法務委員会

1978-04-13 参議院 全273発言

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会議録情報#0
昭和五十三年四月十三日(木曜日)
   午前十時一分開会
    —————————————
   委員の異動
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     熊谷太三郎君     玉置 和郎君
     下田 京子君     内藤  功君
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    委員長         中尾 辰義君
    理 事
                八木 一郎君
                山本 富雄君
                寺田 熊雄君
                宮崎 正義君
    委 員
                大石 武一君
                上條 勝久君
                玉置 和郎君
                初村滝一郎君
                丸茂 重貞君
                阿具根 登君
                秋山 長造君
                小谷  守君
                内藤  功君
                橋本  敦君
                円山 雅也君
                江田 五月君
   国務大臣
       法 務 大 臣  瀬戸山三男君
   政府委員
       内閣法制局第二
       部長       味村  治君
       防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君
       法務政務次官   青木 正久君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  枇杷田泰助君
       法務省刑事局長  伊藤 榮樹君
       公安調査庁次長  鎌田 好夫君
       外務省アジア局
       長        中江 要介君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       海上保安庁次長  向井  清君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   岡垣  勲君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        奧村 俊光君
   法制局側
       法 制 局 長  杉山恵一郎君
   説明員
       警察庁警備局参
       事官       近藤 恭二君
   参考人
       新東京国際空港
       公団総裁     大塚  茂君
       東京電力株式会
       社常務取締役   門田 正三君
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  本日の会議に付した案件
○刑事補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (尖閣列島領海侵犯事件に関する件)
 (新東京国際空港周辺の治安に関する件)
 (弁護士に関する件)
 (政治献金問題に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
    —————————————
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中尾辰義#1
○委員長(中尾辰義君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十二日、熊谷太三郎君及び下田京子君が委員を辞任され、その補欠として玉置和郎君及び内藤功君が選任されました。
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中尾辰義#2
○委員長(中尾辰義君) 刑事補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
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寺田熊雄#3
○寺田熊雄君 これは法務大臣なり刑事局長から御答弁をいただければ結構ですが、刑事補償法の第三条第二号の問題ですが、第三条第二号の場合、勾留の理由が主として無罪部分の事実にかかっている場合、この部分についての起訴がもしなかったとしますと、恐らくは勾留せられなかったであろうと考えられる場合が実務上ありますね。たとえば、有罪部分については、逮捕せられ捜査官から取り調べを受けた場合に、きれいに自白している、それから住居も一定しておる、これは勾留の理由あるいは逮捕の理由がありませんから身柄を不拘束のままで起訴するということは考えられますね。ところが、他人の犯罪をかぶせられて、そのゆえにその人間が強硬に否認する。そこで捜査官がこれを逮捕、勾留してしまう。ところが、その否認部分が捜査段階で、あるいは自白があるかもしれませんし、否認のままでいく場合があるかもしれませんが、その部分は裁判で無罪になり、そしてそれが確定したというような場合には、やはりその勾留の理由というのは、その誤った起訴にあるということが大体明らかなように思いますが、そういう場合は、やはりこの刑事補償法による補償は受けられるわけでしょうね。どうでしょうか。
