臣もそのつもりで、やれることはやれると、やりましょうと、それは無理なら無理と、はっきり言ってもらって論争したいと思うんです。
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渡邊健二#24
○政府委員(渡邊健二君) 管理区分三の人につきましては、配置転換が法律上規定されておるわけでございますが、この趣旨は、先生も御承知のように、必ずしも労働能力がどれだけ減少したからということよりは、むしろ粉じん職場にそのまま引き続き就業させておくと症状が増悪すると、こういうことで、健康管理的な観点から粉じん作業から他の職場に配置転換せいという考え方になっておるわけでございます。しかし、それらの方々の中には、個人によっていろいろな差があると思いますが、労働能力がある程度低下しておられる方もあると思います。それも一般人以下に低下しておるかどうか、その辺は個々によって非常に違うわけでございますが、現在のじん肺法、あるいは労災法におきましては、これらの方々の労働能力低下程度を明確に幾ら幾らだというふうな一つの判断をしておるわけではないわけでございますので、この辺が、労災の何らかの保険給付をするかどうかという点の一つの問題点に相なるわけでございます。そこで、先ほども申し上げました保険審議会で全般的な検討の中で一環として考えていただくと、かように申しましたのは、それらの点も含めまして、こういう方々を今後どういうふうに考えていくか、単にじん肺法上の健康管理面というだけじゃなくて、それらの労働者の稼得能力あるいは生活、そういうものをどう考えていくか、この辺も今回の労災保険全般の見直しの中でもう一度考え直してみようと、こういうことでいま検討がされておるわけでございます。
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阿具根登#25
○阿具根登君 この問題については、いまの局長の答弁では私納得できません。たとえばレントゲン所見によっても、管理四はどこをどこまでじん肺にやられておる、あるいはけい肺にやられておるということで、ここまで来たらばこれは管理四で仕事はできませんぞと、こうなっておるわけなんです。そして、これは長期療養しなさいと。管理三の場合は、どこまで肺が不足しておるということで、管理三となっておるわけです。ということは、常人の人とどれだけ違うかわからないと局長おっしゃったけれども、わからないなら管理三になるわけないんです。わかっておるから管理三になっておるわけなんです。科学的にちゃんと管理三はどれだけの症状があるから管理三だと、管理二はどれだけの症状があるから管理二だと、管理一というのはほとんど常人と変わらないけれども、これは進行するおそれがあると、だから、この場合でも、もしもこれに結核がついたならば、これは管理四に一ぺんに飛ぶんです。そこまで親切にしてあるのが、なぜ管理三が常人とどこも変わらぬかわからぬとか、いろいろあると、こういうふうに言われるなら、科学的に研究されて、そうして数回ここでもまあ論争に論争を重ねてでき上がって、そうして、このじん肺法というのが何回も改正に改正されてきて、そして管理二、管理三、管理四ということをきめておるやつが、常人とあまりどこが違うかわからぬというなら、管理三の意味がないわけです。これは常人のように仕事できないから、管理三になっておる。常人であったら粉じん作業もできるはずです。できない。そして重労働できないと、だから、軽作業の空気のいいところに持っていきなさい。ということは、常人よりも労働力が低下しておるということを認めるのが管理三なんです。それを常人とどこが違うかわからない審議会にまかせるんだというのは、あまりにも無責任だと私は思うんです。これはいかがですか。
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渡邊健二#26
