加藤紘一の発言 (本会議)
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○加藤紘一君 私は、ただいま藤田高敏君が議院運営委員長の解任決議案について述べられた提案理由説明を静かにお聞きいたしました。
しかし、その説明は、まさに事実を歪曲したものであり、全く党利党略に出たもの以外の何物でもありません。よって、私は自由民主党を代表して、かかる理不尽な決議案に断固反対の意見を申し述べるものであります。(拍手)
言うまでもなく、議院運営委員会の職責は、議長を補佐し、議院の円満にして正常な運営を図り、国会の機能を十分に発揮して、国民の負託にこたえることであります。
田澤委員長は、かつて昭和四十六年七月から約一年半の議院運営委員長の重責にあって、りっぱにその職責を果たされ、昨年十二月の第七十四臨時国会に、再びその手腕を買われこの委員長に就任され、現在に至っているのでございます。その間、与野党の意見が鋭く対立して、きわめて困難な事態に逢着したことが幾度かございましたが、田澤委員長は、望洋とした風貌の中に、卓越した識見をもって事に当たり、全身全霊を傾けて、公正な議事運営に努めてこられたのでございます。
提案者は、本決議案提出の理由として、今回の酒、たばこ、郵便三法案の付託決定に際して田澤委員長のとられた措置を挙げているのでございます。
わが党は、三法案の提出以来、再三にわたり、野党四党に対し、三法案の取り扱いについて協議に入るように求めてまいりましたが、野党の諸君は、あくまでもこれを拒否し続けたのであります。よって、わが党は、やむなく、直ちに委員会に付託するよう議長に答申することを提案いたしました。しかるに、野党の諸君は、これにも反対されましたので、田澤委員長は、やむを得ず委員会を開会し、議長において付託するよう決定を見たのであります。
議案の審議は、われわれ国会議員に課せられた最大の責務であります。提出されてすでに八日間も経過した三法案の取り扱いも決定しないまま、いたずらに放置することは許されません。田澤委員長は、この観点に立って、憲法、国会法の精神にのっとり処置されたのでありまして、これを第一の解任の理由に挙げていることは、国会みずからの審議権を否定しているもの以外の何物でもございません。
また、提案者は、本決議案提出の第二の理由に、今回の三法案の本会議上程について田澤委員長のとった措置を挙げておられるようでございます。
今回の三法案の扱いについては、党派を離れて、ひたすら公正な運営を念願されておる前尾議長が、各党の考え方を篤と聞き、慎重にも慎重を期し、熟慮の上、議長裁定を下されたことは、皆さん御承知のとおりでございます。各党それぞれの意見もあり、考え方もあるでありましょうが、一度議長の裁定が下った以上は、議長の権威を尊重し、これに従うことが、議会制民主主義のルールであります。(拍手)わが自由民主党が直ちにこれをお受けしたのも、この理由からにほかなりません。また、野党の一部には反対するかたくなな政党もありましたが、日本社会党及び民社党がこの裁定を尊重する旨を表明されたことは、議会制民主主義の発展のためにも敬意を表するものでございます。
議長裁定の骨子は、値上げ三法案は、補正予算の審議に入った後の本会議において議長が処理すること、そして、その処理は再来週、すなわち現時点で言えば、今週中に処理いたしたいというものでございます。
このような事態を踏まえて、田澤委員長は、議長裁定をいかに円満に具体化していくかについて心を砕き、心血を注がれたのでございます。しかしながら、結局与野党の歩み寄りは見られず、田澤委員長におかれましては、最後には、多数の意見に従って処するという民主主義の原則にのっとって判断し、みずからの責任をもって処置されたのであります。
しかるに、ただいま提案された決議案は、田澤委員長の議会人としてのこの当然の行為をいたずらに誹謗し、理由なき理由を付して解任せんとしているのであります。これは、いかにわれわれと政治的立場を異にするといえども、提出者の真意をはかりかねるところでございます。また、このようなルールを無視し、利己的な野党諸君を相手に連日奮闘しておられる田澤委員長に、心からの同情を禁じ得ません。(拍手)そのしんぼう強さ、そして話し合い尊重の精神だけでも、田澤委員長は名委員長と言えるのでございます。(拍手)
ここに、正義と良識をもって任ずる議員諸君とともに、本決議案に断固反対の意思を表明して、討論を終わります。(拍手)