福田赳夫の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(福田赳夫君) 久保田さんにお答えするに先立ちまして、先ほど高沢さんに対するお答えでちょっと発言させていただきます。
一つは、朝鮮民主主義人民共和国と国交を回復せよ、こういうような質問のところで、私は、正確に朝鮮民主主義人民共和国と申し上げまして、ちょっとそこで、「これはちょっと言うのが長過ぎて困るのですが、そう言え言えと言われるものですからそう言うのですけれども」と、こう言いましたが、これはほかの国でもいろいろ略語があるんです。そういうこともありながらそう申し上げたんだけれども、決して朝鮮民主主義人民共和国というその名前が長過ぎるということじゃないんです。それをそういうふうに正確にお答えするのが長過ぎて困るんだ、こういうことを申し上げておるわけなんです。
それから、アジア・太平洋地域に非核武装地域を設定したらどうかという御質問でありました。それに対しまして、「幾ら条約を結んだって、しかし、一朝有事の際ということになればどういうことになるかわかりませんよ。」と、こういうお答えをしたわけですが、ちょっと私の舌足らずでありまして、補足させていただきます。
「しかし、具体的な裏づけがないときは、一朝有事の際ということになればどういうことになるかわかりませんよ。」と、この「具体的裏づけがないときは、」ということが漏れておったという趣旨に御理解のほどをお願い申し上げます。(拍手)
次に、久保田さんにお答え申し上げます。
まず、ハイジャック再発防止問題でございますが、ハイジャック問題が一応とにかく一人の人命も傷つくことなく解決したことは、皆様の御協力のおかげであると厚く御礼を申し上げます。
しかし、問題はそれだけで解決しないので、ハイジャックの再発防止をどうするかということこそがこれからの問題であるというふうにとらえておりまして、政府におきましては、一昨日、ハイジャック等非人道的暴力防止対策本部を閣議決定をもって設定いたしました。
昨日、その最初の会議がありまして、私はその席で、こういう問題は時がたつと同時に忘れられがちだ、そうあってはならない、鉄は熱いうちに打たなければならぬということがあるが、本当にのど元過ぎて忘れてはならない問題だ、さようなことで、今月いっぱいに結論は出すということにするようにということをお願い申し上げておいたわけでありますが、とにかく早急に具体案を策定いたしまして、実施に逐次移っていきたい、かように考えております。
久保田さんは大変経済の状態を心配されておる。私も心配しておりますが、その中で特に久保田さんは、構造不況業種問題が大事であるという御指摘であり、私もそのように考えておるところであります。この問題は、先ほど申し上げましたように、これは構造不況というのがなぜ起こってきたか。それはやはり世の中というか、経済を取り巻く環境が変化してきた。その変化の対応ができないで今日苦しんでおる、これが構造不況業種である。
その対策を一体どうするのだ、こういうことでありますが、何といいましても一番大事なことは生産と価格の調整問題である、このようにいま考えておりまして、独占禁止法に基づくところの不況カルテル、また中小企業団体法に基づくところのカルテル、これらをいま大いに活用いたしております。また、合繊産業に対しましては政府におきまして減産指導をいたしておる。そういうふうに生産、価格調整ということが非常に大きな問題になっておるわけであります。これに関係いたしまして、過剰設備対策、これをやっていかなければならぬ。平電炉だとか綿紡、毛紡などの紡績業、絹織物などにそういう問題が多々あるわけでございまするけれども、これをやっていく。そのためには、これは金融対策がどうしても必要になってくるわけでありまするが、これもできる限りの金融措置、また信用補完措置、これを進めていく考えであります。
それから、そういうことをやりますと、どうしても雇用問題これが深刻になってこざるを得ないのでありまして、これには雇用安定資金制度などをフルに活用いたしまして、この雇用問題で雇用不安を起こすというようなことがないようにいたしたい、こういうふうに考えております。
当面、そういうふうにてきぱきやっていきます。いきますが、しかし、先々のこともまた考えなければならぬ。いま御指摘がありましたけれども、構造改善計画、これは少し中期、長期の観点から立てまして、そういう対策をとりながら、そういう中長期の軌道に乗せていきたい、このように考えておるわけであります。
それから、中小企業対策につきまして非常に御熱心な御提言がありました。私は、自由民主党から、中小企業対策に関する要望九項目という案件をつぶさに検討いたしたわけでございますが、大方その線にのっとりまして対策を実施しておる、このように御承知を願いたいのであります。とにかく手厚い対策をとっておるという考えでございます。
それから、住宅問題に触れられました。そうして特に公的資金による大規模宅地造成、それから宅地関連公共施設の整備促進、そういうような御提言でございまするけれども、これはその方向で従来からも引き続いてやっておりますが、今後ともその方向を強化してまいりたい、かように考えておるのであります。
