安倍晋太郎の発言 (農林水産委員会)
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○国務大臣(安倍晋太郎君) 私が攻めの農政ということを言いましたのは、私が農政を担当するに当たりましての農政に対する私の心構えといいますか、政治姿勢といいますか、そういう立場から言ったわけでございますが、それはやはり今日の農業を取り巻く情勢というものに対する認識から出たわけでございまして、まず第一に、やはり国際的にこの数年来食糧事情が変化をしてまいりまして、国際的な食糧の不足というのは恒常的に続いていくのではないかという客観情勢が生まれたわけでありまして、数年前までは食糧は金さえあれば外国からどんどん安く買えるというふうな時代であったわけですが、今後はそういうふうにもまいらぬだろうというふうなことであります。
それから第二番目には、次にはやはり国内における経済情勢が変化をすることになってきておる。すなわち高度成長から安定成長の方向へ経済の路線が切りかえられていく、こういう経済情勢の変化。高度成長の時代におきましては、確かに一面においては高度成長という関連において、農村における農家の所得もある程度向上いたしましたし、生活水準も上がったと思うわけでございますが、しかし反面、農村におけるところの労働力が非常な勢いで流出をして過疎といったような現象も出てまいりましたし、あるいは土地、特に農地の壊廃が高度成長の中で非常に進んでしまった、そういうふうな高度成長におけるいろいろ農村におけるひずみが出ていることは事実である。そういう中にあって、農家において生産意欲というものがどちらかといえば失われがちになってきておる。こういうふうないわゆる農業の高度成長におけるいろいろなひずみと、これを今後は安定成長という方向へ経済が切りかわっていくわけでございますので、こうした世界的な食糧の不足、そして国内における経済の変化というものをとらえて、国民的な認識の中にもやはり食糧というものを見直していこうというふうな雰囲気が出てきておると。こういうふうな認識のもとにやはり今後農政を進めていかなければならない。
この農政を進めるに当たっての基本的方向としては、まず第一にやはり国内における農業の自給力を高めていくということが何といっても一番大事なことじゃないかと思うわけでございますが、同時にまた世界の食糧は不足状況に入っていくわけでございますけれど、しかし、なかなか日本の農業も資源的な制約の中にあって、国内的に自給の非常に困難な、たとえば飼料作物、飼料穀物というふうな農産物につきましては、これはやはり外国に今後とも依存せざるを得ない。依存するといっても、安易にいままでのように依存するという形じゃなくて、今後とも国際協力関係を強化しながら安定的な輸入体制をつくっていくというふうな今後は農政の基本の方針のもとに農政を進めていかなければならぬ。そういうふうな農政に対する基本的な認識と基本的な政策の裏づけとして今後具体的な政策を打ち出し、いわゆる総合的な食糧政策として今後これを推進していくべき時期にいま来ておるというのが私の考えでありまして、いわば農業を取り巻く客観的な情勢は、まさに農政を転換するというふうな一つの客観的な事情といいますか、情勢というのもだんだん熟してきつつあるというのが私の考えで、そういう考え方からああいうふうな発言をいたしたわけでございます。