大蔵委員会

1974-10-18 衆議院 全195発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
昭和四十九年十月十八日(金曜日)
    午前十時三十三分開議
 出席委員
   委員長 安倍晋太郎君
   理事 松本 十郎君 理事 村山 達雄君
   理事 森  美秀君 理事 山本 幸雄君
   理事 阿部 助哉君 理事 山田 耻目君
   理事 増本 一彦君
      伊藤宗一郎君    大西 正男君
      奥田 敬和君    金子 一平君
      栗原 祐幸君    小泉純一郎君
      野田  毅君    萩原 幸雄君
      坊  秀男君    村岡 兼造君
      山下 元利君    佐藤 観樹君
      高沢 寅男君    広瀬 秀吉君
      武藤 山治君    山中 吾郎君
      荒木  宏君    小林 政子君
      広沢 直樹君    竹本 孫一君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
 委員外の出席者
        外務省経済局長 宮崎 弘道君
        大蔵大臣官房審
        議官      岩瀬 義郎君
        大蔵大臣官房審
        議官      結城  茂君
        大蔵大臣官房審
        議官      後藤 達太君
        大蔵省主計局次
        長       辻  敬一君
        大蔵省主税局長 中橋敬次郎君
        大蔵省理財局長 吉瀬 維哉君
        大蔵省国際金融
        局長      大倉 真隆君
        厚生省医務局管
        理課長     木戸  脩君
        資源エネルギー
        庁石油部計画課
        長       小津 修二君
        中小企業庁計画
        部金融課長   若杉 和夫君
        建設省住宅局住
        宅計画課長   京須  実君
        自治省財政局地
        方債課長    小林 悦夫君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 国の会計、税制、金融に関する件
     ————◇—————
この発言だけを見る →
安倍晋太郎#1
○安倍委員長 これより会議を開きます。
 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。村岡兼造君。
この発言だけを見る →
村岡兼造#2
○村岡委員 今回、大蔵大臣がアメリカにおいてIMF等の総会に出席されました。日本経済は申すに及ばず、世界経済が非常にきびしい状態に直面している。その主要課題は何であると大蔵大臣は感じられたか、大蔵大臣の率直な所感をお伺いいたしたい。
 また、現下の世界経済情勢の中で今後の日本経済がとるべき道について、IMF総会の場を利用して蔵相はどのような説明をなされたか、この点をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
大平正芳#3
○大平国務大臣 世界経済がたいへんきびしい状況にあるという御指摘は、仰せのとおりと私も心得ております。すでに世界の通貨がフロート制に入っておりまして、安定した通貨秩序がいまなお形成されていない途中におきまして石油危機をはじめとして大きな異変が起こったわけでございまするから、今日の事態は容易ならぬ事態であると考えております。
  〔委員長退席、松本(十)委員長代理着席〕
したがって、各国ともこういう場合に、まず、進行中でございましてそして石油危機を契機としてさらに増幅を見ました世界的な規模を持ったインフレに対して、どういう姿勢を個々の政策当局がとるか、それから国際協調をどのようにオルガナイズしていくか、これが一つの問題であったわけでございます。
 それから石油危機が生んだ問題といたしまして、数百億のオイルマネーが産油国に流れる。したがって、資源を持たない開発途上国ばかりじゃなく、日本も含めて先進国の国際収支が大きな影響を受けて赤字を記録することになったわけでございます。したがって、そういう事態に処して、いわゆるオイルマネーの還流という問題を現実的にどのように処理していくかということが第二の課題になったわけでございます。
 それから第三の問題といたしましては、こういう大きなショックを受けた世界経済のもとで各国がばらばらなことをやってまいりますと、あるいは世界経済がもう救いがたい状態になるのではないか。したがって、場合によっては非常におそろしい不況を招くようなことになるおそれがあるわけでございますので、不況を回避しながら世界経済がとめどもない縮小の方向に走ってまいることを防ぐ意味におきまして、どのように国際協調を仕組んでいくかという問題が第三にありまして、第四にはIMFという国際機関の増資問題、IMF自体にからむ問題が討議されたわけでございます。
  〔松本(十)委員長代理退席、委員長着席〕
 それで、こういう提起された問題につきまして、私は日本政府としての見解を、総会を通じてあるいは各委員会を通じて明らかにしておいたわけでございます。
 すなわち、インフレ対策でございますが、今日、いまのような状況のもとで安定した通貨を早急に持つということができればしあわせでございますけれども、そういうことができない以上は、ナイロビで合意された国際協調の基本の約束というようなものを日本もまじめに取り上げて実践してまいるということでまいりたい。通貨改革というようなものをいま突然やることができないとすれば、当面フロート制を運営していくにあたりましても節度のあることをお互いに考えて、大きな異変が世界経済に招来しないように注意していかなければならない。日本はそういう態度で、インフレを輸出することも慎まなければならぬけれども、世界経済が縮小の方向にいくようにならないように、貿易を規制するとかあるいは輸出ドライブをかってにかけるとか、そういうようなことはしない。そういうことでインフレに対応しつつ、不況に対しましても日本政府としてやるべきことをやり、やるべきでないことをやらないということで、世界協調の実をあげていきたいという態度を明らかにしたわけでございます。
