馬場昇の発言 (農林水産委員会)
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○馬場(昇)委員 松くい虫防除特別措置法にかかわります御質問を申し上げたいと思います。
松くい虫防除特別措置法は昨年の第八十国会で成立をいたしまして、五十二年度はこの法律に基づいて約二十八億の予算で九万ヘクタールの特別防除が行われたわけでございます。そしてこの法律で、今後五カ年間で約二百三十二億の費用を使って空中散布、すなわち特別防除を計画しておるわけでございまして、これは大臣御承知のとおりでございます。
昨年の第八十国会のこの法律の審議の過程で、多くの疑問や問題点が指摘されたわけでございますが、それが十分解明されず、納得のいかないままに、社会党、公明党、共産党の三党が修正案を出したわけでございますが、これが否決されました。一部修正は行われましたけれども、自民党、民社党、新自由クラブの多数によってこの法律は可決、成立したわけでございます。
この法律の審議の過程で私ども多くの問題を指摘したわけでございますけれども、その主な重点として指摘しましたのは松枯れの原因でございます。政府は、松枯れというのはマツノマダラカミキリが運ぶマツノザイセンチュウに原因がある、こう主張したわけでございます。私どもも全面的にそれを否定まではしなかったのですけれども、松枯れの原因というのは大気の汚染、皆伐等による自然環境の破壊など総合的である、こういうぐあいに主張したのでございます。第二の問題としましては、農薬の空中散布の効果についてもたくさんの疑問があるということで、その疑問も指摘したわけでございますし、さらに、空散するところのスミチオン等の有機燐剤の人体に与える影響というのも非常にある、またこれは自然環境を破壊する、こういうことも主張いたしました。この法律は強制的であり過ぎる、そして地域住民の意見の反映が十分でない、こういうことも指摘したわけでございます。私は、松枯れが重大な問題であるということはわかるのですけれども、この法律を提出する前、そして提出した後の林野庁の執念というのは異常だというふうにも主張いたしました。その内容については前の国会で申し上げたので言いませんけれども、この五年間に二百数十億円使うわけですから、そういうことも背景にあって、松枯れ対策に藉口した農薬会社と林野庁の癒着というものさえ疑わざるを得ない。そこから追い立てられてやっているのじゃなかろうかという感じさえもしたわけでございます。
松枯れというのは、高度経済成長の経済性一切倒の山荒らし、人減らし林政に対する天の警告だ。ここで松くい虫の対策をするだけでなしに、松枯れの総合的な対策をして、山づくりを含めた強力な法律にすべきだ、こういうことを主張したのですけれども、これは残念ながら入れられなかったわけでございます。
そこで、きょう大臣に質問いたします重要なポイントにかかわる問題でございますけれども、大臣、この法律の成立後に、この法律に基づいて昨年第一回の空中散布が行われております過程で、あるいは行われた後で、私どもは重大な事実を実は発見したのです。それは、第八十国会でこの法律を審議するために、政府、農林省が国会法の第百四条により国会の審査及び調査のために提出された資料がございます。すなわち「松くい虫防除特別措置法案参考資料」、これです。大臣も持っておいていただきたいと思うのですが、これがその資料でございます。松くい虫防除特別措置法を審議する資料としてこれが一つ政府から提出されたわけでございます。そしてこの資料の中で、この法律を制定するための唯一の基礎資料となっておりますのが——この資料の中には、たとえば「森林資源の状況」だとか、「松林の現況」だとか、「松の枯死の原因」だとか、いろいろありますが、空中散布をするとこんなに効果があるのですよというような資料というのは、この資料の中で「特別防除(航空防除)の効果及び実施状況」というのがあるのです。その内容は、いろいろ数字を挙げまして、農薬を空散したならばこのように効果があります。被害が減少してこのように数字的に減少しております。だから効果があるのですからこの法律をつくってください、こういうような資料でございまして、二十一ページから二十五ページまでにわたりまして実は九事例がここに出ているわけでございます。残念ながら、法律を審議する過程におきまして、この九つの事例を一々私たちは質問もいたしませんでしたし、これが誤っておったということに実は気づかなかったわけでございまして、法律の成立後にこれに気づいた次第でございます。
大臣、この九つ資料がある中で、ほとんどが、正確に言いますと七つが全部作為であり、私に言わせますと改ざんであり、捏造でございます。うその資料です。四十八年度に空散したら四十九年はこう減った、そして空散したら五十年はこうなった、あるいは被害がゼロになったという資料もあるわけですけれども、これが全部捏造、改ざん、うそ資料です。こういう問題で、政府がこの国会と国民をだましたのだ、私はそういう事実を実は発見いたしまして、だまして法律をつくらせた、こういうことに実は気づいたわけでございます。
そこで、私は、昨年の九月十二日に第八十一国会で鈴木農林大臣にこの事実をただしました。ここに私は議事録も持ってきておるわけでございます。この議事録をお読みになったかどうか知りませんけれども、議事録をお読みになるとわかりますが、鈴木農林大臣は次のような答弁をなさいましたし、約束をなさいました。御指摘のような間違いがございました、非常に遺憾に思い、深くおわびをいたします。こう鈴木農林大臣は陳謝をなさいました。そしてまた、私が多くの資料を要求いたしましたが、私の要求した資料、そして指摘した問題点について、その弁明を国会に出します。そうしてその真偽につきまして委員会で御議論を願います。こういうことも約束されまして、事実要求した多くの資料について理事会に提出していただきました。その中で、政府が出した資料、私が指摘します点、こういうことを議論をして、それが作為であり、捏造であり、改ざんであれば、突き合わせた上で、調査の上で厳正な措置をとるという約束をなさいました。そこで、私は、間違った資料、うその資料で、その上に乗った法律でございますので、この成立した法律というのは問題があるので執行停止にすべきだ、こういうような主張をいたしましたら、鈴木農林大臣から、国会で成立した法律でございますし、当委員会を通過した法律でございますので、この委員会で、国会で意思の決定を願わなければならない問題でございます。こういう答弁がございまして、私は委員長に対しまして、では執行停止するかしないかという議論をする委員会を開いていただきたいというお願いをいたしまして、理事会でそれが取り運ぶように決定していただいたところでございます。
大臣が新しくかわられましたものですから、少しくどくどしくなりましたけれども、いままでの経過、事情について御説明申し上げたわけでございますが、いまから議論をするに当たりまして、中川農林大臣もこの前大臣の確約を再確認していただきたい、そしてこの委員会で決まっております取り扱いについて御協力をいただきたい、このことについてまず大臣に御質問を申し上げたいと思います。