浜崎礼三の発言 (公害対策及び環境保全特別委員会)
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○参考人(浜崎礼三君) 御紹介いただきました全漁連の参事浜崎でございます。
本日、本委員会におきまして、参考人として、漁業関係を代表して瀬戸内海の環境保全につきまして意見を開陳させていただきますことに対し、厚く御礼を申し上げたいと存じます。
昭和四十八年、かの水銀、PCB問題が国内を挙げての大きな問題となりました年に、先生方の御努力によりまして、議員立法として制定され、本年十一月期限切れとなります環境保全臨時措置法を、特別措置法として、恒久法として制定していただくということで、今回その改正法案が水質汚濁防止法の一部改正案とともに国会で御審議いただき、衆議院を通過いたしまして、現在参議院で御審議いただいている次第でございますが、これに対しまして、私ども漁業者としては大変に喜んでおり、感謝いたしておりますということをまず申し上げたいと存じます。
御案内のように、二百海里問題が非常に深刻化いたしまして、厳しい影響を漁業者に与えまして、漁業種類によっては壊滅的なものになりつつあります。それだけに、いよいよわれわれ漁業者は、わが国の列島周辺の二百海里内の漁場、沿岸海域を大事にし、その生産を拡大することに努力しなければいけない。そのためにも沿岸海域環境というものを保全整備するということが一番大事な現在の急務だということを考えております。したがいまして、本法案の成立いたしますことを、この種問題は単に瀬戸内海の関係の漁業者だけではございませんで、同じように閉鎖性水域の伊勢湾、東京湾関係の漁民あるいは全国の沿岸の漁業者がすべて強い関心を持っており、熱意を持っておりますということを申し上げたいと存じます。
次に、今回の瀬戸内海法に対する改正につきまして、これはもうあらゆる場合に引用されていることでございますが、瀬戸内海を、世界に比類のない美しさを誇る景勝地であり、また漁業資源の宝庫であると位置づけまして、その環境を保全し、後世に継承すべしという立法精神が強く引き継がれているということにつきまして、この環境行政の姿勢というものにまず第一に敬意を表さしていただきたいと存じます。
先生方御案内のように、臨時措置法は、施行以来、埋め立てに関する基本方針の調査審議や、産業排水に係りますところのCODの半減等の大きな成果を上げてまいりましたことは事実でございます。しかしながら、このように御努力いただきまして、施策の推進をしていただいたにもかかわりませず、瀬戸内海の現状を見守りますと、すでにもう言われておりますように、播磨灘の大規模赤潮の発生、あるいは富栄養化の急速な進行、そして赤潮が多発化していること、さらに悪質化しておりますこと、それによりますところの漁業被害が多発増大いたしておりますこと、さらには大型タンカーや危険物の積載等を含む船舶ふくそうにかかわりますところの漁業操業の支障やその事故、また油汚染、各般の問題というものは山積し、深刻化しておる事態でございます。これもまた先生方御高承のところでございまして、関係の漁民もまた大変心配しておる問題でございます。
臨時措置法は、非常に大きな成果を上げ、環境の悪化を食いとめるという役割りを果たしていただきましたのでありますが、技術的な問題あるいは経過年数等の問題もございまして、広く環境を保全し、浄化を図るという意味合いにおきまして、残念ながらいまだしの感を深くするものでございます。その意味で、私どもとしてはこの後継法及びこれに伴いますところの施策につきまして非常に期待しておるところでございまして、その理由また要望の諸点を次に申し上げさせていただきたいと思います。
第一は、水質の汚濁対策、特に富栄養化の防止対策でございますが、この対策として、水質汚濁防止法の一部改正によりまして、従来の濃度規制から総量規制の導入が図られようとしておりますが、これは漁業者のもう十数年来の要望でございまして、この実現ということは非常にうれしく存ずる次第でございます。今回の改正によりまして、瀬戸内海、東京湾、伊勢湾を対象とする総量規制方式が実施されることとなっておりまして、特に瀬戸内海はその規制対象水域に指定をされ、指定項目としてCODによる総量規制がさらに行われるのでございますが、この具体的な効果につきましては、要は維持すべき環境上の目標を、すなわちどの程度にきれいな海がいつまでに達成されるかということにつきましては、あくまでもこれは行政の判断にゆだねられているところでございますけれども、現在の瀬戸内海あるいは汚染が進行をしておりますところの東京湾、伊勢湾の水質の状態を考えますとき、総量規制の具体的施策につきましては特に厳しい姿勢を打ち出していただくよう、そして速やかに海域ごとに指定された環境基準が達成維持されますように御要望申し上げたいと存じます。
総量規制にかかわりますところの指定項目につきましては、CODのみならずその他の汚染物質につきましても規制の対象とするよう早急に御検討を願わなければなりませんし、富栄養化対策につきましては、当面燐の削減指導をすることとされておりますけれども、さらに赤潮発生の原因の一つとされております窒素につきましても、除去技術の早期開発といったものを進めていただきまして、指定物質の追加等につきまして特段の御配慮をお願いいたしたいと考える次第でございます。
