飯田久一郎の発言 (予算委員会公聴会)

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○飯田公述人 お答え申し上げます。
 第一点の、地価凍結による供給減に対して固定資産税の強化だけで効果が出るのかという御質問でございましたが、凍結をやりますと、結局、売り手と買い手の間のにらみ合いというようなことになるわけです。そのにらみ合いで負けた方が結局弱い立場になって、もし売り手が負ければ供給はふえるし、買い手が負ければ価格を引き上げてしまう。これは普通の商品についてもそういうことはあるのでありますが、そういうことがありますので、いままで日本の土地政策というものは、戦後一貫して地主に非常に甘い政策、供給が足りなければすぐ税金を安くする、あるいは固定資産税は上げないというようなことでやってきたことになれているために、凍結政策をやっても、がんばればそれはいずれまた解除されるのではないか、二、三年ひとつしんぼうしてみようというようなことで、地主が抵抗するといいますか、この政策の撤回を求めてくるという可能性は決してないわけではありません。
 そこで、農地が一番主要な供給源になりますので、この農地の中で、本当にまじめにどうしても農業をやっていきたいという人に対しては、こういう人は別に特別に値上がり益を求めているとかなんとかいうことではないのだろうから、こういう人にはひとつ永久に農地にしておいていただく。農地として転売されることは御自由なんですが、ただ、どっちにしても農地としての売買以外は認めない、あるいは例外として公共用地に転売する場合はこれは認めるということにすれば、やはり宅地にいつでも転売できるという場合よりも財産価値が減りますので、そういうものを選ばない人も相当出てくるのではないか。今日の市街化区域の農地の持ち主の中には、率直に言ってかなり仮装農家といいますか、適当に農業をやっておいて、いつでも自分の一番都合のいいときに売ってやろう、財産をどんどんふやしていこうというふうな人が相当いると思われますので、こういう方たちと、本当に農業をやって都市の環境を守っていく、あるいは都市住民のための食糧生産に努めたいという人とスクリーニングする、選別するという必要があると思います。この方法をとれば、市街化区域の農家の方の中で相当部分は結局宅地並み課税の方を選ぶ。宅地並み課税を選べば、これは税負担が相当出てくるわけですから、売りどめしたいと思っても税金部分だけはどうしても売らなければならぬというような問題も起こってきますので、凍結による売りどめに対する対抗手段としてはかなり有効だと私は思うのであります。
 ただ、さっき時間の関係もありまして、その他の方法については言及しなかったわけでありますが、ほかにも方法はないわけではありません。
 たとえば調整区域でございますね。調整区域というものもこれはいろいろございまして、中には市街化区域にすぐ隣接しておって交通も非常に便利であるというようなところもあるわけであります。これを無原則に市街化区域に編入するというやり方では、その人たちもまた同じく売りどめをしてしまう、値上がりを考えてなかなか売らないというようなことで、いわゆる宅地供給の増加につながらないわけでありますが、これを条件つきで、たとえば公共用地に売る場合に限って市街化区域に編入してあげるというようなことをすれば、調整区域のままでいてはどうもさっぱり妙味がない、市街化区域になるということであれば、これは公共用地という条件つきであってもこれを売るということになる。そうなりますと、いわゆる宅地というものは必ずしも生産不能といいますか、有限なストックではないという感じを一般の地主の人たちも考えるようになる。
 いま地主の方たちが土地を絶対売ろうとしないのは、昔ですと交通機関の整備は非常に簡単である、遠いところでも鉄道を敷けばそこに住宅地ができる、あるいは埋め立ても自由にできるというようなことで、自分たちががんばっておってもそういう方法で土地をふやされれば、結局がんばりがいが余りないのじゃないかという気持ちがあったのですが、近年は状況が変わりまして、新しく交通機関を整備して住宅用地をどこか遠いところにつくろうと思っても、鉄道の建設がほとんどできない、用地の買収もできなければ、あるいは建設費が非常に高くてとうてい引き合わないものである、あるいは埋め立てということも原則としてもうやらないということになっておるために、結局大都市圏の住宅適地というものの持ち主は、もうこういう土地はこれ以上ふやせないのだ、これしかないのだ。たとえて言いますとピカソというようなもう死んでしまった人の絵のようなもので、絶対これ以上ふえない、それに対する需要というものはこれからも非常に見込まれる。たとえば三全総の計画で言いますと、道路と宅地だけで四十七年から六十年の間に約六十万ヘクタールというものが新しく必要になる。そのうち半分はすでに時間が経過しているわけでありますから、残りのこれからの七、八年の間にも三十万ヘクタールぐらいの土地が必要になってくる。そういうものが主として大都市圏にあるとすると、需要はどんどん出てくるのに供給の方はもうほとんどふやせない。ストックが有限であるということになれば、OPECの場合と同じように非常に強気になってくる。こんなものは絶対手放してはいかぬと思っているわけです。
