福田赳夫の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 経常収支の黒字問題で諸外国から大変いま批判を受けておるということは、お話しのとおりでございます。これに対してどういうふうに対処するか、考え方は先般発表しておりますので御承知と思いまするけれども、さてそれがどういう程度の効果を上げますかということになりますと、これが直ちに効果をあらわしまして、そうして今年度は、いま政府では六十五億ドルの黒字、こういうふうに見ておりますけれども、さあ、上半期に比べまして下半期が決定的に大きな違いが出てきたというようなわけにはなかなかいくまいと思うのです。しかし、大体上半期に比べまして下半期におきましては政府の施策の効果は出てきたなという傾向を諸外国において看取できるような状態にはぜひいたしたい、このように考えておるわけでございまするが、これを実現するためには皆様の御協力を得なければならぬ問題が特にたくさんあるのです。
 たとえば東京ラウンド交渉一つをとりましても、国内的にずいぶん御協力を願わなければならぬ問題があるわけでありまして、しかし、国際社会の一員として日本国が責任を果たさなければならぬということは、これは非常に大事な問題でありますので、いろいろお願いを申し上げますが、御協力のほどはぜひお願いをいたしたい、かように存ずる次第でございます。
 また、経済の実態は統計で見るところと違いまして非常に深刻だ、現状認識をどう見ておるのだというお話でございますが、これは高沢さんにもお答え申し上げましたが、現在日本経済全体のスケールとしては上昇過程で動いておる、しかも、その間におきまして国際収支は批判を受けるような状態だ、あるいは物価はだんだんと安定基調を強めておるというので、大混乱下の世界情勢の中では際立っていい動きなんです。しかし問題がある。問題がありますのは構造不況問題、中小企業問題、このように考えておるのでありまして、そういうとらえ方でいま経済政策を運営いたしておるところでございます。
 そういうことを考えましても、特に気にかかりますのは、御説のとおり雇用問題でございます。雇用問題につきましては、どうしてもやはり景気全体を押し上げる必要がある。そこで、六・七%成長を実現するための施策、これを進めていることは御承知のとおりでありますが、同時に、経済全体が安定しなければ、先々の雇用問題、これが安定しない。そこで、いろいろ困難はありまするけれども、構造不況対策、これを進めなければならぬ、こういうことでございますが、それにいたしましても、当面出てくるところの雇用を一体どうするか、この問題につきましては、先ほど来るる申し上げておりまするとおり、職業の転換あるいは職業の訓練、あるいはさらにつなぎのいろいろな措置等、きめ細かに対策を講じていくつもりでございます。
 それから、先々の雇用につきましてはそれじゃどうするんだといいますると、やはりこれはある程度の高さの成長ということが必要だろうと思うのです。資源エネルギー有限時代でありまするから、成長の高さ、これはなるべくなら低目にしたいのです。しかし、雇用ということを考えまするときに、そう低くこれを抑えるわけにいかぬ。やはりある程度の完全雇用的な社会というものを展望しながら考えなければならぬというふうに考えておりますが、その低くなければならぬという資源エネルギー上の要請と、また、社会を活力あるものにしなければならぬその前提であるところの雇用、このことを考えての高くなければならぬという成長への要請、これの接点は一体どうだということが非常に大事な問題ですが、ただいま私は、それは大体六%程度のところがその両者をまずまず満足せしめる接点ではなかろうか、そのように考えておるのであります。
 また、構造不況問題に触れられまして、中小企業連鎖倒産防止共済制度創設論を提唱されましたが、私は、これは一つの考え方である、こういうふうに考えております。政府の方でも十分検討していきたい、かように考えております。
 なお、エネルギー問題に触れられまして、石炭を利用せよ、省エネルギー政策を進めよ、サンシャイン計画も進めよ、これはもう全く細谷さんのおっしゃるとおりであります。しかし、細谷さんのトーンとして、核エネルギー、これについて余り強調されなかったことは、私の意外とするところであったわけであります。(拍手)やはり石炭利用、省エネルギーあるいはサンシャイン、これはもう本当に大事だと思います。しかし、これから二十一世紀への資源エネルギー問題の谷間をどうやって切り抜けるかということを考えますと、その主軸は何といっても核エネルギー政策に依存せざるを得ないのであります。この点をつけ加えまして、お答えといたしたいと思うのであります。(拍手)
 行政改革につきまして、私が意欲を失っておるというようなお話であれば、これはとんでもない間違ったお考えのようであります。本当にいま世の中が転換をしておる、その中でみんな苦しまなければならない、特に構造不況産業だ、中小企業だ、ずいぶん苦しんでおるのです。そういう中で、政府がいままでの高度成長姿勢で行政を運営していいのかということは真剣に反省されなければならぬだろう、こういうふうに思うのです。そのためには、政府は率先して行政改革、財政改革を行わなければならぬ、こういうふうにも考えておるのであります。その大方の考え方は、去る九月三日に、九月二日でしたか、もう発表したじゃございませんか。それをいま逐次具体化を詰めておるという段階なんです。この国会に間に合うようにその詰めばなかなかできませんけれども、次の通常国会までに具体案ができましたものにつきましては、御提案をして御審議をお願いいたしたい、かように考えておりますので、ぜひその際は御協力を賜りたい、このように存ずるのであります。
