小林進の発言 (本会議)

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○小林進君 私は、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となりました衆議院予算委員長荒舩清十郎君の解任決議案について、その提案の趣旨説明をいたしたいと存じます。(拍手)
 まず、本文を朗読いたします。
  本院は、予算委員長荒舩清十郎君を解任す
 る。
   右決議する。
 以下、その提案の理由を説明いたしたいと存じます。
 今年度、予算委員会の重要な目的は、狂乱怒濤にもひとしいこの物価高の原因を究明し、これを鎮静せしめ、もって、四十九年度予算の審議と経済の見通しに万遺憾なからしむるところにあるのであります。われわれは、予算委員会に寄せられておる国民の期待と鋭い監視を背に受け、その実効ある運営に精魂を傾けてきたのであります。
 予算委員会開会の当初、荒舩清十郎委員長から、理事会に対し次のごとき提案がありました。すなわち、今日の物価高を招き、国民に塗炭の苦しみを与えておるその元凶は、一部の業界と大企業である。予算委員会は、これら業界代表を予算委員会に招致し、徹底的に集中論議を行ないたいと思う。賛成を願いたいという趣旨の提案でありました。
 野党四党は、この荒舩君の勇気ある提案に双手をあげて賛成し、そして、その具体的な実施方法について与野党間に真摯な話し合いを続けるに至ったのであります。
 これと前後し、自民党国会対策委員長福田一君が、新聞談話などを通じ、不当利得を得た悪徳業者は国会において徹底的に追及をする、国会に摘発隊をつくり、隠匿物資と悪徳業者を摘発することも考えておるなどと勇ましい発言をして、荒舩提案を側面から裏づけ証言するに至ったのであります。
 これを受けて、予算委員会理事会は、国会に招致喚問する企業や財界代表をだれにするか、これら喚問した企業や財界代表に集中論議をする期日を幾日にするか、及び、その召喚する方法を、証人とするか参考人にするかなどについて慎重な論議をかわしていたのであります。
 招致喚問する業界や企業の代表は、社会党をはじめとする野党四党の要求数は合計五十三社であります。日本の経済を今日の混乱におとしいれた、いずれも問題のある大企業と業界であります。これに対し、自民党からは一社の要求も出ていないのであります。外に向かっては声高らかに、悪の企業を摘発し、徹底的に調査究明すると公約して、さも庶民大衆の利益を代表しているがごとく宣伝している自民党が、国会の場においては一つの企業も召喚しようとしないのは、国民を欺瞞するもはなはだしい詐欺行為といわなければならぬのであります。(拍手)
 この理由はしばらくおくとして、さて次の、集中論議の期間を幾日にするか、そして証人か参考人かについては、野党四党は一致して、四日以上の審議日数を要求するとともに、審議方法については、あくまで国会法に基づく宣誓を行ない、良心に従って真実を陳述させる証人方式をとるべきことを要求したのでありますが、自民党理事は、あくまでも参考人として出頭を求め、単に御意見を拝聴するにとどむるべきであることを固執して譲らないのであります。二月初旬より毎日理事会を繰り返し、総括質問の終わった二月八日以後は、日に二回の理事会を開き、問題処理のために精力を傾け話し合いを続けてまいりました。
 二月十五日、公聴会最後の日でありますが、われわれ野党四党理事は、早朝より懇談会を持ち、局面打開のために、あえて忍びがたきを忍び、耐えがたきを耐えて、次のごとき妥協案をつくって、荒舩委員長に提示したのであります。すなわち、予算委員会の集中審議はとりあえず三日間とし、可能の範囲において、すでに具体的にその非が社会的に明らかになっておる企業及び業界の代表を証人として喚問する、他の企業及び業界の代表者については、とりあえず参考人として呼んでもよろしいという、条理にかなった申し入れをしたのであります。そして自民党側の回答を求めたのでありますが、荒舩委員長は、これに答えず、全く理事会を無視し、申し合わせも話し合いもせず、突如として公聴会終了後の委員会を開会し、暴力的に参考人招致の提案を行ない、これを可決決定するという、一党独裁の暴挙を行なうに至ったのであります。(拍手)
