藤田高敏の発言 (本会議)

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○藤田高敏君 私は、ただいま議題となりました議院運営委員長田澤吉郎君の解任決議案につきまして、日本社会党、日本共産党・革新共同並びに公明党、三党を代表いたしまして、その趣旨を説明いたします。(拍手)
 具体的なその理由を説明する前に、決議案の案文について朗読をいたします。
    議院運営委員長田澤吉郎君解任決議案
  本院は、議院運営委員長田澤吉郎君を解任する。
  右決議する。
    〔拍手〕
    〔拍手〕
 以下、私はこの決議案の趣旨に沿って、具体的な解任の理由を訴えたいのであります。
 まず、その直接的な責任は、何といっても、この国会が始まりました当初、約一カ月半前にさかのぼらなければなりませんが、九月十六日、議院運営委員会理事会におきまして、いわゆる値上げ法案の処理に関する確認事項が決定をされました。
 それは言うまでもなく、政府は、いわゆる値上げ法案の提出時期については、高度の政治判断をもって行うということであります。
 いま一つの問題は、議運としては、これらの法案が提出された段階で、当然のことでありますが、その取り扱いについては従来の方法で協議する。従来の方法とは、議運の法案係において協議するということであります。この確認事項を田澤委員長みずからじゅうりんをしたということが、その責任を問われる第一の理由であります。(拍手)
 第二の理由は、九月二十六日、いわゆるこの確認事項があるにもかかわらず、衆議院規則六十七条の二によりまして、いわゆる強行採決をやったのであります。
 これまた、衆議院規則をひもとくまでもなく、六十七条の二は、「議院運営委員長は、特に緊急の必要があるときは、会期中、何時でも、委員会を開くことができる。」となっておるのでありますが、その時点において、果たしてどれだけの緊急性があったのか。委員長の職権をもって強行採決に付さなければならない緊急性は、今日の時日経過の中から判断をいたしましても、その緊急性は全くなく、まさに衆議院規則六十七条の二の乱用と言わなければならないのであります。(拍手)
 さればこそ、この責任を問われまして、今月に入って十月の十六日、議運委員会におきまして、具体的にその責任を問われたことは、議員諸君も御承知のところであります。そうして、その責任のとり方については、議運委員長はいわゆる職権をもって強行採決をし、そういう強引な議事運営をやったことは遺憾であり、陳謝するという、今日まで議運委員長が陳謝の意思表明をしたのは初めての出来事であります。そういう形で陳謝の意思表明をやったこの委員長が、さらに、昨日のこの議院運営委員会の理事会におきまして、本日の議院運営委員会並びにこの本会議の日程を強行するという暴挙に出たのであります。これは、まさにこの国会を混乱に陥れた直接的最大の原因でありまして、その責任はきわめて重大であり、田澤委員長の責任を問うゆえんのものが、ここにあるわけであります。(拍手)
 さて、私は、いま翻って考えるときに、今国会混乱の原因の政治的背景というものを考えるときに、直接的には、先ほど説明をいたしました田澤委員長の責任と同時に、この国会がかくのごとく混乱をしてまいりましたその政治的な背景というものは、まず第一に、三木内閣が全く無定見、国会運営に対する何の見通しもなく臨時国会を九月十一日に召集したところに、そもそもの問題点があったと思うのであります。そうして、この無定見な国会の召集にもかかわらず、これを強力にバックアップした自民党の党利党略的な国会開会並びにその運営に対して、議運委員長である田澤君が、そのいわば党利党略の先兵的な役割りを果たす、そういう議会の運営をやったところに、私は、大きな政治的な背景と問題点があると思うのであります。(拍手)
 なお、党利党略とは何か。私どもは、この国会の開会に当たりまして、社会党を中心とする野党各党はこぞって、まず予算案を出すべきである、補正予算案を出して、そうして、いま国民が最もこの国会に注目をしておる不況克服の問題、反インフレ、物価高をどのように抑制をしていくのかという問題、あるいは、前国会におきまして、衆議院で全会一致で決定を見ております独禁法の提出あるいは年金、郵便貯金法、簡易生命保険法、石油コンビナート等災害防止法案等々、いわゆる私どもが生活法案と言っておりますが、これらの生活法案を早期に提出をして、国民の期待にこたえ得る国会にすべきであるということを主張してまいりました。しかしながら、今日に至るも独禁法はいまだに提案をされておりません。そうして、先ほど指摘いたしました生活法案十本、条約案件一本のごときは、閣議決定をして一カ月間も値上げ法案の人質にするという、まさに党利党略的な議会運営をやってきたではありませんか。この責任は国民的な立場において厳しく追及されてしかるべきものであります。(拍手)