○政府委員(渡邊健二君) 確かに管理一、二、三につきましては、それぞれじん肺の程度が法律によって、規定されておるわけでございます。しかし、その症状の程度と労働能力がどうなっておるかということを直ちにそれからは必然的な結びつきで出てくるわけでございませんので、また、作業の転換につきましても、特に軽作業といっているんじゃなくて、要するに、常時粉じん作業に従事している者は、その者を粉じん作業以外の作業に転換させろと、これはその職場に置いておくとむしろ病状が増悪すると、こういう点に主たるねらいがあるわけでございまして、そういう病状の悪化を防ぐと、こういう点にねらいがあるわけでございます。まあしかし、その中には確かに先生がおっしゃいましたように、軽作業しかつけないような人もあると存じます。したがいまして、それをどういうふうに取り扱うか、管理区分だけでやるのか、また、あるいは同じ管理区分の中でも、いろいろな別個の基準によりまして労働能力喪失程度をまた別個に判断することになるのか、まあ、いろいろそういう判断につきましてはなお検討を要する問題があるわけでございまして、現行のじん肺法から直ちにそういうものが出てくる仕組みになっておりませんので、そういう点を含めまして御検討をいただいているということでございます。
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阿具根登#27
○阿具根登君 現行法でそうなっておらないから、私はそうすべきだと主張しておるわけなんです。それから、粉じん作業場で作業をすれば悪くなりますよということは、それだけあなたの肺は悪いからということなんです。それがなかったら、粉じん職場で仕事できるわけなんです。それだけあなたにはもうハンディついておる、あなたは常人でありませんよという診断をされておるわけなんです。じゃなかったら、自分がなれた職場を安い賃金の軽労働に移るわけはないですね。だから、あなたは基本的な考え方を間違えておられる。もう管理三というのは、このままでおったら管理四になって、あなたは長期療養、一生仕事はできませんよと、だから、いまのうちに空気のいいところの仕事のまあ軽作業になるべく移ってくださいと、そのためにはまあ支度金も要るでしょう、一ぺんに給料が下がるからというとこで、金までつけてよそにやるということは、あなたのからだは一般の人と違いますよと、無理すればあなたは管理四になって一生仕事できませんよと、そうすると、常人とうんと差がついておるということなんですよ。それを、何かむずかしいからだめだと、審議会にかけなければだめだというその考え方が私は間違っている、この管理区分に対する考え方が違うと私は思う。何のために一、二、三、四とつけておるか、何のために四は長期療養なのか、一生仕事ができないんか、何のために三は仕事をかわらにやならぬか、何のために二は警戒しなさいと、一年に何回健康診断を受けにゃなりませんよと、こういう区分をつけておるかということなんです。これは専門家が全部レントゲンで見て、そうして診断してやっている。実際それじゃ管理三の者を抗外の重労働につけてみなさい。たとえば、肺活量が常人の人が三千あった、その人が千五百あったと、その千五百しかない人に重労働させて、常人三千ある人と同じ仕事ができると思いますか。できないんです、絶対。だから管理三というのは常人の仕事ができないんだと、だからそれを、私は五〇%ここで主張しておりますが、それを医者の立場で、あるいは六〇%かもしれない、あるいは四〇%かもしれないけれども、考え方としては、この人は常人でない、一〇〇%労働力はなくなっておらないけれども、相当労働力が低下しておる。それならその差額は国が見るべきだというのがどこが矛盾しておるかと、これは大臣、ひとつ人間的な立場であなたから、私が言っているのが正しいのか、局長が言っているのが正しいのか、あなたの考え方を、またこれは審議会でどう結論を出されるか知りません。しかし、この問題は最後まで私は論争していきます。大臣のお考えをひとつお聞きします。
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加藤常太郎#28
○国務大臣(加藤常太郎君) じん肺法によりまして、一、二、三、四のいろいろの区分を設けまして、いま局長から答弁いたしましたのも、専門的にいろいろそうだというような意見を申し上げたのでありますが、やはり労災保険のいろいろ対策につきましては、やっぱり業務と疾病との因果関係でありますから、そういうように一、二、三、四の方も、やはり業務上における疾病であることは間違いないのであります。特に、やっぱり人間の体質からいきまして、何といったっても肺活動が健全でなければ健全な就業はできません。そういうので、局長の答弁も、いま審議会でやっておるから当局が断定的な意見を申し上げるのは遠慮したと思いますが、いま質疑応答を見まして、私の考え方もややここで固まりつつありますが、ここでしからば、すぐに断定的な方針については申し上げることを差し控えたいと思いますけれども、阿具根議員はそういうほうの専門で、やっぱり現地のいろいろなことを御調査なさっての、確信を持った御意見と思いますので、御趣旨の線に沿うように対処いたすことをここで申し上げます。
