寺田熊雄の発言 (法務委員会)
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○寺田熊雄君 なるほど刑事局長から承りますと、確かに現行の少年法は理非曲直を裁いて責任を負わしめるというのじゃなくて、保護して、その人格の開花を待つという立場ですから、なるほど法理論的には局長のおっしゃるとおりだと思いますね。ただ現実に悪いことをしたのだといって警察がつかまえたという事実は、これは否定すべくもありませんし、そして警察が相当の期間勾留して調べて、そして家裁に送る、家裁は保護的立場に立つということで鑑別所に入れる、あるいはそれから少年院に送る。現実に肉体的な苦痛を与え、そして経済的な損失を与え、精神上の苦痛を与えるという点では、名目は保護ですけれども、実際は刑事処分の場合と変わりませんね。ですから、いま大臣もおっしゃり、刑事局長もおっしゃったように、現在改正を考えておるのだと、その改正が実現した暁には刑事補償法も改正するとおっしゃるのだからそれでいいようなものですけれども、もう一つ法理論的な問題点としましては、局長がおっしゃった、いまの高等裁判所の抗告に対する裁判ですね、家裁のそれを受けたまた再度の審判ですか、これは確かに無罪の判決とか罪とならずというような、そういうことを主文ではうたいませんけれども、この理由を見てみますと、やっぱりやってないのだということが書いてありますね。ですから、現実に「無罪の裁判」と変わりませんし、それを法務省の方で、あるいは現実に補償の裁判をする裁判所の方で、実際罪があったかないかということは理由を見ればわかりますね。ですから、局長がおっしゃったように、いずれ少年法を改正して、家庭裁判所の審判の中に無罪と同じような主文の判断ができるものを入れるというのと、いま現実に運用でも同じ結果が得られると思うのですね。ですから、せっかく改正するつもりだとおっしゃるから、私は追及する意味で言っているのじゃないのです。現行法上は無理だろうというのが、何とか解釈上有効にならないだろうかという点で、もう一度それが不可能かどうか、刑事局長のお考えを承りたい。
それからもう一つは、憲法第四十条に言う「無罪の裁判」というのがありますね。これを受けて刑事補償法の方もできておるのでしょうが、憲法第四十条の「無罪の裁判」の中には、犯罪がなかったことを明らかにした家庭裁判所の審判も含む趣旨であるというふうに解釈すべきではないかと私は考えるのですが、この点もまた局長と法務大臣のお考え承りたいのです。
いま局長がおっしゃったように、そういうことを宣明する主文がうたえるように少年法改正をいま考えていますとおっしゃったでしょう。それだったらストレートにこの条文に当てはまるけれども、仮にそれがないにしても、その理由の中でそれが明らかに認められれば、主文で無罪をうたったのと同じことではないかというふうにも考えるのですが、いかがでしょう。