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伊藤榮樹#4
○政府委員(伊藤榮樹君) 御指摘の刑事補償法第三条の第二号の規定があるわけでございますが、この第三条第二号が趣旨としておりますところは、この拘束が無罪となった罪を理由としたものではなく、かつその罪の捜査、審判に利用されていないと認められる場合には補償の全部を行わなくてもよろしい、そうでなくて拘束が無罪となった罪を理由としたものであるとき、あるいはその罪の捜査、審判に利用されたと認められる場合には補償の全部または少なくとも一部について補償すべきであると、こういう趣旨になると思います。
 そこで、ちょっとおわかりにくいかもしれませんので例を用いますと、たとえばAという窃盗の事実によって逮捕、勾留されました者が、追起訴などを含めてA、B、C、D等々の多数回にわたり窃盗の事実で審判を受けたと、そのうち、A以外のBの事実、たとえばBの事実だけが有罪となって他の事実はすべて無罪となったと、こういうような場合を想定いたしまして、これは御指摘のケースと似ているわけですが、Bの事実については本来逮捕、勾留の必要はなかったのだというような場合には、先ほど申し上げました、第三条第二号の趣旨から言いまして、この第三条第二号の規定を適用しないで、本則に従って全額の補償をするのが相当であろうというふうに思われます。もっとも、こういった判断は、具体的な事案に応じて裁判所が健全な裁量でやることでございますけれども、ちなみに、法曹時報という雑誌のことし二月に出ましたものに、最高裁判所事務総局刑事局の調査結果が出ておりますが、刑事補償法が施行されましてから最高裁刑事局が承知しておる限りでは、未決の抑留または拘禁がもっぱら無罪部分の審理に利用された事案について決定がなされた事例を挙げております。これが合計七件ございます。そのうち六件は第三条二号を適用しないで全額補償しておると、こういうことでございまして、先ほど御指摘のようなケースについては、ただいま申し上げましたように、実務上も三条二号を適用しないで全額補償するという運用が一般のようでございます。
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寺田熊雄#5
○寺田熊雄君 次に、私がこれは実際に扱った事件なんですが、少年の刑事事件なんです。
 少年が逮捕せられ、勾留せられた後、家裁に送られて鑑別所で観護処分を受けますね。それから審判になる。そして、窃盗を三年間にわたって二十何件も犯したと、そういうことで、その少年はたしか五人であったと思いますが、そのうち四人が保護監察処分になりまして、それから一人が前歴があるというので少年院送致になって、もう鑑別所から釈放されないまますぐ少年院に送られてしまった。
 ところが、その処分が終わって保護処分になりました少年が、私のところに来て一致して無罪を訴える。で、なおよく調べてみますと、確かに無罪だという心証が得られるわけですね。それから、物を買った古物商も呼んで聞いてみますと、古物商も、買った覚えはないのだけれども、警察官が来て、おまえのところに売ったと子供たちが言っているのだから買ったに違いないと、いやそんなことありませんと言うと、それじゃ警察に来てもらうというので、もうしようがないから認めてしまったと、こういうことでますますわれわれが心証を深めまして、高等裁判所に抗告をいたしました。高等裁判所の方がよく調べて少年の言い分が正しいというので家庭裁判所の審判を取り消しまして、家庭裁判所もその高等裁判所の裁判の結果を受けて取り消して、結局、四人の少年は不処分、それから少年院に送致された子供はそれを取り消されて保護観察処分になる。そういう実例があったわけです。
 警察の方は、もうどうしてもなかなかまいったと言わず、これは私どもはやはり有罪だということを信じておると言ってがんばる。人権擁護委員会もやはりこれは間違いなく人権侵犯事件だというので警察に勧告をするという処分があったわけですが、そういう場合は、これは当然刑事補償、一般の刑事訴訟法によった無罪の処分と同じように扱って——その間相当長い間拘禁されているわけですからね、子供たちは。だからやはりこれも刑事補償の対象にすべきではないかと私どもは確信するのですが、どうでしょう。これは刑事局長の専門的立場と大臣の両方のお考えを承りたいのですが。
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伊藤榮樹#6
○政府委員(伊藤榮樹君) まず私から御説明を申し上げます。
 いまさら申し上げるまでもないところでございますが、現行の少年法と申しますのは、たてまえといたしまして少年については保護をしていく、そうして健全育成を図るという観点からできておるわけでございます。したがいまして、犯罪を犯した少年で家庭裁判所を経由して、また検察官の方へ逆送になって刑事手続に移りました場合には、当然「無罪の裁判」があれば鑑別所へ入っておった期間とかそういうものも刑事補償の対象になるわけでございますが、これに対しまして保護処分を行いました場合には、裁判所としては、いわゆる俗な言葉でいうシロ、クロをはっきりさせること必ずしもなく、要するにその少年が仮に具体的な犯罪を犯していなくても虞犯少年というようなカテゴリーもあって、要するに非行に陥った少年あるいは陥ろうとしておる少年を健全に保護育成しようという観点から保護処分をやるという、そういうたてまえをしておりますので、保護処分の関係につきましてはたてまえとして有罪、無罪の判定がなされないということでございますために刑事補償の対象にならないと、こういうシステムに現在なっておるわけでございます。