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阿具根登#29
○阿具根登君 大臣からお答えいただきまして非常に意を強くしましたが、よろしくお願いいたします。
 時間が来たそうですから、口早でまことに要を得ない質問ばかりになりましたが、最後に、これもなかなかむずかしいのですけれども、私の意見を一つ聞いてもらいたいと思うんです。たとえば、CO患者あるいはじん肺患者、長い間これはなおらない病気で病院におるわけなんです。ところが、たまたまガンが発生したと、そしてガンでなくなったと、ところが、その人はガンで死んだのであるから労災の適用は受けれませんと、これが通常でございます。たまたま岡山で一件、この人はじん肺で死んだんだという診断書が出た。そうしてお医者さんのほうからこれは解剖さしてくれと、解剖してみたらガンがあった。そして解剖したらガンであったから、あなたはガンでございます、じん肺じゃございません、労災の適用はなりませんと、こういう診断が下されたわけなんです。それで、労働省ともいろいろ話し合いまして、これはじん肺で長い間苦しんできて、そうしてガンになって死んだんであるが、ガンが原因であったのか労災適用のじん肺が原因であったのか、これは両方だ。直接の死因はガンであったかもしれぬけれども、その死因につながる長い問の過程はこれはじん肺であったんだということで、かろうじてこれは労災になったと思います。ところが、現在のところ、この審議会でも論争いたしましたけれども、じゃガンは早期発見、早期治療——早期発見して早期治療すればガンはなおるんだということが言われておるわけなんです。ところが、じん肺やCO中毒患者になって長い間病床に伏しておる人は、たとえガンが発見されても手術する体力はもうない。その体力がないようになったところにガンの繁殖というものは非常に猛烈な力で進む。私は医者じゃないですから断定的には申し上げられませんけれども、常識としてそう言えると思うのです。そうなってくると、ガンというものは、これは職業病の中途でガンになっても、これはガンのために死んだということは言えないじゃないか。だから、これは当然労災の適用をすべきだ。いまの憲法では、疑わしきは罰せずということがあります。それを裏返して、公害では、疑わしきものは公害にしなさいということを言っておるのに、労働省のほうはそれはまるで逆。一方にけい肺があり、一方CO中毒で長い間ベッドにおった人でも、ガンで死んだら、あんたの死因はガンだから労災じゃありません。こういうことが許されるかどうか。ところが、審議会で、ある専門家の方が、じゃ、阿具根さん、あんたの言う論でいくならば、老衰で死んだ人もじん肺やCOになっておったならばこれは労災ですかと、こう言われたんです。それで私、そのとおりです、と。じゃ、あなたは専門家方ばかりだけれども、老衰は幾つからが老衰と断定できますか。九十で死んでガンで死んだ人もおりますよ。六十数歳で死んで老衰で死んだ人もおります。老衰というのは何を判定しますか。年をとってからだの衰弱でしょう。そうすると、たとえば六十五で老衰で死んだ人がじん肺であった。その人がかりにじん肺でなかったならば七十まで生きれたかもしれない。生きれないと断定できますか。こういう論争をやってたな上げになったわけなんです、これは。ところが、往々にして今日出ておるのは、もうやせさらばえて、ガンになって、ガンが見つかったときはもうどうにもならない、もうからだの抵抗力はほとんどないんですから。そういう人たちもガンで死んだからあなたは労災の適用できませんということで泣いているのがたくさんおるわけなんです。当然こういうのは労災を適用しなければならぬと私は思うんですが、もう私の時間がだいぶ過ぎていますからひとつ簡単にお考えをお示しください。
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