大平正芳の発言 (本会議)
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○国務大臣(大平正芳君) 社会的不公正を是正するという立場から、大変ラジカルな御提案を含めての御質疑でございました。
まず第一は、勤労所得税につきまして二百八十万円まで無税にすべきでないかという御提案でございます。
たびたび本院でも御説明申し上げておりますとおり、ことし百八十三万円まで課税最低限を引き上げさせていただいたわけでございまして、これは先進国中第一位であるわけでございます。精いっぱいの努力をいたしておることについて御理解を賜りたいと思うのでありまして、一挙に二百八十万円という考えは持っておりません。
それから、利子、配当所得、土地譲渡所得の総合課税について、いつまでにどういう可能な条件をつくりながらやるかということでございます。
これは先ほど野田さんの御質問にもお答え申し上げたとおり、税源を正確にまだ捕捉するだけの能力を政府が持っていないわけでございますので、とりあえず源泉選択分離課税率を五%上げさしていただくことによって、五年間延長さしていただこうといたしておるわけでございます。しかし、私ども、これは決して総合課税を断念したわけではないのでございまして、鋭意そういう方向で努力をしてまいることは、あらゆる機会に申し上げておるところでございまして、今後一層御鞭撻を願いたいと思うのでございます。
それから、老齢給付金につきまして、全額無税にすべきでないかという御提案でございます。
ことしの改正におきまして、物価スライド方式による年金の給付水準の改定等を考慮いたしまして、老齢者年金特別控除額を六十万円から七十八万円に大幅に引き上げてございます。この結果、年金だけしかない老人夫婦の課税最低限は二百二万円まで引き上げられることになるわけでございまして、大多数の年金受給者は、非課税になるものと私は期待いたしておるわけでございます。
退職金、二十年勤続で一千万円まで非課税という御主張でございます。
五十年度改正におきまして、三十年勤続した場合の非課税限度を八百万円から一千万円に引き上げることを目途に特別控除額を引き上げることといたしております。したがって、退職者の大部分が、そういう御指摘のようなラインで救われることになるものと期待いたしております。
それから、キャピタルゲイン課税として株式譲渡所得課税を復活せよという御意見でございます。
これはいろいろないきさつがありました税制でございまして、昭和二十年代から問題になっておった税目でございますが、本来、これは譲渡益の把握はもちろん大事でございますけれども、譲渡損をどう取り扱うかという技術的なむずかしい問題もございますので、昭和二十八年に、継続的な取引から生ずる所得を除いて一般的に非課税とするという取り扱いになって今日に至ったと承っております。しかし、御指摘の問題については、なお譲渡益ばかりではなく譲渡損の取り扱い等、技術的な問題も含めて検討を要することがございますので、いま直ちに課税を復活するという考えを持っておりません。
それから、社会保険診療報酬の特別措置の取り扱いでございますが、これはたびたび申し上げますとおり、次の診療報酬改定と同時に行うということにいたしておるわけでございます。
その他、法人税率の累進制の御主張でございますが、これにつきましては、本院におきましてもたびたび申し上げておりますとおり、累進税制そのものは法人税にはなじまない制度である、これは所得が個人に最終的に帰属するというたてまえで考えられる税制であって、法人には本来なじまない制度であるということをたびたびお答え申し上げておるとおりでございます。
それから、高額所得者に対する課税が甘いじゃないかという御指摘でございますが、これは、これまでの減税の過程が基礎控除、各種控除の引き上げという姿において行われてまいりましたので、下に厚く行われてまいりましたので、高額所得者は先進諸国に比べまして、わが国はむしろ高目になっておりますので、この際、特に高額所得者に対する重課を考えていないことを御理解いただきたいと思うのでございます。
漏れたところがあるかもしれませんけれども、もし漏れたところがございますならば、大蔵委員会等で補足をさせていただくことをお許しいただきたいと思います。(拍手)