伊達宗起の発言 (予算委員会)
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○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。
一九二二年の海軍軍備制限に関する条約、これはいわゆるワシントン軍縮条約と言われているものでございますが、その第十九条には、わが国が要塞及び海軍根拠地に関して現状を維持すべきであるという地域の一つといたしまして「千島諸島」が掲げられてございます。しかし、この条約には、この千島諸島がどこからどこまでを指すものであるかということを定めました条項はございません。また、このワシントン条約には、条約の一部をなす付属地図といったものは全く添付されておりません。
なお、昨日、上田委員が当委員会で提示されました地図は、ワシントン軍縮会議に関する「華府会議大観」という市販の解説書の巻末に説明のために添付された地図と承知いたしましたが、この地図はいかなる意味においてもワシントン軍縮条約第十九条に言う「千島諸島」の地理的範囲に関するわが国等の締約国の公式な立場をあらわすものではございません。
さらに、本件条約の交渉過程におきまして、ワシントン条約第十九条に言う「千島諸島」の地理的範囲に関しまして、関係諸国間で議論されたことがあるかいなかにつきましても、当時の交渉記録に当たり調査してみましたところ、私どもの記録から見る限り、この点が関係諸国間で議論された形跡は全く見当たりませんでした。
いずれにいたしましても、昨日も当委員会で政府側より御答弁申し上げたとおり、ワシントン軍縮条約は、そもそも領土の帰属を決定することを目的としたものではございませんで、特に第十九条の規定は、各締約国が自国の領土及び属地のうちどの部分につき軍事構築物の現状維持を約束するかだけを決めるためのものでございまして、領土の帰属そのものを主題とした日魯通好条約第二条や、樺太千島交換条約とはその基本的性格が全く異なるものでございます。したがいましてワシントン軍縮条約第十九条に言う「千島諸島」の地理的範囲がどのようなものであったといたしましても、そのことによって北方領土問題に対するわが国の従来の基本的な立場というものは、何ら影響を受けるものではないと考えている次第でございます。
以上です。