坂田道太の発言 (内閣委員会)

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○坂田国務大臣 去る九月六日、午後一時十一分、航空自衛隊のレーダーサイトは、北海道西方約百マイルのところを東進中の識別不明機を発見しました。
 これに対して一時二十分千歳基地からF4EJ二機を緊急発進させるとともに、奥尻、大湊、当別及び加茂の各レーダーサイトをこの目標の監視に当たらせました。識別不明機は、高度を下げつつ東進を続け、奥尻レーダーサイトが国際周波数を用いて行った警告にもかかわらず、一時二十二分三十秒、北海道茂津田岬の沖合い上空、東経百三十九度四十五分、北緯四十二度三十八分の地点でわが国の領空を侵犯しました。
 その後、この識別不明機は、針路を南方に変え、一時二十六分ごろには久遠郡の上空一万フィートを通過した後、高度を下げて各レーダーサイトのレーダーから消失しました。
 一方、緊急発進したF4EJは、識別不明機に対する接近を試み、一時二十五分から三十秒間これを機上レーダーで捕捉しましたが、その後見失いました。一時三十五分には、レーダーサイトのレーダーが奥尻東方の海上で識別不明機を一瞬とらえましたが、再び消失しました。
 奥尻レーダーサイトは、領空侵犯発生後約十分間にわたりこの識別不明機に対し、侵犯の事実を知らせ、退去するよう警告しました。また、F4EJ及び各レーダーサイトは引き続き識別不明機の追跡を試みましたが、同機が高度を下げたこと、気象条件が悪かったこと並びに海面や陸上のクラッターの影響もあり、以後捕捉することができませんでした。
 一時四十九分、三沢の防空管制司令所は、二空団から函館上空をジェット機が旋回中との連絡を受け、F4EJを直ちに同方向に飛行させましたが、その後一時五十七分ごろ札幌航空交通管制部と連絡をとり、識別不明機が函館空港に強行着陸した旨を確認したので、二時十分F4EJを千歳基地に帰投させました。
 なお、その後事態の概要が次第に明らかになるに伴い、関係部隊にはその状況を知らせ、必要な警戒の態勢をとらせました。
 九月七日の北海道警察函館方面本部及び九月八日、九日の函館地方検察庁によるミグ25型機の実況見分に際しては、防衛庁は、それに必要な専門技術的知識を提供するための補助者として、それぞれ数名の要員を派遣して協力しました。
 また、ベレンコ中尉に関しては、防衛庁は領空侵犯の事実解明のため、本人の同意を得て、九月の八日、九日の両日、東京において事情聴取を行いました。
 本件は、ソ連軍人が軍用機を操縦してわが国の領空を侵犯し、かつわが国の領土に強行着陸した事件であり、わが国の防衛の任に当たる機関として、独自の立場から当該領空侵犯及び強行着陸の背景状況を解明する必要があります。このため、ミグ25型機の機体の取り扱いに関する最終措置をとるまでの間、防衛庁がその保管を行い、そのための調査を実施することについて関係省庁と調整の結果、九月十日夜、機体を当庁に保管し、調査を開始いたしました。
 しかし、この調査を有効に実施するためには、警備、調査効率及び適切な保管等の観点から、函館空港は適当ではないため、機体を航空自衛隊の百里基地に移送することとし、九月十一日から移送のための調査検討を始めました。
 この結果、自衛隊は、機体の移送に関し、これを安全かつ早急に実施する十分な能力を持っておらないことから、米国の技術要員及び機器について、わが国の指令監督のもとに置くこと、作業を通じて得た知見は自衛隊の所有に帰することなどの条件のもとに、これらの提供を受けることとし、米国及び関係省庁と調整した上、九月十九日、移送のための解体作業に着手しました。
 九月二十四日、機体の解体を完了し、同日深更から二十五日未明にかけて、米国のC5により百里基地に移送しました。
 九月二十五日以降、機体を再組み立てし、搭載機器及びエンジン等の調査を行い、返還のための解体、梱包作業を実施しております。
 なお、調査に関しては、これを効率的に行うため、必要最小限度の範囲内で米国の技術的協力を得ておりますが、これは前項で述べたと同様の条件のもとでの協力であり、調査はあくまでもわが国の独自性のもとに実施いたしております。
 次に、機体をいつ、どのような要領で返還するかについては、現在外交ルートを通じてソ連側と交渉中であります。防衛庁としては、この交渉で定められるラインに沿って遺漏のないよう、所要の措置を講じる所存であります。
 最後に、ミグ25型機の函館空港強行着陸に至るまでの自衛隊の対応措置を振り返ってみると、情報連絡に遅滞があったこと、レーダーサイトが航跡を見失ったことなど、防空態勢上に重要な問題点があることを示唆しております。
 したがって、私としては、本事件の分析を行って、問題点を究明し、今後の防空態勢のあり方について改めて検討したいと考えております。

発言情報

speech_id: 107804889X00119761007_023

発言者: 坂田道太

speaker_id: 7392

日付: 1976-10-07

院: 衆議院

会議名: 内閣委員会