 ところで、このような少年法の現在のあり方につきましては少年の権利保護に欠けるところが一面においてあるのではないかと、こういう御議論があるわけでございまして、そういう点を踏まえまして昨年六月に法制審議会が法務大臣に対して中間的に答申いたしましたその答申の中に、第一項として「少年の権利保障の強化」に関する措置が書かれておりまして、そのさらに中に「非行事実が認められない場合に行うべき決定」を設けると、こういうことになっております。すなわち罪とならないのだという場合にはそういう決定を行ってはっきりさせてやるという手続を設けるべきであるという答申がなされておるわけでございます。したがいまして、この線に沿って少年法の改正が行われます際には、当然刑事補償法の手直しをいたしまして、そういった非行事実が存在しなかったという決定があったような場合には、これに先立ちますすべての抑留、拘禁を補償の対象とするというような改正が行われてしかるべきではないかと、かように考えております。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、現行少年法は国が少年の保護のためにいろいろなことをやってやるのだと、少年院送致もまた保護処分の一つの態様であるというような考え方でございますので、これに対しては、現在のたてまえをとっている以上はちょっと補償の対象とすることが困難である、かように考えております。
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瀬戸山三男#7
○国務大臣(瀬戸山三男君) ただいま刑事局長からお答えいたしましたと同趣旨でございますが、これは寺田委員十分御承知でありますけれども、刑事事件とは別に少年法で保護処分をする、こういうことにしております。現在も御承知のように二十七条の二で保護処分を取り消す場合があるわけでございます。この中で実質的には刑事事件で無罪になったと同じケースがあるわけでございますから、御指摘の点は実質的に同じような考えをしなきゃならぬのじゃないかと、かように考えております。でありますから、いまお答えいたしましたように少年法でせっかくいま検討中でございますので、それと見合って刑事補償法も符節を合わせるようにしなきゃならないと、こういう検討をしたいと思っております。
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寺田熊雄#8
○寺田熊雄君 なるほど刑事局長から承りますと、確かに現行の少年法は理非曲直を裁いて責任を負わしめるというのじゃなくて、保護して、その人格の開花を待つという立場ですから、なるほど法理論的には局長のおっしゃるとおりだと思いますね。ただ現実に悪いことをしたのだといって警察がつかまえたという事実は、これは否定すべくもありませんし、そして警察が相当の期間勾留して調べて、そして家裁に送る、家裁は保護的立場に立つということで鑑別所に入れる、あるいはそれから少年院に送る。現実に肉体的な苦痛を与え、そして経済的な損失を与え、精神上の苦痛を与えるという点では、名目は保護ですけれども、実際は刑事処分の場合と変わりませんね。ですから、いま大臣もおっしゃり、刑事局長もおっしゃったように、現在改正を考えておるのだと、その改正が実現した暁には刑事補償法も改正するとおっしゃるのだからそれでいいようなものですけれども、もう一つ法理論的な問題点としましては、局長がおっしゃった、いまの高等裁判所の抗告に対する裁判ですね、家裁のそれを受けたまた再度の審判ですか、これは確かに無罪の判決とか罪とならずというような、そういうことを主文ではうたいませんけれども、この理由を見てみますと、やっぱりやってないのだということが書いてありますね。ですから、現実に「無罪の裁判」と変わりませんし、それを法務省の方で、あるいは現実に補償の裁判をする裁判所の方で、実際罪があったかないかということは理由を見ればわかりますね。ですから、局長がおっしゃったように、いずれ少年法を改正して、家庭裁判所の審判の中に無罪と同じような主文の判断ができるものを入れるというのと、いま現実に運用でも同じ結果が得られると思うのですね。ですから、せっかく改正するつもりだとおっしゃるから、私は追及する意味で言っているのじゃないのです。現行法上は無理だろうというのが、何とか解釈上有効にならないだろうかという点で、もう一度それが不可能かどうか、刑事局長のお考えを承りたい。
 それからもう一つは、憲法第四十条に言う「無罪の裁判」というのがありますね。これを受けて刑事補償法の方もできておるのでしょうが、憲法第四十条の「無罪の裁判」の中には、犯罪がなかったことを明らかにした家庭裁判所の審判も含む趣旨であるというふうに解釈すべきではないかと私は考えるのですが、この点もまた局長と法務大臣のお考え承りたいのです。