 それからオイルマネーの還流問題でございますが、これはすでにアメリカとかユーロ市場を通じまして各国はオイルマネーの取り入れをやっておるわけでございます。また、産油国側と直接取引をいたしましてオイルマネーの取り入れをやっておるわけでございまするし、またIMFが、金額を限ってでございますけれども、産油国から取り入れて、開発途上国にこれを振り向けるというようなこともやっているわけでございまするから、一つの方法に限らず、いろいろな方法を組み合わせて、オイルマネーの還流がまんべんなく行き届くように考えたらいいわけで、日本といたしましては、オイルマネーの還流について多元的な方法を支持する、一つの方法だけにたよるというようなことは危険であるということを主張いたしておいたわけでございます。
 IMFの増資問題、あるいはIMFで今後討議される後進国の援助問題あるいは金問題、そういう問題につきましては、日本の立場を申し上げながら、IMFがそういう問題を討議いたしまして、来年の一月半ばまでには理事会がIMFの暫定委員会に答案を提案するようになっておるわけでございまして、私ども日本といたしましても、その討議に参加いたしまして誤りない国際協調の実をあげていきたいと考えておるわけでございます。
この発言だけを見る →
村岡兼造#4
○村岡委員 原油の価格の高騰に伴い、国際収支の赤字傾向が続いておると思いますが、現在どうなっているか、あるいは今後の動向についてどのように見ているか、御答弁を願いたいと思います。
この発言だけを見る →
大平正芳#5
○大平国務大臣 去年はああいう状態でございまして、大幅な国際収支の赤字を記録いたしたわけでございまして、百三十億ドルというような赤字を記録いたしたわけでございます。ことしの上半期も、貿易収支も赤字でございましたし資本収支も赤字でございました関係で、これまた相当大幅な赤字を記録しておったわけでございますが、六月ごろからようやく貿易収支は黒字に転じたわけでございまして、その黒字の幅も、七月、八月、九月と漸次大きくなってきておるわけでございます。こういう姿でまいりますならば、ことしの下半期は、さらに大きな赤字を追加してまいるというようなことにならないようにやれるのではないかと思っておるわけでございます。
 日本の国際収支につきましては、少なくとも経常収支がバランスがとれる状態に持っていくことが非常に大事だと思うのでございます。すなわち、貿易収支で黒字が若干出て、貿易外収支で若干の赤字が出るという構造になっておりますが、それがバランスがとれる状態にあれば、あとは資本収支の管理を慎重にやれば心配ないわけでございまして、少なくともことしの下半期は、私はそういう点で心配ない状態にあると思うわけでございますが、来年以降どうなるかということにつきましては、また来年の経済がどのような状況になりますか、まだ不透明でございますので、この段階で申し上げることはできないと思いますが、慎重な経済運営を通じまして国際収支を均衡させて為替相場を安定させていくということは、あくまでもわれわれの財政経済政策の基本に踏まえて、誤りなく期してまいりたいと考えておる次第でございます。
この発言だけを見る →
村岡兼造#6
○村岡委員 今度は国内的な問題で、来年度の予算編成時期も迫っておりますけれども、所得税の減税問題でございます。ある一方には所得税を減税しろ、また一方には減税すべきでない、こういう意見もあるわけでございますが、来年度の所得税減税の方針、あるいは来年度の相続税の減税の問題、あるいは不公平といわれている医師課税、利子配当の源泉選択分離課税、また土地譲渡所得の分離課税について方針はいかがですか、お尋ねをいたします。
この発言だけを見る →
中橋敬次郎#7
○中橋説明員 来年度の所得税の問題でございますが、本年度非常に大幅な所得税の減税が実施されました。その結果、給与は大体本年三〇%ぐらい伸びておりますけれども、税額のほうは減税の効果が非常に発揮せられまして、いわゆる可処分所得としましては、かりに四十八年の年収が三割伸びたとした人の計算をやってみますと、大体可処分所得で三〇%余り増加いたしておるような状況でございます。もちろん消費者物価の上昇は、現在、昨年に比べまして約二五%程度上昇しておることもございますけれども、本年の大幅な減税の効果というのは、現在のところ、そういうふうに可処分所得の増加が消費者物価の上昇を上回っておる、そういう事態でございます。
 さらに、本年度行ないました所得税の減税は、来年度平年度化するわけでございまして、たとえば夫婦子供二人の給与所得者で見まして、課税最低限は百五十万円から百七十万円程度に上昇することにこれは確定済みでございます。そういたしますと、課税最低限としましては、そこでは約一三%余り上昇するということになっております。課税最低限の問題として私どもは物価の上昇ということがやはり一番気になるところでございますけれども、いま言いました昨年から本年にかけての減税、それから来年度への平年度化の効果ということから考えますと、この物価上昇は異常でありますけれども、かなりの程度それを補う効果があると思っております。しかしながら、物価の上昇度合いというものが一体どの程度になるかということは、なお今後十分注目しなければなりません。所得税の問題を議論いたします年末に際しましても、当然そういう問題を考えながら、課税最低限の平年度化とこの物価上昇とのかね合いがどうしてもまかない切れないという場合には、いわゆる物価調整減税としまして課税最低限の引き上げを実施しなければならないと思っております。
 ただ、一般的に申しまして、本年の大幅な減税というのは異常な状態の中でもあえて行なわれたものでございます。それからまた、最近におきますところの物価をめぐりましての税制ということを考えますと、やはり物価上昇に対して調整をするという面と、物価上昇を抑制するという面とを兼ね備えながら考えていかなければならないのではないかと思います。そういう意味におきまして、できるだけこの際は本年度の大幅な減税の効果というものをあたためながら、そうして来年度の税制改正の時期における物価動向の把握というものを考えて、最小限度の問題として考えなければならないのではないかというふうに思っております。
