渡辺朗の発言 (本会議)

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○渡辺朗君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっております日韓大陸棚協定について、総理大臣並びに関係各大臣に質問をいたしたいと存じます。
 総理は、先進国首脳会議から本日帰国されました。その首脳会議の重要議題の一つがエネルギー問題であったように、今日、世界各国は真剣にエネルギー対策に取り組んでいるところであります。わが国の場合、この問題の国際環境はにわかに深刻なものとなってまいりました。特に資源小国であり、しかも石油の大消費国であるわが国の前途を考えるときに、予見されるエネルギー危機を回避して、どのように将来の活路を切り開いていくのか、この問題は党派を超えていま政治家に問われている最大の課題と言っても過言ではございません。(拍手)
 本協定は、そのような資源有限時代の厳しい国際環境の中で論議されているものと私は考えます。
 いま、国民の気持ちの中には、一方において、日本周辺の大陸だなの石油資源に対する大きな期待感があります。それと同時に、他方においては、開発の方式が韓国との二国間共同開発、このような国際的にも先例のない方法であることから、どのような運営が行われるのか、疑心暗鬼が生じてくるのも事実であります。
 それゆえに私どもは、委員会において協定の十分な審議を尽くすことはもちろん、協定の運用を規定しております特別措置法の内容についても、同時、並行的に検討を行うべきことを強く主張してまいりました。国民の納得のいくような国内体制をつくり、いささかも疑念を残すものであってはならないからでございます。
 しかるに、四月二十七日であります。本協定の審議は一方的に打ち切られました。わが党の討論の申し込みも受けつけずに採決を強行したことは、私はまことにこれは暴挙と言わざるを得ないと思います。その点、「連帯と協調」を指針として国会運営に当たるとしておられた福田内閣に対し、私は、この反省を強く求めるものでございます。(拍手)
 本日、補足質問の機会を得ました。改めて幾つかの問題点につき質問を行いたいと存じますが、総理並びに関係各大臣の誠意ある御答弁を私は期待するものであります。
 私は、四つの点について御質問を申し上げます。
 第一に、私は、わが国周辺の大陸だな資源開発に対する政府の取り組み方について、特にその基本姿勢をお尋ねしたいと存じます。
 政府は、エネルギー資源の三〇%を自主開発することを目標にしております。そうであるならば、そのためには、なすべきことを今日までにすでにしておかなければならなかったものと考えます。当然わが国周辺の大陸だなに対して政府が責任を持って本格的な調査、探査、探鉱を行っていてしかるべきであります。これがなされておらないで、民間企業任せが今日までの状況でございました。本協定の土台になっておりますエカフェ調査にいたしましても、一九六八年の調査でございますし、同時に、百五十キロメーターメッシュというきわめて目の粗いものでございました。
 私は、ここで技術的な細かさを要望しているのではございません。採算に乗るか否かというような企業ベースの観点やあるいは他国、あなた任せの資源対策であってはならないことを指摘したいのでございます。資源開発について政府が今後積極的に取り組んでいき、先見性を持って対処していかなければ、すべてが後手後手になる、このことは、すでに七三年のオイルショックが私どもに教訓として残しているところであります。
 また、大陸だな資源開発は、関係国の利害衝突を生じやすいものであることは、つとに予想されるところでございます。したがって、その処理方法いかんでは、相互に国民感情を刺激し、ナショナリズムの対立を誘発するおそれがございます。それだけに、政府は、常に国民に対して開発の基本方針を明示すること、そして国民的なコンセンサスを得る努力が必要であります。同時に、関係諸国に対するきめ細かな外交的配慮がなされておらなければならないと存じます。
 私は、この際、政府が海底資源開発あるいは大陸だな資源についての総合的な方針を確立すること、それは経済水域の設定をも含む施策を講ずべきものであると存じておりますが、総理並びに関係大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。
 第二に、私は、いわゆる国益、これをいかにして保障するかという点について質問をさしていただきたいと存じます。
 本協定並びに特別措置法を見る限り、国民の資金を使いながら、開発の推進を図る、その利益を国民に果たして還元できるシステムができているのでありましょうか。残念ながらできていないと言わざるを得ません。
 海底油田の開発は巨額な資金が必要とされます。またリスクも大きい。したがって、その資金の適正な運用を図るべきは当然であります。それと同時に、利益を国と国民のために提供する措置がしっかりと講じられていなければなりません。
 特別措置法案によれば、特定の企業が特定鉱業権者として採掘を行い、資源を取得する権利を持つことになっているのであります。しかし、これは石油及び天然ガスが生産が行われる段階においては、少なくとも政府が関与し、コントロールすることが必要であると私は思います。欧州北海油田の場合、生産が開始されたそのときにおいては、英国、ノルウェーの例のごとく、国営会社あるいは公社を設立しているのであります。そして、これが国民への利益還元を行っているのであります。
 本来、国民的共有の財産である資源、それを国民が享受できるようにすることが国益というものであると私は存じます。そのための開発体制の整備を公的機関が行うべきであります。したがって、わが国においては特定企業、メジャーに生産物の処理、配分を任せるのではなくして、特殊法人あるいは公社といった形態のものをつくるべきではないでしょうか。
 過日、この点につきまして外務委員会においてわが党の提案をいたしました。これに対しまして、通産大臣、覚えていらっしゃると思います。通産大臣並びに石油開発公団総裁は、これに対して積極的に賛同の意思の表明がされました。ここにその点を再度確認させていただきたいと思います。さらに、この問題につきましては総理の決意のほど、これをお聞かせいただきたいと存じます。
 第三に、汚染事故の防止とその対策についてであります。
 本協定の付属交換公文には、事故防止のための細目が規定されています。しかし、それで果たして十分でありましょうか。本協定が調印されてからすでに三年有半の歳月を経ております。その間、サンタバーバラ沖の事故、今回の北海汚染事故、これが発生をいたしました。それらを他山の石として、万全の上にも万全を期すべく、私は、その三年間の進歩を遂げた最新の防止技術あるいは装置、これらを導入していくことが必要であると考えます。
 また、汚染等の事故が万一起こったとき、これに対処して政府の責任を明らかにしておくことが必要であります。なぜならば、日韓双方の連帯責任、無過失賠償責任はうたってはございます。しかしながら、それはあくまでも企業ベースの責任の範囲でございます。万一、企業の負担能力を超えた事故、こういったものが起こった場合に、どのように対処すべきなのか。こういった点については、早急に両国の政府間で協議し、取り決めをつくっておく必要があると私は信じます。
 また、関連して、海洋汚染の防止を双方が国内法として立法化をすること、これをも両国間で協議すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。総理並びに関係大臣にお伺いをいたします。
 最後に、中国を初め他の近隣諸国との間に、将来紛争の種を残すことのないよう、どのような外交的措置をとっていかれる所存か、お聞かせを願いたいのでございます。
 たとえば、すでに中華人民共和国からは抗議の意思表示があったのでありますが、それを放置したままにしておくことは、将来において禍根を残すことになる点を、私は深く憂慮するものであります。
 政府は、この際、積極的に話し合いの道を開き、大陸だなの境界等、双方の懸案事項について協議を開始すべき段階であると考えておりますが、そのために、今国会中にも再度の日本政府としての申し入れをする用意があるかどうか、総理並びに外相の所信のほどをお尋ねするものであります。
 以上の諸点について、明確な御答弁をお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕

発言情報

speech_id: 108005254X02419770510_022

発言者: 渡辺朗

speaker_id: 325

日付: 1977-05-10

院: 衆議院

会議名: 本会議