大平正芳の発言 (本会議)

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○国務大臣(大平正芳君) 小野さんの最初の御質問は、政治姿勢に関することでございます。
 第一は、いわゆる解散についてのお尋ねでございます。
 経済もようやく回復いたしまして、第一次石油危機の混乱も収拾することができたのではございますけれども、わが国の当面する問題といたしましては、エネルギーの制約でございますとか、厳しい財政事情等がございまして、容易なる状況ではないのでございます。この前の総選挙がございまして三年近くを経過しておりますので、このあたりで政局を一新いたしまして新たな姿勢で新たな時代に対応すべきではないかという見解もようやく国民の理解を得つつあるように思うのでございます。こういった事情を踏まえて、民主政治の公正、活力のある展開を図る上から申しまして、政局の問題につきましては私は真剣に対処いたしたい考えを持っております。
 第二の問題は、疑惑解明の問題でございます。
 刑事責任の所在は明らかになりましたけれども、小野さんの言われるように、政治責任、道義的責任の解明は、国会、世論の場で広く展開されておるわけでございます。政府も国会の国政調査権の発動にはできる限り協力してまいりましたし、今後も協力してまいるつもりでございまして、いささかも疑惑の究明を抑えるというような気持ちは毛頭ないのであります。
 ただ、権威ある国会がこの問題に対処されるに当たりましては、政府が取り調べました結果、岸氏自体につきましては本事件に全然関係がないということ、そして、松野君の証言につきましては、主観の絡む問題もございまして刑事局といたしましてこれを告発できるかどうかについて自信が持てないというような報告を受けておりまするので、国会が御判断される場合にはそういう事情を踏まえた上で賢明に判断されることを期待いたしておるわけでございまして、いささかも疑惑の究明をおろそかにしようなどというととは考えていないわけでございます。
 第三の問題は、疑惑に絡まる方々に対する公認とか推薦とかいう問題でございます。
 これは自由民主党は天下の公党といたしまして適当に処理いたすつもりでございます。
 第四番目の問題は、再発防止の問題でございます。
 仰せのように、われわれの重大な任務は再発防止にあるわけでございまして、昨日も政府の協議会から御提言をいただいたわけでございます。これには個人の政治倫理の確立がございます。その中でも、個人の政治資金の明朗化を図るということにつきましては、速やかに政治資金規正法の改正を提案しなければならぬと考えております。ただし、個人の資産の公開の問題、倫理憲章の制定というような問題は、国会のお立場におきまして御検討をいただかなければならない問題と心得ておりますので、近く政府からこの提言を踏まえて国会に御要請をいたすつもりでおります。
 第二に、企業の倫理の確立でございます。グラマン事件、ロッキード事件も企業の倫理に絡まる問題でありましたことにかんがみまして、私どもは、企業の自己監査制度の充実強化ということを踏まえての商法の改正問題等につきましては、いち早くそういう方向で措置しなければならぬのではないかと考えております。
 それから制裁法規の整備強化問題でございますけれども、賄賂罪あるいは脱税事犯等についての罰則の強化あるいは公訴時効期間の延長の問題等につきましては、速やかにそういう方向で具体的な措置を進めてまいるつもりでございます。
 金のかからない選挙制度あるいは選挙の運営について考えるべきではないかという御提言が各方面からもございますし、自由民主党内からもございます。この問題につきましては、国会、政党が絡む選挙のルールの問題でもございますので、政府がイニシアチブをとるよりは、国会、各政党と連携をとりながら検討を進めてまいるつもりでおります。
 第二の御質問は、外交、防衛に関する問題でございます。
 山下長官は、訪米、訪韓の報告を私にいたされましたけれども、ソ連の極東軍の配備について、これを脅威と見ておるとか、これを軍備増強をねらいとして提起するとかいうような報告は全然ございませんでした。ソ連の極東における軍備の配備が強化されておるということは、そういう情報はわれわれも伺っておるわけでございますが、われわれとして、これが日本に対する顕在的な脅威であるとは受けとめていないのであります。