同時に、御提言のように民間の活動、これが非常に大事なわけでありまして、民間の宅地造成の助長、円滑化、そういうことにつきましても、政府といたしましては、あらゆる機関を使いまして、その方向で対処しておるところでございます。
そういう中で土地税制——後で税制問題には触れますが、土地の問題が御質問がありましたが、私は、土地税制につきましては、枠組みといたしましては、これを崩したくないのです。あの税制の体系というものは崩したくない。やはり長きにわたってあの仕組みというものは必要だ、こういうふうに考えております。ただ、具体的適用の細目になりますと、今日の宅地供給、そういう面から、あるいは税制上も問題がある点があるかもしらぬ、そういうふうに考えまして、そういうあの枠組みは崩さないんだという中で考えていきたい、こういうように考えておるのであります。
それからさらに、もう来年のことまで言及されまして、五十三年度予算でも公共投資を大幅にふやせ、また公債政策を積極的に活用せよ、こういうお話でございますが、いままだ来年のととまで頭が及ばないのです。及ばないのでございますけれども、今日この時点から考えまして、来年もやはり政府がかなり積極的な景気支持の役割りを尽くさなければならぬじゃないかというように考えております。
そういう際に、やはり財政全体をどうするかという問題があるのです。いまわが国は、世界各国の中で基礎構えはかなりいい状態になっておるんだけれども、そのしわ寄せがいま財政に行っているのです。公債がとにかく歳出の三〇%を占めるというような状態なんです。そういうようなことを考えまするときに、公債依存ということを野方図に考えるということ、これはもう絶対に私はできないことであるというふうには思いますけれども、しかし、公共投資が来年の段階において依然として大きな景気サイドの役割りを持つであろうということは想像されますので、そのような頭組みで来年度の予算に取り組んでみたい、かように考えております。
それから、高福祉社会実現のためには、社会保障制度全体の見直しをしなければならぬじゃないか、こういうお話でございますが、それはもう御所見を私もそのとおりに考えます。今後の人口老齢化に即応した、そういう状態の中で高福祉社会を実現するということになると、社会保障財政、これは相当むずかしい問題になってくるのです。そのむずかしい財政の中で効率よく社会保障政策をやっていかなければならぬということでありまするから、これはかなりの見直しが必要である、このように考えておるので、そのようにいま努力をいたしておるところでございます。
そういうような状況でございますが、とにかくいま世界が非常な転換期の中にある。そして今日、日本の経済が非常に混乱しておる。そういうことは何だと言えば、その転換しつつある世界経済にいかにわが国の経済が、わが国の企業が対応するか、そういうことで大変な苦心惨たんの対応への努力をしておる、そういうさなかでありますのに、政府が一体いままでのような高度成長下で当たってきておる行政の仕組みでいいのであろうか、こういう問題があるわけであります。そういうことで、政府は、その環境の変化に対応した行政の構え、また同時に、環境が違ってきたその結果、これは税収等もそう多くは期待できない、他方において社会施設等には金がかかる、そういう中で、とにかくいわゆる冗費節約というか、行政、財政の合理化というか、これを徹底的にやらなければならぬ時期に来ておる。民間の企業が一生懸命やっておるというさなかで、政府だけが高度成長態勢でのほほんとしていることは許されない。そういう観点に立ちまして、私は行財政の改革の必要性を強調いたしておるわけでありまして、その基本的な考え方につきましては、すでに先月初めにこれを策定し、閣議でもその方針並びに要綱を決定いたしておりますので、これを強力に、精力的に進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
それからさらに一転いたしまして、久保田さんは、貿易収支の大幅黒字基調を是正しなければならぬがどうやってやるのだと、こういうお話でございますが、これは、非常に世界じゅうからこのことを迫られておるのです。わが国といたしましてもこの政策をとらなければならぬ、こういうふうに思っておりますが、その考え方につきましては、数日前にその考え方、全容を発表してありますからここで詳細には申し上げませんけれども、要するに、これは一番大事なことは内需を振興することなんです。つまり景気上昇ということにあるわけでありますが、そのための政策をとっておるということは御承知のとおりであります。そうなりますれば輸入はふえる傾向になってくる。国内市場で売れるものですから、そう海外へあせって売らなくなる、こういうようなことになり、逐次収支均衡という方向へ動いていくことになろう。こういうふうに考えておると同時に、具体的にいろいろ施策をとらなければなりませんけれども、特に東京ラウンド、つまりガットの、関税、非関税障壁、これを全面的に低減を、あるいは撤廃をしようと、こういう交渉でありますね、これはどうしてもわが日本としては積極的にこれを進める立場に立ち、これを成功させなければならぬというふうに考えておりまするし、いろいろ工夫をいたしまして、原材料等の輸入、備蓄のための輸入ということも進めてまいりたい、こういうふうに考えております。しかし、幾ら施策をとりましても、黒字幅がかなりの大幅になることを急にとめることはなかなかむずかしゅうございます。少し時間がかかる。しかし、だんだんそういう方向に動いていくなあという傾向だけは速やかに出していきたい、このように考えておるのであります。