 いま局長がおっしゃったように、そういうことを宣明する主文がうたえるように少年法改正をいま考えていますとおっしゃったでしょう。それだったらストレートにこの条文に当てはまるけれども、仮にそれがないにしても、その理由の中でそれが明らかに認められれば、主文で無罪をうたったのと同じことではないかというふうにも考えるのですが、いかがでしょう。
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伊藤榮樹#9
○政府委員(伊藤榮樹君) もともと裁判というのは、もう申し上げるまでもなく、主文が最も重要な部分でございまして、その理由というのは主文のよって来るゆえんを説明する部分でございますので、やはり裁判の効力というものは主文がまさにその効力を発揮するわけでございます。したがって、理由をよく読めば無罪と似た場合であるという場合も中にはあるかもしれませんけれども、現在の裁判所の行います判断を受けとめる根拠としては、やはりどうも主文を見ざるを得ないのじゃないか。ことに少年の場合には、やや技術的な問題でございますが、少年審判規則の第二条あたりを見ますと、少年審判の決定書きには必ずしも理由を付さなくてもいいような規定もございまして、仮に理由を一々見ても理由が書いてないという決定もあるわけでございまして、その辺の技術的な点から言いましても、やはりそういう無罪なら無罪に当たる場合であるという主文をひとっこさえないと、実際問題として運用がきわめて困難であろうと、こういうふうに思うわけでございます。
 なお、憲法で申します「無罪の裁判」と申しますのは、まさに「無罪の裁判」でございまして、少年法における審判手続の過程で行われます判断と申しますのは、一種の保護措置に係るものでございますので、私どもとしては憲法四十条から直ちに、ただいま御指摘のような少年の保護処分に関する審判について、この刑事補償をなすべきであるという憲法上の要請があると、こういうふうには考えておらない次第でございます。
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瀬戸山三男#10
○国務大臣(瀬戸山三男君) 同じことになるわけでございますから、よろしいでしょう。
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寺田熊雄#11
○寺田熊雄君 刑事局長の御答弁は、法理論的に言うと何か理路整然として正しいように思うのですが、ただこの憲法四十条いうのは国民の人権を最大限に尊重して、それを守っていくということが主眼です。ですから、合理的な理由がなく身柄を拘束され、拘禁され、そして人権が非常に侵害されたという、それをどういうふうにして救うかという、そういう立場からの合目的な解釈をしませんと、何か理屈には合っているようですが、そういう憲法の根本的な趣旨が失われてしまうような気がしますね。だから、やはりこの規定がどういう趣旨からあるのか。人権を守るのだ。少年がつかまって、全く理由なく拘禁された、それを裁判によって取り消されたのだという結果がありますと、それはやっぱり認めていいのじゃないのでしょうかね。
 それからもう一つは、局長がおっしゃった少年法を改正して、罪とならないということをうたえるようにいたしますと、こういうのでしょう。それは今度憲法四十条の「無罪の裁判」に入りますか。入らないと、局長がそういうふうにして刑事補償法の対象にいたしますというのが生きてこないのじゃないでしょうか。
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伊藤榮樹#12
○政府委員(伊藤榮樹君) 法理論的にはおまえの言うことはこうこうだというようなお言葉がございまして、考え方を少し角度を変えてきわめて常識的に考えてみますと、少年が逮捕、勾留されまして、検察官の手元で調べておりますうちに無実だということがわかってきたと、こういう場合には、検察官はその少年を家庭裁判所へ送ることなく不起訴処分にいたします。その場合には、現在私どもで運用しております被疑者補償規定によって刑事補償に準ずる補償が受けられます。しかるに、検察官から家庭裁判所へ送って家庭裁判所の保護処分がなされると、それが全部もらえないことになっておるということは、確かに常識的に見て若干私自身も妥当でない面があるのではないかという気がするわけでございます。
 そこで、どうしたらいいかということで考えてみますと、やはり家庭裁判所でこれはシロならシロだという判断をしてもらうような仕組みをして、そういう判断があった場合には、機械的にと申しますか、直ちに刑事補償またはこれに準ずる補償ができるようにすると、こういうのが立法的な最も合理的なアプローチであろうというふうに思っておるわけでございます。で、家庭裁判所が行いますこういった非行事実が存在しなかったということを認める決定、この性格は今後どういうふうに性格づけていくか、これは改正の過程でいま検討しておるわけでございますが、従来の家庭裁判所の判断のやり方、こういうことからいたしますと、憲法四十条に言う「無罪の裁判」には当たらない、こういうことになると思いますけれども、先ほど来申し上げておりますような、そういう新たな決定主文を設けました場合には、憲法四十条そのものを踏まえた決定になるか、あるいはそうでないとしても、これに準ずるような決定の性格を持ってくると、こういうふうに考えております。その辺は少年法の全体系を、現行少年法の基本構造を崩さないで改めようと現在やっておりますので、もう少し理論的に詰める必要があろうと、こういうふうに考えております。
