福田赳夫の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○内閣総理大臣(福田赳夫君) 有馬さんにお答えする前に、ただいま鳩山外務大臣から日ソ漁業暫定協定の要旨につきまして御説明いたしましたが、あのような結果になりましたことは、これひとえに超党派で各党各派の皆さんから御支援、御協力を賜ったそのたまものであると、私はここに謹んで皆さんに御礼を申し上げます。(拍手)
 有馬さんは、今次の協定によりまして、領土問題で譲歩したのじゃないか、あるいは領土問題に関するわが方の立場は守られておらないという疑いもあるのじゃあるまいかというようなお気持ちをもちまして、私の意見を確かめるということでございまするが、これはいま外務大臣から御説明申し上げましたように、暫定協定第八条におきまして、日ソ両国間の相互の関係における諸問題に関するいずれの政府の立場または見解をも害するものとみなしてはならない、こう明瞭に規定しておるわけであります。
 この規定は、ソビエト側にはソビエト側の主張がある、また、わが方にはわが方の主張がある、その立場を害してはならないということを規定したものでありまして、わが日本政府といたしましては、当初からこの問題につきましては、領土は領土、漁業は漁業という基本的なたてまえをもちまして臨んできたわけでございまするけれども、この第八条の規定によりまして、明快にわが方の主張が貫かれておる、かように御理解を願いたいのであります。
 次に、二百海里時代を迎えて漁業の新しい展望をつくらなければならぬじゃないかというお話でございますが、もちろん私どももそう考えておる次第でございます。やはりこの新秩序がつくられなければならない、また、それができる過程に入ってきた、そういう際におきまして、漁業外交的側面というものが非常に大きな外交課題になってきておる、この線を強力に進めてみたい、かように考えております。
 しかし同時に、国内におきましても、まず第一に、わが国が二百海里水域を引いた、その二百海里の水域を最高限に活用する、このことを考えなければならぬだろうと思います。同海域におけるところの水産資源の維持培養、高度利用といいますか、それから漁場の整備、増養殖の拡充、資源の有効利用、また水産資源の的確な把握、また漁場についての的確な情報網の整備、さようなことをいろいろ工夫をしていかなければならない、かように考えておるのであります。
 同時に、海外に対しましては、あるいはオキアミでありますとかあるいは深海魚などの新資源の開発、新漁場の開発、また世界的規模におけるところの調査の拡充強化、また海外経済協力事業をわが国は大いに進めておるわけでございまするけれども、その協力の過程においてわが国の漁業外交を進めるというようなことも考えなければならぬだろう。
 さら兵直接の漁業ばかりではありません、水産加工につきましても大きな変化が出てくるわけでございまするけれども、これに対しましては、資源の確保、また時によりましては輸入政策、そういうものも考えまして、そして加工業の維持、これに努めていかなければならない、かように考えております。
 それからさらに有馬さんは、漁業労働者や水産加工業者等に対する対策についてのお尋ねでございます。
 すでに、非常に困難な局面に立たせられておりまするところの、離職とまではいきませんけれども、非常に苦しい立場の乗組員、そういう者に対しまするところの賃金の支払い資金につきましては、御承知のとおり手配済みでございます。しかしまた、今後北洋漁業等の再編成に当たりまして離職者が出てくるということも想像されるわけでございまするけれども、この離職者に対しましては、就職のあっせんでありますとか職業訓練の実施でありますとか、あるいは職業転換給付金の支給でありますとか、雇用並びに生活の安定につきまして最大の配慮をいたしたい、かように考えております。
 また、水産加工業者、もうすでに緊急に必要な資金の融資は行ってはおるものの、今後交渉の結果、かなりこの業界における窮屈さが増してくる、これらの方々に対しましては、あるいは代替の魚種の供給でありますとか、あるいは原料となるところの輸入魚の配慮でありますとか、いろいろな工夫をいたしまして水産加工業の維持に努めていきたい、また、その他の事態に対しましては適当な万全な対策をとってまいりたい、かように考えておるのであります。
 また有馬さんは、ソ連はわが国の領海十二海里の水域内における操業を断念したのかどうかというお確かめでございますけれども、交渉の経緯から見て、まずまずそのことを要請してくるとは思いません。しかし、要請してまいりましても、今度は領海が三海里から十二海里に広がったのです。これはわが国の主権の及ぶ範囲がそれだけ拡大されたわけでございます。わが国はその主権の行使をなし得る立場にあるのでございます。わが国は、ソビエト連邦がわが国の領海内において出漁したいという要請は私はないと思いますけれども、仮にそういう要請がありましてもこれは拒否するという方針である、かように御理解を願いたいのであります。(拍手)
    〔国務大臣鳩山威一郎君登壇〕

発言情報

speech_id: 108005254X03219770603_006

発言者: 福田赳夫

speaker_id: 20078

日付: 1977-06-03

院: 衆議院

会議名: 本会議