山田耻目の発言 (大蔵委員会)
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○山田(耻)議員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されております有価証券取引税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につき提案理由及びその概要を御説明いたします。
インフレ物価高騰の中で、不況の長期化によって実質収入は半年以上も連続で低下し、失業者は百万人台を推移しており、まさに勤労者層、低所得者層に生活難が集中し、生活の格差が拡大しているのが現在の状況であります。
このような状況の中で、政府はつい先日まで、勤労国民すべての願いである一兆円所得税減税を、財政危機を口実にして、わずかに三分の一の三千五百三十億円のミニ減税にとどめようとしていたのであります。これではインフレによる名目所得の上昇を考えれば明らかに実質増税となってくるのであります。しかもその減税方法は、わが党がこれまで繰り返して提案してきました、低所得層に有利な税額控除方式を採用せず、相も変わらぬ人的控除の部分的積み増しによる課税最低限引き上げ方式であり、これは高額所得者層により大きな減税効果が及ぶ不公平な方式であります。
このような状況の中で、日本社会党を初めとする五野党が、国民の強い要望を背景にして、一致団結して、一兆円減税の実施を政府に迫ったために、やむを得ず、政府も、新たに税額控除方式による三千億円の減税の実施に踏み切ったのが今日までの経過であります。減税問題についての与野党合意の内容は、減税規模、不公平税制の是正、給付金の方式など、わが党の一兆円減税の主張あるいは五野党共同案と比べ、十分なものとは言えないのでありますが、予算修正の道を開き、従来、わが党が主張していた低所得者層に有利な税額控除方式による減税を採用してきたことなど、これからの不公平税制是正の展望を切り開くことになった点を評価してきたのであります。
このように、所得税減税においては、一定の前進を見たのでありますが、それ以外の面では、政府が提出しております税制改正案の内容は、端的に言って失望の一語に尽きるものであります。
政府の来年度税制改正案においては、来るべき低成長の時代に向けての税制の抜本改革の視点が全く欠落しております。
現在の財政危機を克服するためには、大企業、大資産家優遇の現行税制を抜本的に改革することなくして不可能であり、大企業、大資産家の税負担を高めるべきであります。来年度はその出発点とすべきであります。
政府案においては増税対策として、利子配当源泉分離税率、源泉徴収率の若干の手直しが行われようとしておりますが、利子配当の総合課税を一日も早く採用せよというわが党の主張から見ると、むしろ優遇措置を温存する姿勢と言わねばならないのであります。
企業課税関係の特別措置の整理もきわめて不十分であり、交際費課税の是正や、特別償却や準備金の若干の見直し、そして金融保険業の貸倒引当金の制限強化が挙げられている程度であります。
このほか、企業優遇税制として、近年、批判の高まっている法人の配当軽課税率や受取配当の益金不算入などの廃止問題は全く取り上げられておりません。また、退職給与引当金の是正も含まれていないのであります。
そうして、現行の不公平税制を是正して、取るべき所より税を取るという姿勢がありません。また、このように不公平税制の抜本的是正を放置したまま、安易な特例国債の発行を行うことは、国民を二重、三重の生活難に追い込むことになるのであります。
インフレと不況の中で、深刻な事態に置かれている財政を立て直し、インフレと不況の結果生じた国民生活の被害を救済し、税の公平を実現し、富の再配分を行うため、まず、インフレによる税負担の不均衡を是正し、低所得層中心に救済措置をとること。さらに、大法人課税の改革、租税特別措置の廃止、資産課税の強化により、大企業、高所得者層への課税強化を行って税収を確保していくべきであるのに、その姿勢は見られないのであります。このような政府の税制改正案では、不公平は拡大しても、その縮小、是正は行われず、勤労国民のための税制改革の布石とは言えないのであり、これが、三法案提出の根本理由であります。
まず、有価証券取引税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
現行所得税法の中の代表的な資産家優遇の制度は、一つには、給与所得控除の青天井であり、二つには、有価証券譲渡所得の年間取引五十回、二十万株未満についての非課税制度、三つには、配当控除制度であろうと考えております。これらはいずれも高額所得者優遇の制度であり、早急に是正しなければならないものであります。
