近藤鉄雄の発言 (内閣委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○近藤委員 よく非核三原則を破るのはアメリカであって、そのアメリカ政府と加担をしている日本政府がどうもぐるになってごまかしているのではないかというようなことを、きょうは野党の先輩も来ていますが、言われますが、私はいま防衛局長のお話のように、アメリカは非核三原則を破らなくたっていいのですけれども、仮にそういう形でブロックしてしまいますと、ソ連が困ると思うのです。ですから、今度の領海法のいろいろな議論なんかでもいろんな意見を発言しておりますけれども、私は何もああいう形にしなくてもよかったのではないかという気もいたしますが、それはそれとして、しかし防衛局長、しからば仮に対馬海峡なり津軽海峡を十二海里にしてブロックしてしまった場合に、ソ連がどうしてもあそこを通らなければならないかというと、私はそうは思わないのです。というのは、宗谷海峡がありますね。十二海里でも残っているわけですから、そこから抜けられるわけです。
 そこで、時間がありませんから、私は御質問よりも言いたいだけ言ってきょうは終わりますけれども、米ソの核抑止体制の中においてポラリス、ポセイドンとか、また同種のソ連の核ミサイル搭載潜水艦が一体どういう役割りを果たすかといったら、それは固定した基地からlCBMを打ち上げますよね、その場合に、固定した基地は事前にちゃんとわかっていますから、ねらわれてだめになってしまう。その場合に第二撃的な報復力としては、住所不定の、行動しつつあるところのポラリスとかポセイドンとかそういう種類の核ミサイル搭載潜水艦があって、それが逆に第二撃的に相手をやるという形で抑止力が働くと思うわけであります。そうしますと、端的に言って、どっち側も核ミサイル潜水艦というのは世界じゅうの全海域にいなくてはならないということは全くないのであって、少なくともソ連にとってみれば、アメリカの太平洋、大西洋両岸の射程距離の近くにいれば戦略的な意味はあるわけですね。もちろんアメリカは太平洋、大西洋の両岸においてしかるべき形でソ連の全土をカバーできる海域に配置すればいいわけであります。
 そういうように考えますと、確かにウラジオストクに太平洋艦隊があって、そこに核ミサイル搭載潜水艦があっても、わざわざ対馬を通ってたとえばカリフォルニア沿岸に行くということよりも、北の宗谷を通ってずっと行ったってかまわないわけです。ですから戦略的な米ソの核抑止力を体制というものを考えた場合に、津軽とか対島海峡をソ連のミサイル搭載潜水艦が通らなくたって、宗谷海峡を通りさえすれば、彼らは目的を達成するわけであります。私がこの議論をいたしますと、そんなことを言ったってソ連はソ連のバイタルインタレストに関係するから絶対に守りっこないんだ、かえって刺激して悪いという議論がありますけれども、純粋理論的に考えれば、私はそんなことはないと思うのです。
 そこで、なぜソ連があえて津軽を通って南下しようとするかといったら、それは東南アジア、インド洋に核ミサイル潜水艦を派遣しておいて中共をたたくとか、場合によっては東南アジア地域、インド洋に通じて核攻撃をかける、この目的のために津軽海峡を通って南下させる必要がある、こういうふうに私は考えるわけです。
 そこで、しからばそういう東南アジアの諸国なりインドが果たしてそういうソ連の核搭載潜水艦が遊よくすることを望むかといったら、インドだって今度の政権は核はいやだと言っているわけでしょう。インドネシアだって、シンガポールだって、私は反対だと思うのですよ。そうしますと、外務省からどなたかがお見えになっておるかもしれませんが、いわゆる国連海洋法会議の中で、そういうことで日本が核搭載艦を通さぬとなると、東南アジアのたとえばインドネシア、シンガポールが、マラッカ海峡は日本がそんなにするんだったらタンカーを通さぬぞというようなことを言って、国際海峡航行の自由を最も望む日本にとってマイナスだというような議論がありますけれども、まさに津軽海峡を通さぬということはソ連の南下、核南下を防ぎますよ、そして東南アジア、インド洋海域にソ連の核ミサイル潜水艦が遊よくすることを防ぐんだということであれば、シンガポール、インドネシア、インドその他東南アジア各国が、そのことをもって、日本が核を通さなかった、津軽海峡を通さなかったら日本のタンカーもマラッカ海峡を通しませんなんということを言うはずがないと思うのです。ですから、時間がありませんので余り十分な議論ができなくてまことに申しわけありませんが、この非核三原則の問題についても、単に観念的な議論じゃなしに、私はもうちょっと現実的な米ソの核抑止力の体系また東南アジアは一体どういう形、しからば東南アジアは核を入れるか入れないか、こういったいろいろな議論を含めて、もう一回ぜひ現実的な分析をしていただきたいと思うわけであります。
 私は最後にあえて一言申し上げますが、日本の非核三原則というものが国際的には余り通用しないことなんだ、しかしながら広島、長崎のあの忌まわしい経験があるから日本だけは何とか守らなければならない、国際的には通用しないことだけれども、何とかここはひとつみんなわかってくれという形のいわば消極的な非核三原則の扱い方であったら、私は世界の大勢から、日本ばかりいつまでもわがままを言っている、感情論ばかりやっておるということで、むしろ孤立化していくと思うのであります。ですから、日本があえて非核三原則は守ってそれを今後堅持するためには、まさに非核三原則は単に日本が独特な経験を持った固有な原理ではなしに、むしろ国際的な広がりのある原則だという形で国際社会を説得するだけのものがなければいけないのではないか、かように思いますので、きょうはもういろいろなことを申し上げましたが、全部舌足らずで恐縮でございますけれども、ひとつ賢明なる防衛当局におかれましても一きょう私が申し上げたことをいろいろ今後お考え賜りたいということで、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

発言情報

speech_id: 108004889X01619770519_024

発言者: 近藤鉄雄

speaker_id: 28600

日付: 1977-05-19

院: 衆議院

会議名: 内閣委員会