小林功典の発言 (社会労働委員会医療保険制度に関する小委員会)

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○小林説明員 お手元にお配りしてあります主要国の医療保険制度というペーパーがございますが、この資料は、いままでございます各種の文献資料をもとにいたしまして、最近諸外国に調査に行かれた方々の調査結果も踏まえまして、まとめたものであります。保険局においてまとめたものでございます。
 そこで、御説明の方法でございますが、各国別に御説明した方が御理解得やすいと思いますので、恐れ入りますが、縦に御説明さしていただきます。
 まず、アメリカでございますが、これはメディケアと呼ばれている制度でございまして、対象は六十五歳以上の老人と障害年金受給者、これを対象としておりまして、全体で国民の約一〇%程度をカバーしているという制度でございます。
 経営主体は政府でございまして、保険給付は二つに分かれまして、一つは入院保険というものと、もう一つ補足的医療保険、二つに分かれます。
 アメリカの場合、入院保険は、病院への収容の費用、それから検査の費用、薬剤費、こういったものをカバーしておりまして、お医者さんの診療費はそこに対象とされておりません。したがいまして、入院保険は、そういう医者の診療費用を除いた部分についてカバーしているということでございまして、これは現物給付扱いで、支給期間は九十日。この入院保険は強制加入制度となっております。
 次の、補足的医療保険ですが、これは先ほど申しましたような、医者の診療費が入院保険でカバーされてないものですから、補足的医療保険の方で医師の診療費はカバーする、こういう制度でございます。これは任意加入となっていまして、原則は償還制をとっております。
 この内容は、入院した際の医療から外来、往診等についての費用をもとにいたしまして、まず先に六十ドルを控除いたしまして、その残りの分の八〇%を保険料から給付する、こういう制度でございます。
 一枚めくっていただきまして、歯科の給付は、アメリカの場合ございません。
 それから、保険料でございますが、入院保険の場合、これは被用者と事業主それぞれ一%ずつでございます。これはアメリカの場合には、御承知のように、保険料という形ではなしに、タックス、社会保障税として取っております。その中から医療保険に回される分が労使とも一%、こういう意味でございます。
 それから、補足的医療保険につきましては、これは定額の保険料が取られておりまして、各加入者から月七・七ドル定額で保険料を徴収する、こういうことになっております。
 次に、患者の一部負担でございますが、まず、入院保険の場合には、当初の六十日間に百二十四ドル患者が負担しなければならない。六十日を超えまして六十一日目以降につきましては、一日について三十一ドルの自己負担をしなければならない、こういうことになっています。先ほど申しましたように、補足的医療保険の方は、一ページ目に御説明してありましたように、最初六十ドルを差し引きまして残りの八〇%の給付、こういうことでございます。
 それから次に、まためくっていただきまして、国庫負担でございますが、補足的医療保険だけについて国庫負担がございまして、加入者が拠出する保険料と同額の拠出金を連邦政府が一般財源から出す、こういうことになっております。
 それから、アメリカにおける最近の医療保険をめぐる動きでございますが、一つは、料率の引き上げでございまして、まず入院保険につきましては、事業主あるいは被用者が負担します保険料率、これが年を追いまして引き上げられております。一九七二年には〇・六%でありましたのが、一九七八年には一・〇%になっております。さらに七九年以降八五年ぐらいまで法律で段階的に引き上げるという規定が設けられておりまして、一九八五年には一・三五%にまで引き上げられるということになっております。
 次の、補足的医療保険でございますが、これは定額の保険料ですが、これもやはり引き上げられておりまして、一九七三年には五・八ドルでありましたのが、だんだん引き上げられまして、一九七八年には七・七ドルになっているということでございます。
 それから、保険料の引き上げと並行いたしまして患者負担も増額されておりまして、入院保険の場合には、一九七六年には当初の六十日間の患者負担額が九十二ドルでありましたのが、七八年には百二十四ドルというふうに増額が図られております。また六十一日目以降につきましても、一日につき、七六年のときは二十三ドルでありましたものが、七八年には三十一ドルというふうに引き上げられております。
 以上がアメリカでございます。
 恐縮ですが、またもとに戻っていただきまして、次にフランスを申し上げます。
 フランスの場合には制度が幾つかございまして、一番大きいのは一般制度と呼ばれるものでございます。これが大体人口の七〇%ぐらいをカバーしている。そのほかに自営業者の制度、それから各種の特別制度にはいろいろございますが、たとえば鉱山労働者等を対象とする制度、そのほかにもございますが、ということで全体で十ぐらいの制度に分かれているようでございます。そういう幾つかの制度によりまして、ほとんど全国民がカバーされております。九九%ということになっておりますが、ほとんど大部分が各制度によってカバーされております。
