吉田法晴の発言 (予算委員会)
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○吉田委員 具体的な事実、これは戦前にはございました。戦前にはございましたが、それはこういう問題について新憲法の規定がはっきりございます。憲法三十八条には供述の不強要、それから自白の証拠能力に対する規定がございます。それから刑事訴訟法の中にも、被疑者の出頭要求あるいは取り調べを規定いたしました百九十八条の二項には「取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」といったようなこと、あるいは被疑者の黙秘権、供述拒否権等が規定をしてございます。三百十九条には自白の証拠能力、証明力がございます。強制あるいは脅迫による自白をさしてはならない。もしそういうことをしたならば、それによってとられた自白はその任意性が疑われて、証拠にならぬと規定がしてございます。ですから、新憲法あるいは訴訟法のもとにおいては、証拠をつくること、犯人をでっち上げることは私は許されておらぬと思うのでありますが、万年筆のことについて伺います。
五月二十三日と六月十八日と、被告人宅の捜索が行われております。第一回目は午前四時四十五分から午後七時二分まで、長時間にわたって十二名の警察官が家宅捜索をしております。六月十八日は勝手口からあるいは屋根裏まで検査がされております。恐らくそのときだろうと思いますが、かもいには警官がさわって、こんなにごみがたまっておると、かもいの上をごみを検査をして示しておる。あるいはネズミ穴に詰まっておりますぼろきれをひっぱり出して、臭いと言っていやな顔をしてその穴を埋めております。しかるに六月二十六日には、勝手口のかもいから万年筆が発見されておりますが、その二、三日前に、被疑者に対して大変影響力がある、近くに住んで野球なんかを世話しておったという関巡査部長がその被疑者の宅にあらわれまして、その詳細は佐々木静子参議院議員が参議院でも聞いておるところでございますが、それによりますと、私どもが家庭の人に聞いても、いつも表口から入ってくる関巡査が裏口から入ってきて、そしてふろ場の入り口の戸に当たって音がした。そこで中で洗たくをしておったお母さんが出てきたら、関さんが本人に対する着がえの下着をもらいに来た、こういうお話ですから、それを取りに行った、持ってきたところがすでにいなかった、こういうことが言われている。そうしますと、かもいにたまっておりますごみを調べ、あるいはネズミ穴をふさいでおりましたぼろきれを臭いと言って、においまでしたものが、発見されないで、六月二十六日に発見されたというのは、その二、三日前に関巡査部長が万年筆を持ってきて置いた、こう考える以外にございませんが、そういうことは戦前にはございました。私はそれを聞きながら、戦前に福岡連隊事件のときに、亡くなられました松本治一郎先生を連隊爆破事件ということで、青年に小遣い銭を渡して、爆弾らしいものをぼろきれに包んだものを持っていかせて、そしてその直後、捜査をしてあったと言って持っていった。福岡連隊事件というのは証拠がつくられた、事件がでっち上げられたのを思い出しましたが、そういうことが憲法のもとにおいて、あるいは新刑訴のもとで許されることかどうか。これは警察のことでございますから、国家公安委員長に伺いたいと思います。