 そこで、必ずしも有限でないのだ、たとえば調整区域をいま申し上げた編入のようにそれをふやすこともできるのだ、あるいは埋め立てということも近年一つの禁句になっておりますが、これも状況によっては環境等を十分考慮した上で若干埋め立てをやるということも考えられるのじゃないか。これは非常に安い価格でできるわけです。現在言われているような地価から言えばかなり安い価格で、しかも非常に便利なところに埋め立てができる。それによって住宅地の供給がふえ地価の抑制ができますと、その埋め立てによる環境マイナスというものはあるにしても、一方いまのような状態でミニ開発がどんどんふえていって大変な環境破壊をやっている、あるいは都市の防災に大変なマイナスになっているというようなことに比べれば、まだ埋め立ての方がいいのじゃないかということもありますので、そういう方法も考えられる。
 それからまたもう一つは、たとえば立川というような国有地がございますね。こういう国有地をとりあえず十分利用していくというような、そういういろいろな方法を使えば、地主さんの方も、十年間の地価凍結があって全然値上がりがない、ならばむしろ国債でも買った方がいいのじゃないかというような気持ちに変わる人が少なくともある程度出てくる。全部はすぐそうは考えないにしても、たとえば一割でも出てくればそういう人たちが土地を売るようになる。そうなると供給がふえてくるという形で地価も安定する。安定すればやはり土地を持つことの妙味も減ってくるということで、いわゆる悪循環と逆に良循環が起こってくるということが期待できるわけであります。そういうことで、いわゆる地価の長期凍結ということは十分効果があるのじゃないかと私は考えるわけであります。
 それから第二点の御質問の法人の土地税制の緩和ということでありますが、私も、いわゆる宅地開発というようなものをやっておられる不動産業者の方たちの正常な営業活動というものは、やはりりっぱにそれだけの意義がある、これをいたずらに排撃するということは違っておると思います。その点で現在非常に苦境に陥っている不動産業者の窮境を救うというような意味で、ある程度税制の緩和をやるということについては、私は必ずしも反対ではないのであります。ただその場合、先ほど申し上げたとおり、業者のいわゆる活力ができる、資力ができる、あるいは企業意欲がふえるということだけで、一方でそういう業者が宅地開発をやるための素地、宅地造成のための素地の供給対策というものを実行しませんと、結局買い手だけがハッスルして売り手の方はさっぱり動かないということで逆に地価をつり上げてしまう。地価が上がれば、なお、先ほど申し上げたとおり、百坪売るつもりのものが五十坪でもいいじゃないかというようなことで売らなくなってくるというような逆効果が出てくる。ですから法人に対する税制の緩和というものは、そういう素地対策というものと並行して行わなければ逆に害があるという危険もあるのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。
 それから第三点の御質問にお答えいたしますが、公共公益負担というものが非常に高い、五〇%以上のところもある、それが結局は住宅を買う人に転嫁されて高いものを買わされる、あるいは高い土地を買わされるということになっていることは確かに御指摘のとおりであります。それでこれに対して、たとえば二五%というものを限界にして、それ以上のものは適当な財政的な措置によってこれを軽減してやるというお考えに対して私も全面的に賛成であります。
 きょうはちょっと触れる時間がありませんでしたから申し上げなかったのですが、少なくとも公共負担という問題は土地問題にとってきわめて重大な問題の一つでありますから、これに対する予算は何らかの形で大幅につけていくということは、道路整備計画等に非常に大きな資金を投入されるという点から考えて、その一部をそっちに回してもいいのじゃないかというふうに私は考えておるわけであります。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 飯田久一郎

speaker_id: 13112

日付: 1978-02-10

院: 衆議院

会議名: 予算委員会公聴会