 それから、実施主体は疾病保険金庫、日本で言えば健保組合みたいなものだと思いますが、組合でございます。
 保険給付は、フランスの場合特徴的なのは、原則はあくまで償還方式をとっているところにございます。もっともこれは従来から、たとえば公的病院の入院につきましては原則は償還方式といいながら、実際には現物給付方式がとられております。さらに一九六七年の三月から私的病院につきましても現物給付扱いができるということで、疾病金庫と医師団体の全国協約ができたという話を聞いておりますが、その後それがどういうふうに動いているか、まだ手元にはその情報が届いておりません。しかし、フランスの医療保険といいますと、原則は償還方式であるということでございます。
 それで、償還率でございますが、通院の場合、つまり外来の場合は協定料金の七五%、つまり患者負担はこの逆の二五%が患者負担になる、こういう意味でございます。
 それから、入院費につきましては、協定料金の八〇%。ただ、長期療養等の場合には費用が非常にかさみますし、患者の負担になりますので、こういう場合には一〇〇%償還するということになっております。これは例としては、たとえばがんとか小児麻痺等でございますが、こういうものについては全額償還ということになっておるようでございます。
 それから、薬剤につきましては、非常にきめ細かく区分がございまして、普通の薬剤、通常薬剤の場合には償還率は七〇%でございます。それに対していわゆる大衆保健薬と呼ばれるもの、これは償還率をうんと落としまして四〇%しか償還しない。しかし、特定薬剤、これは括弧で書いてありますように、高価でかつ長期に使用するもの、ということでございますが、たとえば大部分は制がん剤であるというふうに聞いております。これは非常に高いし、しかも長い間使わなければいかぬということから、これは一〇〇%、全額償還を、する、こういうことになっております。
 なお、検査補装具等につきましては、七〇%の償還でございます。
 それから、歯科給付でございますが、一般の治療の場合の償還率は協定料金の七五%、義歯につきましてはレジン床を基準としてその七〇%を償還するということになっております。
 次に、保険料でございますが、フランスの場合には料率が掛けられるもとになる報酬に二種類ございまして、一つは上限がついた給与、それからもう一つは、いわゆる総報酬、給与全部と、二つにそれぞれ料率が掛けられております。
 そこで、上限つきの給与額につきましては、事業主が一〇・九五%、被保険者が三・〇%、いわゆる総報酬に掛けられる保険料率は、事業主が二・五%、被保険者が一・五%、合計いたしまして、事業主が二二・四五%に対しまして被保険者は四・五%ということで、かなり事業主の方に傾いた保険料率になっております。これはいろいろ説がございますが、フランスは非常に間接税が高いということが一つの理由となって、事業主負担の方に傾斜しているのではないかという説がございます。なお、給与の上限は、年額で四万三千三百二十フランということでございます。
 それから、患者負担でございますが、これは先ほど申しましたとおり、さっきの償還される分の逆といいますか、一〇〇%から引いた分、つまり通院の場合ですと二五%、これが患者負担になるということでございます。
 それから、国庫負担でございますが、フランスの場合には国庫負担は原則としてございません。ただ、一つありますのは、一九七四年に財政調整法という法律ができまして財政調整を実施しているわけでございますが、経過的な措置ではございますが、財政調整した場合にどうしても、冒頭に申し上げました一般制度から他の制度へ一方的に金が流れるということになります。つまり、もらう方はもらう方、出す方は出すだけ、こういうかっこうになるものですから、出す方の一般制度から非常に不満がつのりまして、ただでさえ財政状況は一般制度も余りよくないということだものですから、そこでいろいろ議論があったようですが、結局一般制度からほかの方へ財政調整資金を流すわけですが、その部分については国が一般制度に財源をカバーする、こういうことになっております。だから、実質的には国庫負担で財政調整をやるというような結果になっているように聞いております。国がその一般制度に財源を補てんする場合の財源としまして、現在アルコール製造税という税金がそれに充てられるということになっておるようでございます。
 それから、フランスにおける最近の動きでございますが、いま申したように、一九七四年に社会保障財政調整法という法律が成立いたしました。それで、この赤字組合、黒字組合と書いてございますが、黒字組合が一般制度であります。赤字組合はその他の制度。それで黒字組合、一般制度は赤字組合に対して財源を出すわけですけれども、その分に見合うだけ国庫から補てんされる、その財源はアルコール製造税である、こういうことになるわけでございます。
 それから第二に、病院新設規制と簡単に書いてございますが、内容はフランスでは保健地図、保健マップというのをつくりまし工日本で言うと恐らく地域医療計画みたいなものだと思うのですけれども、そういう保健地図をもとにいたしまして知事が病院新設を許可するかしないかを決める、こういう許可制といいますか、それをとっているようでございます。
