園田直の発言 (外務委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○園田国務大臣 ただいま議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡しに関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
現在、日米間には、明治十九年に締結され、明治三十九年に追加修正された日米犯罪人引渡条約がございますが、現行条約は、締結以来九十余年を経ており、引き渡し対象犯罪が殺人罪等の伝統的な犯罪に限定されているため、国際的な交通機関の発達等による国際的渉外事件の増加を初めとする最近の事態に適合しなくなっている面があり、これを改善することが望まれていたところであります。
政府は、昭和五十年八月のクアラルンプール事件等を契機とする国際的な犯罪の抑圧のための協力についての国内の認識の高まりを背景に、犯罪の抑圧のための日米両国の協力を一層実効あるものとするため、昭和五十一年一月にアメリカ合衆国政府に対し、現行条約を全面的に改定することを提案いたしました。その後、二回にわたる交渉と外交経路を通じての調整の結果、新条約案について合意が得られ、本年三月三日に東京において、本大臣とマンスフィールド駐日アメリカ合衆国大使との問でこの条約の署名が行われた次第であります。
この条約は、本文十六個条及び付表から成り、さらに、交換公文が付属しておりますが、その主要な内容は、次のとおりであります。
すなわち、各締約国は、両国法令により死刑または無期もしくは長期一年を超える拘禁刑に処するとされている犯罪について、訴追等を行うために他方の締約国からその引き渡しを求められ、自国の領域で発見された者を他方の締約国に引き渡すことを約束しております。引き渡しの対象となる代表的な犯罪四十七種類は、本条約の付表に列挙されております。また、引き渡し請求犯罪が政治犯罪である場合は引き渡しは行われず、自国民の取り扱いについては、被請求国は、引き渡しの義務を負わないが、裁量により自国民の引き渡しを行うことができること等が定められております。引き渡し請求は、逮捕状の写し、証拠資料等の必要な資料を添付して外交経路により行いますが、緊急の場合、一方の締約国は、他方の締約国より要請されたときには、仮拘禁を行い得ることになっております。さらに各締約国は、第三国から他方の締約国に引き渡される者を自国領域を経由して通過護送する権利を他方の締約国に認めることが定められております。
この条約を締結することにより、引き渡し対象犯罪が現行条約に比べ飛躍的に拡大されるのみならず、将来生じ得る新しい犯罪も引き渡しの対象とされることとなる等、多くの点で改善が施され、犯罪の抑圧のための日米両国の協力関係が一層実効性のあるものとなることが期待されます。
よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
次に、千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
近年の国際的な経済活動の緊密化及び技術交流の拡大という状況にかんがみ、商品輸出及び技術輸出の拡大を図るためには外国における特許権の確立がますます重要となってきております。このような趨勢を反映して、国際的に外国への特許出願が増大するとともに、同一の発明について複数の国において特許出願を行う事例が顕著な増加を示しております。
従来の例によれば、同一の発明について複数の国において保護を求める場合には、出願人は、各国の法令に従い、各国語で出願書類を作成し、各国ごとに出願手続をとらねばならず、これは、出願人にとってかなりの負担となっております。一方、各国の特許庁は、同一の発明であるにもかかわらず、それぞれ独自に調査、審査を行うため、国際的に見れば、重復して労力を費やすこととなり、特許出願の処理の効率化を図る観点からは問題なしとしません。このような事態に対処するため、国際的な出願手続の簡素化及び出願の審査の面における国際協力を図ろうとする機運が高まりまして、その結果、昭和四十五年六月十九日にワシントンでこの条約が採択された次第であります。
この条約は、以上のごとき問題意識に立って、国際出願手続、国際調査、国際予備審査及び国際出願の国際公開に関する制度を創設するとともに、あわせて開発途上国に対し特許の分野における技術援助を行うことを内容としております。
わが国は、従来から技術立国を重視し、そのための基盤の拡充等の観点から、工業所有権制度の国際的動向に強い関心を持ち、この条約の作成にも積極的に貢献してまいりました。わが国がこの条約を締結すれば、外国への出願手続が簡素化されることを通じてわが国の国民による外国特許の取得が助長されるとの効果が期待され、ひいては、わが国の一層の経済発展にも資することとなると認められます。また、国際協力の推進という観点から言えば、わが国の特許庁が、この条約のもとで、国際調査機関及び国際予備審査機関として行動すること等を通じ工業所有権の分野において国際的役割りを果たすことは、それ自体としてきわめて有意義であるばかりでなく、同条約のもとでは、開発途上国に対する特許面の技術援助の促進も期待されます。
よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
以上、二件につき何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。