 ここに至る間、われわれは一ぺんの実力行為もいたしません。一言の非礼なことばも使いません。終始一貫、礼節と誠実をもって道理を説き、一日も早く審議を促進することを求めてきたのであります。しかるに、荒舩委員長は、このわれわれに対し、信義を裏切り、野盗無頼の徒のごとき行為をもって襲いかかってきたのであります。まさに民主政治の敵として、断じて許すことができぬのであります。(拍手)
 以上、私は、予算委員会における審議の経過を客観的に正しく述べてまいりました。
 これに対し、自民党は、予算委員会において証人を喚問するのは適当でないとか、あるいは、まず参考人として呼んで適宜証人に切りかえてもよろしいなどと、耳ざわりのよい言いわけをしておるのでありますが、これは全く耳をおおうて鈴を盗むどろぼうの理屈であります。(拍手)
 現在の日本の物価は、昨年の同月に比較して、卸売り物価三四%、消費者物価二〇数%上昇しており、この異常な物価高は、世界先進国にその例を見ない日本特有の、気違いじみているインフレであります。その主たる原因がどこにあるかを予算委員会において追及した結果、それがつくられたインフレであり、しかもこれをつくった元凶が少数の企業と業界であることが明らかになったことは、諸君御承知のとおりであります。(拍手)したがって、このつくられたインフレの元凶を予算委員会に招致し、その真相をただし、今後の動向を見きわめなければ、現在提案されておる四十九年度予算案を責任をもって審議し、可決することができないのでありまして、これら企業代表の証人喚問こそ、予算委員会として最も重大にしてかつ正当なる責任行為であるといわなければならぬのであります。(拍手)
 一体、自民党政府と荒舩委員長は、この国民があげて熱望しておる証人喚問を、何ゆえ阻止しなければならないのか。これこそ国民大衆が最も知りたいところであり、われわれ野党もまた、これを正しく国民の前に解明をしなければならぬのであります。(拍手)
 言わずもがな、その理由はただ一つであります。すなわち、自民党は政党と財界との醜悪なる癒着を暴露されることをおそれるからにほかならぬのであります。(拍手)自民党の台所をまかなう国民協会に、企業や業界が会員として加入しておる、その法人の数が九千八百社であります。これから吸い上げ、自民党に献金する政治資金が、四十八年度届け出た金額だけで一百九十六億九千九百八万円であります。協会の理事には、経団連会長植村甲午郎氏、経済同友会代表木川田一隆氏、小林中氏など、財界の巨星がきら星のごとく名を連ねております。
 この国民協会が、昭和四十九年は、この四十八年度百九十六億円の政治資金に対し、さらに総額四倍の政治資金、概算八百億円に近い資金が必要であり、これを調達するよう自民党からの指示を受け、その作業を進めておるのであります。
 近く行なわれる参議院選挙を目ざし、自民党と財界に迫っておる危機を突破するために、どうしてもこれだけの政治資金が必要であるというのであります。かくして、国民協会を通じ、業界や企業に対し、平均二倍半の増額割り当てがきめこまかく進められていることも、すでに天下周知の事実であります。
 社会党をはじめ野党四党が、この悪性インフレと狂乱の物価高をつくり上げた企業と業界のうち、特別代表として五十三の法人の名をあげ、これを国会に証人として招致喚問することを要求したことは、すでに述べたとおりであります。この五十三の企業、業界もそのほとんどが国民協会の会員であり、自民党に最も忠実に政治献金をしているものであり、特に、このたびの四倍増額割り当ても、これらの財界、企業に及んでいることは言うをまたぬのであります。
 問題の石油連盟には、いままで月二百万円の政治献金を割り当てていたが、今度は六百万円に値上げ割り当てをしており、丸紅、伊藤忠などの問題の多い商社には、いままで月額二十五万円の割り当てが百二十五万円、実に五倍に増額割り当てが行なわれておるのであります。
 野党四党は、これらの財界人を証人として招致した場合、これらの政治献金についても、また、もっと隠されている醜悪な政党と便乗企業との癒着を徹底的に追及し、隠されている資料もどしどし要求し、国民の負託にこたえる準備を進めていたのであります。(拍手)