さらに、伊勢湾、東京湾における豊栄養化対策につきましては、これはなるべく早く、瀬戸内海の経験ともにらみ合わしながら科学的知見を確立していただきまして、その防止対策を導入していただくようお願い申し上げたいと存じます。
それから、水質総量規制の導入に当たりまして、前提となるのはどうしても下水道の整備という問題でございます。積極的な整備計画の推進をお願いいたしますが、反面、下水道整備が逐次できましても、二次処理の段階でとどまりますと、かえて富栄養化の進行を促進するという事態も招く場合もございますので、終末処理場の規模や維持管理の技術的な面等で十分な行政の指導をお願いいたしたいと存じます。われわれといたしましては、下水道の終末処理施設というものは、逐次というよりは急速に三次処理に向ける、その方向を強化するという点につきまして、行政当局の指導の徹底をお願いし、財政援助につきましても大幅な対策をお願い申し上げたいと考えます次第でございます。
第二に、自然海浜の保全につきましては、現法案におきましては、先ほど来お話しもありましたように、県条例によって云々ということになっておりますが、すでに瀬戸内海の沿岸海域が各種の埋め立てによりまして、魚類の産卵、生育の場としての干がた、モ場が急速に減少いたしております現在、これらの保全のための施策の推進を地方公共団体の努力にのみゆだねるのではなく、国の行政指導の強化というような面について格段の御措置をお願い申し上げたいと存じます。人工のモ場あるいは人工の干がた、さらには魚の保護林、魚つき林というような問題につきましては、この積極的な造成について財政的配慮等特段の措置をお願いいたしたいと存ずるものでございます。
それから、瀬戸内海の油の汚染の問題につきまして、漁業界が要望しておりました大型タンカー、危険物積載船の航行規制や船舶交通の安全対策、船舶からの油の排出規制等の事項につきましては、第十七条に努力規定が盛られております。これは私どもは、船舶交通の安全対策あるいは船舶からの油の排出規制といった諸施策は、まあ海上交通安全法あるいは海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律という現行の法律体系の中で処理されようということについてはわかりますけれども、それだけに、閉鎖性海域としての瀬戸内海の特性にかんがみまして、具体的な措置を一日も早くとっていただくこと、これをくれぐれもお願い申し上げたいと存じます。
最後に、赤潮の多数発生、油汚染事故、原因者不明の漁具損壊事故というような問題について一括して御要望申し上げたいと存じます。
赤潮の発生は申し上げましたように、各種の施策推進にもかかわりませず、瀬戸内海でも年々発生件数の増加を見ておりますのみならず、太平洋岸や日本海側に至るまで、わが国の沿岸海域におきまして、発生件数、発生水域というものは年々拡大しておりまして、つい最近でも三浦半島をはさみまして東京湾、相模湾等にその発生が報ぜられているところでございます。この発生機構の解明につきましては、いま一歩というところが究明されませず、これに対しては総合的な研究体制、その整備拡充をお願いするところでございますが、あわせて、私ども漁業者の立場からは、被害に対する救済対策の確立についてお願い申し上げたいと思います。
赤潮発生の要因は水の富栄養化にあり、さらにその原因の大きなものは、私どもは合成洗剤にあるというふうに考えております。その追放運動を全国的に展開いたしておりまして、一部の県、一部の漁協におきましては、もう完全に使わないというところまで至っておりますが、この点につきまして、政府に対し、沿岸地域の一部重要地域等では使用販売の禁止というふうな措置もとっていただきたいとお願い申し上げておりますが、この漁業被害につきましては、現在赤潮特約共済を除きましては被害救済対策は確立しておりません。この件につきましてよろしくお願い申し上げたいと思います。
おかげさまで、原因者不明の油濁事故救済につきましては、漁場油濁事故救済基金の設立によって果たされておりますけれども、先ほどの赤潮被害とともに、原因者不明の漁具損壊事故、これは夜などに船舶の当て逃げ等によりまして漁業者の定置漁具あるいは養殖漁具が破壊される問題等でございまして、これらについても効果的な救済制度の確立をよろしくお願いいたしたいと存じます。瀬戸内海の恒久法案が確立した時点で、申し上げましたような諸点について、各般の法体系の整備についてお願い申し上げる次第でございます。
以上、法律案並びに関連する問題について、いろいろと各般の問題に手を広げて御意見を申し上げましたけれども、十一月の期限切れを前にいたしまして一日も早い本法案の成立というものを、連日御審議に御努力をいただいております先生方に御礼申し上げるとともにお願い申し上げる次第でございます。さらに、今後の法運営につきまして、政令の指定等の問題につきまして、厳しい姿勢、早急な推進措置というものを行政当局にお願い申し上げまして、この法案に盛られておりますところの環境保全の精神がさらに広くわが国の沿岸海域に拡大されますことを心からお願い申し上げ、意見陳述を終わらしていただきます。
ありがとうございました。