 それから第二に日ソ関係のあり方についてのお尋ねでございますが、私が演説でも申し上げましたとおり、ソ連は重要な隣国でございます。われわれは漁業、経済協力、貿易を初めといたしまして、各般の交流をいま相当濃密に日ソの間に発展させておるわけでございますので、ソ連も日ソ関係の進展には満足されておることと思うのでありまして、こういう各般にわたる交流関係を一層強めながら、懸案の領土問題につきましてはソ連の理解も得ながらしんぼう強く交渉いたしましてこれを解決して平和条約の締結にまでこぎつけたいという念願を依然として強く持っておりますことを御理解いただきたいと思います。
 沖繩の演習問題、自衛隊幹部の発言問題等につきましては、防衛庁長官から答弁をお願いいたすことにいたします。
 第三は、石油エネルギー問題についてのお尋ねでございます。
 東京サミットの評価でございますが、石油の需給が不安定になっております今日、東京サミットにおきまして石油消費の七割を占める主要国の首脳が集まりまして石油の節約、それから輸入のシーリングの具体的な設定ということにこぎつけましたことは、石油の世界的な需給の安定に大きく寄与したものと評価いたしております。この東京サミットにおける南北問題は、先進主要国は石油の値上げによりましてそれだけの資源を産油国に移さなければならぬ立場にありまするけれども、それだけ援助能力が張まったといえども、われわれ以上に苦しんでおるのは石油を持たない開発途上国であるという見地に立ちまして、一層南北問題に対する関心を高め、援助を強めていこうでないかという合意が成立いたしまして東京宣言に盛られましたことは、小野さんも御承知のとおりかと存じます。
 それから石油の供給を多角化しなければならぬということはわれわれの常々から考えておるところでございまして、中近東に過剰に依存する事態は決して健全ではないわけでございまして、非OPEC諸国、中国、中南米諸国との外交を強化してまいるということは当然考えなければなりませんので、外務大臣、通産大臣が最近中南米を訪れましたゆえんのものも、また中近東諸国を訪れましたゆえんのものも、そこにありますることは、御理解をいただきたいと思います。
 第四の原子力発電を中心といたしまする代替エネルギーの開発についての御意見を交えての御質問でございました。
 小野さんがおっしゃるように、この問題は総合的なエネルギー対策として受けとめなければならぬと考えております。政府といたしましては、第一に信頼のおける代替エネルギー源として原子力を考えておる、石炭を考えておる、それからあなたのおっしゃるように水力、地熱、太陽熱等ソフトエネルギーを考えておることは御案内のとおりでございますが、御心配の原子力発電に絡まる安全性につきましては、周到厳正な配慮を加えて関係住民の理解と協力を得ながら進んでまいるつもりでございます。
 第四の御質問は、財政再建の問題でございます。
 第一は、財政危機を招いた責任はどこにあるかというお尋ねでございます。
 すべて、よいことも悪いことも政府にありますことは、当然のことでございます。石油危機がございまして以来、この大きな不況のあらし、衝撃を受けました日本経済を守り、日本の国民の生活を守るために、まず財政が出動いたしましてこの危機を収拾いたしたわけでございます。そのために、財政は後遺症を持って相当疲労の状態にあることでございます。この選択は、私はたびたび本院におきましても申し上げたのでございますが、誤っていなかったと思うのでございます。ただ、問題は、この残された後遺症をできるだけ早く治療してまいる、このことによってわれわれの政治責任を果たさなければいかぬわけでございまして、そういう意味で財政再建をわれわれは強くお願いをいたしておるわけでございまして、御理解をいただきたいと思います。
 第二に、その手段方法でございますけれども、小野さんも御指摘のように、歳入、歳出全体にわたりまして鋭意見直しを行い、むだを省いていかなければならぬことは当然でございます。行政定員、行政機構、補助金、その他万般にわたりまして見直しを行うことによって財源を浮かしながら財政の再建に当たらなければならぬと思います。また、幸いに景気もようやく回復の軌道に乗りましたので相当程度の自然増収も期待できるわけでございますが、そういったものを一切合財鋭意活用いたしましてなお足らない場合はどうするか。なお足らない場合というのは、赤字公債の絶対額を減らしていくことに対しましてなお不足する場合はどうするかということが私どもの仕事でございますが、その場合におきましては、国民の理解を得ながら、国民の理解の得られる方法で新たな御負担をお願いせざるを得ないのではないかという態度でおるわけでございます。
