長谷川峻の発言 (社会労働委員会)
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○長谷川国務大臣 ただいま議題となりました雇用保険法案及び雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現行失業保険法は、第二次大戦直後の経済混乱を背景に深刻な失業問題に対処するため昭和二十二年に公布、施行されて以来、わが国の雇用失業対策の柱として重要な役割りを果たしてまいりました。しかしながら、この間に、わが国の雇用失業情勢は、若年者を中心に急速に労働力不足の傾向が進むなど基本的変化を遂げるに至っております。今後におきましても、長期的に見て、若年労働力を中心に労働力の不足基調は続くものと予想され、このような状況を背景に質的な意味での完全雇用の実現が課題となっております。
他方、その中にあって、わが国の人口構造の高齢化が進み、いわゆる高齢者社会へと移行するものと考えられますが、高年齢者の再就職問題の改善は容易ではありません。その他の心身障害者等特別の配慮を必要とする人たちの就職難も依然として残されております。
また、昨年秋にはアラブ諸国の石油供給削減の問題が突発いたしましたが、このようなエネルギー問題その他国際経済上の諸問題に基因して経済面の急激な悪化を見るようなことがあれば、雇用面においても深刻な事態を招く場合が生じましょうし、また、このようなエネルギー問題を契機に産業構造は一段と資源節約化、知識集約化の方向への転換が促進され、この面からも雇用に少なからぬ影響が生じるものと考えられます。
また、昨今、現行失業保険制度をめぐって、とみに、各種の問題が顕在化し、国民各層から種々な批判と要望が寄せられるに至っております。
このような経済社会の動向に適切に対処するために、現行失業保険制度のあり方について抜本的に見直すことが必要であると考えられましたので、昨年五月、学識経験者を失業保険制度研究委員に委嘱し、客観的、かつ、専門的な立場からの調査研究を依頼いたしました。同年十二月その結果が報告されましたので、その趣旨を全面的に尊重して、雇用保険法案要綱をまとめ、中央職業安定審議会、中央職業訓練審議会及び社会保障制度審議会に、それぞれ諮問いたしました。
この雇用保険法案要綱におきましては、前述のような今後の経済社会の動向を前提として、社会的公平の見地に立脚し、真に対策を必要とする人たちに思い切って手厚い措置を講ずることが必要であるとの考えに立って、すべての雇用労働者を適用対象とし、高齢者等就職の困難な層や低所得者に対し、就職援護施策の充実、全国的不況時における失業保障機能の強化、給付面における不均衡の是正等給付内容の改善、整備を行なうとともに、雇用の状態の改善、能力開発の推進などにより、質量両面にわたる完全雇用の実現への要請に積極的にこたえることができるよう、失業保険制度を改善発展させ、雇用に関する総合的機能を持った雇用保険制度を創設することといたしております。
各審議会におきましては、この雇用保険法案要綱について慎重な審議が行なわれ、それぞれ答申をいただきましたので、政府といたしましては、その御意見を尊重しつつ成案を固め、ここに雇用保険法案及び雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を提案した次第であります。
まず、雇用保険法案の内容の概要を御説明申し上げます。
第一に、この法律は、労働者が失業した場合に必要な給付を行なうことにより、労働者の生活の安定をはかるとともに求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、雇用構造の改善、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進をはかることを目的とするものであります。
第二に、雇用保険は、この目的を達成するため、失業給付を行なうほか、雇用改善事業、能力開発事業及び雇用福祉事業を行なうことといたしております。
第三に、この法律は、零細企業の労働者はもちろん、従来から課題とされていた農林水産業の労働者をも含めて、すべての労働者に適用することといたしております。
第四に、これからの高齢者社会への移行等に即応して中高年齢者や心身障害者等の就職困難な人たちに、より手厚く、きめこまかな対策をとることといたしております。このため、給付日数についても、従来、被保険者期間の長短によっていた点を改め、年齢等の事情による就職の難易度により定めることとしており、また、保険給付の額については、従来、一律に前職賃金の六割としていた点を改め、低所得者層に配慮して上薄下厚の給付率を採用することといたしております。さらに、女子受給者等が出産、育児その他のやむを得ない事情により求職活動ができない場合には、受給期間を延長することといたしております。
第五に、全国的に失業情勢が悪化した場合には、一律に給付日数を延長する等失業保障機能を強化することといたしております。
第六に、農林水産業の適用に伴って、従来、問題とされてきた季節、短期雇用労働者については、給付と負担の過度の不均衡を是正し、これらの労働者の実態に即した制度とするため、失業保険金を三十日分の一時金にするとともに、これらの労働者を多数雇用する業種については、特別の保険料率を適用することといたしております。
第七に、日雇い労働被保険者については、その賃金分布の実態を勘案して、その給付及び保険料について、現行の二段階制をやめ、三段階制とすることといたしております。
第八に、現行の就職支度金にかえて、一定の常用就職の困難な人の常用就職を促進するため、三十日分の常用就職支度金を支給する制度を設けることといたしております。
第九に、以上のほか、高年齢者の雇用の促進や不況の際の一時休業に対する援助によって失業を防止するなど、積極的に雇用の改善をはかるための事業、生涯教育訓練の推進、有給教育訓練休暇制度の援助などによる労働者の能力開発の事業及び労働者の福祉のための事業を行なうことといたしております。
第十に、保険料については、一般の保険料率は現行の千分の十三の率を据え置きとしつつ、千分の十の部分は労使が折半して負担して失業給付に充てるものとし、千分の三の部分は使用者の負担として雇用改善事業、能力開発事業、雇用福祉事業に充てることといたしております。また、高年齢者の就職の促進と福祉の増進のために、高年齢者に関し、労使の保険料負担を免除することといたしております。
次に、雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の概要について御説明申し上げます。
この法律案は、ただいま御説明申し上げました雇用保険法案の成立、施行に伴って必要とされる労働保険の保険料の徴収等に関する法律、労働保険特別会計法、職業訓練法、船員保険法、国家公務員等退職手当法その他の関係法律の規定の整備及び経過措置を定めたものであります。
これらは、いずれも雇用保険法案の附則的事項でありますが、立法技術上一つの法律案として整理することといたした次第であります。
以上、二法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。
何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げるものであります。(拍手)
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