土井たか子の発言 (本会議)
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○土井たか子君 私は、日本社会党を代表し、日韓大陸棚協定について、以下七点にわたって質問をいたします。
その一、いまや世界の海洋秩序というものは大幅に変わり、わが国も、領海十二海里、漁業水域二百海里を設定したのであります。このことは、日韓大陸棚協定が署名された昭和四十九年一月三十日当時とはまるで状況が一変したことであり、わが党として、この状況下であらゆる角度から本協定の疑問を解明するため、十名を超える質問者をすでに通告し、その質問を用意していたのであります。
しかるに、本協定の自然承認をもくろむ親韓派議員の手によって、四月二十七日、強行採決が行われました。しかもそれは、四月八日、外務委員会理事会の話し合いも無視した自由民主党の暴走に対して、外務委員長は委員会でも平身低頭、今後は理事会の話し合いに基づき、各党の合意を図り、公正なる委員会運営に努力するとの陳謝をされたやさきのことでもございます。
総理、あなたも日ごろは協調をモットーとし、話し合いと秩序による議会運営をすると公約されていたはずでございます。しかし、このやり方を見れば、あなたがいかに強権を発動して公約をほごにし、強引に何でもやるというタカ派の体質をお持ちになられているかということを如実に物語っているのではありませんか。(拍手)
保革接近の折にこのような不法不当な暴挙を行うということは、今後話し合いの慣行を御破算にざれたと見るべきなのかどうか。これは民主的な議会運営がわが国において認められるかどうかの重大な問題でありますから、しかと、一国の総理、さらに自由民主党の総裁としての御見解を伺わせていただきます。(拍手)
その二、二十七日の強行採決後、是が非でも本協定を自然承認に持ち込もうとする親韓派の議員の動向に対して二十八日の本会議通過が見送られるとなるや、韓国政府は、第七鉱区の単独開発に着手するとか、日韓漁業協定の廃棄通告、二百海里漁業専管水域の設定、さらに駐日韓国大使の本国召還、対日輸入規制などの常軌を逸した恫喝を加えてきているのであります。
それのみか、日韓癒着の実態について質問した野党の議員に対して、暴力団顔負けのいやがらせの電話などがかけられるに至っては、言語道断と言うのほかはありません。(拍手、発言する者あり)このような卑劣な干渉と恫喝に屈服して審議権を放棄し、本協定を批准するがごときは、国会の名誉にかけて断じて了承できないところであります。(拍手)この国会審議に圧力を加えんとする韓国の恫喝に対して、一体総理はいかが対処されようとなさるのか、お伺いをいたします。(拍手)
その三、近いうちに経済水域二百海里が世界の大勢となり、その地下にも主権的権利が及ぶこととなろうと言われております。本協定に定める共同開発区域の海図を一目見れば、国民はどう思うでありましょう。鹿児島県、熊本県、長崎県のつい沖合いではありませんか。二百海里時代に、どのようにこれを素朴な国民に説明されるのでありますか。
このようなとき、政府の言うように、本協定を批准しないで待てば待つほど不利になるというのは間違いで、経済水域二百海里になれば、待てば待つほど新しい権利の主張ができるということではございませんか。
自然延長論は世界の大勢であります。しかし、大陸だなの境界画定に、自然延長論を根拠として相手国の領海に入ってまで大陸だなが及んだ協定など、全世界に例がございません。また、外務省は、国際司法裁判所の北海大陸だな事件を持ち出し、その判決は自然延長で境界を画定していると称しているのでありますが、判決は、隣接する両国間の大陸だなの分界を扱っているのであり、相対する両国の境界を扱ったのではございません。判決自体がこの二つの場合の相違を特に繰り返して強調しているのであります。このことを外務省は百も承知しておりながら、国民を惑わすような説明を白昼平然と述べられる意図は那辺にあるのでございましょうか。
現在、世界には二十四の大陸棚境界画定条約がございますが、一体自然延長論で境界画定がなされた例を挙げていただきたいと存じます。外務大臣、いかがでございますか。
その四、東シナ海における大陸だな資源の問題は、日本国、中華人民共和国、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国の国家間で話し合わなければならないものであります。日韓間でこのような協定を結ぶに際して、中華人民共和国及び朝鮮民主主義人民共和国から抗議が幾たびも来ております。政府はこの抗議を無視し、中国側の国際法上の権利の侵害にならぬよう十分配慮しているとの主張を中国側に押しつけてまいりました。この主張は、大陸だな設定について中間線論を強要しているのでありますが、この論が中国に対して通るのであれば、韓国にもこの主張を貫き通すべきであると言えましょう。外務大臣、どうでございましょうか。
また、このような取り扱いの結果、中国との友好関係、特に日中平和友好条約に支障を来すと思われますが、どのように見ておられるのか、総理、責任ある御見解を述べられたいと存じます。(拍手)
その五、政府は、海底石油開発に伴う事故などは世界できわめてまれである、かの北海油田のごときは世界の科学の粋を集めて、事故など起こる可能性はないと豪語されておりました。しかし、四月二十四日夜、ノルウェー沖、北海油田で原油噴出事故が起こりました。木協定の共同開発区域は、アジ、サバ、イカの産卵地であり、世界の漁場から締め出された漁民にとってはかけがえのない漁場であります。万が一事故が起きた場合、その油を速やかに排除する手だてはあるのでしょうか。昭和四十九年十二月の水島事故では、結局ひしゃくでくみ取る人海戦術しかなかったではございませんか。一たん事故が起これば、海流の関係上、魚介類を死滅させてしまうことも考えなければなりません。そうなれば、単に補償金を支払って済むことではございません。政府は、その予防策を講じていると言われるが、具体的にはどのような策を考えておられるのでございましょうか。
さらに、農林大臣、あなたは沿岸漁民が反対をする限り、このような共同開発はすべきでないというお考えがおありになるかどうか、お聞かせください。
その六、ここで事実上開発が進められ、生産プラットホームが設置されたとき、その安全維持をどのような方法で行おうとされるのか。自衛隊法がそこに及ぶのか、また反対に、韓国も自動的に韓国の自衛権がここに及ぶのかどうか。
さらに、もう一つ、わが国の二百海里内に、日米韓の共同防衛区域が論理上生ずることになると思うのでありますが、この点はいかがでございますか、外務大臣。
さて、最後の第七、協定を締結するに当たっては、その協定を遵守するための国内の体制が必要であります。本協定を具体的に動かす国内法は、まだ提案の趣旨説明もなされておらず、制定の見通しは絶無でございます。従来、政府の方針は、国内法を整備した上条約の承認を国会に求めるというのが慣例であり、かつ、当然のことでなくてはなりません。二国間協定においてはなおさらであります。
外務大臣、あなたはあえてこの慣例を覆そうというおつもりなのでありますか。国内体制なき本協定の批准を、一体何のために急がれるのでありますか。
主な点だけで以上のとおりでありますが、さて福田総理、あなたは本日、ロンドンの首脳会談から帰国されたその足で、ここに五十年の長い将来にわたる重要な政治決断について見解を示されるわけであります。この答弁がありきたりの官僚の作文の棒読みであってはならない。激動する国際情勢に正しく対処し、真に国会と国民を納得せしめるものでなくてはならない。私は、この点をはっきり指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