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寺田熊雄#13
○寺田熊雄君 何か局長がおっしゃるのは、結局憲法四十条の「無罪の裁判」の中には、今度少年法を改正して罪とならないということを主文でうたえるようにしたものも入らないという、その立場を一貫されていまおっしゃったですね。しかし、それにもかかわらず、刑事補償法の中には入れるのだということになりますと、その刑事補償法の中に、憲法四十条の趣旨を受けた人権擁護の立場からする補償と、憲法四十条——まあ局長は、準ずると言ってうまく逃げられたけれども、それによらない部分とが併存することになっておかしいでしょう。やっぱり憲法四十条の「無罪の裁判」という中には、その家庭裁判所が、結局少年が罪にならないと、罪を犯していないということを明らかにした、そういう審判も入るのだという解釈をとらないと首尾一貫しないと思います。これはまあ法理論上の相違だけれども、私はやっぱり私の解釈が正しいと思いますね。だから、局長がそういう理論を持たれることに対してどうこうと言うわけじゃない。これは局長がそういう考えをお持ちになるのも御自由だから、それは私はあえてとがめないけれども、私は私の解釈が正しいように思いますが、これは大臣としてはいかがでしょうか。
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瀬戸山三男#14
○国務大臣(瀬戸山三男君) 局長はそれこそ純粋な法律家ですから、法律の文言をいろいろとらえて申し上げておると思いますが、しかし、その趣旨は私は同じだと解釈しておるのです。問題は、憲法四十条の裁判によって無罪と、こうなっておりますが、この趣旨は、もう寺田さんおっしゃるとおりに、国家の公権力が結果的に間違って人を拘束したと、それに対しては国家は補償の責任をとるべきだと、こういう趣旨だと思いますから、少年関係でも事実上同じことでございます。判決であるとか決定であるとかいうことを、その文言によって異なるべきものじゃないと思いますが、しかし、その調和を少年法の改正のとき図ろうと、こういう趣旨でございますので、これは御理解いただけると思います。
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寺田熊雄#15
○寺田熊雄君 それから大臣にも局長にもお願いしたいと思いますのは、いま大変そういう見地から少年法を改正し、刑事補償法の包摂する範囲を拡充するとおっしゃいますから、これは非常にうれしいことなんですが、いつもやりますように、少年法の改正については非常に在野法曹が反対している部分と賛成している部分とがあるように思うのです。ですから、それをミックスして出されますと、せっかくいいものも、悪いものと一緒に討ち死にしてしまうということがよくありますので、できればそういう総合的な改正の中にちょこっと入れるというのじゃなくって、そういういいものはそれだけ切り離して改正することによって早く実現させてほしいと思うのですが、そういう立法技術的な問題についてぜひ考慮を煩わしたいと思いますが、いかがでしょうか。
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伊藤榮樹#16
○政府委員(伊藤榮樹君) お言葉を返すようで申しわけないのですけれども、少年法改正に関する中間答申は私どもとしては全部がいいものだと思っておりまして、一刻も早く首尾一貫したものとして立法化したいと考えておりますので、そういう方向でなるべく早く作業を進めたいと思っております。
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寺田熊雄#17
○寺田熊雄君 局長、余りそうがんこに自説を固持しないで、やっぱり現実の国会の状況というものを踏まえて立法していただかないと、おれはいいと思うからあくまでおれの立場でがんばるのだというのじゃなくって、やっぱりそのことのために少年法の改正というのが延び延びになっていることも事実ですから、だから、何人が考えてもこれは正しいのだと、これが国民の人権を擁護する憲法の趣旨にかなうのだというのは、それだけやっぱりいち早く実現していいのじゃないのでしょうか。治安立法なんというのは、逆にもうやたらに個別に立案して提出なさるわけでしょう。だからそうじゃなくて、いいものもやっぱりどんどん個別に出すという、そういう態度をとっていただきたいと思いますが、これは大臣いかがでしょう、多分に政治的な問題になりますからね。
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瀬戸山三男#18
○国務大臣(瀬戸山三男君) 少年法についてはいろいろな議論がありますけれども、せっかくまだ作業中でございますから、いまどうこうするということは差し控えたいと思います。
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寺田熊雄#19
○寺田熊雄君 次に、この刑事補償法の第一条及び第七条の問題ですが、この第一条の第一項中に昭和二十七年に廃止されました経済調査庁法の規定がまだ残っておりますね。これを依然として残している理由について御説明いただきたいと思います。
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伊藤榮樹#20