 次に、相続税の問題でございますけれども、相続税の状態を見てみますと、最近の特に土地の価格の上昇が一番大きな原因となりまして、かなりの程度の課税が行なわれる事態になっております。昭和四十一年におきましては、被相続人百人の中で一・四人が相続税の課税を受けたという実績がございます。それが昭和四十七年になりますと、被相続人百人の中で四・四人が課税を受けたという事態になりました。そこで、相続税の課税最低限を五割上昇するということをやっていただいたのでございます。その効果があらわれてまいりまして、四十八年にはこの四・四人という数字が四・二人に下落をいたしております。
 しかし、十年もたたない間に課税人員が一・四人から四・二人に上昇しておるということは、やはり一度真剣に考え直してみなければならない問題だと思っております。もちろん相続財産がだんだん水準が高まってまいりますれば必ずしも従来のままの課税の水準を保たなければならないということはないと思いますけれども、やはり最近の異常な地価の上昇ということがここにあるわけでございまするから、この際は相続税の課税最低限、必要があれば税率の緩和というような問題もひっくるめて研究、審議をお願いしなければならないと思います。
 なお、その際に、かねてからいろいろ議論がございました配偶者が相続をしました財産について、これもやはり主としましては土地の問題がからみまして、制度改正として従来二本立ての配偶者に対する優遇ということを設けていただいておりますけれども、これではなかなか現在うまく適合していないという問題がございます。この配偶者の相続についてのいろいろな要望ということもございますから、こういうことも兼ね合わせながら、あわせて検討しなければならないと思います。
 それからさらに、特に土地の問題でございますから、一番生産手段として土地を多く持っておる農業、農地の相続税の問題がございます。これも、市街地なり都市近郊の農地というものが現実には非常に高い価格で売買をされておりますから、やはりその近傍にございます農地というものが相続をされましたときの評価というのは相当高くならざるを得ません。従来からも現に相続をされておる農地の評価につきましてはかなりのしんしゃくをやってきておりますけれども、とてもそれでは間に合わないくらいの価格の上昇でございます。一方では、これに対しまして収益還元でもって評価をしろという要望が非常に強くなされております。これに対しましても、いろいろ相続財産の評価について、はたして収益還元でいいのか、やはり現在のようにあらゆる財産について処分価格をもとにしました時価というものをもって評価するのがいいのかという問題になりますと、必ずしも高いからといいまして収益還元法則を適用するのもむずかしいのではないかと思います。
 それからまた、市街地におきますところの中小企業が事業用地として持っておるものあるいは市街地の中で居住用として持っておる土地の問題、こういうものについてもかなりの相続税課税が行なわれておるという事態について、今後あわせましてやはり検討はしなければならないというふうに考えております。
 それから、いま御指摘のように、税制の公平という観点をもっと強める意味におきまして、従来から不公平といわれておるいろいろな制度についてどういうふうに考えるかというお尋ねでございますが、私どもも常々、租税特別措置につきましてはその効果というものを十分見きわめながら適宜の改廃を行なわなければならないという態度を続けてまいりました。ちょうど来五十年の年末に利子配当の課税の特例、土地の譲渡所得の課税の特例の期限が参るときでございまするから、この年末におきましてはこの問題についてどういうふうにするかということをきめまして、必要があれば所要の改正案を御審議していただかなければなりません。これにつきましても、現在利子配当の課税の特例が一体いまの経済状態のもとにおいてどういうような効果を持つのか、そのメリット、デメリットを検討中でございますし、土地の譲渡所得につきましてもこの制度が採用されました四十五年以来の土地の譲渡の実績を中心に検討いたしておりますけれども、いずれにしましても、これらは先ごろ発足をいたしました税制調査会においても十分の御議論を経て結論を出さなければならないと思っております。
 社会保険診療報酬の問題につきましては、これはちょうどその制度ができまして本年で満二十年が経過いたしております。常々その改廃是正について税制調査会から答申が行なわれてまいりましたけれども、今年は具体的なものの考え方が先ごろの調査会において答申として示されました。いわゆる実際の経費率とその上に収入階層に応じて逓減します特別控除というものとをかみ合わせてこの問題を最近の所得税制の推移の中で考えてみてはどうかということでございます。私どもも、その実際の経費率が、特に収入規模におきましてあるいは診療科目におきまして若干のばらつきが見られますけれども、それを概括的に一本に法定するというときには一体どの程度の率がよろしいか、あるいは特別控除率ということを考えます場合にどの程度の収入金の階層についてどの程度の率を適用することがよろしいのか、それによりまして現在の七二%の適用を受けておる社会保険医の中で一体どの程度のウエートの人たちが、現在と比べてこの程度の負担に変動するというようなことを見きわめて、数字を具体的に盛り込まなければならないことになっております。これにつきましても、もちろん新しい税制調査会で御議論もいただきますけれども、これもできますれば本年末までに結論を得まして、国会の御審議を仰ぎたいと思っております。
この発言だけを見る →
村岡兼造#8
○村岡委員 次に、住宅ローンについて質問をいたしますけれども、貸し出し抑制の方針によって、なかなかこの住宅ローンが借りられない、こう伝えられておりますが、国民の住宅への願望を考慮してできるだけ配慮するよう金融機関を指導していくべきだと思うけれども、どういう方針でございましょうか、お尋ねをいたします。
この発言だけを見る →
大平正芳#9
