安宅常彦の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○安宅常彦君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました昭和四十九年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算案に反対し、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党の四党が共同提出いたしております昭和四十九年度予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議に賛成の討論を行ないます。(拍手)
昭和四十九年度予算編成にあたっての最大の課題は、インフレの抑制、終息にあることは言うまでもありません。今日の物価の暴騰は、福田蔵相みずから狂乱物価といわざるを得ないほどのすさまじさであり、国民生活はかつてない破局的な危機にさらされているのであります。
とりわけ生活必需品の値上がりは、五〇、六〇%はざらであり、入学期を前にした学用品までを含め、物によっては二倍ないし三倍に上がったものもあるなど、政府統計のごまかしをからだで知った国民は、消費者物価平均二三%値上がりなどとうそを言うな、田中内閣はやめてもらいたいという怨嗟の声が、全国津々浦々に満ち満ちているのであります。(拍手)
言うまでもなく、今日の重大な事態を招いたのは、何よりも、政府が、計画的なインフレ政策による大企業中心の高度成長政策をとり続け、独占資本の利潤の増大をはかり、日本列島改造計画を背景として、みずからインフレと投機をあおってきたからであります。つまり、今日の悪性インフレは、政治インフレであり、角榮インフレであります。(拍手)
これに対し、田中内閣は、周章ろうばいし、動揺しながらも、異常な物価の暴騰を招いたみずからの失政を何ら反省することなく、安易な総需要抑制策を通じて、勤労国民の消費を抑圧し、官僚統制と結びついた所得政策の導入すら進めようとしており、断じて許すことができません。
しかも、政府は、物価上昇の原因を、海外物資の高騰や、みずからあおったはずの国内需要の増加、さらには労働者の賃上げにあるとして、その責任をこれらになすりつけ、さらに加えて、独占価格の形成、混乱した流通機構を極度に悪用した商品の買い占め、売り惜しみ、いわゆる石油危機を口実とした、独占みずから広言をしている千載一遇の好機とばかりの便乗値上げを放置するどころか、マッチポンプばりの高値安定政策でこれを支持し、彼らの膨大な政治献金を背景とする癒着関係からとしか考えられないようなやり方、すなわち、わが党をはじめとする野党各党の憲法、国会法等に基づいた、道理にかなった大企業代表の国会証人喚問すら拒否して、その利潤拡大に奉仕しているのであります。
わが党の楢崎議員によって追及された石油連盟密田会長らの国会内外の言動、あわてふためいた通産省の態度、先ほども話がありましたが、適用しているなどと言っていましたが、いわゆる物価安定法等の適用の意思などさらさらないという政府の態度は、これらのことを余すところなく暴露しているではありませんか。公共料金の値上げストップも、消費者米価の値上げ延期も、参議院選挙をおもんばかったゼスチュアだけの、わずか半年間にすぎません。(拍手)
つまり、もともと四十九年度予算案は、経済見通しも立たないままでっち上げた砂上の楼閣、単なる腰だめによる計算数字の羅列にすぎない、古今未曽有の、合理性も権威もないごまかし予算といっても過言ではありません。(拍手)
まず第一に、日本列島改造計画を下敷きにした昭和四十八年度超大型インフレ予算が、とどまるところを知らないインフレの急進展と、土地問題や資材不足がからんで完全に消化不良におちいっているということであります。しかも、二けたに及ぶ卸売り物価の暴騰によって暗礁に乗り上げ、末期的症状の中で、田中総理は、沈没しかけた日本列島改造計画と、それを裏づけるための国総法にいまなお固執し、何らの反省もないということであります。福田大蔵大臣も酷評し、明らかに閣内不一致の列島改造計画の撤回を明確にし、真に経済財政政策の根本転換をはかることなしには、引き続きインフレ路線を進むことは明らかであります。(拍手)
予算規模を一九・七%増に押えたといっても、内容は、地方交付税交付金を一千六百八十億円削減し、地方財政の圧迫と地方自治侵害によって、かろうじて二〇%ラインを割ったにすぎず、一九・七%という予算規模増は、高度成長過程における予算の伸びと比較しても、最高の水準を示すものであります。
