大塚喬の発言 (予算委員会第一分科会)
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○大塚喬君 本日、私は外務省関係について外務大臣の所見をお伺いしたいと考えておるところでありますが、園田外務大臣が就任以来、日中国交回復、友好条約の締結に自分の進退をかけておられる、このことに関しては日ごろ大変力強く、そして心からの敬意を表しておるものであります。本日は、この友好条約締結促進のための幾つかの質問をいたしたいと思うわけでありますが、その前に一、二の問題について外務大臣から直接お考えをお聞かせいただきたいと願っておるところであります。
覇権の問題に入る前に、七二年と思いますが、当時外務大臣であった福田さんの創作にかかわると言われております「水かき外交」、「アヒルの水かき」、こういう言葉が一時流行語になったことがあります。しかし、福田水かきは田中水かきに破れて、田中内閣の成立という事態になったわけであります。ところが、この隠密を主体にする角榮水かきの一部が一昨年のあるマスコミにその一部が暴露されたわけであります。この内容が余りにも常識を逸した、また余りにも膨大な金額のためか、まゆつばものとして余り世間の関心は引かなかったようであります。しかし、その真偽のほどを調査してまいりますと、各方面から事実であるということが次第に明らかになってきておるわけであります。この問題は、三木内閣時代に内調国際部を通じ調査確認をした、また、警視庁にも同様の書類があるということも明らかになってまいりました。事は国際信義にも関する問題でありますので、私も慎重に発言をいたしたいと存じます。
その内容は、七二年、日中国交回復正常化のちょうど一ヵ月前、財界から、財界の巨頭五人を中心とした稲山ミッションが北京に送られておるわけであります。その中に、三井物産の水上達三氏が、田中総理と十分相談の上だと、こういうことでこのミッションに参加をいたしております。水上氏は北京に着くと、早速日本から携えてきた会談要旨を述べた周総理あての手紙を中国側に託しております。しかし、この水上氏の行動はミッションの他の方々と全く無関係であったことは事実のようでありますし、稲山さんやその他の方々の名誉のためにこのことははっきりさせておきたいと思います。
ところで、これが水上氏の周総理にあてた中国文の手紙の写しであります、そちらにありますが。これがその封書であります。それから、これがその手紙の内容の写しであります。で、これは私なりの要約でありますが、こういう手紙の内容であります。
周恩来総理閣下
中国が、日本のために六〇〇億ドルの物的な損害、三〇〇〇万人もの死者を出すといった、不幸な、痛ましい過去がありました。しかし、両国の国交正常化のため、田中総理は一ヶ月の後には北京に参ります。田中総理と三井物産、また特に私とは個人的にも非常に親しい関係にあります。そこで、田中総理は、日中両国の今後の経済協力について、閣下と、とくと相談する様にと、私を派遣して参りました。
私は曽て、三井の支店長として、七年間中国で過し、日中友好の気持は人一倍強く、また中国のために、長江に巨大なダムと発電所を建設し、中国の工業の発展に尽したいと、長い間夢みて来ました。何年か前、高碕達之助氏や木川田一隆氏が、閣下に長江ダムの話を持ち出したのも、私の意を受けてのことでした。
日本は今三〇〇億ドルの――これは当時の金額でありますが――外貨を保有し、その使途で政財界の意見はいろいろに分れています。私はこの金で、長江に巨大なダムと発電所を建設し、中国に贈与すべきだと、主張し続けて来ました。国交正常化の暁に、中国は対日賠償請求権を放棄する様に聞いています。とすれば、日本は尚更、道義的にも、一〇〇億ドルを目安に、長江に大ダムを建設し贈与すべきだと一層強く主張しています。私達三井物産が田中内閣の成立に多大の尽力を憎まなかったのも、ダムの建設と将来の日中友好を願ってに外ありません。
田中総理は、私の計画に全面的に賛意を表し、工事の請負はすべて、三井物産に一任すると、私と堅い約束を交しています。真に利益をうけるのは貴国です。残るは閣下のご裁可をいただくだけです。以下云々ということで、
一九七二年八月一五日
水上達三
手紙はこのような内容であります。
で、質問の進行上、このような手紙があったかなかったか、初めに外務大臣からひとつ率直にお聞かせをいただきたいと思います。