 それから第三の問題は一般消費税の問題でございます。
 そういういよいよ切り詰めていってこれだけ足らぬと言ってきた場合に、これを既存の税制で賄うか新税を起こすかというのは、手段方法としていろいろあろうかと思いますが、その具体的検討は五十五年度の予算で答案を出さしていただきたいと考えております。何となれば、幾ら足らないかということはまだ明らかでないからであります。財政当局は、そういう場合も想定いたしまして、もし国民の理解が得られるならば一般消費税を考えることも一つの方法ではないかと提起いたしまして、世論の検討にまったわけでございます。
 一般消費税につきましては、私どもも党の内外を通じまして非常に強い反対があることはよく承知いたしておりまするし、物価政策その他の立場から、また課税技術その他の立場から、十分検討せにゃいかない余地がずいぶんあることも承知いたしておるわけでございます。問題は財政再建をなし遂げることでございまして、私どもが必要とする財源が他の方法によって得られるのでございますならば、何も一般消費税に固執する必要はないと考えておるわけでございますが、どうしてもほかに道がないということが明らかになった場合におきましてはこのことについて一般の方々の御検討をお願いすることがあるかもしれない、そう考えております。
 第四は、赤字公債の償還問題でございます。
 小野さんが御指摘になりましたように、建設公債につきましては借りかえの道を開いているわけでございますけれども、赤字公債につきましては、私ども、百分の一の定率繰り入れ、それから剰余金の繰り入れ、それから予算繰り入れ、三つの方法によりましてどうしても償還してまいらなければなりませんので、これを借りかえていくという考えは持っておりません。
 第五番目に経済問題についてのお尋ねでございました。
 卸売物価は、確かに小野さんの御指摘のように上げ足が早くなっておりまして、一・六%という目標の達成は残念ながら不可能でございます。これを相当大幅に改定しなければならぬと考えておりまするけれども、われわれは、これは海外で、たとえば石油であるとか、木材であるとか、あるいは皮革であるとか、海外からの資源の高値に由来するものでございますが、この高値というものをできるだけ悪影響を与えないように物価政策上排除しながら極力抑え込んでいくつもりでございますが、遺憾ながら相当大幅の改定をしなければならないという事情にあることは正直に告白をせざるを得ないと思っております。
 ガソリン、灯油、軽油等の価格でございますが、私はこれは一番根本はこの需給を安定さすことだと思うのでございまして、需給が安定する、そしてそれに対する消費者が信頼をするということがございますならば、小野さんが言われるように、標準価格の設定でございますとか、さらに進んで石油三法を適用しなければならぬという事態は起こらぬと考えておるわけでございまして、いま私どもはそういう手段にまたなくても需給の均衡はとれ得るものと確信をいたしておるわけでございます。
 それから消費者物価の見通しでございますが、四・九%はただいまのところ達成できるという自信を失っておりません。なるほど海外からの資源高もございますけれども、極力われわれは慎重な経済運営に徹しまして、消費者物価の目標は何としても守りたいし、守り得るのでないかと考えておるわけでございます。
 それから雇用問題についてのお尋ねでございましたが、雇用は、逐次雇用の機会自体は拡大いたしておりまするし、有効求人倍率も改善をいたしておるわけでございまして、私ども当面明るい方向に向いておると思いますけれども、具体的なお尋ねでございますので労働大臣からお答えをいたします。
 それから新七カ年計画と福祉政策との関連でございますが、新七カ年計画も、社会保障の部門別な長期の展望を見ながら、現在国際的水準に達しました給付水準というものを老齢化が非常に進んでおる段階におきましても落とすことのないようにやらなければならぬという考えをもって作案いたしておるつもりでございます。
 教育の問題につきまして二つのお尋ねがございました。文部大臣からお答えすることにいたします。(拍手)
   〔国務大臣山下元利君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 108815254X00319790906_003

発言者: 大平正芳

speaker_id: 28089

日付: 1979-09-06

院: 参議院

会議名: 本会議