第二に、国債発行は、四十八年度補正後発行予定額一兆八千百億円を上回る、二兆一千六百億円もの巨額の発行を予定し、国債依存率も、前年補正後予算の国債依存率一一・八%を上回る、一二・六%となっているのであります。まさにインフレ刺激的な措置といわなければなりません。(拍手)
第三に、税制面については、インフレによって生活の危機に直面している勤労国民のための大衆減税を行なわなければならないのでありますが、他方で、インフレ抑制策として、大資本に対する積極的な増税政策を組み合わせる必要があります。このたび、法人税率は若干の引き上げを予定はいたしておりますが、悪名高い租税特別措置をはじめ、法人税の仕組みそのものが大法人に有利になっており、大法人の実際の税率は、表面税率の半分以下にしかなっておりません。わが党が主張する法人税付加税や広告費の課税、交際費の課税強化など、とるべきものは幾らでもあるのであります。
第四に、一般公共事業費も、昨年に比べ削減されたわけではありません。災害復旧事業費が昨年の災害額の減少によって減ったものであり、緊縮予算というならば、まっ先に削減されるべき防衛費がついに一兆円の大台をこえ、聖域扱いとなっていることは、国民の世論を無視した暴挙であるだけでなく、まさにインフレ対策に逆行するものといわなければなりません。しかも、膨大な財政投融資計画の弾力条項によって、さらに五〇%までの規模拡大がはかられるのであり、この財投の内容を明らかにすることにより、この予算こそ、実質的にはインフレ予算であることが暴露されるしかけになっているのであります。
昭和四十九年度予算のもう一つの大きな課題は、インフレの進行に伴う社会的不公正の拡大を是正し、今日、命と暮らしが危険にさらされている弱い立場の人々を救済することであります。
異常な物価の高騰の害悪は、勤労大衆の実質賃金と実質消費を切り下げ、零細な預貯金を減価させ、生活を圧迫し、とりわけお年寄り、いたいけな子供を含む心身障害者、難病を持っている人々、生活保護者、母子世常など、弱い立場の人たちの生活を決定的に破壊していることであります。このことは重大なことであります。
しかし、一方では、インフレによって笑いのとまらぬ者がいるのであります。大企業の借り入れ金は、物価の上昇によってなしくずしに減らされ、五十兆円の借り入れ金ならば、二〇%の物価上昇で十兆円の借金棒引きとなり、返済負担が大きく軽減されることになります。それだけでなく、勤労大衆は物価値上げで苦しんでいるというのに、大企業は物価値上げを製品価格の値上げに便乗転嫁し、ますます太っておるのであります。
今日の政治の急務は、この格差と社会的不公正を排除し、不当な利得を得た者の負担でインフレの被害者を救うことでなければならないのであります。しかるに、昭和四十九年度政府予算の基本的性格は、明らかに弱者の犠牲によって政治、経済の危機を切り抜けようとする弱者切り捨て、不公正拡大予算であるということであります。(拍手)
第一に、福祉充実のごまかしであります。
政府は、立ちおくれた社会保障費を増額したと言っていますが、その中身は、年金予算で老齢福祉年金が月額七千五百円に引き上げられたのでありますが、これは物価値上がりを四%台と見込み、五十年には一万円年金にするということが昨年の二月から約束されており、新たな施策ではありません。しかも、十月実施で、支給も三カ月後一括あと払いという、よくもまあ福祉年金などとよく言えたものだというしろもので、国のために働き抜いたお年寄りをなめ切った、世界に恥をさらす涙年金とでもいうべきものでありましょう。(拍手)
生活保護費なども二〇%アップとなりましたが、今日の異常な物価高騰のもとで、実質減額となることは必至であり、厚生年金、国民年金の緊急スライドはついに見送られてしまっております。
予算増額の大部分が福祉予算総額の六割以上を占める社会保険費の当然増であり、つまり、昨年の医療費一九%引き上げを含む医療費の上昇をカバーすることに使われているのが、偽らざる中身であります。
昨年、わが党の要求にこたえて約束した一人暮らし老人の電話設置費用は、わずか四千二百万円つけられたにすぎず、何が福祉かという怒りが全国民の間にほうはいとしてわき上がるのも当然のことであります。
第二に、いわゆる二兆円減税のごまかしであります。
初年度一兆四千五百億円に削られたなどとけちなことは申しませんが、その実態は、インフレ、物価高に苦しむ勤労大衆の救済を内容とするものではなく、給与所得控除の最高制限の撤廃、高額所得層の税率軽減など、明らかにインフレ便乗の重役減税であり、金持ち減税だということであります。
