伊藤茂の発言 (大蔵委員会)
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○伊藤(茂)委員 もう一つ、私はいまの経済協力全体の政策を見てまいりますと、政府のいまの対策では一つ大きく抜けている観点があるのではないかという気がいたします。これは昨年の九月の末にワシントンで開かれた世銀総会でのマクナマラ総裁の演説をちょっと読んでみたのですが、その中の一つの柱に、途上国の中での絶対的貧困層の問題を取り上げております。言うならば、途上国自体の社会改革の問題についての視点を指摘いたしているわけであります。そうして、そこに述べられている数字を見ましても非常に重要だと思いますが、このような絶対的貧困層を解消するという計画が順調にいった場合でも、紀元二〇〇〇年の絶対貧困者数は六億人と言われている。それが努力が必ずしも順調にいかない場合には十三億人と言われている。そして現在の先進国と途上国との関連の政策からいいますと、ほとんどの途上国ではそれらの援助とか成長の恩恵は絶対的貧困層のそばを素通りしている。そうしてそういう社会的矛盾が解決をされないということが指摘をされています。マクナマラ総裁も言っているのですが、これらの「絶対的貧困層はきわめて不利な立場であるとはいえ、人間としての潜在能力は大きいのです。現実的な機会さえ与えられれば、彼らは十分な反応を示します。絶望からの脱却、希望への出発、望ましい未来生活の約束を求めること自体、人間に変りはありません。」というふうな視点を相当詳細に述べております。
私ども社会党や民社党も参加をいたしまして、昨年十一月にカナダのバンクーバーで社会主義インターの大会を持ちましたときにも、これらのことがずいぶん議論をされました。そうしてマクナマラ総裁も、インターの議長であるウィリ・ブラント氏に対する尊敬の念も冒頭に述べておりますが、何かこれからの国際的な経済秩序あるいは国際的な立場から見た社会改革のそれぞれの努力というようなことが、理念的にも政策的にもさらに追求をされなければならないという点が述べられていると思います。
外務省や通産省で出している白書とかあるいは経済協力の実態とかいうものを読ませていただきますと、やはり先ほど来お話があったような経済援助の量と質、それらを当面どう改善をしていくのかということが中心になっているわけでありまして、私はさっきも中期の計画とかいうことを申し上げましたが、何か途上国と特段に大きな関係を持っている日本、それは先進国の中でも一番大きな関係を持っているわけであります。そういう日本が国際的にもまた途上国からも尊敬をされる、あるいは尊重されるゆえんのものは、お金をふやすことも大事だと思います。しかしそれ以上に、何かそういう改革についての努力、それらについての理念と政策というものをやはり掲げる必要があるのではないだろうかという気がいたしますが、その辺どうお考えですか。