 私たちは、このように見てまいりますと、自民党は、あるいは三木内閣は、値上げ法案、いわゆる値上げ三法優先審議のために、かくのごとくまで強行に次ぐ強行採決をやり、そうして、強引な、むちゃくちゃとも言うべき国会運営をやってきたところに、今日の国会混乱の最大の原因があるのではないでしょうか。(拍手)
 特に、私ども社会党を中心とする野党四党は、昨日の議院運営委員会の理事会におきましても、目下予算委員会において真剣な審議が展開をされておる、議長裁定による国会正常化の端緒として予算委員会が開会をされておる。しかしながら、いわゆる議長裁定が出された後においても、仮谷問題という、いいかげんな国会答弁という失言問題が起こってきた。こういう新しい条件の中で、われわれは、きょうの本会議を強行することについては、慎重を期すべきであるということをまず第一に主張いたしたのであります。
 第二は、予算委員会の開会中であり、そうして、予算委員会の開会中にこのような本会議を強行する悪例をつくることは、議院運営委員会の面目にかけて、またその権威において行うべきでないということを主張いたしました。
 三つ目の問題は、この予算審議の中には、当然のこととして、補正減額の対象として問題になっております酒、たばこ等の法案が具体的な対象になっておるわけでありまして、こういう予算案の審議、結論が出ないまま、法案だけを先行して、無謀とも言うべき議会運営を行うことは、従来の議会慣行から見ても、その責任はきわめて重大と言わなければならない。こういう観点からも、本日のこの本会議の設定に対して、私どもは厳しく注意と反省を求めてきたところであります。
 さらに、もしわれわれの以上指摘したようなそういう意見、主張に耳をかさないで本会議を強行する場合、再び国会が混乱するおそれがある。せっかく国民の目は予算委員会に集中をしておる。そのときに、この種の無謀とも言うべき国会運営によって、国会が再び混乱をするようなことになれば、まさに、これは国民のひんしゅくを買い、国民の立場から言えば、国会不信のそしりを免れないではないか。こういうことを考えるときに、私どもは、いわゆる高度の政治的判断をする立場からも、このような本日の本会議の開会は行うべきでないということを強く主張してきたのであります。しかしながら、これらの具体的な主張に対しては、何ら耳をかしませんでした。
 私は議員諸君にも訴えたいのであります。いま私が訴えておるこのような主張点というものは、客観的に十分評価してしかるべき主張点ではないかということであります。にもかかわらず、このような謙虚にして、国会の権威を高め、議会制民主主義を発展さす立場から主張してきた私どもの主張を退けて、そうして、今日このような無理な本会議を設定した政治的意図は何かと言えば、私はそこには非常に恐るべき条件が隠されていると思うのであります。
 その一つは、言うまでもなく、予算委員会の審議を通じて、三木内閣は有言不実行の内閣である、いいかげんな政治姿勢というものが国民の前に明らかになってきた、このことを恐れたのではないか。さらに、仮谷建設大臣のいいかげん答弁の責任追及を回避する手段として、こういう国会運営の暴挙に出てきたのではないか。さらには、クリーン三木と言われてきた三木内閣が、そうではなかったという政治の実態が、昨日来から予算委員会を通して大きく浮き彫りにされてきた。さらには、不況克服というけれども、それは独占資本のための不況克服であって、額に汗して働く勤労国民のための反インフレ、雇用安定の不況克服でないという実態が明らかになってきた。いま一つは、三木内閣のいいかげんな外交政策の実体というものがだんだんと明確になってきた。
 したがって、予算委員会において正常な議会審議が続けられれば続けられるほど、三木内閣の信頼というものが地に落ちていくということを恐れて、そうして、こういう強引な国会運営をやることによって、国民の目をごまかそうとする、そういう政治的陰謀が隠されておるところに、この国会運営の問題があると思うのであります。(拍手)
 こういう政治的な意図と背景の上に立って、田澤議運委員長は、昨日来から、このような委員会及び国会運営を、従来の慣行を無視し、そうして、せんだっての議運委員長の陳謝を行った経緯があるにもかかわらず、再びその責任を問われるような強引な議会運営をやった責任をここに厳しく追及をいたしまして、私の趣旨説明を終わりたいと思います。(拍手)
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発言情報

speech_id: 107605254X00819751024_011

発言者: 藤田高敏

speaker_id: 17200

日付: 1975-10-24

院: 衆議院

会議名: 本会議