また、ここで取り上げております有価証券取引税も、現在、税率はきわめて低く抑えられており、資産家優遇の制度であると申さなければなりません。
有価証券を譲渡した場合、何十億もの所得があってもわずか〇・三%のきわめて低い税率の有価証券取引税しか課税されないという不公平な税制では、政府みずから納税道義の低下に一役買っていると言わなければなりません。
この認識に立って不公平税制是正の一環として、有価証券取引税につきましてはその税率を大幅に引き上げる必要があると判断したのであります。
その内容は、株式等を譲渡した場合の税率を現行の三倍に引き上げ、一般の譲渡の場合は現行の一万分の三十から一万分の九十に、証券会社が売買により譲渡した場合は現行の一万分の十二から一万分の三十六にそれぞれ引き上げることといたしております。
次に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
この改正案は、法人税についても負担能力に応じた課税を行うため、現行の比例税率を廃止し、所得区分による超過累進税率を採用するとともに、大企業に有利な受取配当の益金不算入制度を廃止する等の改正を行うものであります。
まず第一に税率の改正でありますが、現行の普通法人に対する四〇%の税率を、年所得一億円以下の金額については三七%、一億円超十億円以下の金額については四二%、十億円超の金額については四七%の税率に改めることとし、解散または合併の場合の清算所得に対する税率についても、これに準ずる改正を行うことといたしております。
一方、軽減税率の適用幅を拡大し、資本金額等が一億円以下である法人の所得の金額のうち百分の二十八の軽減税率の適用を受ける所得の金額を、現行の七百万円以下から、一千万円以下に改めることといたしております。
第二に、現行の受取配当の益金不算入制度は、法人間の配当について二重課税を防止するという見地から設けられているものでありますが、大法人の株式投資が増大し、その持ち株比率がきわめて高くなっている現在におきましては、いたずらに大企業の税負担を軽くする制度となっておりますので、これを廃止し、配当金はすべて課税所得の中に含めることといたしております。
第三に、法人の寄付金につきましては、資本金基準及び所得基準による一定限度の範囲内で損金算入が認められることとなっておりますが、昨今では資本金または所得の増大によりその限度額が相当巨額となり、法人の寄付金支出を容易にしております。そこで改正案におきましては、両基準をいずれも大幅に引き下げて、適正な限度といたしております。
第四に、法人の貸倒引当金の繰り入れ限度は政令で定められておりますが、そのうち、金融及び保険業につきましては、貸し金の千分の八の繰入率となっております。金融機関等の貸し倒れがきわめて少ないことは周知の事実であり、それに対して現行の繰り入れ限度ははるかに多額となっており、これでは利益留保の色彩が濃厚でありますから、直ちにその繰入率を千分の五に引き下げることとし、また、その他の業種につきましても、資本金一億円を超える法人については、同様の理由により、現行の引当率の八〇%まで一律に引き下げることとし、これを本法に規定することといたしているのであります。
第五に、法人の退職給与引当金課税については、引当金は準備金と異なり、企業会計上正当なものと認められ、法人税法に規定されたものとして、異なった取り扱いが必要とされていますが、実態は租税特別措置によるものと変わりがないのであります。退職給与引当金は、大企業が最も多く利用しているものの一つであり、内部留保金ないし営業資金として利潤増大に役立てられております。退職給与引当金の昭和五十年度残高は四兆二千四十二億円という巨額なものになっており、従業員が一斉に退職した際の退職金の二分の一を引当金に計上するというやり方は、適切とは言えないのであります。したがって、資本金一億円を超える法人の退職給与引当金の損金算入限度額を現行の百分の五十から百分の二十五に引き下げることといたしております。
第六は、資本金額等が一億円を超える法人及び保険業法に規定する相互会社については、欠損金の繰り戻しによる還付を行わないこととするものであります。
企業が赤字を出したときなどに払い戻される法人税は、このところ大幅にふえており、法人税の還付(払い戻し)は、昭和五十年一月から十二月分で三千七百四十九億円、昭和五十一年一月から十二月分で二千八百十七億円にも上っております。その中でも、大法人の占める比率は高いものになっております。
