坂井弘一の発言 (本会議)
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○坂井弘一君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十年度一般会計予算、同特別会計予算及び政府関係機関予算三案に反対し、日本社会党、公明党両党共同提案の予算案の組み替え動議に賛成の討論を行います。(拍手)
わが国経済は、昭和三十年代の後半から、歴代自民党政府が強引に推し進めた高度経済成長政策の帰結として、きわめて困難な局面に立たされております。三木内閣が公約している物価の安定や、社会的不公正の是正は、文字どおり国民の一致した要請であると言えるでありましょう。その意味で、昭和五十年度予算案は、三木内閣の公約がどのように具体化されるのか、その内容に多くの期待がかけられていたことは言うまでもありません。
ところが、政府案は、ことごとく国民の期待を裏切った内容であり、三木内閣の公約である物価の安定、社会的不公正の是正も、結局は国民に幻想を持たせただけであり、全くのまやかしであることが露呈されているのであります。しかも、予算委員会でわが党が明らかにしたように、輸出保険特別会計の編成に重大な欠陥があるにもかかわらず、これにほおかむりしようとしているのも、絶対に許すことはできません。
今日のインフレ、物価高騰、一方では中小企業の倒産、失業者の増加という困難な事態を克服するためには、よほどの決意が必要であり、しかも、現実的、具体的な政策手段が要請されることは、言を待たないのであります。三木総理のように、言葉あって実行なしの姿勢では、当面する困難な事態の克服は、とうてい及びもつかないと断ぜざるを得ません。
そこで、以下、私は、政府案についての具体的な反対理由を申し述べます。
第一は、インフレ抑制と物価安定の面からの問題であります。
一般会計の伸び率二四・五%は、列島改造で悪名高い四十八年度予算の伸び率を一わずか〇・一%下回るにすぎず、しかも、予算規模を圧縮するために、剰余金からの国債償還費の削減、地方交付税精算額などの本年度補正予算での先食いを行っていることは、御承知のとおりであります。
その一方では、物価安定のための有効な具体策もとらず、逆に、公共料金の値上げ撤回という国民の強い要求を無視して、郵便料金や国立大学の入学金、受験料の大幅引き上げ、たばこの値上げさえ強行しようとしているのであります。
高度経済成長期の財政体質を抜本的に改めようとせず、予算規模を水ぶくれ的に膨張させ、各種公共料金の大幅値上げを実施したのでは、政府主導の物価上昇は避けることはできないと言わざるを得ません。
第二は、五十年度の税制改正においては、社会的公正の確保どころか、不公正が一層拡大されているという点であります。
政府の税制改正によると、所得税、住民税の減税は、物価調整減税にもならない超ミニ減税にとどめ、酒、たばこ等の間接税を増徴し、実質大幅増税を図ろうとしております。これでは、給与所得者の納税人員の増加、あるいは逆累進的な大衆の重課となることは、必至であると言わねばなりません。反面、インフレ高進による所得分配の不公正を是正せず、高額所得者に対する課税強化、利子、配当所得、土地譲渡所得に対する租税特別措置の改廃、法人税制強化等を見送ったり、実質たな上げをしようとしているのであります。
今回の税制改正は、国民大衆の犠牲において財源を確保しょうという従来の租税構造に何ら改革を加えないばかりか、さらに不公正を拡大しようとするものであり、私の強く反対するところであります。(拍手)
第三は、歳出の面についてであります。
まず、政府が重点を置いたという社会保障関係費についてであります。
なるほど、社会保障関係費は、四十九年度に比べ、あるいは他の経費に比べれば、伸び率は高くはなっております。しかしながら、その内容は、遺憾ながら既定路線にわずかの配慮をしたものにすぎません。すなわち、老齢福祉年金の月額七千五百円から一万二千円への引き上げも、二年前の田中首相の公約に二千円の増額をしただけであり、身障者、母子家庭等の各種年金の引き上げについても、ほぼ同様であります。しかも、この措置すらことし十月からの実施であります。さらに、生活保護基準の引き上げ、在宅重度心身障害者関係の介護手当の新設も微々たるものであります。
これでは、インフレと不況のしわ寄せを受けて苦しんでいる多くの老人、生活保護世帯、母子家庭等の切実なる要求にこたえることができないことは言うまでもありません。政府案の社会保障関係費の増額では、せいぜい物価上昇の後追い的措置としか言いようがないのであります。
社会保障政策で特に申し上げたいことは、その制度面の改善と、長期計画の策定を必要とすることであります。国民、厚生年金の賦課方式の実施、医療保険制度の改善等は、早急に実施すべきであり、これらと並んで、総合的な社会保障充実のための長期計画の策定が急務なのであります。場当たり的な社会保障政策では、真の福祉の充実はほど遠いと言わざるを得ません。政府が歳出予算の目玉であると言う社会保障関係費がただいま申し上げました程度でありますから、他は推して知るべきであります。(拍手)
中小企業倒産の激増、失業者の増加、さらには、農業の危機に対処する具体的な措置がとられていないし、住宅、公園、下水道など、生活関連社会資本の整備も、実質的には大幅に後退しているのであります。また、公害関係予算も、国民の健康と環境を守る予算とはとうてい言えない内容であり、教育予算についても、最も深刻である私学の入学金、授業料の大幅値上げを食いとめる具体策を示さず、また、国公、私立間の格差を是正する措置もとられていないのであります。
さらに、政府は、国民の多くが反対している第四次防衛計画に固執し、防衛関係予算を四十九年度より大幅増額しているのであります。新規装備費、研究費を初め、新規定員増をやることや、訓練、演習費等の大幅削減は当然なのであります。
第四には、福祉の充実と密接に関係している地方財政の危機打開にきわめて後ろ向きの予算案であるということであります。
交付税率の引き上げ措置もとらず、超過負担の解消にも何ら努力はいたしておりません。その上、政府は、地方公共団体の増大する財政需要に対する自主課税権の行使をも牽制しようとしているのであります。地方財政の危機を放置しようとする政府案に、強く反対するものであります。(拍手)
以上、政府案に反対する主な理由を申し上げましたが、予算委員会の質疑を通じて明らかにされましたことは、三木内閣の姿勢は、国民向けのポーズと実際とは大きくかけ離れ、国民に背を向けているということであります。
このことは、他の面においても、たとえば、わが党が予算委員会の審議の中で、米軍のわが国への核持ち込みの事実を、具体的な公式文書をもって明らかにしたにもかかわらず、三木総理は、かかる重大問題の徹底的解明を図ろうとする姿勢さえも示さず、ただ米側の説得力のない回答でその場を過ごそうという、国民世論を全く無視した態度をとっていることなどとあわせて明らかであります。
核兵器の日本への持ち込みの疑いはますます濃厚となったと言うべきであり、また同時に、事前協議制度や日米安保体制の持つ危険な実態と、わが国政府の欺瞞的な本質が明確になったと言えるのであります。
わが党は、国民に背を向ける三木内閣の姿勢を厳しく追及するものであり、国民不在の政府案に強く反対するものであります。(拍手)
したがって、国民無視の政府案を大幅に編成替えをする必要があり、インフレ、物価高の抑制、総需要抑制の質的転換と中小企業対策の強化、不況打開、雇用の安定、地方財政の危機打開と超過負担の解消、公平な税制の実現と国民福祉の飛躍的拡大、農漁業の基盤整備と公害防除、環境保全を基本とした、日本社会党、公明党の共同提案の組み替え動議について賛成の態度を表明し、討論を終わります。(拍手)