知野虎雄の発言 (決算委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○知野会計検査院長 会計検査院の権限を拡大強化すべしという過去三回の両院の御決議並びに昨年会計検査院の対応を待って対処したいという福田総理大臣の御答弁の趣旨に基づきまして、昨年来会計検査院といたしましてはこの改正作業を進めてまいりました。各省庁との折衝、調整を図りながらきたわけでございますが、先般会計検査院としての最終の法改正要綱というものをまとめました。その内容は、両議院の御決議の趣旨と、会計検査院が憲法上国の収入、支出の決算を検査する機関であるという性格の調整を考慮しながら、国家資金の使途の検査を徹底するという趣旨におきまして、主として公庫等の融資業務を検査するに当たりまして、必要最小限度の調査を融資先にまで及ぼそうという内容でございまして、一方におきまして融資先の立場を極力尊重するという意味でのいろいろな配慮を加えたものでございます。
 会計検査院といたしましては、国家資金の使途の検査を徹底するというたてまえから、最小限度の調査権が融資先に及ぶことは、検査の上で必要であると考えておるわけでございますけれども、国家資金の使途の検査を徹底させるということと、融資先の立場を尊重するということとの間にどういう調整を図るかという問題は、立法政策上の重要な問題であることは、私どもも十分理解をいたしております。また、この問題に対しまして融資先にまで調査を及ぼすということになりますと、政策金融の推進に支障があるのではないかという意見があるわけでございますが、もともと会計検査院は政策論議をする立場にはございません。政策論争にまで立ち入って調整を図るというのは検査院の立場を超えるのではないかと考えたわけでございまして、先般官房長官にお目にかかりましてただいまのような経緯あるいは事情を御説明をいたしまして、より高い見地から内閣におかれまして御判断、御調整をいただきたいということをお願い申した次第でございます。
 今日までの各省庁との折衝、調整並びに私ども自身の検討の段階におきまして特に大きい問題であると考えられます点が二つございます。
 その一つは、法律によりまして調査権を融資先にまで及ぼすということになりますと、貸付契約という私契約に対しまして公権力の過剰な介入になるのではないか、この点は十分に慎重でなければならぬという点でございます。
 この問題につきましては、法律論の面と立法政策の面と両方あるわけでございますが、法律論といたしましては、現在の立法例におきましても私契約でありましても公権力が介入をすることができるというのが幾つかございます。これは、高い公益上の理由があります場合には私契約といえども公権力が最小限度介入することが認められるという立場に立っておると思うのでございまして、現に検査院の検査権限を定めております会計検査院法の二十三条一項七号では、国または公社の工事の請負人あるいは物品の納入者の会計につきまして、これは純粋の私契約でございますけれども、検査の対象として規定されておるというわけでございます。
 もう一つ、立法政策の面でございますけれども、法律をもちまして融資先にまで調査権を及ぼすということになりますと、これは国家権力が過剰に私契約に介入するということになるのではないか、この点は十分に慎重でなければならぬという点でございます。
 これは当然の議論でございまして、私どもも私人の利益というものを十分に尊重し、私契約に対する公権力の介入というものは最小限度でなければならぬと考えておる点は同じなのでございます。しかしながら、公庫等の融資資金の原資は、私が申し上げるまでもございませんけれども、税金あるいは郵便貯金等国民から広く集められました国家資金でございまして、この公庫等を通じて貸し付けられます国家資金の額が非常に膨大なものになっております現在におきまして、この使途の適正を確保し、使途につきまして十分な検査をするということは、二分の一以上の出資法人に対する検査が検査院の法律上の職責とされております立場から言いまして、最小限度の調査権が及ぶことはやむを得ないのではないか、必要ではないかと考えたわけでございまして、さきの両院の三回にわたりまする決議の御趣旨もそういうことにあったのではないかと私は理解したわけでございます。
 しかしながら、この問題は、先ほども申し上げましたように検査の徹底を期するという立場と融資先の立場を尊重することとの調整それからどういう機関にどういう権限を付与するか、これが立法政策の上で確かに大きな問題であることは私どもも十分認識をしておりまして、この点につきましては、より高い見地からの御判断を賜りたいと考えておるところでございます。
 第二の問題は、調査権が融資先に及ぶということになりますると、これは私企業に対する圧迫となりまして政策金融に支障を来すのではないかという問題でございます。
 私どもは、私企業という立場を十分尊重するという考え方から、仮にこの法律で調査権が認められました場合でも、融資先に対する検査は、従来どおり肩越し検査といいまして従来やってまいりましたものを原則としてやりまして、やむを得ず融資先を調査しなければならぬ場合におきまして公庫等の協力が得られない場合に限ってこれを行使しようと考えておるわけでございます。
 さらに、政策金融に支障があるとする私企業に対する圧迫を、できるだけそういうことのないように、そしてまたいま申しましたことを法律的にも保障するために、いろいろ法律上の配慮をいたしたわけでございまして、それは公庫等の融資先を――実地検査をまず最初にやります。実地検査をやって、融資先の検査がどうしても必要であると認めた場合だけに限ろう。それから、その融資先の調査につきましても融資にかかる会計に限定すべきであろう。それから、調査を及ぼします場合には必らず関係者に通知する。さらに関係機関、公庫等の職員の立ち会いを求める。その上に、どうしてもこれをやるときには検査官会議の議決をしようということで、できるだけそういう結果にならないような配慮を私どもとしましては考えたつもりでおります。
 ただ、この問題につきまして政策金融に支障があるかどうかさらに論議を詰めていきますと、先ほどもちょっと触れましたように、これはどうしても政策論議になってまいります。政策論争をするということはこれも検査院としては慎むべきであるというのが私の考えでございまして、そういう意味におきまして、この点につきましても高い見地と広い視野から御判断を賜りたいと考えておるわけでございます。
 ほかにもいろいろ問題点がございますが、集約すればそういうところになろうかと考えておる次第でございます。

発言情報

speech_id: 108704103X01319790604_021

発言者: 知野虎雄

speaker_id: 20940

日付: 1979-06-04

院: 衆議院

会議名: 決算委員会