 それから第三に、高額医療器械、たとえばCTスキャナーとかコバルト照射装置等でございますが、これにつきましては、設置する場合には厚生大臣の許可を必要とするということで、規制を強めているということでございます。
 以上がフランスです。
 また戻っていただきまして、西ドイツへ参りますが、西ドイツは適用対象は所得によって、月収二千七百七十五マルク以下は強制加入、それ以上は強制加入になっておりません。それにしても全国民の九二%ぐらいをカバーしているということになっております。
 実施主体は公法人である疾病金庫、まあ組合でございます。これが全国で千四百二十五ございます。
 この疾病金庫にはいろいろな種類がございますが、一番数の多いのは企業疾病金庫でございます。疾病金庫の数で申しますと、全部の疾病金庫の中の大体六五%ぐらい、これは企業の疾病金庫でございます。その次に多いのが地区の疾病金庫、これが数で言いますと二一%ぐらいになります。そのほかに同業疾病金庫とかいろいろございます。ただ、企業疾病金庫と地区の疾病金庫が大きな二つなんですけれども、金庫の数は、さっき申しましたように、六五%と二一%なんですが、加入者の数から申しますと一地区の疾病金庫は非常に大きいものが多いものですから、加入者数の比率でまいりますと、企業疾病金庫が大体一二%ぐらいです。地区の疾病金庫が四八%、半分の加入者は地区疾病金庫でカバーしている、こういうかっこうになるようでございます。
 それから、保険給付ですが、これは西ドイツの場合は現物給付であります。そして本人家族とも一〇〇%と書いてありますが、患者負担はもちろんございます。これは後で申します。
 予防給付がございます。ここに書いてあるように、検診とか予防診断、これがございます。
 それから、歯科給付はドイツの場合、抜歯等の治療は一〇〇%カバーしておりますが、義歯については一九七七年から二〇%を患者が負担しなければならないということになっております。それから医療上特に必要と認められる場合であれば、金属床の義歯も給付の対象になります。ただ、患者の希望によって金属床義歯をつくる場合には、材料費の差額は患者が負担するということになっておるようでございます。
 それから、保険料は各疾病金庫ごとに決められるわけでありますが、下は八%くらいから上は一三%くらいまでいろいろございます。平均いたしますと現在一一・三%、千分の百十三でございます。ドイツの場合には、労使の負担がはっきり折半負担となっておりまして、厳格な労使折半負担をとっております。
 それから、患者の一部負担でございますが、ここにありますように、補装具等を請求する場合にはその費用の二〇%を患者が負担する。それから薬剤につきましては、処方された各医薬品ごとに一マルク。これは実は一九七七年の改正でこうなったわけでございますが、その前は処方せん一枚について最高二・五マルクということになっておりました。これが財政対策で各医薬品ごとに一マルク、つまり三つの薬剤を処方されますと三マルクになるわけでございます。
 それから、国庫負担につきましては、ドイツの場合には原則としてございません。ごく微々たるものですが、たとえば学生保険だとかあるいは鉱山保険だとか、傷害者保険だとか、そういう特別の制度につきまして特殊の理由で国庫負担がちょっとありますが、全体の一、二%程度でネグリジブルだと思いますので、原則として国庫負担はないというふうに御理解いただきたいと思います。
 それから、西ドイツの場合の最近の動きで特に注目されますのは、一九七七年に施行されました疾病保険経費節減法という法律でございます。
 これはかなりドラスチックないろいろな改革を図っておりまして、第一に協調行動会議というのをつくる。これは何かと申しますと、疾病金庫、つまり保険者代表、保険医代表、それから病院経営者の代表、さらに薬品業界の代表、これらが入りまして四十名ぐらいの構成のようでございますが、ここでいろいろな審議をするわけでございます。主なのは診療総報酬額、それから医薬品費の最高限度額、これについて勧告をするという権能が与えられております。これは強制力はないようでございますけれども、診療報酬の大枠を勧告するということで、現に一九七八年にはこの勧告は五・五%といいものを勧告しております。これは、日本の場合と違いまして、いわゆる自然増を含めた全体の医療費総額の伸びが五・五%、こういうことでございます。
 それから、診療報酬につきましては、被保険者の平均的賃金上昇率を考慮して決める、こういう規定が入っております。つまり、診療報酬の額を決める場合に、それは被保険者つまり労働者の賃金の伸びも考慮してその総額の伸びを決める、こういうことでございます。
 それから第三に、薬剤費の負担につきまして、先ほど申し上げましたように、従来の処方せん一枚について最高二・五マルクという制度を改めまして、各医薬品ごとに一マルクの患者負担をするということになっております。