○大平国務大臣 仰せのように、住宅ローンも、景気調整と申しますか総需要抑制政策のらち外にあるというわけにまいりませんのでございますけれども、金融機関を督励しまして、この総需要抑制のワク内におきましてもできるだけ多くの金が住宅ローンに回るように指導をいたしておるわけでございまするし、またそういう実績も漸次出てきておるわけでございます。今後一そう力を入れてまいりたいと思っております。
この発言だけを見る →
村岡兼造#10
○村岡委員 インフレをとめるために総需要抑制という政策をとっておりますけれども、金融の逼迫感が非常に強まっている。その反面、物価は上昇している。また、物によっては最高時の半分の値段になった、あるいは三分の一の値段になった。それから他方では、大企業あるいは大会社の給料は上がるけれども、中小企業や零細企業の賃金というものは上げられない。したがって、親方日の丸のところは非常にいいのですけれども、ほんとうの零細企業のほうは総需要の抑制によって物が売れなくなった。したがって相当な、首切りまでとは申しませんが、いまそういうような状況になっておる。アンバランスが非常に出ておるわけでございます。このような状況にあって、今後の金融政策、かじ取りについて、特に金融の引き締めの長期化で繊維あるいは建設業、中小企業では不況感が強まっており、これら業種あるいは中小企業に対する金融には万全を期すべきだ、こう思います。同時に、ただ金融だけでこの状況が救えるのかどうか、こういう考え方もありますが、これらの点について大蔵大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
この発言だけを見る →
大平正芳#11
○大平国務大臣 いま御指摘のように、総需要抑制策の浸透によりまして金融の逼迫感が強まってきておることは御指摘のとおりでございます。日銀券の供給量、それから預金通貨も含めてのマネーサプライの伸びが鈍化しておりますことは明らかになってきておりますし、また貸し出しの約定平均金利も非常な高水準に達しておるわけでございますし、また企業の手元の資金の流動性というのも、最近とみに低下してきておることも統計上明らかでございます。
 こういう状況でございまして、いま御指摘のように、業界の部門によりましては相当深刻な事態が出てきておるということも私どもよく承知いたしておるわけでございます。したがって、政府としては、そういう健全な中小企業等が金融引き締めの結果不当なしわ寄せを受けるというようなことにはならぬように常に配慮いたしておるわけでございまして、一般の金融機関に対しましてはこれについて御協力を求め、また御承知のように、ことしの初めから三千二百億の特別融資のワクも自発的に設定していただいて、問題の業界につきましての手当てを急いでおりますことは御案内のとおりでございますし、政府関係機関の資金は第一・四半期も既定予算に増ワクをいたし、九月にはさらに第二回の増ワクをいたしておるわけでございまして、この年末にかけての金融につきましては目下中小企業庁と相談を始めさせておるわけでございまして、機を逸せず対策を講じていきたいと考えております。
 しかしながら、そういうことはできるだけきめこまかく周到にやってまいるつもりでございますけれども、総需要抑制策という基本的な姿勢はあくまでも堅持してまいる必要があると政府は考えておるわけでございますので、その点につきましては、国会におかれましても御理解をちょうだいしておきたいと思います。
この発言だけを見る →
村岡兼造#12
○村岡委員 人事院勧告の実施の問題で、いままできまらなかったわけでございますが、新聞には公務員給与の三二%引き上げ、二十一日閣議決定、完全実施と、こう書かれておりますが、大蔵大臣の所見を伺いたい。
 同時に四十九年度の補正予算の規模及び内容はどのようになるか、現段階での見通しを明らかにしてもらいたい。
 きょうの新聞でございますか、各地方公共団体は、小中学校のあるいは社会福祉施設工事費上昇の状況にあり、超過負担の解消を非常に要望しておりますけれども、補正予算で軽減措置をすると大蔵大臣が指示をしたと書かれておりますが、こういうような点も含めて、二点について所見を明らかにされたいと思います。
この発言だけを見る →
大平正芳#13
○大平国務大臣 この夏人事院から寄せられました勧告でございますが、その処理がたいへんおくれておりますことは恐縮いたしております。何さま今度の勧告は高率の勧告でございまして、その実行につきまして財源その他いろいろ検討を要する問題がございましたので決定がおくれておったわけでございますが、ようやく見当もついてまいりましたので、十月二十一日の給与関係閣僚協議会で完全実施の方向で御相談をいただき、越えて二十二日の閣議で御決定をいただきたいと考えております。これは何さま高率高額でございますし、財源上も問題がございましたので、既定経費がどれだけ御節約をいただけるかというような問題、それからすでに政府でもきめておりますように、定員の計画的な削減という問題にどこまで真剣に取り組んでいただけるか、そういったものも固めたかったわけでございますし、また給与の支払いの方法等はインフレを刺激しないように何かくふうができないものかというような点も検討いたしておったわけでございまして、そういった問題につきましてほぼ見当がついてまいりましたので、いま申しましたように二十二日には完全実施を目途といたしましておきめをいただくつもりでおります。
 第二の御質問でございますが、政府の補助事業、負担事業の超過負担の解消でございますが、これはいま自治省その他関係各省の御協力を得まして、四十八年度の実績を調べてきたわけでございまして、いまほぼ出てまいりましたので、その結果を解明中でございます。したがって、その結果が解明されて、どうしてもこの際来年度を待つことなく措置すべきものがあるとすれば、これは補正予算で措置せなければならぬと思っております。
 幸いに、ことしの三月をピークといたしまして建設資材はやや微落の傾向を示しておるわけでございまして、資材面からの大きな問題は私はないと思っておりますけれども、工事関係の人件費等で相当負担が重くなっておる向きもありはしないかと心配いたしておりまして、実際の実情をよく調べまして、措置すべき必要があるものにつきましては、来年を待つことなく措置して差し上げなければ済まぬのではないかと考えておりますが、いまやるべきかやるべきでないか、それからやるとして、どの程度どういう費目についてどうするかというようなところまでは、まだ詰まっていないわけでございます。
