中橋敬次郎の発言 (大蔵委員会)
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○中橋説明員 来年度の所得税の問題でございますが、本年度非常に大幅な所得税の減税が実施されました。その結果、給与は大体本年三〇%ぐらい伸びておりますけれども、税額のほうは減税の効果が非常に発揮せられまして、いわゆる可処分所得としましては、かりに四十八年の年収が三割伸びたとした人の計算をやってみますと、大体可処分所得で三〇%余り増加いたしておるような状況でございます。もちろん消費者物価の上昇は、現在、昨年に比べまして約二五%程度上昇しておることもございますけれども、本年の大幅な減税の効果というのは、現在のところ、そういうふうに可処分所得の増加が消費者物価の上昇を上回っておる、そういう事態でございます。
さらに、本年度行ないました所得税の減税は、来年度平年度化するわけでございまして、たとえば夫婦子供二人の給与所得者で見まして、課税最低限は百五十万円から百七十万円程度に上昇することにこれは確定済みでございます。そういたしますと、課税最低限としましては、そこでは約一三%余り上昇するということになっております。課税最低限の問題として私どもは物価の上昇ということがやはり一番気になるところでございますけれども、いま言いました昨年から本年にかけての減税、それから来年度への平年度化の効果ということから考えますと、この物価上昇は異常でありますけれども、かなりの程度それを補う効果があると思っております。しかしながら、物価の上昇度合いというものが一体どの程度になるかということは、なお今後十分注目しなければなりません。所得税の問題を議論いたします年末に際しましても、当然そういう問題を考えながら、課税最低限の平年度化とこの物価上昇とのかね合いがどうしてもまかない切れないという場合には、いわゆる物価調整減税としまして課税最低限の引き上げを実施しなければならないと思っております。
ただ、一般的に申しまして、本年の大幅な減税というのは異常な状態の中でもあえて行なわれたものでございます。それからまた、最近におきますところの物価をめぐりましての税制ということを考えますと、やはり物価上昇に対して調整をするという面と、物価上昇を抑制するという面とを兼ね備えながら考えていかなければならないのではないかと思います。そういう意味におきまして、できるだけこの際は本年度の大幅な減税の効果というものをあたためながら、そうして来年度の税制改正の時期における物価動向の把握というものを考えて、最小限度の問題として考えなければならないのではないかというふうに思っております。
次に、相続税の問題でございますけれども、相続税の状態を見てみますと、最近の特に土地の価格の上昇が一番大きな原因となりまして、かなりの程度の課税が行なわれる事態になっております。昭和四十一年におきましては、被相続人百人の中で一・四人が相続税の課税を受けたという実績がございます。それが昭和四十七年になりますと、被相続人百人の中で四・四人が課税を受けたという事態になりました。そこで、相続税の課税最低限を五割上昇するということをやっていただいたのでございます。その効果があらわれてまいりまして、四十八年にはこの四・四人という数字が四・二人に下落をいたしております。
しかし、十年もたたない間に課税人員が一・四人から四・二人に上昇しておるということは、やはり一度真剣に考え直してみなければならない問題だと思っております。もちろん相続財産がだんだん水準が高まってまいりますれば必ずしも従来のままの課税の水準を保たなければならないということはないと思いますけれども、やはり最近の異常な地価の上昇ということがここにあるわけでございまするから、この際は相続税の課税最低限、必要があれば税率の緩和というような問題もひっくるめて研究、審議をお願いしなければならないと思います。
なお、その際に、かねてからいろいろ議論がございました配偶者が相続をしました財産について、これもやはり主としましては土地の問題がからみまして、制度改正として従来二本立ての配偶者に対する優遇ということを設けていただいておりますけれども、これではなかなか現在うまく適合していないという問題がございます。この配偶者の相続についてのいろいろな要望ということもございますから、こういうことも兼ね合わせながら、あわせて検討しなければならないと思います。
それからさらに、特に土地の問題でございますから、一番生産手段として土地を多く持っておる農業、農地の相続税の問題がございます。これも、市街地なり都市近郊の農地というものが現実には非常に高い価格で売買をされておりますから、やはりその近傍にございます農地というものが相続をされましたときの評価というのは相当高くならざるを得ません。従来からも現に相続をされておる農地の評価につきましてはかなりのしんしゃくをやってきておりますけれども、とてもそれでは間に合わないくらいの価格の上昇でございます。一方では、これに対しまして収益還元でもって評価をしろという要望が非常に強くなされております。これに対しましても、いろいろ相続財産の評価について、はたして収益還元でいいのか、やはり現在のようにあらゆる財産について処分価格をもとにしました時価というものをもって評価するのがいいのかという問題になりますと、必ずしも高いからといいまして収益還元法則を適用するのもむずかしいのではないかと思います。
それからまた、市街地におきますところの中小企業が事業用地として持っておるものあるいは市街地の中で居住用として持っておる土地の問題、こういうものについてもかなりの相続税課税が行なわれておるという事態について、今後あわせましてやはり検討はしなければならないというふうに考えております。
それから、いま御指摘のように、税制の公平という観点をもっと強める意味におきまして、従来から不公平といわれておるいろいろな制度についてどういうふうに考えるかというお尋ねでございますが、私どもも常々、租税特別措置につきましてはその効果というものを十分見きわめながら適宜の改廃を行なわなければならないという態度を続けてまいりました。ちょうど来五十年の年末に利子配当の課税の特例、土地の譲渡所得の課税の特例の期限が参るときでございまするから、この年末におきましてはこの問題についてどういうふうにするかということをきめまして、必要があれば所要の改正案を御審議していただかなければなりません。これにつきましても、現在利子配当の課税の特例が一体いまの経済状態のもとにおいてどういうような効果を持つのか、そのメリット、デメリットを検討中でございますし、土地の譲渡所得につきましてもこの制度が採用されました四十五年以来の土地の譲渡の実績を中心に検討いたしておりますけれども、いずれにしましても、これらは先ごろ発足をいたしました税制調査会においても十分の御議論を経て結論を出さなければならないと思っております。
社会保険診療報酬の問題につきましては、これはちょうどその制度ができまして本年で満二十年が経過いたしております。常々その改廃是正について税制調査会から答申が行なわれてまいりましたけれども、今年は具体的なものの考え方が先ごろの調査会において答申として示されました。いわゆる実際の経費率とその上に収入階層に応じて逓減します特別控除というものとをかみ合わせてこの問題を最近の所得税制の推移の中で考えてみてはどうかということでございます。私どもも、その実際の経費率が、特に収入規模におきましてあるいは診療科目におきまして若干のばらつきが見られますけれども、それを概括的に一本に法定するというときには一体どの程度の率がよろしいか、あるいは特別控除率ということを考えます場合にどの程度の収入金の階層についてどの程度の率を適用することがよろしいのか、それによりまして現在の七二%の適用を受けておる社会保険医の中で一体どの程度のウエートの人たちが、現在と比べてこの程度の負担に変動するというようなことを見きわめて、数字を具体的に盛り込まなければならないことになっております。これにつきましても、もちろん新しい税制調査会で御議論もいただきますけれども、これもできますれば本年末までに結論を得まして、国会の御審議を仰ぎたいと思っております。