○政府委員(伊藤榮樹君) 御指摘のすでに廃止になっております経済調査庁法の第二十四条というところに、経済調査官に対しまして、経済法令に関する違反事件の調査のために、裁判官の許可状を受けて警察官または警察吏員と同行して、その者に違反嫌疑者の逮捕を求める権限等が定められておったのでございます。この法律は昭和二十七年に廃止になっておるのでございますが、この経済調査庁法の施行期間、これは昭和二十三年八月一日から昭和二十七年八月一日まででございますが、この四年間に同法による身柄の拘束を受けて有罪の裁判を受けました者が将来再審などによって無罪になる可能性がないとは言えませんので、現在でもこの再審の可能性があるという限りにおいては刑事補償の対象から除くことはできないと、こういう理由でこの文言が残っておるわけでございます。ただ、逆に今度はその経済調査庁法の規定で身体の拘束を受けたことがある者が存在しなければ削除できるわけでございますが、その身体の拘束を受けた者があるかどうかは法務省としては不明でございまして、経済調査庁からその残務を引き継ぎました行政管理庁においても経済調査庁当時の資料がないということでございますので、希有な例であろうと思いますが、同法によって身体の拘束を受けて裁判を受けた人がおるかもしれないと、その人が再審請求をされて、再審の結果無罪になるという場合もあるかもしれないと、まあ非常にわずかな蓋然性かと思いますが、そういうことを考慮してあえて置いておるわけでございます。
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寺田熊雄#21
○寺田熊雄君 そうしますと、それは逮捕期間だけについてですか、勾留は刑事訴訟法によったわけですか。
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伊藤榮樹#22
○政府委員(伊藤榮樹君) 逮捕した後の手続につきましては刑事訴訟法の規定を準用すると、こうなっておりますので、刑事訴訟法による拘束でなく経済調査庁法による逮捕、同法による勾留と、こういうものが存在したと思われるわけでございます。
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寺田熊雄#23
○寺田熊雄君 そうすると、同法の七条が、これは時効を宣明したものか除斥期間について言ったものかということを余りせんさくする必要性というものはないわけですね、このいまの問題については。
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伊藤榮樹#24
○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほど申しましたように、再審の結果無罪になった場合だけが考えられますので、七条が時効期間か除斥期間かという問題は余り意味がございません。なお、七条は私どもといたしましては除斥期間であると、こういうふうに考えております。
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寺田熊雄#25
○寺田熊雄君 終わります。
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宮崎正義#26
○宮崎正義君 刊事補償法の一部を改正する今回の法律案についての引き上げの理由と、そしてまたその根拠、基準のあり方等について御説明を願いたいと思います。
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伊藤榮樹#27
○政府委員(伊藤榮樹君) 刑事補償法におきましては、身体の拘束を受けました方が裁判の結果無罪等になりました場合には、国が定型的な形での損害賠償ということで一定の金額の範囲内で裁判所の決定により補償をすることになっておるわけでございますが、この補償金額につきましては、当初制定されました金額を一応の基準といたしまして、これに賃金、物価の上昇等の経済変動による修正を加えつつ累次にわたって改正をして、今日に至っておる、簡単に申し上げると、こういうことでございます。
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宮崎正義#28
○宮崎正義君 旧法の昭和六年から、それから昭和二十五年の現在の刑事補償法ということになりました、その五円から二百円になった当時の経緯といいますか、その当時の事情について若干御説明を願いたいと思います。
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伊藤榮樹#29
○政府委員(伊藤榮樹君) 戦前この刑事補償の金額の上限が一日五円ということになっておった理由は必ずしもつまびらかでないわけでございますが、戦後昭和二十五年にただいまの刑事補償法が施行されました場合には、戦前におきますこの五円というものに対して、その後の昭和二十五年に至ります間の賃金水準の変動、それから物価の上昇率等を勘案し、さらには裁判所の証人に対する日当等を勘案して、一応この程度の額であれば定型的な補償として合理性があるのではないかということで最終的には、何といいますか、そういった点を考慮した上での大局的判断、こういうもので二百円以上四百円以下という金額が定められたというふうに承知いたしております。
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