斉藤正男の発言 (本会議)
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○斉藤正男君 私は、日本社会党を代表し、議院運営委員長田澤吉郎君解任決議案の趣旨に賛成の討論を行うものであります。(拍手)
田澤吉郎君は、大正七年一月、青森県南津軽郡に生まれておりますが、実は、かく言う私も大正七年生まれであります。とかく、うま年の男は前ひざではね上がりぎみで、事は常に慎重に運ばなければいけないということを多くの人たちからも忠告をされ、私もまたその気配がありますので、きわめて日常活動には慎重を期してまいったつもりであります。同じ大正七年生まれの田澤君の今回のこの国会における行動は、同期に生まれた男としてもきわめて残念であります。
また、君は若くして志を立て、東北の名門東奥義塾に学び、早稲田大学の政経学部を卒業されております。大隈重信侯が地下で何とあなたのことを考えているであろうか。それにも増して、早稲田大学創立のために、多くの人には知られておりませんけれども、小野梓先生は、当時の憲法を十分研究をされ、当時としては、憲政の神様として、これまた早稲田大学に不朽の名を残しております。
そういう意味からいっても、私は、田澤吉郎君の今度の行動については、どうしても理解できません。
しかも、ことしは国民参政八十五周年、普選実施五十年、婦人参政三十年、あなたの名前で憲政記念館ではこの盛大な式典が挙行されたではありませんか。言うならば、あなたは、今時点における憲政の守護神として、当然憲政正常化のために挺身しなければならない。しかも、ことしは国際婦人年であります。酒が値上がりをし、たばこが値上がりをし、郵便料金が値上げをされ、家計を圧迫し、一番このことに苦しみ悩むのは婦人ではありませんか。私は、有権者の過半数を占める有権婦人の方々が、あなたを怨嗟の目で恨んでいる姿が、ほうふつとして眼に浮かぶのであります。(拍手)
しかも、去る十六日、先輩各位に聞いてみましても、いまだかつて経験したことのないという、議院運営委員会を第一委員室で開催をされました。議院運営委員会は、普通、所定の場所で行われるのが当然でありますけれども、あのひのき舞台で、しかも、あなたは冒頭、なぜその不手際につき陳謝をしたのでありましょうか。先ほどの反対討論者は、謝ることはないと言われましたけれども、すでにあなたはあの委員会の冒頭で謝っておるのであります。謝る理由がなければ、なぜあのとき開き直らないのか、私には論理がわかりません。しかも、一度ならず二度まで、きょうこの本会議の冒頭、あなたに対する解任決議案が再度提出されるということは、よくよくのことでなければかようなことはないと存ずるわけであります。(拍手)
私は、あなたとは公私の間でいろいろな関係がございます。特に、韓国の青年李採九君の救済問題につきましては、立場は違います。与野党の差はありますけれども、あなたも人道的な立場から、きわめて熱心にこの問題と取り組んでくれました。私は、そういう点では、あなたの政治活動につき、高くこれを評価をし、実は感謝すらいたしておったのでありますけれども、そのあなたの快挙も、きょうのこの一事で、すべて帳消しであり、マイナスであります。(拍手)
また、私は、あなたが第一回目の議院運営委員長に就任をされた当時、お供をして、欧米各国の議会制度の視察に同行させていただきました。どこへ行っても、そのあなたの行動たるや、本院の議院運営委員長として全く恥ずかしくない、うってつけの行動だったにもかかわらず、これまたそのあなたが、何で一度ならず二度までもこのような愚挙をあえてされたのか、全くわからないのであります。
私は、率直に申し上げて、あなたがこの本会議がこの行動に出る前に、自由民主党に対し、院に対し、議院運営委員長の職をみずから辞退する行動に出てほしかったと思います。しかし、そのようなことはできない事情があったのでありましょう。私は、国会の名において、あなた個人の問題というよりも、自由民主党のために、実にこの暴挙を惜しむものであり、憲政史上大きな汚点を残したと考えるわけであります。
欽定憲法と言われ、明治憲法と言われた旧帝国議会時代でも、予算委員会開会中に一つの法案が院を通過、成立するなんということは、恐らくなかったと考えております。これもまた、あなたが議院運営委員長時代に一つの汚点として歴史上残っていくことを考えますと、残念でたまりません。
私は、心から賛成者の提案に敬意を表し、そしてまた、この解任決議案に満堂の諸君の賛成を期待し、討論を終わるものであります。(拍手)