中橋敬次郎の発言 (大蔵委員会)

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○中橋政府委員 執行上の問題でございますから、もちろん仮にそういう税目を実施しなければならないという事態になりますれば、あらゆる努力を公正な執行の確保という点から考えてみなければならないことはおっしゃるとおりでございます。ただ、そうしました場合にも、やはり執行上どの程度その公正さが円滑に実施、確保できるかという危惧を持っておりますので、執行上の難点としていろいろ申し上げたわけでございます。
 それで、確かにおっしゃいますように、もちろん過去におきましても、いまお話しのように、調書というものでできるだけ税務署が把握しやすいような体制というものをとりましたし、おそらくそういうことも、おっしゃいますような事態になれば必要になることはもちろんでございます。しかし、そのときにやはり一番問題になりますのは、いま御指摘になりましたように、一つは無記名の問題がございます。それで、無記名はもちろん預金もございますけれども、無記名の債券もございますから、預金といたしましては、いまの預金の総量の中で無記名預金というものの占める地位はそんなに高くはございませんから、むしろ問題は無記名債券の存在ということではないかというふうに思います。
 それから、むしろそれを上回りまして、これもおっしゃいましたように、架空名義によりましていろいろなそういった資産を保有されるという心配、これはあに富裕税の問題に限りませんで、現にわれわれが前々から申し上げておりますように、今日の所得税におきましても非常に悩んでおる問題でございます。これを一体どういうふうにすれば公正な真実の資産所有というものを把握できるか、その道を今後ともわれわれとして研究をしなければならないと思っております。確かに真実の所有者を発見するためには税務官吏をふやすことだけによりましては解決しない問題でございまして、これは制度の問題としまして、預金を受け入れする側、現実に預金をする側の、またそういった総合的な制度としまして、なるべくはそういう架空名義の存在を許さないというような方途を講じなければならないと思っております。
 それから、コンピューターというお話もございました。確かにコンピューターと申しますのはそういう架空名義の存在をできるだけ小さくすることによりまして、しかもいまお話しのように、調書をできるだけ正確に出してもらいました暁において、それをコンピューターによってできるだけ簡易に名寄せをするということが税務官署で行われればよいわけでございますが、それには前提として、私が申しましたように、架空名義の存在、無記名の存在がなくなるということがまず第一に必要となるわけでございます。
 それには制裁も確かに一つの道でございますけれども、制裁ではなかなかこういった問題は十分解明できないという悩みを私どもは持っております。今日の個人の所得税、法人税におきまして大きな脱税というのがわかるということは、やはり制裁でございませんで、何らかの端緒からそういった架空名義等で隠匿された財産を発見することが大きな手がかりでございますから、制裁でもって十分の公正さを確保できるというには、むしろその前提条件を固めることによりまして、それから本当に九十九人がそれを守っていただいて、あと一人というような段階になって初めて制裁の威力が非常に効いてくるんだろうと思います。
 そういういろいろなことを考えますれば、私どもがいま所得税で悩んでおる問題、そういうものがさらに富裕税におきましてはより一層顕在化してまいりますので、そういう点が私どもの今後勉強しなければならない執行上の問題だというふうに申し上げてきたわけでございます。

発言情報

speech_id: 107504629X01319750304_025

発言者: 中橋敬次郎

speaker_id: 16898

日付: 1975-03-04

院: 衆議院

会議名: 大蔵委員会