三木武夫の発言 (本会議)

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○国務大臣(三木武夫君) 中村君の御質問にお答えをいたします。
 第一番には、自民党の党内問題をお取り上げになりまして、政治の空白の責任について触れられたわけでございます。自民党という政党は、名前の示すとおり、自由民主という政党でございますから、非常に議論というものが活発な政党であります。だから、いろいろな過程においていろいろな議論が出、しかもこれは今日の時代では皆世間に明らかになるわけです。秘密はないわけであります。そういう点で、国民にも御心配をおかけし、あるいは臨時国会の召集には多少遅延する影響を与えたことは申しわけないと思っておりますが、そのために政治の空白を生じたとは私は思っていない。党内問題は党内問題、国政問題は国政問題で、政治の空白を与えたとは思っていない。外交、内政全般にわたって、やるべきことはきちんとやっておるわけでございまして、政治の非常な停滞、空白を生じたというふうには考えてはおらないのでございます。
 また、いま大臣の問題について中村君から御質問がございましたけれども、私は閣議で、ざっくばらんに言ってもらいたいと、自分の意見をざっくばらんに言ってもらいたいと、時間をかけて各閣僚の意見を徴したわけでございます。いろいろな意見が出ました。しかし、最後には私がおこなって、私が下した決断に対して一同賛成をしたわけでございます。だから、過程においてはいろいろな議論があるが、一遍決まったならば、それで一同がそれに賛成をしたわけでございまして、だから結論は一つである。過程はいろいろな議論があったが、結論は一致したわけでございまして、それが造反だというふうには考えておりません。あるいは福田、大平君の留任についてでございますが、経済を重視するという見地から両氏の留任を要請をしたわけでございます。両相とも、その点もお伺いになったでありましょうが、やはり私の決断に対して一致したからこそ留任の要請を受けてくれたものである。これはやはり名誉を重んずる両氏のことでございますから、そうでなければこれは留任の要請にこたえられたわけはない。まあ私が下した結論は、早期に臨時国会を召集して懸案を処理するということに対する同意を求めた閣議であったわけでございます。
 また、ロッキード問題について中村君はいろいろお述べになりましたが、私は、このロッキード問題というものは、いろいろ立場によって御批判はあるけれども、やることはやっているという感じですね、ロッキード問題は。これはやはりいろんな報道、大統領に対して国会の決議を受けた書簡を出して以来、あるいは捜査に対して、何らこれに対して政治的配慮は加えていない。また、いま残った児玉ルートに対しても、時間がかかっても、やはりいろんな障害はあっても、これは真相を解明したい。その途中において稻葉法務大臣が——これは最終的の方がよろしいんですけれども、児玉ルートの方がおくれますから、十月の十五日、遅くも十月十五日までには、いままでの捜査の結果に基づいて、そうしてロッキード社から金品の授受のあった者も含めてですね、金品の授受も含めて、そうして総括的な今日までの捜査結果を国会に御報告したいと。しかも、その間、国会の一つの議長裁定に従って、国会がお決めになった、灰色と言われておりますが、いろいろ範囲も違うものですから、国会の意思としてお決めになった、灰色高官と言われるものの国会の決められた基準に従って、すべて個人の名前を含めて出しましょうと言うんですから、これはもうぎりぎりの協力だと思いますね。ぎりぎりの協力である、それは。これ以上、やり方が手ぬるいとか、いろいろ御批判はあると思いますが、これは私は、政府としてロッキード事件を政治、道義的に解明をしたいという、こういう政府の処置が非常に消極的な態度だとごらんになることは、少し御理解がなさ過ぎるという感じを持っておるわけでございます。
 また、経済の問題については、これは大蔵大臣にも経済企画庁長官にも御質問がありますから省略をいたしますが、私は、経済の将来というものを見通す場合の前提というものが私自身にはあるわけです。一つには、昨年の十一月のランブイエ、この会議で先進主要工業国の首脳が——いままではマイナスであったのです、成長がマイナスであった。これをひとつ今後はインフレを抑えながら成長政策に向けようという約束をしたわけですね。その約束に従って、今年に入ってからはもう各国とも、どの国もみなやはり、成長の度合い、成長のための実質成長の数字は違いますけれども、いずれも成長に向かって世界的に景気の回復が見られる。このことが日本の輸出増進にも役立っておるわけです。また一方において、国内においても不況対策というものが効果を奏して——まあちょっと四月から六月ごろまでは中だるみ的な傾向もございましたが、七月からは生産も出荷も、あるいはまた操業度も雇用状態も改善の跡が見られて、まあこの日本の景気の回復というものは、これはいろいろ業種別、地域別な跛行性という問題はありますけれども、全体としての景気が順調な回復軌道に乗っているということは私は間違いないと考えておるわけで、詳細は両大臣からお答えをいたします。
 また、運輸大臣の出席の要求がございませんからこれはお答えをいたしますが、やはり運賃の値上げというものは安易に考えておるわけでないのでして、先ほどもお答えしたように、やはり政府の方としても累積赤字のたな上げというものに対して国がめんどうを見、国鉄としても、中村君ごらんになっても、現在の段階では相当国鉄の経営の合理化というものを図った、そして、その上へ立って、なおかつこれだけでは国鉄の再建はできぬというので運賃の改定になったわけで、単に運賃の値上げだけが先に独走したわけではない。再建の一環としての運賃改定である。
 しかもその中で、中村君の御指摘になったような労使関係というものを、やはり労使の関係というものを改革しなければ、いまの状態では困るではないかということは、全く私も同感なんです。いかに経営者ばかりが再建再建と言っても、やはり国鉄の業務に携わっておる労働者の方々が一緒になって、ひとつ再建をやろうという気にならなければ国鉄の再建は困難でございますから、今後はこういう再建案を推進すると同時に、労使関係というものはきわめて重要な問題になる。この点については、各党の御協力も得て、日本の公共企業体における、ことに国鉄の労使関係というものの改善には特に力を入れていかなければならぬということに対しては、中村君と全く同感でございます。
 また、防衛庁の長官にも答弁の要求がございませんから、これもこれだけ私がお答えをいたしますが、ソ連のミグ25というものがわが国土に侵入して、函館空港に強行着陸したわけでございますが、これはやっぱりこういう事件のときにはそういう強行着陸をした背景というものを調査をするということは当然でございますから、当然のことをしたわけでございまして、しかし、このミグ25というものは日本も手がけたことはないわけでございますから、それを函館空港から移動をするについても、どうしても日本の技術ではこれはどうにもならぬ。たとえば輸送機にしたって、あの解体をするにしても、それを運ぶ輸送機の問題から問題が起こるわけでございますから、そういう意味で、日本の自衛隊の持っておらない専門的な知識をアメリカの協力を求めたので、日米が共同してどうこうという性質のものではございません。日本の自主的な責任においてこの問題は処理するわけでございまして、もう必要最小限度の技術的専門家のアメリカの協力を求めたというものでございます。
 また、日ソ関係というものが、これ日本が意識的にやった事件でないんですから、こういう事件で日ソ関係の基本的関係が悪くならないようにこれはいたさなければならぬことは当然でございます。この点はソ連に対しても強く望みたいということでございます。
 また、先ほど申し上げましたように、このミグ25は、小坂外務大臣とグロムイコ外相との話し合いによって、日本が返還するという意思を申し述べて、これをどういう形でするかというものは今後話し合うことになっております。
 お答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣稻葉修君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 107815254X00619760929_016

発言者: 三木武夫

speaker_id: 13903

日付: 1976-09-29

院: 参議院

会議名: 本会議