言うまでもなく、大企業は、さまざまの税法上の優遇措置を受けており、それがわが国の税体系をゆがめ不公平を拡大してきており、それに対する国民の怒りも大きなものとなってきておるのであります。今日の深刻な財政危機の中で、さらに歳入欠陥に拍車をかけるこのように制度は、一般の国民感情から見て、また、税負担のバランスから見て、大法人には適用しないことといたしております。
最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、現在三大不公正税制と称されている利子配当課税の特例、社会保険診療報酬課税の特例及び個人の土地譲渡所得課税の特例のすべてについて徹底的な是正を行うとともに、大企業と中小企業の税負担に大きな差をつけている支払い配当軽課制度を廃止する等の改正を行おうとするものであります。
まず第一に、利子配当課税でありますが、現行の源泉分離選択課税制度、確定申告不要制度等は、資産所得優遇の最たるものであり、所得本来の姿である総合課税の原則に反するものでありますから、これを廃止することといたしております。
第二に、医師の社会保険診療報酬課税の特例につきましては、昭和四十九年十二月に税制調査会から具体策を示して答申があったにもかかわらず、政府は改正を見送っております。答申案は不完全なものでありますので、この際、税の不公正を是正するために、社会保険診療報酬の課税の特例については、これを廃止することといたしておりますが、その立法の経緯にかんがみ、政府に昭和五十三年三月三十一日までに抜本的な社会保険診療報酬の適正化を行うことを求めて、施行日を昭和五十三年四月一日からといたしております。
第三に、個人の土地譲渡所得課税につきましては、長期譲渡所得に対して一段と課税の強化を図ることといたしております。すなわち、短期譲渡所得に対する重課制度はこれを存続し、長期譲渡所得に対しては、譲渡益二千万円以上の部分については全額総合課税とすることといたしております。
第四に、法人の支払い配当軽課制度につきましては、この特例が、当初の目的である法人の自己資本の充実に何ら貢献せず、いたずらに大企業の税負担を軽減する役割りしか果たしていないことにかんがみ、この制度を全廃することといたしております。
第五に、交際費課税につきましては、社用支出の実情にかんがみ一層の強化を図ることとし、損金算入限度額の定額部分を三百万円に引き下げ、限度超過額の全額を損金不算入することといたしております。
第六に、現行の各種の準備金制度は、将来に予期される偶発的損失や危険に対応して、多額の留保利潤を非課税のまま社内に蓄積しておく手段で、いわば将来の費用の繰り上げ計上でありますが、実際には、現実に発生する損失額を上回って過大計上される傾向が顕著となっております。したがって、実際の費用的支出を上回る計上分は、利潤の免税もしくは国からの補助金的支出と同じ効果を持つことになっており、利益隠しであるとの批判もあり、制度の既得権化の問題が現実化しており、弊害が目立ち始めているのが実情であります。
そのような状態でありますので、とりあえず、資本金一億円を超える法人の価格変動準備金、海外市場開拓準備金、公害防止準備金、商品取引責任準備金、海外投資等損失準備金、証券取引責任準備金、原子力発電工事償却準備金、株式売買損失準備金、渇水準備金、保険会社等の異常危険準備金、原子力損害賠償責任保険または地震保険に係る異常危険準備金、プログラム保証準備金を廃止することといたしております。
第七に、技術等海外所得の特別控除や試験研究費の税額控除についても、大企業が独占的に利用している現状にかんがみ、資本金一億円を超える法人の技術等海外所得の特別控除、試験研究費の税額控除については廃止することといたしております。
第八に、長引く不況とインフレの中で、中小零細企業は深刻な状態に追い込まれております。このような状態の中で、中小零細企業の税負担を少しでも緩和するため、中小零細企業に対する不況期における法人税の延納の特例を設けることといたしております。
第九は、政治団体に対する政治献金についてであります。現在、政治団体に対する寄付金も一般寄付金として損金扱いとされておりますが、大企業の政治献金が社会的問題となっております今日、この種の寄付金の損金算入措置を廃止することといたしております。
以上が税制による所得再配分と社会的不公正の是正を目的とした三法律案の内容であります。
何とぞ御審議の上、御賛成賜りますようお願いいたします。
終わります。(拍手)
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