この発言だけを見る →
村岡兼造#14
○村岡委員 いまの超過負担の問題でございますが、やるべきであるかそうでないかまだ決定していない、しかし、地方においては強く要望され、そしてまた、ある県の例をとりますと、県税の税収は昨年度より二十二億円伸びた。ところが、人事院勧告の実施によって、その分だけで百六十億円出さなければならない。いろいろな措置がなければ実質何も事業ができない、そういうような観点からひとつ十分にこの超過負担というものを検討していただきたいことを要望しておきたいと思います。
 同時に、最後でございますけれども、来年度、五十年度の予算編成の基本的考え方、先ほども総需要抑制は堅持というお考えは承りましたが、この点と、いろいろな観点から福祉予算も極力圧縮というような大蔵省方針、あるいは新規の政策は認めがたいというような見出しで新聞には出ているわけでございますが、五十年度予算編成に対する基本的な考え方についてお伺いいたしたいと思います。
この発言だけを見る →
大平正芳#15
○大平国務大臣 五十年度の予算でございますけれども、まだ歳入面も歳出面も不確定要素がばかに多くて、一つの展望をおぼろげながらも描く段階にまで至っていないわけでございます。ただ、いま村岡さんの御質問は、基本的態度はどうかということでございます。
 そこで、それは申すまでもなく、われわれといたしましては予算の規模というものを極力抑制的にしぼっていきたいと考えておるわけでございます。総需要抑制策と申しましても、そのうちの一つの大きな柱は予算規模を押えていく、財政によるサービス並びに財貨を押えていくということであろうと思うのでございまして、その点は貫いてまいりたいと思います。
 ことしの予算は、前大臣たいへん御苦労されて二〇%以下の規模で押えていただいたわけでございます。ところが、その後いろいろ人事院の勧告を受け入れる、あるいは食管繰り入れあるいは社会保険診療報酬といったその後明らかになりましたようなもの、それからすでに国会を通じて政府がお約束しているような当然増の経費を盛り込んでまいりますと、このまま何も新規の政策をやらなくても予算の規模は二五%をこえるというようなことになりそうでございます。これは容易ならぬことでございまして、これをさらに切り込んでいくということは非常に難事中の難事だと思っております。
 したがって、あなたの言われるように、新規の政策経費をどう生み出していくか、相当老朽化した経費は御遠慮いただいて、それを新規のものに切りかえていくというようなことをどんどんやっていただけると非常にしあわせでございますけれども、一たん入りました経費というものを御遠慮いただくというようなこともなかなかむずかしい作業だと思います。したがって、これは容易ならぬことだと思いますが、できるだけ抑制的な性格のものにし規模のものにしてまいりたいと思います。
 そして、できれば財政の公債依存率も下げていく方向でインフレに対処しなければならぬのじゃないかと考えておるわけでございますけれども、いま申しましたように、まだ歳入歳出とも不確定な要素がたいへん多うございますし、歳入面におきましても四月、五月、六月、七月、八月という五カ月の集積だけしかまだ出ておりませんので、これだけの実績を踏まえてことしの税収はどの程度になるかという見当をつけるにはまだ時期が熟していないというようなこともございまして、大筋で間違いない展望を本委員会でまだ申し上げられないことは御了承いただきたいと思います。
この発言だけを見る →
村岡兼造#16
○村岡委員 以上で質問を終わりますけれども、来年度の予算の問題で、いろいろな国民の意見が聞かれます。労組や何かはとにかく秋闘を通じ、来年度の春闘を通じてますます大幅な賃上げという要望を掲げております。そちらのほうはそちらでいいでしょうけれども、中小企業やあるいは零細企業は、来年度も三〇%やあるいはそれ以上の賃上げをされたらとてもついていけない、同時に物も売れなくなる、一体われわれはどうしたらいいのか。官公庁とかあるいは大手はいいにしても、弱小企業、こういうものの従業員あるいは企業主は一体どうしたらいいのか。相当倒産もふえておるようでございます。単に構造的な問題とかあるいはまた放漫経営だというばかりでない状況が出てきておりますので、その点も十分に考慮に入れながらひとつ来年度の予算を決定していただきたい、こういうことを要望いたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →
安倍晋太郎#17
○安倍委員長 山中吾郎君。
この発言だけを見る →
山中吾郎#18
○山中(吾)委員 大平大蔵大臣は前外務大臣で、安保体制のまま日中平和の道を開いた。二律背反的な問題を大平さん一流の行き方である意味において解決をされた人であり、また将来総理大臣への最短距離に立つ数人のうちの一人であると私は思っておるわけでありまして、また世論では、田中さんには哲学がないが、大平さんには大平さんの政治哲学がある、いぶし銀のような人柄とか、大平国務大臣に期待するものが非常に多いのではないかと私は感じておるわけであります。そういうイメージを頭に置きながら、大平大蔵大臣に総論的にまず御質問いたしたいと思うのであります。
 大平さんはわれわれ議員に、これは大平派で演説をされたパンフレットだと思いますが、「新しい社会の創造 量的拡大から質的充実へ」というこれを配付して、読ましていただきました。こういう考えのもとに大平財政が具体的にどう展開するかということを私は期待をいたしております。
 ちょっと一読いたしますと、現代に対する認識を変革期と認識されて、そして外交、内政についての質的な創造的な発展をはかるべきだという御認識のようであります。これからの大平財政の方向を見定めたいので、大平さんの腹中にある、これからの国際的、国内的な日本の変革の方向をどういう方向に定めておられるのか、それをお聞きいたしたいのです。
この発言だけを見る →
大平正芳#19