 それから、行政改革で国と地方の事務の配分を並行して考えよということでございますが、これはもう当然そのように考えなければならぬ問題です。住民の身近なところで住民の意思を反映しながら行政が行われることが望ましい。そういう行政につきましては、これは国が引っ込んで地方がそれに出ていく、こういうことでなければならぬわけでありますが、そういう考え方をもちましてこの問題には取り組んでまいります。
 それから、さらに税制の問題に触れられまして、私と大蔵大臣との間に見解の相違があるやに聞いておるがというようなお話でございますが、そのようなことはございません。先ほど申し上げましたとおり、中期税制答申はあくまでも中期的展望を示したものであります。もとより政府がお願いいたしまして答申を受けたのでありまするから、それは尊重しなければならぬ立場ではございまするけれども、それをいかに採用するか、その時期と具体的な内容の詰め、そういうことにつきましては、毎年度の税制調査会に諮った上、政府においてこれを実施せられたい、こういうようなことで、いまこの段階におきまして、五十三年度においていかにこの問題を処理するか、それにつきましては、ただいま具体的な考え方を持っておりません。これにつきましては、大蔵大臣におきましても全く同意見でございます。
 それから、仮にこの税制調査会が提言しておりまするところの一般消費税が採用された場合に、それを一部地方に回すべきじゃないか、また地方交付税交付金の対象にすべきではないか、こういうようなお話でございますが、まだ一般消費税をどうするか、これも考えておらぬ、こういうような段階におきまして、そこまで内部の詰めはいたしておりません。
 それから、五十三年度において多額の地方財源不足が見込まれるので、地方交付税の税率を変更すべきではないかというお話でございますが、来年五十三年度におきましても、また地方財政非常に苦しいことと思います。しかし、この交付税率の改正問題、これは非常に重大な問題です。簡単にここで私がお答えをするというわけにはいかない、そういう性格のものでございますが、地方制度調査会等の意見も聞きながら結論を出さなければならぬ問題かと思います。しかし、いずれにしてもはっきり申し上げますることは、五十三年度におきましても、地方財政の運営に支障があるというような状態にはいたしません。これは明快に申し上げます。(拍手)
 それから、土地税制の緩和は問題が多いので緩和をすべきじゃないというような御所見でございますが、先ほど申し上げたとおり、土地税制、これは枠組みを変えるのは妥当じゃない、こういうふうに私は思うのです。しかし、いろいろ適用上の細目なんかにつきましては、これはいろいろ検討する余地があるのじゃないかという意見を言ってくる人がかなり多うございます。そういうことで、この枠組みを変えないというその中でこの土地税制を検討するということは、検討するに値する問題である、こういうふうに私は考えておる次第でございます。しかし、その際に、土地税制あるいはその他のいろいろな土地に対する施策を変えたからそれによって地価が上がってくるという傾向を助勢するようなことがあってはならぬわけでありますから、それは基本的な考え方として厳守してまいりたい、かように考えております。
 それから、住宅政策の基本的な考え方として、公団、公営、そういうようなものを中心にした考え方はどうかというのですが、これも先ほど申し上げましたが、そう偏った考え方じゃなくて、まあ民間住宅も、また公団、公営住宅も、また両者を国民が求めておる、そのバランスある進め方の方が妥当ではあるまいか、そのように考えております。
 三全総についてもお尋ねでありましたが、これは人口の見方などにつきましては、余り都市集中が激しくなっては困るという配慮もいたしまして人口の数字を出しております。同時に、広域市町村圏、また広域生活圏、既存の仕組みとの調整をどうするかということについてのお尋ねでございますが、これは十分にその調整がとれるようにした上実施に移す、このような考えでございます。
 第三セクター方式の行き詰まりにつきましてのお話でありますが、確かに私は、国それから地方公共団体、それから民間、この三者が一体となってある一つのプロジェクトを進めるという考え方、これは一つの有力なる考え方だと思うのです。ただ、いまこれが御指摘のようにうまく動かない。動かないのは、四年続きの低成長下で企業がかなりまいっておる。そういうようなことで、企業の力というものが低下しておるというので、三本足のその一つがなかなかそろわぬ、こういう問題が出てきていまのお話しのような感触も出ておるというふうに思いますけれども、さあそれだからといって、この考え方が将来にわたってこれはもうだめになったんだというようなとらえ方をするのは妥当ではないのではあるまいか、私はそのように考えるのであります。
 最後に、有珠山の噴火に対しましては、政府として本当にできる限りの対策をとっておるわけでありまして、いま政府といたしましては、これに対して特別の立法が必要であるというふうには考えておりません。既存の立法でできる限りの対処ができる、このように考えておるということを申し上げて、終わります。(拍手)
    〔国務大臣坊秀男君登壇〕

発言情報

speech_id: 108205254X00319771006_011

発言者: 福田赳夫

speaker_id: 20078

日付: 1977-10-06

院: 衆議院

会議名: 本会議