馬場昇の発言 (農林水産委員会)

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○馬場委員 長官が労働省とか厚生省と話し合って、たとえば一斉検診とかその他の研究体制なんかもつくる。ぜひ前向きにやっていただきたい。大変な問題ですからよろしくお願いしておきたいと思うのです。
 そこで、今度は構造改善局に具体的な問題でお尋ねします。
 熊本県天草の羊角湾というところでいま国営パイロット事業が行われております。これは昭和四十四年に着工されて今日に至っておるのですが、ここ二、三年ほとんど工事停止という状況になっておるのはもう御承知のとおりでございます。
 私ども社会党といたしましては、五月二十八日に正式に党の調査団をここに送りました。私もその一員としてそこに行ったわけでございます。結論から申し上げますと、この国営事業というのは、このまま従来の計画で進めていきますと、事業目的を失っておる、国費のむだ遣いである、工事のための工事である。だから、これは計画を変更すべきであるというのが実は私どもの見解でございます。
 具体的に言いますと、ミカン園の造成、開拓があるのですが、大体九百七十七ヘクタールぐらいのミカン園をつくる、こういう計画になっておりました。私はこんなことは現地を見て知っているのです。岩山があって造成ができないということはわかり切っているのにそんな情勢でございましたから、この委員会でそんなに造成できるはずがないということを主張しましたら、そうして、五百ヘクタールという国営事業の限界を切りますよ、それはできませんと言いましたら、五百ヘクタールの造成は必ずできるという答弁でございました。できないときにはどうするかと言いましたら、できますけれども、できないときには国営事業をやめて県営等に格下げをすることも考えておりますというような答弁がありました。ところが、今日、案の定三百七十ヘクタールぐらいの開墾しかできていないのです。そうしてその中で植栽できますのは百七十ヘクタールぐらいなのですよ。こういうように、最初は千三百ヘクタールぐらいとか言われておりましたが、九百七十七が三百七十ぐらいの開墾で、植栽できますところはのり面なんかが多いものですから二百足らずなのです。それを県営にも下げなくて、国営基準である五百ヘクタールを割ったのにまた国営で続けておる、こういう状況でございますが、これが現状です。それから、千ヘクタールぐらいつくったミカン山に灌漑用水をやるということで、羊角湾という湾を締め切って淡水湖にするというもう一つの事業が行われておるのですが、あそこの羊角湾というのは魚の宝庫でございます。そして産卵場でもあるし、稚魚が育つところでありますし、プランクトンも多いし、東シナ海の回遊魚が入ってきますし、物すごいりっぱな漁場なのです。これを締め切って淡水湖にして、そこから灌漑用水を九百七十七ヘクタールのミカン園に揚げるという計画でございましたが、この工事に一部着工しましたら、汚濁問題なんか起こりまして、現在工事は中止しておりまして、ここは漁業権の放棄の問題を含めて二つの裁判が行われておる、こういう状況でございます。
 そういう中で、もう時間がございませんから端的に聞きますけれども、九百七十七ヘクタールというミカン園に灌漑用水を揚げるということで、羊角湾を締め切って水を揚げるというのですが、三百七十か百七十ぐらいで、行ってみますと、ミカンはほとんどなくてアオギリなんかが植わっているのです。そういう状況ですから、灌漑用水なんか海を殺して締め切って揚げる必要はないということでございます。
 ここで私が質問したいのは、まず計画変更で開拓の変更がずっと行われてきたということでございますので、締め切り計画というのを変更して、つくったわずかのところに水が必要であるとすれば、あそこは川が流れておりますから、そこに小さいダムをつくるなりして、そこから水をとったらよかろうということを考えておるわけでございまして、こういう淡水湖にする締め切り工事を、山の方にダムをつくってそこで水をとるという工事に変更してはどうかということがございます。この一つの意味は、結局山で、ほとんどもう農業振興になっていないのですよ。アオギリがちょっと植わっているだけでミカンもほとんどない、そういう山で農業振興にならないところに魚の宝庫の海を殺す必要はないじゃないか。
 もう一つは、元環境庁長官、これは自然破壊ですよ。あそこのりっぱな海、あそこの漁場を締め切って殺してしまうというのは自然破壊にもなります。一回つぶしたらこれはだめになってしまうのです。そういう意味におきまして、結局海を山の犠牲にしてはならない。二百海里問題等で漁業資源、たん白資源というのが大変な問題になっているときにそんな犠牲を払う必要はない、こういうぐあいに思います。そしてまた、そういう意味において漁民の生活がそこで失われるわけですから、自然を破壊しない、漁民の生活を守る、漁業を守る、たん白資源をとるという中で、山を流れている谷川を締め切ってそこから水をとるようにしてはどうか、こういうことがわれわれが調査をした結論でございます。
 そこで、こういう点については、関係の漁民とか農民とか関係の自治体の要望でやったと言っておられるわけですから、この際、そういう関係者を含めて、やはりつくったものは何とかして水をうまく引こう、海は生かそうという方向で、漁民とか農民あるいは自治体を含めて計画変更のための検討会をつくる気持ちはないかどうかということについて質問しておきます。

発言情報

speech_id: 107805007X00419761013_022

発言者: 馬場昇

speaker_id: 10581

日付: 1976-10-13

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会