○大平国務大臣 日本は四つの島で一億一千万という人口が相当密度の高い経済社会の生活を営んでおるわけでございまして、しかも資源らしい資源はほとんど見当たらないわけでございまして、あるものというのはわれわれの頭脳であり、労働力であり、われわれの根性と申しますか、そういう国民の持っておる国民的活力以外に見るべき資源はないという国柄でございます。したがって、そういう日本の国柄を踏まえまして世界社会の中で名誉ある生存を維持すべきである、それよりほかに分別はないと思うのでございますが、それにあたりましては、世界に対しまして日本が平和を愛好し尊重する国民である、世界のためにいろいろ考え、はかっておる日本である、日本があることは世界のためになるのだという国として歩んでいかなければならぬと思うのであります。
 それから第二に、やはり国内におきまして、そういう資源的制約、環境的な制約、その他もろもろの社会的な制約の中で、何かわれわれの分別で秩序をつくり出しましてしあわせを追求していかなければならぬと思うわけでございますが、それは民主的な各人の活発な、自発的な創意が生かされるようなそういう自由な方法において追求していくことができれば非常にしあわせと思いますし、そういう方向でわれわれは努力してまいらなければならぬのではないかと思うのでございます。
 お話がたいへん大きなお話のようでございまして、どのようにお答えしていいのか、私もちょっと見当がつかぬのでございますけれども、感想を申しますとそういうことでございます。
この発言だけを見る →
山中吾郎#20
○山中(吾)委員 もう少し具体的に大平哲学を出されるかと思って期待しておったのですが、私、大平さんの配付されたパンフレットを見ますと、非常に整理をされた、わりあいに具体的にお話しされておるものですから、公の機会にひとつ大平哲学を聞きたいと思ったわけです。
 この文章を見ますと、一ページに「資本主義とか社会主義とかいう既成の硬直化したイデオロギーに捉われることなく、日本と日本の現実を主体的に考え始めた。」という観察をされておるわけですね。これで何か日本の第三の道を大平さんは考えられて、いわゆる硬直化した資本主義自由経済の中で所得の格差は幾ら拡大してもいいようなそういう古典的な資本主義も考えない、しかし自由を拘束するような独裁的な社会主義体制も考えない、第三の日本の道をお考えになっておるのか、文章では明確になっておらぬものですから、この機会に、次の総理大臣の最短距離にある数人の一人でありますから、ひとつ堂々とお答え願えればと思ってお聞きしたのですが、答えられますかな。
この発言だけを見る →
大平正芳#21
○大平国務大臣 私は学者でございませんので用語が必ずしも正確であり的確であるという自信はないわけでございますけれども、資本主義とか社会主義とかいいますけれども、これは理念の問題でございまして、現実の世界、現実の日本は、たとえば資本主義社会であるなどということは間違いで、必ずしも正確でないと思うのでございまして、いわば一つの混合体制と申しますか、資本主義的な要素も幅広くございますけれども、社会主義的な考え方でいろいろなことが行なわれておる混合体制だと思うのでございます。
 われわれは、それは気に食わぬとか気に食うとかいうことではなくて、問題は国民の福祉をどのようにして最高度に具現していくかということを考えればいいわけで、イデオロギーに特にかたくなにこだわる必要なんかないんじゃないかという感じを申し上げたわけでございまして、国民もまた生活者として、もうむずかしい理屈はわからぬけれども、そういう現実的な福祉というものを追求しておられるのではないかと私は見ておるわけでございまして、そういう国民の欲求というものにこたえなければ相済まぬのじゃないかと私は思います。
この発言だけを見る →
山中吾郎#22
○山中(吾)委員 確かに日本列島は、人類ベース、世界ベースで考えなければならぬ問題は全部集約されておると思うのです。人口問題は世界第一の密集地であるし、資源はない、環境は模範的に破壊されておる。インフレは世界一といってもいい。食糧は外国依存で、自給体制が問題になっておる。したがって、人口、資源、食糧、環境、インフレ、いま国際会議で問題になっておる五つの問題は日本列島に集約されて、おのおの全部マイナスの模範的な姿にあるので、私は、大平大臣が現在変革期にあるということを具体的に見つめられて、いまのように第三者的表現でなくて、主観的にこうなければならぬという一つの心境のもとに表現されたのではないかと実は期待しておったのですが、そこは大平さんのいつもの慎重な表現で言われたと思いますけれども、もう少し認識を深刻に考えて、現在の日本の現状と日本の進む方向については深化をして具体的に財政に表現するようにしていただきたい、こういう期待で申し上げておるわけなんです。
 同じ思想がずっとありまして、そのあとにも「土地をはじめとする富の配分その他に伴う社会正義の問題が真剣に問われるようになった。かくて我々は生産者指向に偏りがちであった従来の政策視点を生活者指向に移行させ、いわゆる生活の“量的拡大から質的充実へ”と転換しなければならなくなった。」との認識をされておるので、相当重大な決意をされておるのではないか。そしてその次に、さしあたり何よりも急務はインフレの収束であるという認識を、文章をずいぶん整理されて書かれておるのでありますが、これは大平さん自身の文章でしょう。人が書いたのではないですね。
 そこで最後に、私は経済と教育というものは目標において一致させるべきだという信念を持っておるものですから、これは私にとって大事なんでお聞きしますが、「我々が目指す社会は、個人の多様な価値観を実現し得る自由な社会であると同時に、社会的公正の貫かれた社会でなければならない。また、高い福祉水準を保つとともに、すべての構成員が活力と生きがいに充ちたものでなければならない。さらに、物心両面にバランスのとれた健全さを維持する社会でなければならない。これらの二律背反的な課題を同時に解決し、調和せしめる社会は、人類の理想でありながら、かつて、いかなる国もその実現に成功したことのない課題である。」これを実現するのがわれわれ日本の課題であると言われている。
 そういう意味において、自由と平等というふうなものの調和のとれた何か第三の社会が大平哲学の中に柱として立っておって、いままで二律背反的に不毛の論議がされておることに対する反省と何か大平さんが政治哲学をしっかり持ってこれに書かれたと見て、公の席上でもう一度確認をしておきたいと思って一応最初にお聞きしておるわけでありますから、これは大平さん自身の世界観であり、人生観であり、政治哲学だと思うのですが、そういう立場に対してもう一度大平さんの心境をお聞きしたいと思うのです。