わが国は、いまとにかくアメリカに次いで自由社会では第二の経済力を持つような国になってきた。そのような立場にある日本といたしますと、いま世界が非常に混乱しておる。世界政治の最大のかなめは何だと言いますれば、いろいろありまするけれども、この混乱した政治、経済情勢を早く回復の軌道に乗せる、この一点にあると言っても支障はないくらいな状態であります。
わが日本の責任は非常に大きい。その大きな責任を尽くしていかなければならぬと思いまするけれども、その責任を尽くす方途というものは、やはり成長政策というか、国際的公約ともいうべき六・七%を実現する、それからそれに伴いましていろいろな構造不況業種なんかの問題を解決する。そして早く日本の景気の安定を図るということ。同時に物価の問題です。いま私は、物価はいい基調で動いておる、ことに下半期になると計数的にもいい状態になってくる、こういうふうに思っておりまするけれども、インフレを海外に輸出するというような、そういう批判を受ける国になっては断じて相ならぬ、このように考えておると同時に、先ほどから御指摘のありまするところの国際収支の問題、これにつきまして、逐次これがそう大きな黒字でないという状態を出現すること、これが国際社会に対する責任を果たすゆえんである、かように考えております。
それから、現下の深刻な雇用不安という問題につきましてのお尋ねでございまするけれども、これも先ほども申し上げましたが、やはり結局は景気の着実な回復、これも雇用の安定というところにねらいがあるわけなんです。公共投資を増額いたしましたということもそれだし、また金利の引き下げをやるということもせんじ結めればそこに問題があるのでありまするが、さらにいろいろな制度がありまするから、この雇用対策につきましては、諸制度を積極的に動員いたしまして誤りなきを期してまいりたい、かように考えます。
国立大学の問題につきまして御提言、御所見が述べられましたが、私も御所見を伺いまして、ああ、やっぱり久保田先生はなかなか深く広く考えておられるなあという感を深ういたしたわけでございます。(拍手)ただ、地域社会の問題があるわけであります。過密過疎とか、いろいろ問題がありまするから、そういうような配意もしなければなりませんけれども、久保田さんのお話のあったような精神を基本として、教育は量よりは質である、これを忘れないで対処してまいりたい、かように考える次第でございます。
なお、エネルギー総合対策の問題につきまして種々お話がありました。
第一は資金の問題でありまするが、これは実に頭の痛い問題です。これからいよいよ本格的にこの問題に取りかからなければならぬという段階でございます。
なお、サンシャイン計画でありますとか核融合の問題でありますとか、お触れになりましたけれども、私はこの問題はかなりわが国としても進んでおる。とにかく世界の先端を行くその一つの国であるという立場にあるわけでございます。二十一世紀時代になるとこの問題が非常に深刻な問題になってくるのでありまするが、そのころになってあわててもどうしようもないのです。いまからもう手をつけておかなければならぬ問題である。
私は、こういう角度の問題で、軍事力を持たないわが日本とすると、何かほかの面で世界の平和に貢献しなければならぬ。その貢献するゆえんのものは、とにかくおくれた国々、開発途上国、これへの奉仕、貢献ということもありまするけれども、こういう社会、人類のこれからの生死を決めるというような大きな問題に日本が一役を買うということは、私は、軍事力を持つにかわる大きな貢献であろう、このようにも考える次第でございまして、そのようにいたしたい、かように考えます。(拍手)
それから、国鉄運賃法改正案、健康保険法改正案、一般職給与法改正案、日韓大陸棚協定の実施に伴う国内関連法案についてどういうふうに考えるかというわけでございますが、これらは、何が何でもこの国会において通過、成立させていただきたいということをお願いいたす次第でございます。(拍手)
最後に、いま非常に経済情勢が混乱の内外の情勢下において、福田内閣は責任を持ってこれに対処せいというお話でありますが、私は、組閣の当時から申し上げているのです。五十二年という年は、これは内外ともに経済の年である、こういうふうに申し上げておるのです。私は、いろいろの課題を抱えておりまするけれども、この五十二年という年、これはどうしても経済が非常にむずかしい年である、これにもう本当に有効に、賢明に対処することが私の内閣の使命である、こういうふうに申し上げてきておるわけでありますので、困難な世界情勢の中で、この日本経済をどういうふうに安全に運営するか、責任を持って対処をいたします。(拍手)
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