第三に、住宅予算についても、公営、公団住宅の建設予定戸数は四万五千戸減少し、これも土地をはじめ諸物価高騰で計画達成の保証もないわけでありますが、しかも相変わらず公共事業費の三八・六%は道路整備費が占めているのであります。
農業予算についても、食糧の自給度の向上と農業再建に対する対策を欠き、逆に世界の食糧事情から見て、かえって高くつき、しかも、できもしない海外食糧依存の体制を強め、依然として減反政策を継続し、農業予算の伸びが予算全体の伸びを下回っていることでもわかりますように、国家百年の大計を誤る農業荒廃促進予算であり、特に農用地確保の名目で農用地開発公団を設置することとしてみたり、他方で三十万ヘクタールの農地の転用を強行しようとしたり、ネコの目農政どころか、盲のネコの顔に紙袋をかぶせたような、見通しのつかない、民族の将来にとってゆゆしい事態を招く亡国農業予算といわなければなりません。(拍手)
また、引き締めと金融難、雇用問題の深刻化の中で、中小零細企業は重大な危機に直面しております。しかも、いわゆる石油不足や原材料の暴騰に見舞われ、二重、三重の打撃を受け、昨年の暮れからは倒産も激増して、自殺者も多く出ている状態であります。
これに対する中小企業予算は、きわめて貧弱であり、全予算の〇・六%以下の、スズメの涙、二階から目薬のたとえそのままであり、大資本の要請にこたえた中小企業切り捨て政策が進められていることを如実に物語っております。(拍手)
これに対し、防衛費は一兆円の大台をこえ、緊縮予算だなどといいながら、軍事予算の伸び率は世界でもトップクラスであり、四次防は、さらに物価暴騰と相まって、その総額が膨張しつつあります。これらは、四次防の修正を許さないとする制服組やいわゆるタカ派の暴走を、軍事産業と結びついた政府が押え切れない状態を見るとき、日本軍国主義の完成、ファシズムへの道をたどるきわめて危険な側面を浮き彫りにしているといわなければなりません。(拍手)
しかも、この問題とからんで、資源問題の深刻化に対応して、資源外交を強化するという名目で海外経済協力費も大幅に増額し、インドシナ復興計画援助や石油資源確保などを中心に、従来からの、なりふりかまわぬ対韓援助等の強化を含め、日本独占資本の多国籍企業化、帝国主義的経済侵略の水先案内の役割りを果たそうとしていることは、きわめて危険なことであります。資源小国としての日本帝国主義が、その膨張のために石油や原材料の安定供給を確保するためには、開発途上国を中心とする海外に依存するしかないという発想に立って、日本独占資本と国家のジョイントベンチャーがより組織的につくられつつあることは、まさに重大な問題であり、紙、パルプ、化学、鉄鋼、繊維など、広範な分野で資源略奪のための動きが見られるのであります。
しかし、田中総理の東南アジア訪問の先々で日本の経済侵略反対のデモや暴動に直面したことでもわかるように、新植民地主義的進出に対する各国人民の反感は根強いものがあり、日米安保条約体制のワク組みの中で、アメリカ帝国主義からあれこれの指図を受けながら、その肩がわりとしてのわが国のいわゆる援助に警戒の念をさらに深くするであろうことは明らかであります。根本的な改革を強く要求いたします。
最後に、地方交付税の国への借り上げ強制措置をとったことであります。
福田蔵相は、四十四年当時、今後は政府の借り上げ措置は避けると、自治省と覚え書きをかわした張本人であります。またしてもこれが破られたことは、福田財政の常套手段とはいえ、物価の暴騰で苦しむ地方財政を一そう圧迫し、地方自治を侵害するものであり、断じて容認できません。
以上、私は、政府案反対の理由を述べてまいりました。
先ほど、わが党の堀議員から詳しく説明されました日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党の共同提案になる昭和四十九年度予算の編成替えを求めるの動議の具体的施策の内容こそが、今日の悪性インフレから国民生活を守り、真の社会福祉を実現し、日本の政治、経済を正しく発展させるための緊急、最低必須のものでありますことは、すでに賢明な皆さんの御理解を得たと存ずるのであります。(拍手) 全議員の賛成を要請しながら、これに述べ、政府案が予算の名に値しないほどの矛盾をはらんでいることはいまや明らかでありますので、私は、政治不信と生活の困窮にいらいらしながら政治の革新を求める広範な国民とともに、この国民不在の政府予算三案に断固として反対し、政府が昭和四十九年度一般会計予算、同特別会計予算及び政府関係機関予算を撤回し、直ちに編成替えをすることを要求して、討論を終わります。(拍手)