この発言だけを見る →
大平正芳#23
○大平国務大臣 御指摘のように、その文章は私が乏しい頭で吟味してつづった文章でございまして、全責任が私にあるわけでございます。
この発言だけを見る →
山中吾郎#24
○山中(吾)委員 文章は大平さんの人生観、世界観、政治哲学そのものでしょう。それをお聞きだけしておきましょう。
 そういう立場に立って、まず大平財政が国民にわかりやすくこういうふうに変えていくのだと示すのには、税制の再検討が一番わかりやすいのではないかと私は思うのです。税金の使い方、すなわち予算はなかなかわかりにくい。使う者は指導者であり、地方自治体の首長であるし、国民自身はどういうふうに税金が使われておるかということはなかなかわかりにくい。予算よりも税金の取り方、一人一人取られる立場でありますから、国民に政治姿勢を示すのには税制のあり方が一番わかりやすいのではないかと思うのです。そして現実に政治に対する不信感は、税が高い低いではなくて、不公平だということが国民の政治不信の一番のエレメントになっており、しかもその不公平感は、大企業に、資本に有利であり、一般の市民には不利だというところにある。現在の政治に対する不信感、あるいは政権をとっておる自民党と企業の癒着といった批判はそういう不公平感から出ておると思うのです。だから税制のあり方で示されることが一番近道であると思うのですが、いかがですか。
この発言だけを見る →
大平正芳#25
○大平国務大臣 山中さんが御指摘のように、税、税制は政治のいわば柱といたしまして、私はあなたと同様に非常に高いウエートを持ち、座を与えていただいてしかるべき領域だと思うのです。そして庶民から見て現実の政治を評価する場合に、税にあらわれた正義感とか能率とかいうものをやはりよく見ておると私は思うのでございまして、そういう意味ではあなたの御指摘のとおりだと思うのです。したがって、税が公平に、税制が公平に編まれて、そしてしかも、それが公正に施行されていくことを保障することは、非常に政治の重要な任務だと私は思うのです。
 そういうような観点から見ますと、私は日本はそんなにお恥ずかしくはないと思っております。これだけの巨大な税財源をともかく国民の御理解を得て、いろいろな問題はございますけれども、五万の税務職員に徴収していただいておるということは国の活動の非常に重要な柱になっているわけでございまして、ありがたいことと思っておるのでありますが、しかし、いま御指摘のように、現実の税制は非常に不公正じゃないか、あるいは大企業に偏重しているのではないかという御指摘があることも万々承知いたしておるわけでございます。しかし、これは単に観念論でなくて、この税制の歴史的な歩みの中でなぜそういう措置が税制上とられたかという背景をやはりお互いに振り返りながら評価する必要があると思うのでございまして、その時点におきましてはそれだけの役割り、任務を持った措置がとられたと思うのでございます。
 しかし、一たんそういう措置がとられますと、それを是正するということは容易ならぬむずかしいことであることもまた御指摘のとおりだと思うのでありまして、すでに時代おくれになった老朽化した制度をそのまま既得権を守るために温存しておくなどということは非常に許されないことなのでございまして、そういうことが現在の税制の中であぐらをかいていやしないか、かいておるというのであればそれを除去してまいることに勇敢でなければならぬと私は思っておるのでございますが、ただ観念的に大企業偏重である、大企業中心である、大企業の利益に奉仕しておる、大企業と癒着しておるというような、そういうきめつけ方に対して、私も正直に言って若干抵抗を感じるのです。そんなにふまじめに私どもはやっておるつもりはないわけなんでありまして、もっと具体的に国会等を通じまして十分事態を究明していただきまして、もし社会的公正の立場から、そして今日の客観情勢に照らして、こういう制度がまだまかり通っておるというようなことは許されないというようなものがございますならば、やはり勇気を持って直していかなければならないと私は考えております。
この発言だけを見る →
山中吾郎#26
○山中(吾)委員 私は現在の税構造の中に、純粋の財源税でなくて、政治の基本政策があってその政策に貢献する政策税ですね、それがだんだんと多くなり、税制としてはある意味では進歩だと私は思っておるのです。きっちりした政策のもとに一つの税構造が生まれてくる。それがいままではいわゆる経済成長型の税制として進んできたのであって、結果論として大企業優遇ということになっておる批判が、企業との癒着ということばで表現をされておると私は解釈いたします。しかし現在、石油ショック、その他インフレ問題から富の格差も拡大をする。インフレのもとに不公平がだんだんふえてきておるということから、与党も、世論も、あなた自身の文章の中にも、福祉型に転換すべきだということはどこへいっても言われておる。それを具体的に、成長型税制から福祉型税制に移すということを国民が肉眼でよく見えるように出すべきときではないか、こういう意味で申し上げておるのです。
 そこで、伝統的ないわゆる経済成長型という政府の目的のもとに設定された各種の税制の中に、福祉型の立場から見るとまことに不公正な税制が残ってきた、それを直ちに改正するのは非常にむずかしいことはわかります。その中で、三大不公平税制としてどこに行っても言うのは、一つは大法人の逆累進税の問題、その原因の一つは経済成長型税制の特別措置からきておる。それから第二は、いわゆる利子配当の分離課税、最近そこへ土地譲渡税の分離課税も入りましたが、分離課税制。それから第三に医師のいわゆる必要経費一これが税環境を非常に悪くしておるということを、末端で苦労しておる税務署の行政官自身が、いつもわれわれが悪事をなしておるといわれる原因の三つとして訴えるものでもあり、これはもう世間の常識になっておる。
 この三つの是正に着手をするということが国民に対する政治姿勢を改める一番近道であり、また福祉型税制の姿を見せるためには、この三つの問題をそのままにただ見過ごしていくということではいけないのではないか。この三大不公平是正に大平大蔵大臣は着手する決意をここで表明できますか。