 この追及に対し、彼らが宣誓による真実を告白するということになれば、あるいは自民党政府の根幹をゆすぶる大問題を惹起するおそれもあり、これをおそれて自民党は断じて証人の喚問に応じないというのが、大方の世評の一致した見解でございます。(拍手)
 とあれ、国民は世界に類例のない異常物価に泣いておる。しかるに、この異常事態をつくり上げた問題の中心企業に対し、自民党が独裁的行為をもって野党の正しい要求を退け、その裏に回って、それらの企業に三倍、五倍に増額した政治献金を要求しているというこの事実を、国民は一体いかに解すべきでございましょう。(拍手)一億国民に死にまさる苦難を与えておるこの社会悪の根源が、実にここにあることを知らなければならぬのであります。
 諸君、もし私の言うことに偽りがあれば、私を直ちに懲罰に付していただきたい。私は懲罰も死もおそれない。ただ、こんな醜悪な事実を知った国民の怒りが、驚雷のごとく天地を動かし、政治不信の力となって、一切の政治秩序を一挙に葬り去ることを私はおそれるからにほかならぬのであります。(拍手)いまからでもおそくない、すべからく自民党が党議を改め、参考人を証人として召喚し、国民の前に正しい姿勢を示すことを心から進言するものであります。
 予算委員長荒舩清十郎君は、本院議員に当選すること十回であります。この間、衆議院副議長に一回、予算委員長に三回就任し、名実ともに政界の大先輩として君臨しておるのであります。県会議員時代を含め、荒舩君の三十数年に及ぶ政治遍歴はまさに波乱万丈であり、かくかくたる功績もあれば、これまた幾つかの失敗もあるのであります。
 その一つは、昭和四十六年十一月二十六日、衆議院本会議において行なわれた荒舩副議長不信任決議案の上程もその一つであります。沖繩国会において、議運理事会を無視し、職権をもって本会議を強行し、理事会無視の悪例を残した行為によって不信任を受けたのであります。今回もまた理事会無視の職権乱用をやり、前回に続くまさに二回目のあやまちを重ねるに至ったのであります。(拍手)
 さらにさかのぼれば、昭和四十一年九月、荒舩君が待望の国務大臣になったときであります。在職中、ときに深谷駅に急行列車をとめたり、ときに日韓閣僚懇談会議に民間業者を同行するなど、これまた公私混淆、職権乱用の非難を全身に受けて、二カ月にして運輸大臣の地位を去っているのであります。
 政党政治家の本分は、大衆に奉仕する精神に徹し、権力に抗するところに真の値打ちがあるのである。民衆の味方をもって任ずる荒舩清十郎君が、一回ならず三回も、権力乱用という最も非民主的な唾棄すべき反動行為によってその信任を問われることは、彼の生涯を通じてぬぐい去ることのできぬ最大の汚点を残したものといわなければならぬのであります。(拍手)
 荒舩君は、このたびの予算委員長就任に際し、「円満なる委員会の運営をはかり、予算審議を通じ国政に遺憾なきを期す」と公約しておるのであります。しかるに、そのことばのかわかぬうちに、三たび、権力乱用という最も恥ずべき行為に出で、委員会審議を空白にし、国政上重大な支障を来たすに至ったのであります。
 荒舩君は、長い議員生活を通じ、ただ一つ不朽の名言を残しておるのであります。それは、急行をとめ、国民の非難の矢面に立ったとき、「荒舩清十郎一代の不覚でござんす」と、こう言って、率直簡明に国民におわびをいたしたことでありました。(拍手)これこそ、まさに荒舩清十郎の名を後世に残す天下の名言であります。いまこそ、もう一度この名言を思い出していただきたいのであります。
 一億国民は、物価高に泣き、これを正しく調査する道をふさいだ荒舩清十郎委員長に、限りない不信と怨嗟の声を投げかけておるのであります。この国民に向かって、「荒舩清十郎一代の不覚でござんした」と、おわびを申し上げ、すべからく委員長の職を辞し、秩父の故山に立ち帰り、心機一転、権力に立ち向かう真の民衆政治家として立ち直り、君に残された政治家としての晩節を全うすべきであることを心から忠言をいたしまして、荒舩予算委員長解任決議案の趣旨説明にかえておく次第でございます。(拍手)
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発言情報

speech_id: 107205254X01319740219_006

発言者: 小林進

speaker_id: 8598

日付: 1974-02-19

院: 衆議院

会議名: 本会議