福田赳夫の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答えを申し上げます。
伺いますと、井上さんは今回の協定について大変御不満だ、こういうことでございますが、私は、領土の問題につきましては、これはきわめて明快にわが国の主張が通されておる、一点の疑いも私は持っておりません、そのように御理解を願いたいのです。
漁獲量の問題につきましては、これは、私も鈴木農林大臣も、大変不満に思っておるのです。しかし、二百海里時代というもの、これはもう非常に厳しいものだ。私どもは伝統的漁獲量ということを主張した。なかなかこの主張どおりにいかないのです。やはり二百海里時代になれば、その国の二百海里内でとれた魚、それが国内の必要以上余りがある、こういうならば分けてやろうというような思想、これが二百海里水域の根底にあるわけでありまして、そういうことを考えますると、今回の鈴木農林大臣の交渉、量的には大変不満な感じでございまするけれども、これはもう精いっぱいの努力の結果である、かように存じます。
また、ソ日暫定協定に対する基本的な姿勢はどうか、こういうお話でございますが、これはすでにもう成立しておるところの暫定措置法、これを踏まえて、そのたてまえでこれに臨む、こういう以外にはないのでありまして、ひとつそのように御理解を願います。
また、日ソ友好善隣関係というものの将来についてどう思うか、こういうお話ですが、私は、日ソ両国というのは、これはもうお互いに引っ越すわけにいかない隣組でございます。その両国でございまするし、同時に、その二つの国は、文化関係におきましても、あるいは人事の交流におきましても、あるいは資源の開発というような面におきましても、あるいは漁業の面におきましても世界最大の漁業国の二つである。そういう立場において、日ソ両国の間では、これはいろいろ問題がある。しかし、今度は、ほかの国に対しましては共同の利害関係を持っておるわけなんです。
そういうようなことで、私は、日ソ関係というものは、これは注意しながら育てていきますれば、本当にいい善隣友好関係になり得る、そういう展望を持っておるのであります。
しかし、一つ問題がありますのは、領土の問題なんです。何とかわが方の主張を踏まえまして、この領土問題を解決し、そして平和条約を結ぶ、そういうふうにいたして日ソ関係の総仕上げをいたしたい、こういうふうに考えており、その方向に向かって努力をいたしたい、かように考えております。
また、私がブレジネフ書記長並びにコスイギン首相に対しまして、この交渉の過程において親書を出した、あれについて疑惑を持っておる人がある、不安を持っておる人がある、こういうふうなお話でございますが、私は、あの親書について疑惑、不安というものがあるという話は、初めて伺いますが、私が鈴木農林大臣から、帰国いたしまして伺ったところによりますると、あの交渉は、領土問題をめぐって、これはもう決裂寸前だ、その決裂寸前の交渉を妥結に至らしめたのは、あの書簡の効果であった、こういうふうに言うておるのです。これはなお詳細に鈴木農林大臣、当事者でありますから、その当事者からお聞きを願いたい、かように考える次第でございます。
なお、その内容は一体、それじゃどうなんだというようなお話でございまするけれども、内容は、日ソ関係というものは将来明るい展望を持っているのだ、これを漁業交渉のゆえに傷つけるというようなことがあっては相ならぬと、私はそう考える、この問題は、領土問題という問題が介在しておるので、領土は領土、漁業は漁業、そういうたてまえでひとつ解決いたしましょう、こういう内容のものでありまするが、詳細は、親書でありますので、これを詳しく申し上げるわけにはまいりません。
それから、私に、場合によったら訪ソしたらどうだ、こういうお話でございますが、私は、こういう感じがしてならないのです。四年前ですか、田中首相が訪ソをしておるわけなんです。今度は向こうから来てくれてもよさそうなものじゃないかと、そう思うのです。しばしば私は、ソビエトの首脳に対しまして、訪日されたいと、こういう要請をしておるわけでございまするけれども、まあ、わが国の首脳が外国へばかり行くべきだというふうに考えるその考え方自体に対しましては、私は若干のひっかかるものを感じておるわけでございまするけれども、しかし、私が訪ソするという必要がどうしてもあるということになりますれば、私はいっでも行くにやぶさかではございません。(拍手)
〔国務大臣鳩山威一郎君登壇〕