 それから第四に、病院と開業医の機能の調整と簡単に書いてありますが、これは実は内容は、一言で言うと、病院で外来を認める方向を検討すべきではないか、こういうことのようでございます。つまり、ドイツの場合、病院と診療所の機能分化がはっきりしておりまして、本来、病院は入院だけ、こういうことなのですけれども、最近、ドイツもフランスもそうなのですけれども、入院の費用が非常にかさみまして、財政がかなり悪化している一つの大きな原因になっているという問題意識を持っておりますために、病院で外来を認めることによって入院の方を若干抑えるといいますか、そういう機能を予想しでいるといいますか、期待しているようなことを情報として聞いております。
 それからあと最後に、看護婦による患者の家庭看護、在宅の看護、これなんかもやろうというのが、この節減法の中身でございます。
 それから最後に、スウェーデンでございますが、スウェーデンの場合には、御承知のように、ちょっと特異なスタイルでございまして、いわゆるナショナル・ヘルス・サービス方式と社会保険方式のいわば組み合わせの制度でございます。
 適用対象は全居住者でございまして、全国民の一〇〇%をカバーしております。
 実施主体は「健康保険……政府 病院サービス……州」こういうふうに書いてありますがこの病院サービスの方はナショナル・ヘルス・サービス的なものでございます。つまり公負担でございます。それに対しまして健康保険でカバーする分といいますのは、外来診療とそれから現金給付でございます。傷病手当金等の現金給付、それと外来診療、これが保険でございます。保険の方は政府がやる、それから公費負担の病院サービスの方は州がやる、こういうシステムになっているようでございます。
 それで、いずれも現物給付でございまして、本人、家族とも一〇〇%でありますが、これはもちろん、後で申しますように、患者負担がございます。
 歯科給付は、千クローナまでは半額を自己負担する、千クローナを超える部分につきましては患者は二五%負担する。ただし、三千クローナを超えるような高額な場合には州知事の承認を受けなければならない、こういう規定になっております。
 それから、保険料でございますが、スウェーデンの場合には、公費負担の方は全額公費で見るわけですが、健康保険部分につきましては国が一五%を見ます。この国の一五%の負担率というのは年々変わっておるようでございますが、一九七七年から七八年ぐらいはずっと一五%で落ちついているということであります。したがいまして、残りの八五%を保険料で賄う、こういうことになるわけですが、それを具体的に申しますと、自営業者と使用者が負担します。これは被保険者は負担いたしません。使用者の拠出金は支払い賃金総額の九・六%、自営業者の保険料は所得の九・六%、こういうものになります。したがいまして、ここで九・六%として出す保険料は、先ほど申しましたように、主として外来診療と現金給付の財源に用いられる。あとの公費負担の医療サービスの方は州と国が持つ、こういうことになるわけでございます。
 それから、患者の一部負担でございますが、通院と入院と分かれていまして、通院の場合には、病院の場合に一回について二十クローナ、開業医の場合はちょっと高くて一回について三十クローナを患者負担しなければならない。入院の場合には一日について三十クローナとなっておりますが、これは厳密な意味の一部負担かどうかちょっとあれですが、実はこの入院した場合の三十クローナというのは傷病手当金から減額をされます。差し引かれます。それはそういう意味での事実上の一部負担金ということになります。
 それから、薬剤につきまして二十五クローナまで負担いたします。薬の場合には、正確に言いますと最初の十クローナまでは全額患者負担、十クローナを超えます部分は五〇%患者が負担する。ただ、最高限度が決まっていまして、最高は二十五クローナで患者負担は頭打ちということになります。
 それから、国庫負担につきましては、健保の場合の経費、これは、先ほど申しましたように、健康保険の分野につきましては一五%国が負担する。医療サービスの方につきましては当然のことながら国と地方公共団体、つまり州でございますが、国と州が医療サービスについては全部を持つということになっております。
 それから、スウェーデンの最近の動きでございますが、一つは料率の引き上げでございまして、一九七六年に八・〇%でありましたのが、一九七八年には、先ほど申しましたように、九・六%に料率のアップが図られております。
 それから、患者負担も増額されておりまして、通院の場合には、病院の場合に一九七七年には十五クローナでありましたのが、七八年には、先ほど申しましたように、二十クローナに上がっております。開業医の場合にも、同じく七七年に二十五クローナ、これが七八年には三十クローナに増額されております。
 それから、薬剤につきましても同様でありまして、最高の負担額が七七年には二十クローナでありましたのが、七八年には二十五クローナと、それぞれ増額されております。
 簡単でございますが、大体以上でございます。

発言情報

speech_id: 108704418X00219790221_003

発言者: 小林功典

speaker_id: 6528

日付: 1979-02-21

院: 衆議院

会議名: 社会労働委員会医療保険制度に関する小委員会