この発言だけを見る →
大平正芳#27
○大平国務大臣 いままでの戦後の日本政府の政策の基調には成長主義と申しますかがあったのではないかという御指摘、そのとおりだと思うのでございまして、廃墟から立ち上がり、また資本が壊滅して蓄積が全然ないところから経済の復興を始めたわけでございまして、われわれは御案内のように、二十年、三十年、四十年代を通じまして、ときにいろいろアクセントの置き方は違いましたけれども、わが国の経済の復興、曲がりなりにも骨格をつくり上げていこうということで一生懸命になりまして、税制もまたそういう観点から立案された面が相当あることは御指摘のとおりでございます。しかし、いまそういう成長主義というようなものはもう望んで望めなくなってまいりまして、資源的な制約あるいは環境上の制約、労働力の制約、その他社会的ないろいろな制約がございまして、望んでも成長はおそらく低成長なものしかできない状態になったといたしますならば、そういう状況の中で税制はどうあるべきかという点につきましてこれを洗い直してみるという必要は、山中さん同様に私も痛切に感ずるものでございます。
 いま御指摘の税制上の三大矛盾、それはあなたから初めて聞くのですけれども、私、そういう見方もあるのだろうと思いますけれども、それについておまえどう思うかというお話でございますが、原則として、そういうふうに時代、環境が変わってまいりましたので、税制上もそういう変わった立場から見直してみる必要があるという一般論は、私はお約束できるわけでございますが、いま言われた三大矛盾というものについて、いま具体的にお答えをする用意は実はないのです。
 というのは、いま御案内のように、政府も税制調査会というものをお願いいたしまして、各界の有識者にこの間検討をお願いしたばかりでございます。もちろんわれわれも部内におきまして、この御審議をその方々にお願いしてこちらはたばこを吹かしておるというわけのものでは決してないので、勉強していかなければならぬと心得ておりますけれども、まず政府といたしましては、税制調査会の御意見も十分聞かなければいかぬ。それからわれわれの与党におきましてはすでにもう討議が始まっておるようでございまして、そういう方々、そういう機関の御意見も十分私は聞いた上で、責任者といたしまして決断しなければならぬわけでございますので、いまそういう段階を経ない前にあれこれとまだ熟さない意見を申し上げますことは、私はかえって非礼だとも思いますので、一般的な心がまえは山中さんと私は共通なものを持っておるわけですが、具体的な案件についての具体的な返答というものは、しばらくいろいろな手順を踏んだあとでお願いをいたしたいと思います。
この発言だけを見る →
山中吾郎#28
○山中(吾)委員 次の新しい国会開会中に具体的な大蔵大臣の答弁が出ることを期待しておきますが、いまここで直ちには要望いたしません。
 ただ、法人の累進税については、東京都の調査で逆進の結果が出た。これに対して大蔵省から、それは資料の選択のしかたから少し誇張が入っておるという異議の申し出があった。しかし、最近大蔵省からも、大法人は小法人に比べてこの特別措置の引き当て金、準備金全体を考えていくとそういう方向にいっているという具体的な資料も出ておるようであります。したがって、その上に立って大蔵省も、これ以上法人税率を上げるのじゃないのです、そうでなくて、逆累進税の姿を是正するという点については具体的資料があるはずでありますから、大臣が検討されることを要望しておきます。
 それから、いわゆる医師の必要経費はすでに税調から答申が出ておる。新しい小倉税調でなくて東畑税調から出ておるのですよ。それに従って着手をされるかどうか。これをあえて私が申し上げるのは、医師会のほうからいつも政治的な圧力が加わって、いつの間にか行くえ不明になっていくので、前回の場合に本委員会で附帯決議をしている、そして税調の答申も出ておる。答申の中身その他については各論的に局長その他に次の機会にまたお聞きしたいと思うのでありますけれども、この点は実行されるかどうか、それだけお聞きしておきたいと思うのです。
 いろいろむずかしい問題があると思います。私は国民の立場から言えば、医師に対する点数その他の対策について検討する厚生行政とは別に、税制としてはやはり国民の立場に立って不公正のものは是正するということをできるだけ貫くようにすべきであって、新聞の論調を見ましても、大蔵省の税制は医師の必要経費については敗北の歴史であると書いている。その点について、明確にこれだけは御答弁願えるのじゃないか。
 それから、利子配当分離課税については、これも成長型税制からきたのであって、国民の貯蓄心理からいいますと、利子配当分離課税にしてもしなくてもそう影響がないということは、これも資料その他が出ておるので、この時限法で期限が切れる段階においてやはり再検討するぐらいのことは、局長でなくて大蔵大臣として御答弁してしかるべき段階にもうきているのではないか。いかがですか。
この発言だけを見る →
大平正芳#29
○大平国務大臣 社会保険診療課税特例の改善につきましては、御指摘のように、税制調査会から御答申をいただいております。しかし、これには考え方が述べられておりまして、そういう考え方に基づいた数字はまだ埋められていないわけなんでございます。したがって、政府がそれを埋めて実行するように進むように期待されておると思うのでございまして、いま私どもはそれの数字的な検討をいたしているところでございます。それで、新しい税調も先般発足をいたしたわけでございますし、そういう税調の御意見も伺い、与党側の御意見も伺いながら、年末までには結論を出さなければならぬのじゃないかと考えております。
 それから、利子配当分離課税の取り扱いの問題でございますが、これは御案内のように、もういやおうなしに五十年末までの待ったなしの課題になってきておるわけでございまして、この間税調の初会合におきまして特にその点御指摘申し上げまして、急ぎ御検討をいただくことをお願いいたしておるところでございまして、これも早急に結論を得るよう御審議を願いたいと考えております。
この発言だけを見る →
← 戻る