小野明の発言 (予算委員会)

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○小野明君 私は、日本社会党を代表して、昭和五十一年度暫定予算三案に対し、暫定予算が持つ基本的な問題点として五つの点を指摘し、反対の意見を表明いたします。
 その第一は、暫定予算を組むに至った三木内閣の政治責任についてであります。
 国の収入支出は、一年間の財政計画である本予算に基づいて行うことが基本であり、暫定予算の編成は、内閣の総辞職または国会の解散によって本予算が年度内に成立し得ない場合等、真にやむを得ない場合に限らるべきことは言うまでもないことであります。しかるに、これまでの暫定予算編成を見ますときに、戦後十回の暫定予算中、六回が総辞職、解散が原因であり、四回が政府の失政が原因で暫定予算が組まれております。今回もロッキード事件という一大疑獄事件によって四十日間の暫定予算を組まざるを得なくなったことは、清潔政治を基本とする三木内閣の政治姿勢としてきわめて重大であり、われわれはその政治責任を厳しく追及をするものであります。
 わが党は、今国会に臨むに当たって、いま国民が切実に求めている不況対策、インフレ対策について徹底した検討を行い、政府の経済政策の大転換を迫っていくことを基本路線としてまいりました。その今日的問題といたしまして、日本の労働者の多くが国民春闘で広範な問題を抱えて闘っております。労働者の要求は、減税、年金改善の実施、雇用の保障、全国一律最賃制の確立など国民の一致した要求を基礎としており、政府はこれに対し答える義務があるのは当然であります。
 しかるに、三木内閣は、すでに審議会や国会にかけられているとの一点張りで、真剣に問題を解決しようとせず、投げやりの姿勢をとっていることは絶対に許せないところでございます。自民党政府は、財界の言い分ならば奥座敷での談合により直ちに景気対策を打ち出すが、労働者が唯一の武器である団体行動、しかも自制された行動を行ったのに対し、政府が何らの考慮をしないという、ここに三木内閣の政治姿勢が、国民の生活の苦しさの中からの心からの叫びを全く無視する反国民、労働者弾圧のものであることが如実に示されております。こうした政府の姿勢が許されてならないのは当然であります。
 次に、政府は五十年度の物価上昇率を一けたに抑えたと鬼の首でもとったように宣伝をしておりますが、その実態は野菜の予想外の出回りによるもので、政府施策がよかったというものではなく、まさにおてんとうさま任せの物価政策が改められたものではありません。さらに、物価上昇を一けたにするためフード・ウイークの奨励を行うなど、物価対策が作為的で頓服対策的な危険があるとの指摘があるばかりか、一けたといっても、預金金利並みに下げるという福田副総理の公約は完全にけし飛んだことの責任は厳しく追及さるべきであります。
 五十年度の物価上昇が無理をして一けたにおさまったとはいえ、五十一年度は国鉄、電電、医療費と、あらゆる公共料金の値上げを政府はもくろんでおり、まさに政府主導型インフレの危険が強いのであります。さらに、最近の卸売物価の上昇気配は、今年度の物価上昇の行方を暗示しておるのであります。政府の五十一年度物価上昇率八%はそれ自体高過ぎるものでありますが、今日の情勢から見て、この実現ははなはだしく見通しが暗いと言わざるを得ません。
 国民春闘の無視、公共料金主導型インフレの三木内閣の政治姿勢は、予算執行の能力を欠くものであり、暫定予算反対の大きい理由であります。
 次の問題点は、暫定予算の内容についてであります。
 暫定予算は、本来、本予算の成立がおくれた場合の緊急避難的な措置であり、したがって、新規の政策的経費は、これを計上すべきものでないことは言うまでもありません。しかるに、今回の暫定予算の内容を見ますと、われわれが景気政策のあり方として問題としている公共事業費を前年度補正後予算の六分の一を計上しているのを初めとし、社会保障関係費、文教関係費、地方財政関係費については五十一年度予算を基礎として必要経費が組まれており、また、政策的意味合いの強い公債についても五千億円もの金額が歳入に計上されております。これは、政策的経費を組まないことを原則とする暫定予算の趣旨からいえば、きわめて異例のことであり、われわれとしては反対せざるを得ません。しかし、一方、国民経済の状況を考えればやむを得ない事情もありますので、あえて成立はこれを阻止しないこととしたものであり、本予算の内容については、これを認めたものでないことをここに明らかにしておくものであります。
 次は、暫定予算の編成によって生ずる経済政策の空白についてであります。
 日本経済の現状は、田中内閣の経済政策の失敗と三木内閣の景気政策の失敗という、相次ぐ自民党内閣の経済政策の失敗によってインフレと不況の併存するスタグフレーションの状態に置かれており、財政も企業も家計もすべて赤字という状況のもとで、完全雇用さえも確保できないという深刻な事態を迎えております。したがって、このような状態から国民生活を救うためには、これまでの経済政策のあり方を根本的に改め、真に国民生活の安定と福祉を基本とした経済政策の確立が必要であります。このようなときに四十日間の暫定予算を組むということは、とりもなおさず四十日間の経済政策の空白を生じさせることであり、国民経済に与える影響はきわめて甚大であります。これによって生ずる責任は、挙げて三木内閣が負わなければなりません。
 以上、数点を指摘をいたしまして、暫定予算の反対討論といたします。(拍手)

発言情報

speech_id: 107715261X00219760331_004

発言者: 小野明

speaker_id: 28797

日付: 1976-03-31

院: 参議院

会議名: 予算委員会